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実験実習 II    文献紹介

実験実習 II    文献紹介. 大阪大学人間科学部人間科学科 行動生態学講座行動計量学研究分野 B3  植村菜穂子. 本日の文献. Roslyn Omodei The Mythinterpretation on Female Crime Women and Crime Edited by Satyanshu K. Mukherjee and Jocelynne A. Scutt 1981,Australian Institute of Criminology. 内容. Mythinterpretation 女性犯罪に対する固定観念

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Presentation Transcript


  1. 実験実習II   文献紹介 大阪大学人間科学部人間科学科 行動生態学講座行動計量学研究分野 B3 植村菜穂子

  2. 本日の文献 • Roslyn Omodei • The Mythinterpretation on Female Crime • Women and Crime • Edited by Satyanshu K. Mukherjee andJocelynne A. Scutt • 1981,Australian Institute of Criminology

  3. 内容 • Mythinterpretation • 女性犯罪に対する固定観念 • 「女性犯罪の大半は性犯罪である」 • 従来の女性犯罪原因論 • 女性犯罪の具体的データ • 司法システムなどの問題点

  4. 成人女性の固定観念 • 主な関心は、家族の健康、子どもの養育など、家庭内の問題 • 妻・母としての役割 • 家族、社会の中で、道徳の守護者 • 子どもの道徳的発達、家庭の道徳的環境に対して責任がある者として考えられている

  5. 10代の少女の固定観念 • 主な関心は、ふさわしいボーイフレンドを見つけること • 異性関係の発展をコントロールすることは、少女自身の責任 • 異性関係の中で、何が良くて何が悪いのかという社会の基準を維持することは、少年よりも少女の責任である • →「女性の固定観念」

  6. 成人男性の固定観念 • 主な関心は、仕事、経済、政治など、公的な問題 • 一家の大黒柱としての役割 • 家族の生きる手段を与える存在 • 成人男性が主に目標とすることは、職業的に成功し、財産をもつこと

  7. 10代の少年の固定観念 • 主な関心は、家庭の外の競争的世界で、地位を得ること、財産を得ること • 自分自身を社会での労働力として考える • →「男性の固定観念」

  8. 男女の犯罪の原因 • 10代の少女 • 安定した異性関係の発展という目標を達成できないこと • 成人女性 • 家族や社会での道徳の守護者としての責任を果たせないこと • 10代の少年 • 職業的・経済的目標を通して、社会での地位を得られないこと

  9. 最も普及している固定観念 • 「女性犯罪は主に性犯罪である」 • この主張の調査からわかること • この主張はいわゆる「神話」である • 犯罪司法制度上の問題点 • 未成年犯罪者の処遇上の問題点

  10. 犯罪理論の歴史的発展 • 1890年代のロンブローゾが基礎となる • 女性による犯罪率が男性より低い理由 • 成人女性・少女による売春行動が、犯罪統計に含まれていない • 女性の性質から、女性は犯罪よりも性的な逸脱をしがちである

  11. ロンブローゾの研究の問題点 • 下流階層の女性の社会的背景を考慮していない • 賃金労働は、工場での労働などしかない • 生物学的要因のみを見ていて、環境的要因を考慮していない • 女性は社会で最も不利な立場に落とされやすい

  12. ロンブローゾの研究の影響 • 彼が生きた時代の産物である • 女性犯罪研究では、最近まで、彼の研究が理論の基礎として残っていた • →以降の研究に大きな影響を与える

  13. ポラックの女性犯罪研究 • 女性犯罪の割合が低い理由 • 被害者や司法組織は、女性犯罪を男性犯罪よりも寛大に扱う→「騎士道精神」 • 女性は生まれつきずる賢く、不誠実である • 自分の行った犯罪を上手く隠すことができる • 犯罪を実行するよりも教唆することが多い

  14. ポラックの研究の問題点 • 女性に与えられる社会的制限や圧力を無視している • 女性は性的本能のみで動くと考えている • 経済的サポートがなく、社会で労働に参加する際に不公平に扱われることを、女性犯罪の重要な要因として考えていない

  15. 犯罪社会学の発展 • 第二次大戦後に発展する • 社会学的な視点から犯罪を分析 • 都市化が進む中で、地域や社会階層で犯罪率、犯罪形態が異なる • 特にアメリカで発達する

  16. 非行副次文化論(A・コーエン) • 伝統的な文化に抵抗する非行集団に固有の考え方や行動様式を総称したもの • 支配的な中流階層の文化の中では、下流階層の少年は不利な立場に置かれる • 中流階層の目標である「経済的成功」を達成できない • そのような伝統的文化に敵対感情を抱く • 反動として特有の副次文化(サブカルチャー)を生み出し、非行に至る • 「非行集団内での地位の向上」が目標となる

  17. コーエンの女性犯罪研究 • 男子少年に焦点を当てる • 女性の目標は「異性との安定した関係を作ること」である • その関係が上手く行かなかった場合、性非行を行いやすい

  18. コーエンの研究の問題点 • 女性を考える際、女性の固定観念から抜け出せていない • 女性犯罪は、女性個人が悪い選択をした結果だと考えた • 女性が経験する社会的圧力や制限を、犯罪の原因として考慮していない • 女性犯罪は主に性犯罪であると考えた

  19. 表1.8歳以上の少女の出廷理由Queensland、1973-74

  20. 表2.少女による非行の種類Queensland、1973-74

  21. 表1、2からわかること • ほぼ半分が性非行とは関係のない非行である • care & control は性非行とみなされる→少女の非行は主に性非行である

  22. 司法制度の問題点 • care & control は少年よりも少女に適用されやすい • 少女が窃盗と性非行を行った場合、窃盗罪よりもcare & control が適用されやすい

  23. サウスオーストラリアの場合 • 16歳未満の少年は罰せられない • 16歳未満の少年は男女とも、 care & control が適用される • 司法当局によって独断的に適用することはできない • 性別の違いによる適用率の差がない

  24. 表3.少年非行の種類SouthAustralia、1975-76

  25. 表3からわかること • 計8345件中、女子21%、男子79%(男女比 1:4) • 最も多いのは男女とも窃盗 • 女子による性非行は2件のみで、最も少ない • 女子非行は主に窃盗、財産犯 • 性非行は男子の方が多い

  26. イングランドの場合 • 学校をずる休みすること、両親の管理下を離れること、道徳的危険にさらされること • 特別な注意を要する未成年にのみ適用できる「罪」のカテゴリー • イギリスでは「犯罪」とされない • 少女に最もよく適用されるのは、「道徳的危険にさらされること」 • 性的非行という意味合いを含んでいる • 少年の非行は性的ではなく、攻撃的・独断的なものとみなされている

  27. スコットランドの場合 • 1968年のデータ • 少女の非行の総数 295件 • 少女の非行で最も多いのは窃盗 • 全非行のほぼ70% • 最も少ないのは性非行 • 全非行の1.3%

  28. 4つの地域の関係 • クインズランドとサウスオーストラリア • イングランドとスコットランド • 地域によって少女の社会的目標が異なることが原因といってよいのか? • →女性の固定観念と、その影響を受けた司法制度が原因

  29. care & control • care & control は犯罪ではないが、そのために施設に入れられた少年は、罪を犯した少年と同じように扱われる • care & control で施設に入れられるのは、男子よりも女子の方が多い

  30. care & control で少女を施設に入れる理由 • 社会は未来の妻・母という道徳に関心を持っている • 性非行を行った少女を施設に入れるのは、少女自身を保護するためである • 成人女性の場合、社会を守るために収監される

  31. 施設での処遇 • 成人・未成年に関わらず、女性は料理や裁縫など、家庭的な仕事を学ぶ機会を与えられる • 出所した際、それらの技術は女性の社会的地位を向上させるものではない • 施設や刑務所にいたことで、「犯罪者」としての汚名が貼り付けられる→さらに立場が悪くなる

  32. care & control の少女 • 犯罪ではないのにも関わらず、罪を犯した者と同じ処遇を受ける • 低い地位、依存的立場に変化がない • 少女を「保護する」という目的のプロセスが、少女の社会的能力を制限している

  33. 結論 • 「女性犯罪は主に性犯罪である」という考えは、犯罪理論に深く根付いた神話である • 女性の逸脱行動が犯罪的なものでも性的なものでも、彼女たちが経験する社会的圧力や制限の観点から調査する必要がある • 非行少女は、非行少年と同様「社会の産物」である • 司法システムを見直す必要性がある

  34. 感想 • 法律用語の和訳が難しい • データがちょっと古い • →もう少し新しい文献も読んでみる

  35. 参考文献 • 瀬川晃「犯罪学」2002、成文堂

  36. 終わり

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