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2008 年 4 月 24 日 15 : 30-17 : 30 サンシャインビル9F 新現役ネット研修室

2008 年 4 月 24 日 15 : 30-17 : 30 サンシャインビル9F 新現役ネット研修室. NPO法人環境ベテランズファームセミナー. 日本とアジアにグリーン地熱エネルギーのインフラを. ( 独 ) 産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門 地熱資源研究グループ 村岡洋文. 要旨.

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2008 年 4 月 24 日 15 : 30-17 : 30 サンシャインビル9F 新現役ネット研修室

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Presentation Transcript


  1. 2008年4月24日15:30-17:30 サンシャインビル9F 新現役ネット研修室 NPO法人環境ベテランズファームセミナー 日本とアジアにグリーン地熱エネルギーのインフラを (独)産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門 地熱資源研究グループ 村岡洋文

  2. 要旨  わが国のエネルギー自給率は,食糧自給率よりさらに一桁小さい4%であり,OECD国中最低である。同様に,アジアの大部分の国々も,エネルギー輸入依存度が高い。しかし,わが国は世界の三大地熱資源大国の一つであり,インドネシアを始め,アジアも地熱資源に恵まれている。地熱発電は中小水力発電に次いで二酸化炭素排出量の少ないクリーンなエネルギー資源であり,迫り来る地球温暖化危機や石油危機の中で,その価値はもっと見直されるべきではないだろうか。

  3. 話の順序 • アジアの地熱開発動向 • 中国の地熱開発動向 • 韓国の地熱開発動向 • フィリピンの地熱開発動向 • インドネシアの地熱開発動向 • 日本の地熱開発動向 • 日本の地熱開発動向 • 日本の地熱資源量 • 日本の地熱開発の障壁 • 蒸気フラッシュ発電の展望 • 温泉発電の展望 • まとめ • 地球エネルギー問題 • 地球温暖化問題 • 最終石油危機の到来 • 地熱エネルギーの利点 • 純国産エネルギー • 二酸化炭素排出量の少ないクリーンエネルギー • 季節・天候によらない安定した自然エネルギー • 世界の地熱開発動向 • 急増する世界の地熱発電

  4. 地球温暖化問題 380 ppm (現実) 自然状態での予想トレンド(氷期への移行). 実際に1800年頃は280 ppm程度だった. 自然状態での予想トレンド(氷期への移行). 実際に1800年頃までは漸減傾向にあった. 南極ボストークの氷床コアから復元された過去40万年間の気候(Petit et al., 1999).

  5. 最終石油危機の到来 ASPOのピーク・オイル・シナリオは悲観的に過ぎるという見方があった.しかし,原油価格WTIは2008年3月12日に一時バーレル110ドルを突破し,その大局的なトレンドは明らかにピーク・オイルの需給逼迫状況を織り込みつつある.  原油消費サイドからみれば,価格が全てであり,価格からみる限り,すでに『最終石油危機』は到来したといってよい.今後,世界のエネルギー需給は中国の大量需要を含めて,未曾有の危機を迎えるだろう. ASPO Newsletter No.81 (2007 Sep.)による

  6. 日本のエネルギー自給率 • 最近,日本の食糧自給率が40%を切ったという報道に,危機感が募った. • しかし,日本のエネルギー自給率はどうであろうか? • さらに危機的な状況である!  左図はIEA(2007)Key World Energy Statisticsから算出した,各国の一次エネルギー供給に占めるエネルギー生産量の百分率である.日本は機械的に計算すると,18.87%となる.しかし,原子力発電を生産量から除くと3.89%となり,OECD国中最低のエネルギー自給率となる.

  7. 地熱エネルギーの利点 • 地球にやさしい • 純国産エネルギー • わが国は地熱資源大国 • 燃料不要の再生可能エネルギー • 二酸化炭素排出量の少ないクリーンエネルギー • 開発コストが自立採算ラインに近い自然エネルギー • 季節・天候によらない安定した自然エネルギー • 地域分散型エネルギー • 発電・熱利用兼用型エネルギー

  8. 地球にやさしい • 太陽光,風力,バイオマス,化石燃料など,ほとんどのエネルギー資源は究極的に太陽エネルギーの申し子である. • 地熱は,地球内部の熱に依存しており,この点が他のエネルギーと最も異なる点である. • 地球内部の93%以上は1000℃以上の高温状態にある. • この地球内部からの熱の流れが,プルームテクトニクス,プレートテクトニクス,地震活動,火山活動,地熱活動などの地球の変動を起こしている. • 地熱は自然状態で地球内部から放出されている熱を利用するものであり,地球にやさしい. • もし,地熱を大量に使えば,地震活動や火山活動の抑止力にさえなる.

  9. わが国は地熱資源大国 Stefansson (2005)を一部修正した世界主要地熱資源国の地熱資源量の比較.インドネシア,アメリカ合衆国,日本が他を圧倒する三大地熱資源大国であることがわかる.

  10. 二酸化炭素排出量の少ないクリーンエネルギー二酸化炭素排出量の少ないクリーンエネルギー 地熱発電は最も二酸化炭素排出量が小さい発電方法の一つである.  様々なエネルギーの建設から運転までの全過程における二酸化炭素排出量の比較(本藤,2000).

  11. 発電・熱利用兼用型エネルギー  地熱は発電だけでなく,熱の直接利用が可能であり,温度に応じた幅広い利用が可能である.たとえば,米国では地中の恒温性を利用した地中熱ヒートポンプの冷暖房システムが60万台も普及し,その貢献は地熱発電を凌駕している.

  12. 世界の地熱開発動向2  地球温暖化・最終石油危機の中,世界の地熱発電量は着実に伸びている. Bertani (2005)

  13. 世界の地熱開発動向3 急増 急増 緩増 急増 停滞 緩増 急増 急増 急増 緩増 急増 急増

  14. 世界の地熱開発動向4 • 世界の主要地熱資源国は地球温暖化・最終石油危機の中,急ピッチで地熱発電の開発を推進している. • 世界の主要地熱資源国の中で,停滞しているのはわが国のみである. • わが国の地熱発電は数年以内に,人口410万人のニュージーランドや人口31万人のアイスランドに抜かれる趨勢にある。これは異常事態といってよい. • オーストラリア,ドイツ,フランス,スイスなど高温地熱資源の乏しい国々までが,深度3~5kmまで掘削し,巨額を投資して,地熱発電開発を進めている現在,垂涎の地熱資源をもつわが国のこの現状に,世界の地熱関係者は不審の念を募らせている.

  15. 中国における地熱井掘削の急増 2000年の西部大開発以降,中国においては地熱井掘削の爆発的ブームが始まっている(Keyang Zheng, 2004, Proceedings of 6th Asian Geothermal Symposium, 85-90.)。

  16. 韓国の地熱開発動向  韓国地質鉱物資源研究院(KIGAM)は,浦項市において地熱直接利用のプロジェクトを進めており,2,000m級の坑井を掘削中である.言うまでもなく,これらの国々は高温地熱資源に恵まれておらず,コスト高を覚悟の上で,純国産かつクリーンな地熱エネルギーを利用しようとしているのである.  左写真向こうのパイロット井を1500mまで掘削し,ポンプで47.5℃の熱水が300トン/日(2004年10月27日撮影) 2つのパイロット井(2003年9月25日撮影)  掘削中の2000m級主掘削井(2004年10月27日撮影)

  17. フィリピンの地熱開発動向 ●フィリピン  フィリピンは2004年現在の地熱発電設備容量が1,931 MWeであり,全電源中のシェアはkWhベースで19.1%である。2007年現在の地熱発電設備容量は1,980 MWeである(山田,2007)。2013年にはGeothermal-1計画により,地熱発電量で米国を抜き,世界一に躍り出ることを目指している。フィリピンの地熱発電の急拡大はPhilippine Energy Contracting Round (2004, 2006)により,海外IPP出資者に対して,フィリピン石油公社(PNOC)が全ての地下(坑井管理)リスクを負う契約形態をとっていることが最大の理由となっている。

  18. インドネシアの地熱開発動向 Pertamina (2005),Dwipa et al.(2006)による。その後,変わっている点も多い。

  19. インドネシアの地熱開発動向 2012年までの開発計画 Dwipa(2004)による

  20. 2025 2005 2008 2016 2020 2012 7000 MW 9500 MW (target) 857 MW (production) 5000 MW 2000 MW 3442 MW 1558 MW existing WA + new WA 2000 MW new WA 1193 MW existing WA 2500 MW new WA 1442 MW existing WA インドネシアの地熱開発動向 地熱発電ロードマップ2005-2025 2005年に地熱発電ロードマップが策定され,2025年に9500MWという地熱発電開発目標が設定された。これは現在,大統領令となっている。これは壮大な目標のようにみえるが,2025年時点における地熱発電の一次エネルギーにおけるシェアは5%に過ぎない。つまり,この目標は,需要の伸びが大きいため,地熱も相応に伸びなければならないという同国の切実なニーズを表している。

  21. 日本の地熱開発動向1 2006年度末のわが国の地熱発電所は事業用と自家用とを合わせて18地点であり,その認可出力は合計535.26MWeである.

  22. 日本の地熱開発動向2 地熱発電量の推移

  23. 日本の地熱開発動向3 地熱政策予算の推移

  24. 日本の地熱開発動向4

  25. 日本の地熱開発動向5 • 地熱発電が伸びている主要地熱資源国のインセンティブの与え方には大きく分けて2種類がある。 • 一つは国の公社が掘削リグをもち,独占的に一貫開発を行うタイプである(フィリピン,メキシコ,イタリア)。これは各国政府が開発リスクを背負う形であり,これ以上のインセンティブはない。 • もう一つは自由市場ながら,導入優遇策,コスト優遇策,許認可優遇策,R&D等を通じて,十分なインセンティブを与えているタイプである(米国,ニュージーランド)。 • 前者が多い理由は,地熱発電開発が初期投資リスクの塊であり,このリスクは国の方が受容しやすいからであろう。 • いずれにせよ,伸びている国の共通点は国や州政府が地熱発電の高い導入目標を掲げ,明確な開発意志をもっていることである。 • 日本で地熱開発が低迷している理由は,1997年以来,それが欠如してしまったからである。

  26. 日本の地熱開発の障壁は5つある。 一つ目の障壁はすでに述べたように,ほとんどの活火山が国立公園とされ,地熱開発が規制されていることである。 二つ目の障壁は2006年3月現在,国内に27,866あるといわれる温泉との摩擦の問題である。 三つ目の障壁は国立公園法,温泉法,森林法,電気事業法,環境アセス法等々,縦割りの許認可制度である。このため,わが国では地熱発電の探査から開発までに15~25年も掛かっている。 四つ目の障壁は,これら3つを総合した結果として,地熱発電開発の初期コストが大きいことである。 五つ目の障壁は,これらはほぼ全て社会的・制度的要因であり,強力な政策的支援があれば,克服されることであるが,必ずしも十分な政策的支援が得られないことである。 日本の地熱開発の障壁

  27. 日本の150℃以上の熱水系資源量の94.9%は,国立公園の特別保護地区および特別地域内に分布している。日本の150℃以上の熱水系資源量の94.9%は,国立公園の特別保護地区および特別地域内に分布している。 この地域外の熱水系資源量は,わずか5.1%に過ぎず,162万kWに過ぎない。 このように,日本における地熱開発の最大の阻害要因は国立公園の開発規制にあるといえる。 ヒグマを保護することは重要であるが,地球が温暖化してしまえば,微視的な環境保護は水泡に帰してしまうだろう。 国立公園の特別保護地区や特別地域内においても,地球温暖化抑止力の最も強い地熱開発に対しては規制を緩和すべきである。 このような地域には温泉も少ないため,この規制緩和を実現すれば,わが国の地熱発電開発は急速に進むだろう。 蒸気フラッシュ発電の展望

  28. 温泉発電の展望2 問題の所在  本来有利なはずの高温温泉には二重の損失がある.また,不幸にして,これまで,地熱と温泉には対立の構図があった.  日本国内の多数の高温温泉では,浴用利用できない50℃以上の熱エネルギーが未利用のまま捨てられている(写真GERD提供).  日本国内の多数の高温温泉では,温泉成分を薄めないまま,浴用温度まで下げることに苦慮している(写真GERD提供).

  29. 温泉発電の展望3 ソリューション  高温温泉上流にカリーナサイクル発電を導入すると二重の損失が一挙に解決される.また,地熱と温泉の垣根がなくなる.  カリーナサイクルの最低発電温度は53℃程度と見積もられ(村岡,2007 ;大里,2003 ),これは浴用利用への橋渡しに最適である. カリーナサイクルを導入した温泉カスケード発電の概念である(村岡,2007).これにより高温温泉は本来の利点を生かすことができる.

  30. 温泉発電の展望7 市場規模  本システムの国内市場規模は温泉が718MWe,工場温排水が1,200MWeで,合計約2,000MWeであり,自律的に拡大する.海外を加えればさらに巨大である.  温泉は毎年,個数で344個,湧出量で43,600 L/min増えており(環境省,2006),この市場は自律的に拡大する.加えて工場温排水の市場が1,200MWeと推定されている(井上ほか,2006).  全国の温泉で,718MWeが掘削なしに発電可能と推定される(村岡,2007).

  31. 温泉発電の展望8 今後のスケジュール  「温泉エコジェネシステムの開発」というこのプロジェクト提案(委託先:地熱技術開発株式会社,再委託先:産総研)はNEDOの平成19年度「新エネルギーベンチャー技術革新事業」フェーズⅠに採択され(2007年8月24日),平成19年度にはフィージビリティー研究を行った.  また,2008年3月7日には,NEDOの新エネベンチャー評価委員会の前でその成果を発表し,これが評価された結果,平成20年度からの本格開発フェーズであるフェーズⅡ(2年間)に採択された.  したがって,本システムは平成21年度に完成の予定である.

  32. まとめ • 地熱エネルギーは地球環境基準,エネルギー安全保障基準,自由市場経済基準に照らして,バランスのとれた数少ない自然エネルギーである。 • そのため,世界では地熱資源国はもとより,地熱資源の乏しい国々までが,その開発に努力しているのが現状である。 • アジアでも地熱資源は豊富であり,その開発が積極的に進められている。 • その中にあって,世界の三大地熱資源大国であり,エネルギー自給率が4%と危機的であるわが国のみが,地熱エネルギーの開発を軽視していることは実に憂慮すべき事態である。 • この状況を打破するためには,国を動かさなければならない。 • 国を動かすためには,世論の形成が必要であるが,地熱はあまりにも世の中に認知されていない。 • 皆様の強力な御支援をお願いする次第である。

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