1 / 42

ネットワーク・エコノミクス

ネットワーク・エコノミクス. 京都大学大学院経済学研究科 教授 依田高典. 産業組織論とネットエコン. 伝統的産業組織論: 2 つの流れ ハーバード学派 メイスン・ベイン・ケイブス etc SCP パラダイム 集中度 - 利潤率仮説 シカゴ学派 スティグラー・デムゼッツ etc 強固な事前均衡 / 自然淘汰観 価格理論のレンズ. 独占禁止政策. ハーバード学派 厳格なカルテル・合併規制 構造的措置・企業分割 市場閉鎖理論 シカゴ学派 垂直合併・混合合併は原則合法 反トラストのシカゴ革命 (1982 年 ). 新しい産業組織論. NIO 登場の背景

kineks
Download Presentation

ネットワーク・エコノミクス

An Image/Link below is provided (as is) to download presentation Download Policy: Content on the Website is provided to you AS IS for your information and personal use and may not be sold / licensed / shared on other websites without getting consent from its author. Content is provided to you AS IS for your information and personal use only. Download presentation by click this link. While downloading, if for some reason you are not able to download a presentation, the publisher may have deleted the file from their server. During download, if you can't get a presentation, the file might be deleted by the publisher.

E N D

Presentation Transcript


  1. ネットワーク・エコノミクス 京都大学大学院経済学研究科 教授 依田高典

  2. 産業組織論とネットエコン • 伝統的産業組織論:2つの流れ • ハーバード学派 • メイスン・ベイン・ケイブスetc • SCPパラダイム • 集中度-利潤率仮説 • シカゴ学派 • スティグラー・デムゼッツetc • 強固な事前均衡/自然淘汰観 • 価格理論のレンズ

  3. 独占禁止政策 • ハーバード学派 • 厳格なカルテル・合併規制 • 構造的措置・企業分割 • 市場閉鎖理論 • シカゴ学派 • 垂直合併・混合合併は原則合法 • 反トラストのシカゴ革命(1982年)

  4. 新しい産業組織論 • NIO登場の背景 • OIOの理論的不備 • ゲーム理論革命 • コンテスタビリティ・参入阻止価格理論 • 独禁法への含意 • 合理の原則・市場行動主義 • 豊富な説明力 • 均衡の複数性 • 予言と実証の困難

  5. ネットエコンは現実に答えうるか • ネットワーク産業を分析するゲーム理論的産業組織論 • ネットワーク外部性と標準化 • ボトルネック独占とアクセスチャージ • ユニバーサルサービス etc

  6. コンテスタビリティと規制緩和 • 公益事業規制の限界 図1参照 • 市場の失敗:自然独占性→公正報酬率規制 • 政府の失敗:アバーチジョンソン・X非効率性・レントシーキング • デムゼッツの卓見? • フランチャイズ・ビッディング:inではない、forの競争

  7. P Pm Pac AC Pmc MC MR Q QmQacQmc 図1:自然独占産業 戻る

  8. コンテスタビリテイ命題 • 市場がコンテスタブルならば、自然独占的市場でも、潜在的競争圧力(ヒット&ラン)が働くので、公益事業規制は必要ない。 • 競争的市場ならパレート最適、  自然独占的市場ならラムゼー次善 • 完全コンテスタブル市場 • 費用・需要の同質性/埋没費用ゼロ/報復の時間的ラグ • 航空産業はコンテスタブル? • 飛行機は転売可能な固定資本(Capital on Wings)

  9. コンテスタビリティ:批判的検討 • 均衡の存在の問題 • 整数問題とクリームスキミングによる破滅的競争 • 頑健性批判 • 不完全なコンテスタブル市場では、急速に参入阻止価格は上昇する(潜在的圧力にならない) • 実証的批判 • 市場集中度/競争相手の有無と市場成果には有意な相関がある

  10. 規制緩和の時代 • 規制緩和の効果? • 米国:約400億ドル、日本:約1兆円 • 米国の航空規制緩和 表1参照 • 1978年規制緩和法 • 第一局面(1979-85年):新規参入・運賃低下 • 第二局面(1989-91):吸収合併・運賃上昇 • 第三局面(1992-):集中度/運賃微減・再規制の動き

  11. 表2:米国航空産業集中度 戻る

  12. 航空コンテスタビリティの神話 • 「理論的支柱説」 • コンテスタビリテイ理論の完成と米国航空規制緩和は並列的進行 • 「航空市場コンテスタブル説」 • 航空といえども非コンテスタブル:ハブ&スポーク・CRS・イールドマネジメント・FFP • 「コンテスタビリティ=規制緩和説」 • ボウモルは規制緩和批判、カーンはコンテスタビリティ批判

  13. ボトルネック独占 • エッセンシャル・ファシリティ法理 • イコールアクセス・非差別的料金・アンバンドリングの義務づけ • ボトルネック独占のインセンティブ • 効率性インセンティブ • 規模範囲の経済性・取引費用節約・垂直的外部性の内部化・ただ乗り防止・不完備契約対策 • 競争制限的インセンティブ • 可変的要素結合比率操作・プライススクイズ・参入障壁・ライバルの費用上昇

  14. ボトルネック独占の社会厚生 • 5つの産業構造 図2参照 • 統合型ボトルネック • 分離型ボトルネック • 分離分割 • 分割型垂直統合 • 非対称型垂直統合 • 3つのメカニズム 表2参照 • 水平間代替性:産業内部の競争度 • 垂直間補完性:二重マージンの回避 • 規模・範囲の経済性

  15. 表2:5つの産業構造 A1A2 戻る

  16. 表2:5つの産業構造の社会厚生比較 戻る

  17. ボトルネック独占の規制 • 構造的規制 • 公正接続・接続料金の紛糾 • 電気通信産業の例:米国・分離分割、英国・複占施策、日本・持株会社方式 • 行動的規制 • 独占価格防止・規制の簡素化・競争促進 • 非対称規制:会計区分・業務規制・価格上限規制 • 裁量型・事前規制から、ルール型・事後規制への脱皮

  18. 単独採算費用 ラムゼー・ルール 完全配賦費用 損失回避費用 増分費用 アクセスチャージ • 基本ルール • 平均増分費用(AIC) • 平均単独採算費用(ASAC) • 回避可能費用(AC) • 完全配賦費用(FDC) • ラムゼー・ルール(RAMSEY)

  19. ECPR • ECPR=平均増分費用+平均機会費用 • 費用と需要の対称性のもとでは、 AIC≦ECPR=AC=FDC=RAMSEY≦ASAC • ECPRの問題点 • 不当な機会費用 • 独占的レント・経営非効率性の費用 • 経営効率化誘因の欠如 • プライス・スクイズの誘因

  20. TELRIC • 未来指向・最小化・長期・増分・競争的・非内部補助の費用 • 要素別アンバンドリング • 一種の資本設備のレンタル価格 • TELRICの問題点 (1)会計情報(トップダウン)とモデル情報(ボトムアップ)の齟齬。(2) ストランデッド・コスト(回収不能費用)の発生 。(3)規制による強制収用。(4) 投資インセンティブの欠如。(5) サービスの質・信頼性の低下。(6) 長期増分費用plus方式のマークアップ理論欠如。(7) 規制費用の増大。(8) ボトルネックを前提とした古い概念。

  21. 競争時代のアクセス・チャージ • M(市場活用型)-ECPR M-ECPR=AIC+Δ/Q(社会的機会費用) Δ=(規制下の純収益)−(競争下の純収益)  ≦最効率的CAPのSAC • 設備ベースのネット間競争 • ボトルネック問題から、事業者間の共謀問題へ(国際電話の料金清算問題、インターネットのビル・アンド・キープ)

  22. 日本ネット産業のアクセスチャージ • 電気通信産業 • 1987〜足回り料金、1994〜エンド・エンド料金、1996〜接続会計導入、2000〜LRIC導入、既線点RTの費用をめぐる紛糾 • 電力・ガス産業 • トップダウン型のフォワード・ルッキング費用導入(実はヒストリカル)、ABC会計の活用、選択メニューの併用

  23. ネットワーク外部性 • 通話の外部性とネット外部性 • バンドワゴン効果 図3参照 • スノブ効果・ヴェブレン効果 • 通信の相互依存性 • クリティカルマスの問題 • サービス普及価格の合理化

  24. d1 d2 p1 p2 p d12 0 q1 q1’ q2 E1 E2 q 図3:バンドワゴン効果 戻る

  25. Katz&Shpiroモデル • ネット外部性:(1)加入者数に依存する電話サービス、(2) ソフトウェアの充実が前提となるハードウェア産業、(3)アフターサービスが必要な耐久財 • 2つのネット外部性:(1)ある一時点での消費者間で作用する「水平的ネットワーク外部性」、(2)異時点間での消費者間で作用する「垂直的ネットワーク外部性」。 • 2つの社会的非効率性 (1)「既得基盤」:もしも消費者がある企業規格やネットワークが優位になると予想すれば、消費者はその規格やネットワークに対する支払意志額を高め、実際その規格やネットワークが優位になる。 (2)「互換性誘因」:企業は規格やネットワーク間の互換性を設定するための適切な誘因を持つか否か。互換性に対する企業の私的誘因と社会的誘因との間では乖離、互換性は社会的に過少傾向。

  26. Farrell&Salonerモデル • ネット外部性の2つの市場の失敗 (1)「過剰慣性」:非効率的な旧技術が既得基盤を持つために、効率的な新技術の採用が阻害される場合。 (2)「過剰転移」:非効率的な新技術が将来普及すると予想されるために、効率的な旧技術を駆逐してしまう場合。 • 過剰慣性・転移の2つの分類 (1)ある一時点での企業間で作用する「水平的過剰慣性・転移」 (2)異時点間での企業間で作用する「垂直的過剰慣性・転移」

  27. ネット外部性と標準化 • 標準化の三段論法? (1)標準化は公共財(非分割性・排除不能性)である。(2)ただ乗りのような市場の失敗が発生する。(3)市場の失敗是正のための方策が必要になる。 • チッピングとロックイン • QWERTY対DVORAKの事例 • 標準の類型化 表3参照

  28. 戻る

  29. デファクト標準 • 増大するデファクト標準の重要性 • 製品認知度・規模経済性・補完財増加 • VHS対Beta:1/2インチカセットで2時間記憶の条件、業界全体の支持 • 新しい標準化の枠組み • 結果的デファクト標準と戦略的デファクト標準 • 第三の標準化としての自発的標準 • DVDのMMCD(SONY)対SD(東芝):コンソーシアム・開発段階の先取り化 • ネット外部性と反トラスト • チッピングか、技術革新か • マイクロソフト裁判

  30. 料金体系 • 価格差別化規制 • ロビンソンパットマン法 • 同一サービス・同一料金原則 • 1984年リーチアウトアメリカの認可 • 価格差別化の類型化 • 第1級:相対型・完全価格差別化 企業に有利、消費者に不利 • 第2級:非線形・大口割引・自己選抜型 企業・大口需要家に有利、小口需要家に不利 • 第3級:市場区分型・逆弾力性ルール 小口需要家に有利、企業・大口需要家に不利

  31. 日本のネット産業の選択的料金 • 電話産業 • 1992年〜テレジョーズ認可、1998年タイムプラスをめぐる紛糾、定額制待望論 • 電力産業 • 電灯と電力の価格差異化・差別化 • 3段階逓増型ブロック料金(1974年〜) • 良い価格差別・悪い価格差別 図4参照

  32. 戻る

  33. ユニバーサルサービス • 生腐いイデオロギーの神話? • 第一世代:デュアルサービス時代の独占擁護 • 第二世代:公益事業規制下の内部相互補助 • 第三世代:競争時代の制度の揺らぎ • ユニバーサル・サービス・ファンド • リンクアップ、ライフライン • 1996年米国電気通信法による条文化 (1)公正・妥当・支払可能性、(2)地理的普遍性、(3)高費用地域保護、(4)平等・無差別な負担、(5)明確・予測可能・十分な基金、(6)教育・医療保護、(7)競争中立性

  34. ユニバーサルサービスの定義 • 2つの合理化 • 所得分配・社会政策、ネット外部性・メリット財 • 3つの構成要素 • コモンキャリッジ(非差別性) • ラストリゾート(アベイラビリティ) • アフォーダビリティ • 3つの流れ 図5参照 • サービス間、地理間、所得階層間 • 競争圧力による持続可能性の危機 • 内部相互補助・料金平準化→クリームスキミング→料金リバランス

  35. 図5:ユニバーサルサービスの流れ 戻る

  36. U&S-PDの提唱 • 増大する競争的環境・価格差別化 • 自己選抜型価格差別化の2つの条件 • 誘因両立条件と参加条件 • U&S-PD(ユニバーサルサービスのU・セルフセレクションのS) • 低所得者・高費用地域の参加条件にターゲットを絞った福祉型料金制度→自己選抜条件を通じて消費者全体の社会厚生の向上につながる • パレート改善型・現状維持型公正概念

  37. インセンティブ規制 • 伝統的規制 • 費用積み上げ・公正報酬率規制 • X非効率性・AJ効果・規制の虜 • インセンティブ規制の登場 • 米国の実証研究:インセンティブ規制を採用している州ほど、またその経験が長いほど、料金水準は低い

  38. 利潤分配方式 • 社会契約・スライディングスケール • 利潤の残余請求権の一部を企業に認める • NTTの幅公正報酬率規制(上限下限方式) • ガス事業の報償金のスライディングスケール • Leob&Magatモデル • 消費者余剰を補助金として企業に与える • Sappington&Sibleyモデル • 消費者余剰の改善分だけを補助金として企業に与える

  39. プライスキャップ • 1+RPI-X+Z方式 • 利点:経営効率化、料金リバランシング、規制の簡素化、AJ効果回避 • 弱点:急激なリバランシング、X項の決定困難、過小投資とサービス劣化 • Vogelsang&Finsingerモデル • プライスキャップの結果、ラムゼー次善型社会厚生に収束する • 英国の経験 • 当初は低めのX項→企業は超過利潤の確保・国際競争力の向上→X項の上昇

  40. ヤードスティック競争 • 地域独占型産業の相互比較 • 私鉄・バス:実績原価と標準原価の折半 • 電力・ガス(1996〜):個別査定と比較査定 • Shleiferモデル • 費用と需要が等質的で、共謀がなければ、ヤードスティックで社会的最善になる • 実際には、費用と需要は非等質 • 依田・桑原のヤードスティック型費用補正計量モデルの開発(地域別効果・規模経済性効果)

  41. ベイズ型プリンシパル・エージェント • 情報の非対称性による規制の失敗 • アドバース・セレクション(隠れた特性) • Baron&Myersonモデル • モラル・ハザード(隠れた行動) • Laffont&Tiroleモデル • 自己選抜型規制とハイブリッド規制 • 米国の地域電気通信のアクセスチャージ:プライスキャップのX項の水準と、公正報酬率規制の報酬率の水準のメニューを企業に提示

  42. 複雑系とネットエコン • 複雑系ブーム • カタストロフィー・カオス・フラクタル • サンタフェ研究所・アーサーの活躍 • 収穫逓増と限定合理性 • 京大経研と進化経済学会 • ネット産業の複雑性 • 2つの収穫逓増性:ボトルネック独占(供給側)・ネット外部性(需要側)→ポジティブ・フィードバック→線形的な世界観に基づく産業政策の無効性

More Related