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IT 機器の使用と 子どもの心の健康問題

IT 機器の使用と 子どもの心の健康問題. -埼玉県学校保健会の調査より-.  戸部秀之 (埼玉大学教育学部). 埼玉県学校保健会「子どもの 心の健康問題 検討委員会」における検討の背景  テレビゲームやインターネット、その他のIT機器の使用が、子どもの心の発達に何らかの悪影響を及ぼしているのではないかという懸念がある。  さまざまな悲惨な事故・事件の背景に、IT機器の存在が見え隠れしている。. ネットでのコミュニケーションと敵意. ネットと自殺. 佐世保の事件. ネットと性被害. テレビゲーム インターネット など、IT機器 の影響は?. 脳への影響.

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IT 機器の使用と 子どもの心の健康問題

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Presentation Transcript


  1. IT機器の使用と子どもの心の健康問題 -埼玉県学校保健会の調査より-  戸部秀之 (埼玉大学教育学部)

  2. 埼玉県学校保健会「子どもの心の健康問題 検討委員会」における検討の背景  テレビゲームやインターネット、その他のIT機器の使用が、子どもの心の発達に何らかの悪影響を及ぼしているのではないかという懸念がある。  さまざまな悲惨な事故・事件の背景に、IT機器の存在が見え隠れしている。

  3. ネットでのコミュニケーションと敵意 ネットと自殺 佐世保の事件 ネットと性被害 テレビゲーム インターネット など、IT機器 の影響は? 脳への影響 詐欺 暴力性 インターネット中毒 リセットボタン 社会的不適応 埼玉県の子どもについて、実証的な調査を!

  4. IT機器の利用には、「光」と「影」がある 『「光」をいかに輝かせ、「影」をいかに抑制するかを考えていく必要がある』

  5. ◎テレビゲームによるよい面 • 向上する能力もある    視覚的知能(空間描写や図像能力)   瞬時の情報処理→反応(平行情報処理能力) • 上手な利用 ⇒ 娯楽、ストレス解消 • 教育テレビゲームの可能性   テレビゲームが人を引きつける技術を教育に有効利用   できないか • 対人恐怖を取り除くためのクッション                           など ○視覚的知能  ・仮想空間中のイメージ・立体や、写真や図などの   イメージを正確に読み取る能力(空間描写、図像能力)  ・多くの異なる動きを追い続ける能力(視覚的注意) ○平行情報処理能力  情報を読み取り、瞬時に的確な判断をする能力

  6. ◎インターネットによるよい面 • 情報活用能力の育成 ☆ • 学習動機(教育への活用) • 国際理解 • 対人不安やシャイネスの人のコミュニケーション (非対面式)   など 情報活用の実践力

  7. 今日は、「影に焦点をあてる」 光 影

  8. 埼玉県学校保健会「子どもの心の健康問題 検討委員会」における調査WGの結成と調査  1班: 0歳~小3年生の保護者対象        (WG:埼玉県医師会が中心に)     埼玉県医師会会員の小児科に診察等で訪れた保護者     計513名  2班: 小4~高2の児童生徒を対象        (WG:研究者、医師、教員等が中心)     県内公立小学校(11校)、中学校(10校)、県立高等     学校(10校)の児童生徒 計2,947名。

  9.        ワーキンググループ・メンバー       ワーキンググループ・メンバー • 大友 一夫 (秩父地区学校保健会会長) • 小笠原圭一 (越谷市立千間台小学校教諭) • 金井 忠男 (埼玉県学校保健会副会長・埼玉県医師会副           会長) • 首藤 敏元 (埼玉大学教育学部教授) • 高橋 明美 (深谷市教育委員会学校教育課課長補佐) • 高橋 功人 (川越市立霞ヶ関西小学校長) • 高橋 宏至 (埼玉県教育局県立学校部保健体育課指導            主事) • 竹内 一夫 (埼玉大学教育学部教授)

  10. 谷本 秀司 (埼玉県学校保健会常任理事・埼玉県医師会谷本 秀司 (埼玉県学校保健会常任理事・埼玉県医師会            学校医会副会長 1班グループリーダー) • 戸部 秀之 (埼玉大学教育学部教授 2班グループリーダー) • 中村 泰三 (埼玉県学校保健会常任理事) • 星野 崇啓 (埼玉県小児医療センター) • 堀田美枝子 (埼玉県立浦和西高等学校養護教諭) • 峯 真 人 (岩槻医師会・埼玉県小児保健協会会長) • 森 泰二郎 (与野医師会) • 山崎  昭 (さいたま市学校保健会理事)                               (敬称略)

  11.           調査の内容(2班)  1 IT機器の使用実態  2 問題性のある使用実態  3 子どもの心の問題との関連  小学生: テレビゲーム、インターネットを中心に  中学生・高校生: テレビゲーム、インターネット、携帯電話を中心に

  12. 本日の話の概要 会場の皆様にお願いしたいこと 学校医としてご担当されている各学校の先生方が、この問題について十分認識を持つよう、是非、情報提供とご指導をお願いしたい。さらに、家庭に情報提供をして頂くよう、お力をお借りしたい。 ★大人が本気にならないと! 1 埼玉県の児童生徒のテレビゲーム・インターネットの使用実態と問題性 2 携帯電話の使用実態と問題性 3 テレビ・ビデオ視聴、テレビゲームの使用と、保護者の認識 4 IT機器の使用と「子どもの心」 5 いま、何が必要か?

  13. 1 テレビゲーム・インターネットの使用実態と問題性について1 テレビゲーム・インターネットの使用実態と問題性について 児童生徒は、どれくらい使っているか? どのような問題性があるか?

  14. テレビゲームをする日は、一週間で何日? 高 0~2日 1~2 3~4日 中 1~3 5~7日 小 4~6 男子 高 中 小 女子

  15. 中 小 テレビゲームをする時間 1週間あたり しない ~10h 10~20h 20h~ 一日2h×4日 3h×週5日 4h×週5日 3h×週7日 男子 ・男子では、長時間使用者がかなり多い! ・小学校就学前後で使用者急増 (1班:幼~小3調査より)

  16. 中 小 テレビゲームをする時間 1週間あたり しない ~10h 10~20h 20h~ 女子 ・性差が大きく、女子では発達とともに減少するが、  小学生段階では、1割程度が10時間以上

  17. インターネットをする日は、一週間で何日? 0~2日 高 中 3~4日 5~7日 小 男子 高 中 小 女子

  18. 中 小 インターネットをする時間 1週間あたり しない ~10h 10~20h 20~30h 30h~ 少しでも使用 3h×週5日 5h×週5日 5h×週7日 男子

  19. 中 小 インターネットをする時間 1週間あたり しない ~10h 10~20h 20~30h 30h~ 女子 ・男女とも、かなりの長時間使用者が小学校高学年から  現れ始め、中学生から高校生にかけて明らかに増加。

  20. インターネット で何をする?(インターネットをする者のうち) ほぼ毎日 する日が多い たまに しない・分からない HPをみる 高 高 中 中 小 小 男子 女子 高 高 メール 中 中 小 小 男子 女子

  21. インターネットで何をする?(インターネットをする者のうち)インターネットで何をする?(インターネットをする者のうち) ほぼ毎日 する日が多い たまに しない・分からない オンライン ゲーム 高 中 小 女子 男子 Web日記 高 中 小 男子 女子

  22. ○ テレビゲームの使用は、学年とともに減  少する傾向はあるものの、特に男子では、  かなりの長時間使用者が、小学生~高校  生まで見られる。 ○ インターネットの使用者は、学年とともに  確実に増加する傾向あり。かつ、小学校高  学年段階から、かなりの長時間使用者が  現れ始め、学年とともに顕在化する。 ○ インターネットの利用内容は、HP閲覧と  メールが中心。オンラインゲームとWeb日  記が確実に浸透してきている。

  23. オンラインゲーム中毒者の横顔    あるゲームの参加者は登場人物になって戦闘をくぐり抜け、武器を買い、決闘をして、あるいはモンスターやドラゴンを殺したり、城を襲撃して乙女を救ったりする。ソフトは何百種類もあって、それぞれに独自のテーマがある。・・・(中略)・・・闘いや決闘に勝ち進むとポイントが追加され、地位も向上する。○○(中毒者の名)のキャラクター「カメレオン」は、最高レベルである「魔法使い」の地位に達している。つまり、他の参加者は、彼に向かってお辞儀をしなければならない。「魔法使い」は不死身でギリシャ神話の神のような存在だ。・・・ゲームには終りがなく、昼も夜も、次の週も続くので、魔法使いになるには、とにかくたくさんプレイするしかない。・・・    彼は言う、△△(ゲームの名称)の中では僕は神だ。すべての参加者から僕は尊敬されている。・・・権力を掌握しているのが楽しいんだ。・・・しかし、 △△をしていないときの彼は・・・ 「インターネット中毒」(キンバリー・ヤング著)毎日新聞社 より

  24. テレビゲーム・インターネット使用に 関する・・・ ○ 保護者の介入状況は? ○ 調査から浮かび上がってきた問題性

  25. テレビゲームをするとき、家の人は近くに? いることが多い いたりいなかったり いないことが多い ・保護者がいない環境で実施する  傾向あり 高 中 小 男子 高 中 小 女子

  26. 家の人とルールを決めているか?(時間など)家の人とルールを決めているか?(時間など) しっかり決めて 少しは 決めていない ・しっかり決めている家庭は少ない 高 中 小 男子 高 中 小 女子

  27. 決めたルールをまもっているか?「しっかり・少しは決めている」もののうち決めたルールをまもっているか?「しっかり・少しは決めている」もののうち まもっている どちらとも まもっていない ・ルールを決めても、守っている  のは半数程度 高 中 小 男子 高 中 小 女子

  28. ゲームソフト購入時、家の人が内容を確認する?ゲームソフト購入時、家の人が内容を確認する? いつもする ときどき しない ・子どものテレビゲームの使用につ  いて、保護者が十分に介入し、監  督しているとはいえない状況が見  えてきた。 高 中 小 男子 高 中 小 女子

  29. 格闘系のゲームをどれくらいする? なぐったり、けったり、武器で痛めつけるなどして、 相手をたおすようなゲーム ・男子が、好んで実施 ・女子では、学年とともに増加傾向 ほとんど 半分以上 半分以下 ほとんどやらない 高 中 小 男子 高 中 小 女子

  30. テレビゲームに関わる、その他の 気になる傾向 ○自室で遊ぶ子ども ○子どもが一人で遊ぶ状況 ○親が遊ぶ(特に父親) ○テレビゲームへの「依存傾向」に注目  する必要性がみえてきた

  31. インターネット使用に関する保護者の介入状況についてインターネット使用に関する保護者の介入状況について テレビゲームと同様、保護者の介入、監督はきわめて不十分。 ○家の人は近くにいるか? ○自室でインターネット ○ルールを決めているか? ○ルールをまもっているか? ○注意点を教えるか?

  32. 家の人は、インターネットをするときの注意点を教えてくれますか?家の人は、インターネットをするときの注意点を教えてくれますか? 教えてくれる 少しは 教えてくれない ・利用に当たっての保護者の指導は  十分とは言えない。小学生段階で  も「教えてくれる」は半数以下。 高 中 小 男子 高 中 小 女子

  33. インターネット使用に関わる、その他の 見のがせない傾向 ○インターネットへの「依存傾向」に注目する必要性が見えてきた。 ○インターネットを利用する中で、子どもたちは、危険性の高い使用、さまざまな危険な体験 をしている、という事実が見えてきた。

  34. インターネット 危険な使用と体験 誹謗中傷 相手の表情が不明、存在感の不足 ⇒ 「少しくらい悪いことを書いても」 ⇒ さらに悪く解釈⇒ ののしり合い ネット上では・・・ 孤独であったり、落ち込んでいる子どもを簡単に捜し出し、接触できる。 自分(子ども)が言った本音を相手が肯定すると、すぐに信頼し、無防備になる。 誰にもいえなかったような強烈な意見を自由に表現できる開放感。 ふだんは内気な人でも、ネット上では社交的になれる。(居心地の良さ) 多くのインターネット中毒患者はオンライン上では別人になっている。 『ネットでは、「私」と書けば男にも、女にもなれる。』

  35. ○印は、特に危険性の高い「ニアミス」項目(6項目)○印は、特に危険性の高い「ニアミス」項目(6項目) 価値観の共有 手段の提示 仲間を募る

  36. 2 携帯電話の使用実態と問題性について ○ どれくらい使っているか? ○ 保護者の介入状況は? ○ 調査から浮かび上がってきた問題性

  37. 中 小 携帯電話 を持っていますか? 持っている 持っていない 男子

  38. 中 小 携帯電話 を持っていますか? 持っている 持っていない 女子 電話機能の使用は、中学生・高校生でも、一日に2~3回 以下がほとんど(男女とも)

  39. 高 中 中 一日あたりの携帯メール送信回数 0~10回 10~30回 30~50回 50回~ 男子 女子

  40. 携帯電話についてのルールの取り決め 中学生所持者 697名, 高校生所持者 726名 ○使用料制限 ・・・ 決めている者の割合 中学生:37%、高校生:27% ○有害サイトのアクセス禁止 中学生:59%、高校生:38% ○連絡する相手 中学生:21%、高校生:13% ○夜間使用など、生活習慣について 中学生:21%、高校生:9% まもっている者は、 6割程度 保護者によるコントロールは十分とはいえない。 また、コントロールがきちんと機能しているとはいえない。

  41. 携帯電話(メール機能)の利用によって、子どものコミュニケーションの形態が大きく変ってきている。(非対面型,短い文章,感情は絵文字で,随時アクセス可,不特定多数に,・・・)携帯電話(メール機能)の利用によって、子どものコミュニケーションの形態が大きく変ってきている。(非対面型,短い文章,感情は絵文字で,随時アクセス可,不特定多数に,・・・) 家庭でのコントロールがうまくいっているとは思えない。 子どもは、携帯電話の利用によって、自己の心理や行動にさまざまな悪影響がもたらされていることを自覚している。

  42. 3 テレビ・ビデオ視聴、テレビゲームの使用と、保護者の認識3 テレビ・ビデオ視聴、テレビゲームの使用と、保護者の認識 ○児童生徒の視聴時間 ○幼児~小3の保護者は、子どものテレビ・  ビデオの視聴、テレビゲームの使用にどの  ような認識をもっているか? (小4~高2のデータ、および、幼児~小3の保護者対象の データより)

  43. 一週間あたりのテレビ視聴時間 0~20h 20~40h 40~60h 60h~ 男子

  44. 一週間あたりのテレビ視聴時間 0~20h 20~40h 40~60h 60h~ 女子 週40時間を超える者が1~2割前後見られ、時間的には テレビの視聴は長時間におよぶ傾向 。

  45. 0歳~小学3年生以下 の保護者の認識 テレビ・ビデオ を見てお子様に何か変化は? 【出た】 【出ない】 【分からない】 53% 20% 22% ・・・ ・・・ ・・・ テレビゲーム を始めてお子様に何か変化は? 【よい変化】 【悪い変化】 【両方】 【ない】 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 13% 22%  3% 61%

  46. 0歳~小学3年生以下 の保護者の認識 テレビ・ビデオを見て テレビゲームを始めて 安心感を持っているのでは? 【よい変化】  ・知恵がついたように思う  ・表情が明るくなった    【悪い変化】  ・外遊びが少なくなった  ・家族とのコミュニケー   ションが少なくなった  ・性格が荒っぽくなった 75% 22%  8%  2%  6% ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 39% 14% 28%  9% 18%

  47.  テレビ・ビデオについては、保護者はそれらが子どもに良い影響を及ぼしているという実感を持っており、幼児期には積極的に活用していると推測できる。最近の幼児向け教育番組は大変優れており、親の十分なコントロール下で利用する限り、子どもの知的側面・情意的側面・社会性の発達等に良い影響をもたらす可能性は十分にある。一方で、基本的生活習慣の基礎を獲得するこの時期に「テレビ等に長時間接する」生活習慣とIT利用スキルを子ども達が獲得すると、発達とともに徐々に親の意図とは異なった番組や刺激に触れ、求めるようになり、親の制御も効かなくなり、それが他のIT機器の利用にも波及しながら、気がついたときには子どもに大きなマイナスの問題が起こっていくという可能性は十分考えられる。この時期の子どもを持つ保護者には、良い番組を利用しつつ、将来を考えながらIT利用に関わる家庭環境を作ってもらいたい。

  48. 4 IT機器の使用と「子どもの心」

  49. テレビゲーム・インターネットへの「依存傾向」テレビゲーム・インターネットへの「依存傾向」 テレビゲーム、インターネットの影響があるとしても、影響を受けやすい子どもと、受けにくい子どもがいるのではないか?  そこで、 「依存傾向」という考え方を導入。 

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