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日本人のリスク観  - 食品の安全性を考える -

日本人のリスク観  - 食品の安全性を考える -. (独)製品評価技術基盤機構NITE・理事長 安井 至 国際連合大学名誉副学長・東京大学名誉教授 http://www.yasuienv.net/. Question. 日本は 食料の自給率が40% です。日本の食料問題で、 もっとも危険度が高い と思われることは? 1.中国などからの輸入食品の安全性が低いこと 2.地球温暖化などで、世界の食料生産が低下すること 3.世界の人口が爆発的に増加し、食料の需要が増大すること 4.日本産業が衰退して輸出が不振になり、食料の輸入ができなくなること. Question.

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Presentation Transcript


  1. 日本人のリスク観 - 食品の安全性を考える -日本人のリスク観 - 食品の安全性を考える - (独)製品評価技術基盤機構NITE・理事長 安井 至 国際連合大学名誉副学長・東京大学名誉教授 http://www.yasuienv.net/

  2. Question • 日本は食料の自給率が40%です。日本の食料問題で、もっとも危険度が高いと思われることは? • 1.中国などからの輸入食品の安全性が低いこと • 2.地球温暖化などで、世界の食料生産が低下すること • 3.世界の人口が爆発的に増加し、食料の需要が増大すること • 4.日本産業が衰退して輸出が不振になり、食料の輸入ができなくなること

  3. Question • 次の項目のうち、ヒトの寿命を伸ばすことに、もっとも大きな効果をもつものはどれでしょう。 1つ選択して下さい。 • 1.医療を充実させること • 2.十分なカロリーを摂ること • 3.安全な食品を食べること • 4.サプリメントで栄養バランスを摂ること

  4. GDP(経済力)と平均余命 不十分な医療 過剰なカロリー 不十分なカロリー 不衛生な水

  5. GDP(経済力)と平均余命 ルクセンブルグ

  6. WHOデータに基づく日常的なリスクによる損失余命WHOデータに基づく日常的なリスクによる損失余命

  7. 死亡率別(国別)の10のリスクファクター WHO, The World health report : 2002 : Reducing risks, promoting healthy life.

  8. Questionの復習 • 次の項目のうち、ヒトの寿命を伸ばすことに、もっとも大きな効果をもつものはどれでしょう。 1つ選択して下さい。 • 1.医療を充実させること • 2.十分なカロリーを摂ること • 3.安全な食品を食べること • 4.サプリメントで栄養バランスを摂ること

  9. Question • どの料理が最も危険だと思いますか。 • 1.米国産の有機鶏卵の玉子かけご飯 • 2.アラブ諸国で賓客に出る羊の丸焼きの目玉の部分 • 3.友人が山から採ってきた天然産キノコと天然山菜の料理 • 4.自分の家で醸造したビール

  10. 食中毒件数の推移

  11. ヒスタミンによる食中毒は、化学物質による食中毒ヒスタミンによる食中毒は、化学物質による食中毒 に分類されている。

  12. Question • どの料理が一番危険だと思いますか。1つ選択してください。 • 1.ダイオキシンを含む焼肉 • 2.基準値の5倍のメタミドホス(中国餃子事件で使われた農薬)を含むコメ • 3.ヒ素を含む海藻:ヒジキ • 4.食品添加物アスコルビン酸を含むサラダ

  13. 母乳中のダイオキシン濃度の推移 1973 1980 1990 2000

  14. 益永先生の研究 環境省 ダイオキシン インベントリーより 9702 三井化学が大反発、しかし部分的に認めた

  15. ユシチェンコ大統領候補の暗殺未遂? 平均的なダイオキシン摂取量だと、4万年分 それでも、メディアは「猛毒」という接頭語を使った。 さらに、「サリンの数倍」が復活した。

  16. 物質が毒かどうかは量が決める • 通称:パラケルスス • 本名:アウレオルス・フィリップス・テオフラストス・ボンバストス・フォン・ホーヘンハイム(1493ー1541) • スイス人医師。錬金術師。後にバーゼル大学教授。

  17. アスコルビン酸は還元性を示す。適当な酸化剤の作用により、プロトンを2個放出してデヒドロアスコルビン酸に変わる。この性質により、酸化防止剤(保存剤=食品添加物)として用いられる。アスコルビン酸は還元性を示す。適当な酸化剤の作用により、プロトンを2個放出してデヒドロアスコルビン酸に変わる。この性質により、酸化防止剤(保存剤=食品添加物)として用いられる。

  18. Question • 次のうち、科学的な根拠がもっとも薄弱と思われることはどれでしょう。 • 1.運動は体重を減らすのに必須 • 2.皮下脂肪が多い人は、生存に必要なカロリー量が少ない • 3.にがりダイエットで体重を減らせる • 4.カルシウム、マグネシウムを大量に含むミネラルウォータは、ミネラル補給源である

  19. ヒトにとって食物はエネルギー源 • ヒトの体は熱機関である • 体温を保つためにエネルギーを使う • 特に、脳はもっとも血流を必要とする • 試験を受けているときは、メッツ値が高い? メッツ値(metabolic equivalent: 座位安静時代謝量の倍数として 表した各身体活動の強度の指標)

  20. 動物の筋肉は極めて高効率 • カエルなどでの実験では効率50% • cf. ガソリン自動車の効率 10% • cf. ハイブリッド車の効率 20% • cf. 電気自動車の効率=火力発電所の効率×電池と制御系の効率×モーターの効率   =40% × 85% ×90%=30%

  21. ヒトとロボット(エンジン動力)の比較 エネルギー エネルギー 食料として 燃料 差は余る =体重増加 差は余る =体重増加 差は余る =体重増加 排気 放熱 運動 排泄 放熱 運動 余ったエネルギーは両者とも蓄積=体重増加 ロボットはすぐ エネルギーに なる形で蓄積 ヒトはエネルギー になりにくい形 (脂肪)で蓄積

  22. Question 復習 • 次のうち、科学的な根拠がもっとも薄弱と思われることはどれでしょう。 • 1.運動は体重を減らすのに必須 • 2.皮下脂肪が多い人は、生存に必要なカロリー量が少ない • 3.にがりダイエットで体重を減らせる • 4.カルシウム、マグネシウムを大量に含むミネラルウォータは、ミネラル補給源である 塩化マグネシウム:水酸化マグネシウム 下剤になる 

  23. いよいよ本論「食品のリスク」

  24. なぜ食糧自給率を高める必要があるのか? • リスク的観点からの答えは、 • =食糧自給率を高めることが、日本人の生存のリスクが下がるからだ • =リスクは本当に下がるのか? • =なぜ海外に多くの食糧を依存することが大きなリスクなのか?

  25. 輸入食糧品への過度の依存というリスク? • 1.健康被害が出るリスク? • 2.供給不安になるリスク? • 4.日本の特徴的な食文化消滅? • 5.日本や世界の地域産品の消滅? • 6.国内農業生産者の絶滅? • 7.食品の無用な廃棄量増大? • 8.食品輸入のための貿易収支に関する?

  26. 一般論:食品の健康被害の観点からリスクの分類一般論:食品の健康被害の観点からリスクの分類 • 1)故意の有害物混入による傷害罪に相当するような食品のリスク • 2)農薬がポジティブリスト化され事故と判定される食品のリスク • 3)産地偽装・食品偽装にともなって付随的に発生する食品のリスク • 4)残留農薬や食品添加物のような人為的な物質による食品のリスク • 5)細菌やウイルスによって汚染された食品のリスク • 6)自然界のメカニズムによって有害物質を含む食品のリスク • 7)健康食品として有効成分を含むゆえに生じる食品のリスク • 8)ダイエットを促進する機構があるために生じる食品のリスク • 9)ヒトの消化メカニズムとの関係で生ずる食品(獣脂など)のリスク • ------------ • 10)上記以外の食品で完全に安全なもの

  27. 1)故意の有害物混入による傷害罪に相当するような食品のリスク1)故意の有害物混入による傷害罪に相当するような食品のリスク • これはもともと犯罪行為なので、防御の方法は無い。食品こそ、性善説しか通用しない世界。 • 中国ギョーザ以来、中国の信用が揺らいでいる。 • 犯罪行為を除けば、中国食品の安全性は、日本製品と大差はない。

  28. ゼロとは言えないが危険とも言えない • 2)農薬がポジティブリスト化され事故と判定される食品のリスク • 3)産地偽装・食品偽装にともなって付随的に発生する食品のリスク • 4)残留農薬や食品添加物のような人為的な物質による食品のリスク

  29. 5)細菌、カビやウイルスなどによって汚染された食品のリスク5)細菌、カビやウイルスなどによって汚染された食品のリスク • 依然として、食品最大のリスクだろう。 • 米国だとサルモネラ菌 • 生卵が食べられる国 • 日本だとノロウイルス、カンピロバクター • さらに、アフラトキシンか

  30. 輸入食品の最大のリスクか? アフラトキシン カビ毒 • 小児がんの最大の原因? • 日本の規制値は10ppbで不十分? • EUなどは2ppb

  31. 対策できないリスク • 6)自然界のメカニズムによって有害物質を含む食品のリスク • 植物性の食品に共通するもの • 9)ヒトの消化メカニズムとの関係で生ずる食品(獣脂など)のリスク • 動物性の食品に共通するもの

  32. 人類が食べる植物 • 葉はもともと食べられる方が不思議 • 理由:ヒト用に作られたものではないから • 理由:植物は動けないから • 野菜とは、奇形の植物で、たまたま毒性が低くなった人工物 • 従って、人が虫から守る必要がある • なぜ牛は、野菜でない草を食べられるのか

  33. 獣脂などを食べ過ぎてはいけない理由 • 自分の体と成分が同じもの • 食品だけを消化し、自らを消化しない仕組みは、かなり怪しい • 一般的には、犠牲型の防衛システム • 典型例:トタン (鉄に亜鉛メッキ) • 鉄が錆びるより先に、亜鉛が犠牲となる • 粘膜などを犠牲にして守る

  34. 無知による無用なリスク しかし、、、、、 後ほど無知による無用なリスク しかし、、、、、 後ほど • 7)健康食品として有効成分を含むゆえに生じる食品のリスク • 8)ダイエットを促進する機構があるために生じる食品のリスク

  35. 食品を危険性の観点から分類 • 1)故意の有害物混入による障害罪に相当するような食品のリスク • 2)農薬がポジティブリスト化され事故と判定される食品のリスク • 3)産地偽装・食品偽装にともなって付随的に発生する食品のリスク • 4)残留農薬や食品添加物のような人為的な物質による食品のリスク • 5)細菌やウイルスによって汚染された食品のリスク • 6)自然界のメカニズムによって有害物質を含む食品のリスク • 7)健康食品として有効成分を含むゆえに生じる食品のリスク • 8)ダイエットを促進する機構があるために生じる食品のリスク • 9)ヒトの消化メカニズムとの関係で生ずる食品(獣脂など)のリスク • ------------ • 10)上記以外の食品で完全に安全なもの 実はそんなものはない

  36. 食糧の供給不安

  37. 国連の人口予測

  38. 日本の水資源 in Japan • 生活用水:130m3/年・人 Daily Life • 工業用水:110m3/年・人 Industry • 農業用水:460m3/年・人 Agriculture • 間接水の輸入量:600m3/年・人=Indirect Import of Water, Virtual Water • 牛肉、トウモロコシ、大豆、小麦が4大間接水輸入である。=Beef, Maize, Soy, Wheat • 合計すると、水使用量は多目=More than Average

  39. 農業生産 単位トン/年

  40. 食肉生産

  41. 飼料生産量

  42. 食の安全と安心を考える視点 食を巡るリスクとは?食の安全と安心を考える視点 食を巡るリスクとは? • 1.健康被害が出るかどうか   まずNo • 2.供給に不安がでるかどうか ややYes • 3.安価な輸入品への過度の依存 Yes • 4.日本の特徴的な食文化消滅  Yes • 5.地域産品の消滅         Yes • 6.生産者の絶滅         ややYes • 7.食品の無用な廃棄量増大   Yes • 8.食品輸入のための貿易収支  重要

  43. 無知による無用なリスク しかし、、、、、 • 7)健康食品として有効成分を含むゆえに生じる食品のリスク • 8)ダイエットを促進する機構があるために生じる食品のリスク

  44. 特定保健用食品とは • 厚生労働省が、メーカーのデータに基づいて、効果があるのではないかと推測されれば、それを認定する。 • 何か新しい加工法や新成分を含んでいても、それが天然食品由来であれば、危険性について判定していない。 • 何か問題が提起されると、食品安全委員会が危険性を判定する。 • エコナについては、グリシドールではなく、DAGそのものについて検討中だった。

  45. 天然食品は安全なのか?畝山智香子「ほんとうの食品の安全」より天然食品は安全なのか?畝山智香子「ほんとうの食品の安全」より • タマネギを食品添加物として見なすと • カレー一皿に許容される量は、0.016g • サラダなら、0.008g • ジャガイモの毒性がもし残留農薬由来ならすべて回収の対象。 • ソラニンなどの毒性物質を含むため • 5~50mg/kgで危ない • 英国では、ヒジキは危険物(乾物は危険) • 大豆(特に豆乳)に含まれるイソフラボンを環境ホルモンだとして疑問視する国は多い

  46. 天然食品の安全係数 • 多くの天然食品について、人工物なみの毒性の試験は行われていない。 • そのため、確実なデータはないが、推測では、安全係数が10~20程度のものが多いか。 • それでも安全な理由は、まず、10倍も食べられない。 • しかも歴史的に証明ずみ。 • しかし食塩など事実上安全係数の低いことが分かっている食品もある。

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