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Conditional Value-at-Risk 最小化を 考慮した新聞売り子問題に対する解法. 筑波大学大学院 システム情報工学研究科1年 高野祐一. 新聞売り子問題とは ‥. ある処に新聞売り子君がいるとする。 彼は困っている。. 「毎日、新聞の需要は変化する ‥ 。 仕入れ部数は何部に設定すればいいんだ!?」. ランダムな需要の下での 仕入れ部数決定問題. Point. 新聞:翌日には価値が無くなってしまう。. 新聞売り子問題が応用できる例. スーパーの経営者 洋服屋さん 電力 会社. 「 肉や生鮮食品 はどれくらい揃えておけば ‥ ?」.
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Conditional Value-at-Risk最小化を考慮した新聞売り子問題に対する解法 筑波大学大学院 システム情報工学研究科1年 高野祐一
新聞売り子問題とは‥ • ある処に新聞売り子君がいるとする。 • 彼は困っている。 「毎日、新聞の需要は変化する‥。 仕入れ部数は何部に設定すればいいんだ!?」 ランダムな需要の下での 仕入れ部数決定問題 Point 新聞:翌日には価値が無くなってしまう。
新聞売り子問題が応用できる例 • スーパーの経営者 • 洋服屋さん • 電力会社 「肉や生鮮食品はどれくらい揃えておけば‥?」 「今年は冬物コートを何着仕入れよう‥?」 「発電量はどれくらいに設定すれば‥?」
新聞売り子の利潤関数 売上 売れ残りを返品 機会損失のペナルティー 仕入れ費用 :販売価格 :仕入れ部数 (決定変数) Assumption 1 :返品価格 :仕入れ価格 :需要部数 (確率変数) :仕入れ不足ペナルティー
新聞売り子の費用関数 仕入れ過剰コスト 仕入れ不足コスト if Y≧0, then [Y]+=Y. if Y<0, then [Y]+=0. :販売価格 :仕入れ部数 (決定変数) Assumption 1 :返品価格 :仕入れ価格 :需要部数 (確率変数) :仕入れ不足ペナルティー
(古典的な)新聞売り子問題の解 利潤・費用関数の間に以下の等式が成り立つ。 問題として 等価 ゆえに、需要の分布関数の逆関数 の 存在を仮定した上で、以下の最適解が得られる。 :仕入れ過剰コスト :仕入れ不足コスト
研究の動機付け 期待利潤の最大化のみを 考えれば十分なのか? NO! 利潤 (i)利潤の変動は 避けたい。 × ○ 期 (ii)上司から課せられるのは期待利潤の最大化 ではなくノルマの達成。
関係論文 • 利潤の標準偏差の最小化 Lau, H (1980) etc… • 利潤目標達成確率の最大化 Lau, A. and Lau, H (1988) etc… 非凸な問題となり、扱いが難しい‥。
CVaR(Conditional Value-at-Risk) 損失がVaRを上回る場合という条件付き期待損失 :信頼水準 分布関数 リスク! (確率1ーβ) VaR 損失額 小さく! リスク損失の 期待値:CVaR 密度関数 リスク! 損失額
CVaRの定式化Rockafellar, R.T. and S. Uryasev. (2002) CVaR最小化は以下の関数の最小化と等価である。 :(決定変数)最適化すると、 ≒VaR :信頼水準 :損失関数 Proposition 1 もし、 が 凸関数ならば、 は凸関数になる。
新聞売り子問題におけるCVaR最小化の凸性 • CVaRの損失関数 として以下の2つを用いる。 • よって、Proposition 1より以下が成り立つ。 純損失関数: 費用関数: 凸関数 Proposition 2 純損失関数、費用関数を用いて定義した CVaRの最小化は凸関数の最小化となる。
解析解の導出(新聞1種類、制約無しの場合) Proposition 3 において、純損失関数を用いて 定義したCVaR最小化問題の最適解は である。 <期待利潤最大化>
解析解の導出(新聞1種類、制約無しの場合)解析解の導出(新聞1種類、制約無しの場合) Proposition 4 において、費用関数を用いて 定義したCVaR最小化問題の最適解は である。 <期待利潤最大化>
CVaR最小化の最適解の性質(1) 需要 として最適解を計算 してみる。(純損失: 費用: ) 仕入れ過剰 コスト高 仕入れ不足 コスト高 (E, U, V ) = (60, 30, 20) (E, U, V ) = (30, 60, 50)
CVaR最小化の最適解の性質(2) 費用CVaR • 仕入れ過剰コスト:高 → 仕入れ部数:少 • 仕入れ不足コスト:高 → 仕入れ部数:多 • 仕入れ部数を少なくすることで、利潤が大きく落ち込むリスクを避ける。 ∵費用関数 純損失CVaR ∵仕入れ部数を増やすと、利潤のばらつきは 大きくなる。
平均‐CVaRモデル • リスクの最小化のみを追い続けるというのも非現実的。 • 期待利潤の最大化とCVaRの最小化をトレード・オフ・パラメータ:λ(>0)で調整しながら同時に行う。
最適解の計算方法 Proposition 5 平均‐純損失CVaRモデルは以下の方法で 最適解を導出することができる。 Step 1 もし、 ならば以下が最適解となる。 Step 2 もし、 と が を満たしているなら、以下が最適解となる。
つづき Proposition 5 Step 3 もし、以上を満たさなければ、 単調減少 を解いて を求め、 は以下で定義される。
平均‐CVaRモデルの解(s=0) Proposition 6 平均‐純損失CVaRモデルは仕入れ不足 ペナルティー:s=0の場合に、以下の closed formの最適解を導出することができる。
最適解の計算方法 平均‐純損失CVaRモデルの最適解の 計算方法と同様にして、平均‐費用CVaRの 最適解も計算することができる。 Proposition 7 平均‐費用CVaRモデルは以下の方法で 最適解を導出することができる。 省略(Proposition 5と同様)。
線形計画問題に変換 (ここまでの結果) 新聞1種類、制約無しの問題 →微分して解析解 Proposition 8 需要の分布が有限のシナリオに従うと仮定すれば、 純損失関数・費用関数を用いたCVaR最小化問題・ 平均‐CVaRモデルは、すべて等価なLPに変換可能。 新聞多種類、制約ありの問題 →LPに変換して、数理計画用ソルバーで 解くことが可能。
ヒストグラムによる比較(新聞1種類 需要:正規分布 β=0.9)ヒストグラムによる比較(新聞1種類 需要:正規分布 β=0.9) 期待利潤最大化 期待利潤最大化 確率 確率 1.4% 2.4% 利潤 費用 純損失CVaR 純損失CVaR 確率 確率 0.1% 27% 利潤 費用 費用CVaR 費用CVaR 確率 確率 2.3% 0.9% 利潤 費用
「都市のOR」でのこの発表の意義 確率変数が絡んだ最適化問題 →交通量、人口の増減 etc… 期待値の最適化 →同様の意思決定が繰り返される 場合に平均的に良い。 (大きな損失を被るリスクを回避したい) CVaRの最小化・VaRによるリスク分析 →損失関数が凸関数なら凸計画問題
新聞売り子も 楽じゃないよ‥。