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2009/04/20

銀河物理学特論 I: 講義1 -1 :近傍宇宙の銀河の 統計的性質 Kauffmann et al. 2003, MNRAS, 341, 33 (Paper I) Kauffmann et al. 2003, MNRAS, 341, 54 (Paper II). 2009/04/20. Paper I : 目的 銀河の星質量を見積もる。 これまでは主に銀河のカラーのみを用いて、銀河の質量光度比(スペクトルタイプ)を推定して、星質量を推定していた。 今回は吸収線インデックスを用いて、銀河の質量光度比を推定して、星質量を推定する。

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  1. 銀河物理学特論 I:講義1-1:近傍宇宙の銀河の統計的性質Kauffmann et al. 2003, MNRAS, 341, 33 (Paper I)Kauffmann et al. 2003, MNRAS, 341, 54 (Paper II) 2009/04/20

  2. Paper I : 目的 • 銀河の星質量を見積もる。 • これまでは主に銀河のカラーのみを用いて、銀河の質量光度比(スペクトルタイプ)を推定して、星質量を推定していた。 • 今回は吸収線インデックスを用いて、銀河の質量光度比を推定して、星質量を推定する。 • SDSS DR1 の分光サンプル 122,808 銀河を用いる。

  3. Paper I : 用いる吸収線インデックス Dn(4000), HdA index を用いて銀河のスペクトルの診断 金属量の違いの影響(2.5solar, solar, 0.2solar) Hd A index: 輝線の影響はHa, Hb の輝線の強さを用いて推定。 星スペクトルモデルの違いの影響 若い 古い O,Bstars がなくなり、late-B early-F stars が支配的になると強くなる。 Dn(4000) index

  4. Paper I : 実際の観測データとモデルの分布 Dn(4000), HdA index の実際の測定値(左)とモデルスペクトルの分布(右)。左のカラーの線はバースト的星形成モデル、カラー点は連続的星形成のモデル。 BC2003 を用いて計算したモデル。Exp-decay の連続的星形成+ランダムなバースト的星形成、Kroupa IMF、0.25-2 Zsolar。

  5. Paper I : 実際の観測データからパラメータの推定 それぞれの銀河の Dn(4000) HdA の測定値に基づいて、各モデルのもっともらしさの確率を計算し、それぞれのパラメータ(バーストの割合など)毎に確率の分布を集計して、確率のピークをベスト値、確率のメディアンを典型値、確率の分布から 95% 信頼度の領域を決める(ベイズ統計の手法)。これによって、質量光度比、バースト成分の割合を推定する。 95% of the model Fburst>0.05 >0.1Gyr 95% of the model Fburst>0.05 <0.1Gyr 95% of the model Fburst=0 3個の銀河の例。 Dn(4000) HdA の上で特徴的な領域。

  6. Paper I : ベイズ統計 Bayesian statistics • 事象 B が原因 A1, A2, A3,,, An でそれぞれ確率 P(B|Ai) で起こる。 • 事象 B が起こったとき Ai が原因である確率は、Ai が起こる確率 P(Ai) と合わせて P(Ai|B) = P(Ai)P(B|Ai) / ∑P(Aj)P(B|Aj) ベイズの定理 • 事象Bが測定、原因Aiがモデル。それぞれのモデルについて P(Ai|B) を求め、これが最大となるAi をもっともらしいモデルであるとする。ただし、「A1, A2,,,, An の確率はすべて等しいとする(P(Ai)一定)。」 • 最尤法 (likelihood method)

  7. Paper I : 全体のSEDの形、ダスト赤化量の推定。 吸収線の解析で得られたモデルSED(通常輝線を含まない)から推定されたカラーと実際に観測されたカラーの比較から、それぞれの銀河全体のダスト赤化量を推定する(カラーのずれはダストの赤化によるものだと解釈する)。 推定された赤化量の、絶対等級、Dn(4000)依存性。 Dn(4000) が小さいほどダスト吸収の影響が大きい(楕円銀河ではダスト吸収の影響が小さい)。 モデルSEDのカラー(青点)と観測された銀河のカラー(黒点)。左は輝線の補正なし、右は輝線を補正した後。R-I のカラーは z=0.11 では Ha の影響を受けている。輝線を補正した後の残差は吸収の影響と考える。

  8. Paper I : 質量光度比の推定結果。 SEDの推定と赤化量の推定からそれぞれの銀河について質量光度比を推定することができる(それぞれの銀河の星質量が推定できる)。 95% 信頼領域の幅の分布。Dn(4000)>1.8 (点線) Dn(4000)<1.4 (破線)

  9. Paper I : 方法の問題点。 もとのモデルの設定によってどのくらい結果がかわるだろうか? 横軸は標準としたモデルでの結果、縦軸は2Gyr 以内のバーストモデルの確率をわざと下げた場合。(50%) はメディアン値による推定結果を表す。

  10. Paper I : 結果のまとめ。 どういう性質の銀河が典型的と言えるのだろうか?

  11. Paper II : 目的 • 銀河の性質の星質量依存性を調べる。

  12. Paper II : 銀河の星質量と吸収線強度の関係。銀河の星質量と銀河の星形成史の間に関係がある。3x10^11 Msolar のところで急激に変化が見られる。

  13. Paper II : 銀河の星質量と吸収線強度の関係。銀河の星質量と銀河の星形成史の間に関係がある。3x10^11 Msolar のところで急激に変化が見られる。

  14. Paper II : 各星質量毎のバースト割合の推定値の分布。重い銀河ではバースト的星形成の寄与は小さい。

  15. Paper II : 銀河の光の分布(表面星密度(表面輝度:半光度半径の内側での平均表面輝度)と中心集中度)のパラメータと星質量の関係。

  16. Paper II : まとめと議論 • 3x10^11 を境に銀河の性質が大きく変わる。 • 質量の大きい側では星の種族は古い(バースト成分も小さい)、表面星密度(輝度)が高い、中心集中度は高い。 • ディスク銀河のサイズから M*/Mhalo を議論。 Late-type only (C<2.6, Dn(4000)<1.55) Early-type (Elliptical+) only (C>2.6, Dn(4000)>1.55)

  17. 直接の派生ではないが: 近傍宇宙の銀河の星質量関数へ: SDSS+2MASS のデータから求められた銀河の形態別の星質量関数。 Bell et al. 2003, ApJS, 149, 289

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