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44GHz メタノールメーザ-輝線による大質量星形成領域の探査 志野渚 藤沢健太 杉山孝一郎 ( 山口大学) 出口修至(国天野辺山). 概要.
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44GHzメタノールメーザ-輝線による大質量星形成領域の探査44GHzメタノールメーザ-輝線による大質量星形成領域の探査 志野渚 藤沢健太 杉山孝一郎 (山口大学) 出口修至(国天野辺山) 概要 大質量星の形成過程については未だよくわかっていない。この過程を観測する手段としてメーザーが挙げられる。大質量星形成領域では1.6GHzのOHメーザーと22GHzの水メーザー、複数の遷移のメタノールメーザーが検出されている。OH/H2Oメーザーの出現時期は星形成過程の比較的後期、メタノールメーザ-については遷移により出現時期が異なり、44GHzメタノールメーザ-は星形成の早い段階で検出されると言われている。 我々は山口32m望遠鏡で6.7GHz(classⅡ)メタノールメーザ-を検出した214天体を、野辺山45m望遠鏡により、44GHz(classⅠ)メタノールメーザ-を用いて観測を行った。その結果、新たに44GHzメタノールメーザ-を49天体検出した。またその視線速度が15km/s以内で一致することがわかった。 1.はじめに ☆メタノールメーザについて ・恒星の形成過程で放射されるため、恒星の調査に適していると言われている。また多数の遷移があり、励起状態によってclassⅠとclassⅡの2種類に分類さ れる。classⅠとclassⅡは励起状態も異なり、出現時期も全く異なると思われてきた。しかし、Fontani et al.(2010)はclassⅠとclassⅡの両方を有するメタノールメーザーを発見した。さらに今回用いた44GHzメタノールメーザ-は回転量子数70→61A+遷移でEnergy Levels:がA-Typeのメタノールメーザーである。 ☆大質量星形成領域について ・質量がM>8M☉のものを大質量星という。大質量星形成領域は絶対数が少なく距離も遠い。 また、ダストの奥深くで形成されているため可視光では観測困難な領域であるため、大質量星の形成過程 についてはあまりよくわかっていない。 表1:メタノールメーザ-について 2.野辺山45m観測 3.考察 ☆観測 ・野辺山45m望遠鏡を用いた観測の観測期間は2011年の1月~5月でBack Up観測として行われた。観測天体は山口32m望遠鏡で6.7GHz(classⅡ)メタノールメーザ-を検出した214天体である。今回の観測では44GHzメタノールメーザー以外にもH53α、H2O、SiOやNH3などの周波数帯でも観測を行った。表2の45m望遠鏡の観測パラメーターを示す。 ☆結果 ・Back Up観測のため214天体中149天体の観測となった。その結果、44GHzメ タノールメーザーの検出は72天体でそのうち49天体が新検出となった。 <44GHzメタノールメーザ-新検出とSiO J=1-0の同時検出> ☆視線速度との関係 <44GHz-6.7GHzの場合> 44GHzと6.7GHzメタノールメー ザーの視線速度差は15km/s 以内で一致した。ΔVの値が 0km/s付近のものが一番多い。 このことから44GHzメタノール メーザーと6.7GHzメタノールメ ーザーは同じ出現領域だと 考えられる。 <SiO-44GHzの場合> <H53α- 44GHzの場合> 44GHzメタノールメーザ-と 44GHzメタノールメーザーと 視線速度差は20km/s以内 視線速度差は20km/s以内で で一致した。ΔVの値が0km/s 一致した。ΔVの値が0km/s 付近のものが一番多い。 付近のものが一番多い。 ・これらのことから、classⅠの特徴とclassⅡの特徴を持つ遷移はまった く異なる所から放射されるのではなく密接に関係した領域から出てい ると考えられる。また、大質量星形成領域の進化段階とclassⅠと classⅡメタノールメーザーに関しても以上の結果から出現時期がどち らが早いのか、などを示唆することができる。 表2:野辺山45m望遠鏡のパラメーター(H40) 図1:44GHzと6.7GHzメタノールメーザ-の視線速度差 図2:44GHzメタノールメーザ-とSiOの視線速度差 図3:44GHzメタノールメーザ-とH53αの視線速度差 4.今後の展望 ☆メーザースポットの位置の特定が単一鏡では視線速度方向のみに なってしまうのでVLAや干渉計による詳細な観測を行いたい。 ☆大質量星形成領域の進化段階について知る為に、他の遷移のメー ザーや赤外線などの観測を行いたい。 References ☆Fontani et al.2010 A&A 517,A56 ☆Breen et al.2010 MNRAS,401,2219 ☆Ellingsen et al.2007 LAUS,242,213E