210 likes | 336 Views
太陽風と星間ガス中性成分の相互作用 寺澤敏夫(東大宇宙線研). 現在の 観測 (← 後述)を 説明する VLISM ( =very local interstellar matter ) のモデル ( heliosphere から十分 遠方 の上流でのパラメタ ) . Heerikhuisen et al. (2014) ApJ 784, 73 を基に加筆 . 磁場強度は 未確定.
E N D
太陽風と星間ガス中性成分の相互作用 寺澤敏夫(東大宇宙線研) 現在の観測(←後述)を説明するVLISM (=very local interstellar matter)のモデル (heliosphereから十分遠方の上流でのパラメタ) Heerikhuisen et al. (2014) ApJ784, 73を基に加筆 磁場強度は 未確定 電離度 np/(np+nH) 40% 38% 32% 24% V V V V 「確定」した パラメタ* ただし磁場の向きには180度の不定性あり
太陽風と星間ガス中性成分の相互作用 内容 Introduction VLISM (VLISM=very local interstellar matter)の観測手段(荷電交換X線以外) 紫外線吸収、太陽Lyα光の散乱光観測、ピックアップイオン観測、中性粒子観測 VLISMの概要(紫外線吸収観測) ピックアップイオンの観測(He+) Lyαによる中性水素成分の観測 中性水素、中性ヘリウム速度ベクトルの差→星間磁場方向の推定 中性粒子そのものの検出 IBEX衛星による観測 リボン構造の発見とその解釈 関連した観測 TeV宇宙線の異方性観測→太陽圏のまわりの宇宙線の密度勾配・磁場方向推定 中性H,Heから決めた星間磁場方向とconsistent Reviewをまとめるにあたり、大平豊氏(青山学院大)、浅野勝晃(宇宙線研)の協力を得ました。
VLISM(=very local interstellar matter)の観測手段(X線観測以外) 近傍の星からの紫外光の吸収 太陽紫外光の照り返し 中性水素 Lyα 121.6nm, 中性ヘリウム58.4nm 太陽圏に侵入した中性粒子→電離→ピックアップイオン(PUI) B B Bにトラップされて サイクロトロン運動を開始 電離(光電離、CX、電子インパクト) 太陽風 太陽風のcomoving frame ピッチ角散乱を受け、 速度空間のシェルを形成 シェルの検出により、PUIを同定 (Moebius+ 1985) 中性粒子 中性粒子そのものの検出 (技術的に難しく、漸く最近になって実用化)
LIC (Local Interstellar Cloud) Redfield & Linsky, ApJ, 535, 2000 近傍の星の紫外光の吸収の精密観測から • Heliosphere is located just inside LIC boundary. • LIC filled with warm interstellar medium is sweeping past the heliosphere at a speed of ~26 km/s. • In less than 3000 years, LIC will have passed us by. 旧い値 T~7000K, nH~0.1/cc Ionization rate~0.52 Max. dimension ~ 6.8pc Min. dimension ~ 4.7 pc Dist. to LIC boundary 0.08pc ~26km/s3000y ↑境界に非常に近い。 c.f.rc~ 0.01pc for 10TeV 陽子 in 1mG
Heliosphere太陽圏(~100AU) Bow shock? 26km/sは音速ぎりぎりなのでbow shockが形成されるかどうか疑問 26km/s McComaset al. (2012): 速度を改訂→23.2km/sとし、bow shockは「ない」と結論 (しかし、まだ議論の余地あり?) 以下引用する多くの図はやや古いためbow shockが描かれているものが多い(できるだけ、bow waveに修正) 古い速度の値26km/sが使われている図もまだ多く残っている。
Galactic Cosmic Ray Anomalous Cosmic Ray Interstellar neutral He Interstellar Pickup He+ 太陽 100 AU 極近傍星間物質(VLISM)は部分電離ガスなので 中性成分は磁場構造を越えて太陽圏内部まで侵入。 →水素は3-4AUまで →ヘリウムは0.3AU以内まで 星間物質の太陽圏への流入 太陽圏尾 (heliotail) 太陽風終端衝撃波 Interstellar wind (~23.2km/s) Heliopause Bow wave
LISM wind VLISMの中性Heは太陽圏奥深くまで侵入 Gravitational focusing of the LISM wind
He density (10-2 cm-3) 春分点方向 23 Sep 22 Jun 22 Dec 1 AU 20 Mar 0 3 6 VLISMの中性Heは太陽圏奥深くまで侵入 Wu-Judge model 流れが重力により収束…古典的重力レンズ He密度のコントラストは数倍程度 VLISM 風/He成分 VLISM風 23.2km/s, 6300K 中性水素0.2個/cc (Heはその10%) 電離度24-40% (不定性大、電離非平衡状態)
春分点方向 23 Sep 22 Jun Nozomi 22 Dec 20 Mar 2000-2001の2回、地球(12月)とは違う時期(4月、6月)に重力収束コーンを横切った 地球・太陽のラグランジェ点L2にいるACE衛星によるヘリウム PUI の常時観測 He density (relative unit) 0 10 20 1998 Dec 1999 Dec 2000 Dec 2001 Dec 2002 Dec 観測されたコーンの形状から、VLSIMの速度、温度、密度,電離度が決められる 日本の寄与 ○ハレー探査機「すいせい」が0.7AUで ヘリウムPUIを検出(1985、太陽からの近距離レコード) ○火星探査機「のぞみ」の惑星間空間巡航中 にヘリウムPUIを検出 (野田、博士論文2001; 山崎、博士論文、2001) ○Geotailでも観測 ヘリウムPUIとbow shockの相互作用など 重力収束コーンの位置、幅、コーン内外のHe密度のコントラストはVLISMの流れの3D速度、温度を反映している。(毎年の形状変化は主に太陽UV光の変化による)
VLISM中性水素成分の検出: 地球軌道までは侵入しないVLISM中性水素成分の検出: 地球軌道までは侵入しない →Lyα観測によるremotesensing 光るのは~10AU近辺 水素の流れの速度+地球公転速度によるドップラー効果が重要 ↓ 季節による見かけの明るさの変動 Fig. 1. Two examples of absorption cell transmission maps recorded by SOHO/SWAN (on 25 April 1996 and 29December 1996). Maps are in ecliptic coordinates. Blank areas correspond to the absence of measurements or to contaminated data. Maximum absorption directions (green areas) form a pattern close to a great circle. This ZDSC (zero-Doppler shift circle) is in a plane that is perpendicular to the interstellar gas velocity in the observer frame, i.e., the difference between the H flow motion (green dashed vector) and the Earth velocity (black vector). The data used for the present analysis (black dots) are series of secants of the ZDSC. Lallement et al., Science, 307, 1447- (2005)
観測されるHとHeの流れの方向の食い違い(~数度)観測されるHとHeの流れの方向の食い違い(~数度) イオン 中性粒子 Fig. 3. A schematic view of the heliosphere in the case of a BIS inclined with respect to the flow direction [adapted from (24) and (25)]. Neutral (red arrows) and plasma (electrons and ions, black arrows) flows are sketched in the plane containing BIS (dashed lines) and the wind flow vector. The secondary flow of H atoms (marked 2) is generated between the bow shock and the heliopause in a region between the Sun-wind axis and the displaced stagnation line (green dashed line). According to such a scheme, the plane containing the primary flow (nondeviated, marked 1) and the secondary flow also contains the magnetic field, and the secondary flow arrival direction lies between the wind axis and the field direction. 水素←→プロトン 荷電交換反応を繰り返すので磁場によるプロトンの流れの変化が水素にも反映。 一方、ヘリウムは荷電交換反応は無視できるので、もともとの星間ガスの流れを保存。
中性粒子そのものの検出 IBEX(International Boundary EXplorere) として実現 2008~ 中性粒子フラックス ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 視線方向(視野角6.5度×6.5度) スピン軸 (太陽指向) 中性粒子の検出原理: 金属表面でイオン化して、 そのイオンを質量分析 (Hsieh & Gruntman, 1993)
IBEX打ち上げ前に 期待されていた観測結果 (全天を半年でスキャン)
IBEX観測:中性粒子による全天イメージ (McComas et al., 2012)
IBEX観測:中性粒子による全天イメージ→「リボン構造」IBEX観測:中性粒子による全天イメージ→「リボン構造」 アイデア Heliopause(法線ベクトルn)に星間磁場Bが巻き付く ↓ (n,B)=90度となる領域付近で星間プラズマの濃度上昇 ↓ そこで起こる荷電交換により生まれた高速中性粒子 ↓ リボン状となって観測される MHDモデルによる説明の試み ↓ Heerikhuisen et al. (2014) 磁場方向はH-Heの速度ベクトルの違いで決めたもの
Ribbon構造をMHDモデルにより説明する試み→Heerikhuisenet al. (2014)
宇宙線の異方性(数~20TeV領域) Tibet/IceCubeによる異方性観測 (SKのμの異方性もconsistentな結果)
宇宙線の異方性(数~20TeV領域) http://www.nasa.gov/sites/default/files/styles/673xvariable_height/public/sun_position_0.jpg?itok=FljhudbO Schwadron et al. (2014) Science 仮定: ○宇宙線粒子は局所標準静止系(LSR =local standard of rest)で等方的 ○太陽圏のLSRに対する相対運動uLSR により、宇宙線粒子密度f0に勾配が 作られる ここで、x軸をuLSRに平行な方向にとった。 異方性ξは次式で与えられる: ただし、 bは磁力線方向の単位ベクトルで、 κ∥、κ⊥、κTは拡散係数テンソルの 対角成分、非対角成分
宇宙線の異方性(数~20TeV領域) Schwadron et al. (2014) Science 観測された宇宙線異方性 モデルから得られた宇宙線異方性 磁場方向、uLSRにはIBEXなどの 最新の結果を使用
太陽風と星間ガス中性成分の相互作用 寺澤敏夫(東大宇宙線研) 現在の観測を説明するVLISM (=very local interstellar matter) のモデル(heliosphereから十分遠方でのパラメタ) Heerikhuisen et al. (2014) ApJ784, 73を基に加筆 磁場強度は 未確定 電離度 np/(np+nH) 40% 38% 32% 24% V V V 「確定」した パラメタ* ただし磁場の向きには180度の不定性あり V
太陽風と星間ガス中性成分の相互作用 内容 Introduction VLISM (VLISM=very local interstellar matter)の観測手段(荷電交換X線以外) 紫外線吸収、太陽Lyα光の散乱光観測、ピックアップイオン観測、中性粒子観測 VLISMの概要(紫外線吸収観測) ピックアップイオンの観測(He+) Lyαによる中性水素成分の観測 中性水素、中性ヘリウム速度ベクトルの差→星間磁場方向の推定 中性粒子そのものの検出 IBEX衛星による観測 リボン構造の発見とその解釈 関連した観測 TeV宇宙線の異方性観測→太陽圏のまわりの宇宙線の密度勾配・磁場方向推定 中性H,Heから決めた星間磁場方向とconsistent Reviewをまとめるにあたり、大平豊氏(青山学院大)、浅野勝晃(宇宙線研)の協力を得ました。