360 likes | 451 Views
電気事業者による モニタリング支援活動. これは、福井で開催された日本原子力学会 2012 年年会において、山田氏により発表されたものです。. 電気事業連合会 福島支援本部 山田 基幸. 2012 年 3 月 21 日. 支援概要(電気事業者による支援の枠組み). 平成 11 年に発生した JCO 事故を契機に、原子力災害対策特別措置法が制定され、原子力事業者( 9 電力、日本原子力発電、電源開発及び日本原子力発電)は 「原子力災害時における原子力事業者間協力協定」(協力協定) を平成 12 年に締結。 支援内容は環境モニタリング等のための要員派遣と資機材提供。
E N D
電気事業者によるモニタリング支援活動 これは、福井で開催された日本原子力学会2012年年会において、山田氏により発表されたものです。 電気事業連合会 福島支援本部 山田 基幸 2012年3月21日
支援概要(電気事業者による支援の枠組み) • 平成11年に発生したJCO事故を契機に、原子力災害対策特別措置法が制定され、原子力事業者(9電力、日本原子力発電、電源開発及び日本原子力発電)は「原子力災害時における原子力事業者間協力協定」(協力協定)を平成12年に締結。 • 支援内容は環境モニタリング等のための要員派遣と資機材提供。 • 今回の事故では、東京電力から事業者間協力協定に基づく要請を受け、北海道電力、東北電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、日本原子力発電、電源開発、日本原燃の計11社(支援電力)が環境モニタリング、住民スクリーニング等の支援活動を実施。 • 各作業は、以下のルートの要請に基づき実施 国又は福島県→東京電力→支援電力(幹事会社)→各社
支援概要(電事連福島支援本部の概要) 会 長 これまで電気事業連合会および電力各社において実施してきた福島地区における現地活動の支援を充実させるとともに、東京電力福島第一原子力発電所の中長期的な技術課題の対応を行うために設置された。 副会長 専務理事 2011.4.15設置 理事 事務局長 福島支援本部 (本部長:専務理事) 現地支援チーム 各部 ・現地支援に関して、福島地区における人的応援活動や福島地区および東京電力福島第一原子力発電所への物資の提供を行う。 技術課題対応チーム ・東京電力福島第一原子力発電所の中長期的な技術課題(廃棄物の処理・処分等)に関して、必要に応じて研究開発を実施しながら支援を行う。
支援概要(派遣要員数の推移) (人) 派遣要員数:のべ約6万人日(3月~12月末) 派遣要員数の推移
支援概要(作業実績 1/2) 1.モニタリング関係 のべ約13,000地点
支援概要(作業実績 2/2) 2.スクリーニング関係 3.福島県原子力センター分析補助業務 その他、Jビレッジでの車両サーベイ、放射線管理業務を実施
支援概要(現地拠点) 磐梯熱海温泉 華の湯(3月~7月) • 発災直後は、大会議室、宿泊室、食事を確保できる大型旅館に拠点を設置。 • 7月より、事務所機能の向上を図り、郡山市内に事務所を賃借。 郡山市内の賃貸事務所(7月~12月) 現地本部内での作業準備風景 (写真提供:電気新聞)
支援概要(支援電力の体制) 総括責任者 副責任者 スクリーニング班 依頼に基づき実施する各所における汚染検査のまとめ モニタリング班 依頼に基づき実施する環境線量率モニタリング等のまとめ 放射線作業管理、防保護具装備基準、測定器管理、放管資機材管理、放射線モニタリング、サーベイの運用検討 放管責任者 物資・貯蔵品・車両燃料管理、拠点・オフィス管理、IT環境整備、要員搬送等 総務責任者 庶務班 要員・労務班 要員管理、労働安全衛生管理(夏場対策含) 物資・貯蔵品・車両燃料等の調達等 物資調達・会計班
支援概要-実績から(ロジスティクス、体制等)支援概要-実績から(ロジスティクス、体制等) • 協力協定を予め締結していたことにより、支援活動の立ち上がりが早く、3月12日には現地入りできた。 • 協力協定上の活動拠点は使用できなかったが、会議室、宿泊、食事が確保できる大型旅館を3月12日から拠点とすることができたことは幸運であった。 • 支援活動の対象が福島県内全域となり、郡山の拠点は移動を考慮すると有利であった。 • 支援活動が大規模になったため、業務の機能毎に、モニタリング班、スクリーニング班、放射線管理班、総務班、を作り、組織的な活動ができるようにした。 • 東京電力殿への資機材提供を行ったが、事故直後は全面マスクは不足気味であった。 • 事故直後は、国、福島県、東京電力各々からの支援要請が、支援電力に複線的に入り情報整理に苦労した。
支援概要-今後に向けて(ロジスティクス、体制等)支援概要-今後に向けて(ロジスティクス、体制等) • 支援活動の活動拠点は、事故規模の拡大に対応できるよう、発電所から近い地点、遠い地点等、複数箇所を事前選定することが必要。 • 提供資機材の備蓄数量については、今回の事故を踏まえ見直す必要がある。 • 支援要請の錯綜を防止するためには、連絡ルートを明確にすることが必要。
1Fから半径30km 1Fから半径20km 環境モニタリング(定点モニタリング) 20km圏外定点モニタリング 6地点(支援電力の担当地点) 3~6月:2回/日 6月~ :1回/日 測定項目: 空間線量率、積算線量、 ダスト、よう素サンプリング 20km圏内定点モニタリング 50地点 1回/週 空間線量率を測定
環境モニタリング(個別モニタリング) • 個別モニタリング(1) • 自動車サーベイ等の結果線量が比較的高い地点を詳細に調査 • オフサイトセンター又は福島県要請に基づき実施 • 各家庭の庭等の高さ1m、50cm等の空間線量率を測定 • 伊達市(小国、相葭、月舘、富成、柱沢)、福島市(大波、渡利、小倉寺、南向台)、南相馬市(原町区、鹿島区)、二本松市(杉田、大平)等 • 個別モニタリング(2) • 福島県内4kmメッシュモニタリング、20km圏内2kmメッシュモニタリング、学校・スポーツ施設モニタリング等 • 福島県又は文部科学省要請に基づき実施 • 各地点の高さ1m、50cm等の空間線量率を測定。20km圏内2kmメッシュモニタリングでは土壌サンプルを採取。
環境モニタリング-実績から(1) • 20km圏内は道路損壊により、モニタリングに制約 • 道路陥没、津波ガレキ等により、モニタリングカーでは走行不可の箇所がある。 • 道路上のガレキによりモニタリングカーが突然パンクし、以後、20km圏内では車両2台を使用。万一の場合でも帰還できるようにした。 • 20km圏内モニタリングでは、等間隔に測定点することの要請があったが、アクセスの困難性から実施できないポイントがあった。 • 20km圏内の道路は部分的に落石・道路陥没等による危険が継続した。 • 20km圏内では衛星携帯電話が必要。 • 測定地点の同定にGPSを利用、複数回測定する箇所は、測定場所の写真撮影も実施。 • サーベイメータ(1m高さ)で空間線量率を測定した。
環境モニタリング-実績から(2) • 20km圏外定点モニタリングは、事故発生6日後に着手したが避難していない場所のモニタリングは、より早期の着手が望ましいと感じた。 • 空間線量、ダスト・よう素濃度とも事故前の環境モニタリングでは経験したことのない数値を観測し、任務の重大さを痛感した。 • 個別モニタリングでは、マニュアルを作成することにより、幅広い要員が対応できるようにした。 • 個別のご家庭の庭先のモニタリングでは、オフサイトセンター・県指定の測定点の他に、住民の方のご要望に応じ、可能な範囲で測定するようにした。 • 住民の方から放射線に関する質問、現在の苦境に対する苦情等をお聞きした。同時にねぎらいの言葉も頂いた。
高さ1m 地表面 環境モニタリング-経験(3) 実測データの一部から、地面の表面汚染密度と空間線量率を整理すると次の通りであったが、バラツキがかなりある結果であった。 空間線量率(μSv/h) 地面の表面汚染密度(kcpm)
環境モニタリング-今後に向けて • モニタリングカーは悪路走破性の考慮が必要。 • 連絡用の衛星携帯電話、GPS、カーナビは有効。 • モニタリングカー積載の線量率計(高所)とサーベイメータ(1m高さ)の使い分けの事前調整が必要。 • 防災対策を重点的に充実すべき範囲が変更された際には、モニタリングポイントも新たに必要になるとともに、固定モニタリングポイントが機能喪失した場合のモニタリングカーによるバックアップに関する手順も必要。
住民スクリーニング(1) • 事故発生後の3月15日から住民の方や避難に用いたバス等のスクリーニングを実施 • 実施場所 • いわき保健所、郡山市保健所、南相馬市相双保健所、福島県男女共生センター(二本松市)、本宮高校、川俣小学校他 • スクリーニング対象人数:のべ約12万人(3月~10月) • スクリーニング基準 • 当初:6,000cpm • 3月20日以降: 13,000cpm未満:問題無し 13,000cpm以上100,000cpm未満:部分的な拭き取り除染 100,000cpm以上:全身除染
一時帰宅スクリーニング(1) <一巡目・二巡目共通事項> • 警戒区域内の住民の方の一時帰宅時のスクリーニング(警戒区域退出後)をオフサイトセンター要請に基づき実施。 • 一時帰宅一巡目:2012年5月~9月 一時帰宅二巡目:2012年9月~12月 • スクリーニング会場は、南相馬市馬事公苑、みちの駅ならは、田村市都路体育館、川内村体育館の4箇所。 • スクリーニング会場で簡易除染(拭き取り)をしてもスクリーニング基準を満足しない車両については、Jビレッジに回送して除染。 • スクリーニング基準は原子力安全委員会の助言に基づいた、オフサイトセンターの指示。
一時帰宅スクリーニング(2) 一時帰宅スクリーニング作業手順等
一時帰宅スクリーニング(5) スクリーニング会場(バス帰宅の場合 南相馬市馬事公苑の例)
一時帰宅スクリーニング(6) <凡例> 車の動き 指揮者 ホットエリア境界 誘導者 フェンス マイカー カラーコーン スクリーニング会場(マイカー立入の場合 南相馬市馬事公苑の例) 一般車 駐車エリア 室内馬場 (住民対応エリア) (休憩エリア) 2 4 8 6 テント テント テント テント 1 7 3 5 車両除染用エリア
スクリーニング-実績から(1) • 事故直後はスクリーニング基準が6,000cpm、13,000cpm、100,000cpmと段階的に引き上げられたが、根拠が確実には伝わらず、現地での情報整理に苦労し。 • 一時帰宅の一巡目は梅雨から夏にかけて行われたが、帰宅者の防護装備は気候を考慮したものではなかった。一方サーベイをしても測定結果は低かった。 • 一時帰宅二巡目では、装備の簡略化が行われた。 • 車両については、ウインドウ下隅の雨水のたまるところ、ワイパーブレード、軽トラックの荷台等で、サーベイ基準超過した例があり。(簡易除染又はJビレッジの除染で対応) • スクリーニング会場で住民の方からの質問が多く寄せられた。
スクリーニング-実績から(2) • 一時帰宅スクリーニングでは、スクリーニング会場での待ち時間を短くすることを基本に運営を進めた。 • レーンの複数化 • 住民、車両の動線の最適化 • スクリーニング箇所の合理化 人:全身→足裏のみ 車両:ボディ全面→タイヤ周りのみ 持ち帰り品:袋からの取り出し→袋に入れた状態 • 夏場は熱中症対策が重要。 • 交代要員の適切な配置による定期的な休憩 • クールベストの利用 • テントの利用 • スクリーニングは人海戦術で対応した。
スクリーニング-今後に向けて • スクリーニング基準は、その時の着目核種、線量基準との比較等、根拠を合わせて周知されるような仕組みが必要。 • 一時帰宅時の住民の防護装備は、汚染状況の実態等を踏まえて検討されるべき。これは、今後の復興作業の作業者にも当てはめられると考える。 • 防護装備を着用している際の熱中症対策は特に気を遣うべきである。 • 今後も継続するスクリーニングについて、機械化も検討が必要。
まとめ-今後に向けて(1/2) <全般> • 支援活動の拠点は事故規模の拡大に対応できるよう、予め複数箇所の選定が必要。 • 提供資機材の備蓄数量は見直す必要あり。 • 要請に係る連絡ルートの明確化が必要。 <環境モニタリング> • モニタリングカーの悪路走破性の考慮が必要。 • 衛星携帯電話、GPS等、カーナビは有効。 • 線量測定高さの事前調整(1m、モニタリングカー屋根) • 防災対策を重点的に充実すべき範囲が変更された際には、モニタリングポイントも新たに必要になるとともに、固定モニタリングポイントが機能喪失した場合のモニタリングカーによるバックアップに関する手順も必要。
まとめ-今後に向けて(2/2) <スクリーニング> • スクリーニング基準の根拠の明確化と確実な周知方法の検討 • 汚染状況、気候を踏まえた防護装備の最適化の検討 • 防護装備着用中の熱中症対策の重要性 • スクリーニングの機械化
今後の対応-除染専門家派遣(1) • 環境省と福島県は除染に対する問い合わせ、除染時のアドバイザーとしての専門家派遣のため、除染情報プラザを設立。 • 北海道電力、東北電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、日本原子力発電、電源開発、日本原燃の11社から、除染情報プラザを通じて、コミュニティ除染時のアドバイザーとして、要員を派遣する。 • アドバイザーとしての業務内容は以下のとおり。 • 除染作業時の空間線量率等の放射線測定 • 除染方法(表土の削り取り範囲、廃棄物一時保管方法等)のアドバイス • 放射線防護(マスク・手袋等の防護具、注意事項等)のアドバイス • 住民の皆様からの放射線や除染に関する簡単な質問への回答 • 派遣規模は、土・日・祝日に5班10名程度。 • 活動は2012年4月から開始。
今後の対応-除染専門家派遣(2) 電力各社からの除染専門家派遣の流れ 除染情報プラザ 除染専門家 コミュニティ等 除染情報プラザにて、派遣要請内容(日時、場所、人数等)に応じて、除染専門家を選定 要請 電力各社 除染時の専門家へのニーズ発生 除染専門家派遣要請 学会・関係団体のボランティア 要員の派遣