340 likes | 527 Views
東京工業大学 <機械宇宙システム専攻松永研究室> 岡田英人,宮下直己,占部智之,柏宗孝,立川智章,山口伸斉,尾曲邦之,森田幾太郎 <基礎物理学専攻渡辺河合研究室> 山本佳久. ガンマ線バースト観測衛星. ガンマ線バーストとは?. ガンマ線バースト とは? 宇宙のかなたから数秒から数十秒間に渡って大量の ガンマ線が降り注ぐ現象. フォトン数. 超新星爆発を超える 宇宙最大の爆発現象 いまだ正体は謎のまま である. ガンマ線バーストの起源を知ることで. 宇宙初期の様子が明らかになり,銀河形成に関する重要な鍵が得られる. ガンマ線バースト.
E N D
東京工業大学 <機械宇宙システム専攻松永研究室> 岡田英人,宮下直己,占部智之,柏宗孝,立川智章,山口伸斉,尾曲邦之,森田幾太郎 <基礎物理学専攻渡辺河合研究室> 山本佳久 ガンマ線バースト観測衛星
ガンマ線バーストとは? ガンマ線バーストとは? 宇宙のかなたから数秒から数十秒間に渡って大量の ガンマ線が降り注ぐ現象. フォトン数 超新星爆発を超える宇宙最大の爆発現象 いまだ正体は謎のままである ガンマ線バーストの起源を知ることで 宇宙初期の様子が明らかになり,銀河形成に関する重要な鍵が得られる.
ガンマ線バースト • ガンマ線バーストの正体がなぜいまだに解明されていないか.(最初の発見は1960年代) ・地球大気での吸収のため地上でのX線,ガンマ線の観測が難しい. ・いつ,何処で起こるか分からない ・現象継続時間が短い ・宇宙での観測が必須. ・視野の大きい観測機器で常に観測しつづけることが必要. ・高精度でガンマ線発生源の位置を検出することが必要
幅広いエネルギー領域での観測 幅広いエネルギー領域での観測の必要性 最近X線領域での放射が卓越している X線フラッシュが発見された (GINGA,BeppoSAX,HETE-Ⅱ等の X線検出器によって観測) 2~10keV 10~15keV X線の検出器も必要 ガンマ線だけでなく 高精度に位置決定可能な ガンマ線バースト検出器 X線領域に感度を持つ,広視野 高エネルギー分解能センサ
ガンマ線バースト観測方法 「ガンマ線」 数秒~数10秒 ガンマ線バースト発生源の位置決定 あらゆる波長での観測 「X線残光」 発生後,数時間~十数時間 バースト発生源までの距離および, 発生源の環境が分かる. 「可視光残光」発生後,数分~数日 15分後に15等くらいで観測可能 ガンマ線バースト発生源までの 距離がわかる. ガンマ線バースト発生源位置 情報を世界中に通知 ガンマ線バースト発生源を衛星 内で計算 等級 0.01 1.0 Day
バースト観測体制 X線観測 発生源位置情報 可視光観測 ガンマ線・X線同時観測 ガンマ線観測 電波観測 • バースト観測体制 HETE-2
小型衛星によるガンマ線バースト観測の意義 小型衛星 メリット メリット 大型衛星 ・検出器の有効面積を大きくできる ・電力,スペースなどのリソースが豊富 ・広い範囲のサイエンスを行える 開発期間が短期 比較的安価 打ち上げ機会が多い デメリット ・開発に時間がかかる ・コスト高 ・打ち上げ失敗時のリスク大 最新のセンサの搭載が可能 複数の衛星を打ち上げ,運用可能 継続的に宇宙での観測が可能 大型衛星の視野の補完 複数衛星協調による視野の拡大 小型衛星でも少数のミッションに特化することで,大型衛星に匹敵する観測が可能 ガンマ線バースト観測は,小型衛星のメリットがおおきく生きるミッション
ミッション機器 -現象解明には広範囲のエネルギー スペクトルで観測が必要 小型衛星搭載ガンマ線バースト検出機器制約条件 -小型,軽量であること -低消費電力であること -小型衛星であるため,観測機器の高精度ポインティングは難しい X線に感度を持つセンサ (SXS) 回転式すだれコリメータ (HXS) すだれ HXSよりも高いエネルギー分解能で,X線領域を観測 0.5~15keV ガンマ線バースト発生位置の高精度決定5~200keV
アバランシェ・フォトダイオード • APD (アバランシェ・フォトダイオード) APDを使用することの利点 ・光電子増倍管の4倍の感度を持つ. シンチレーションカウンタの読み出しに使用 ・単体でX線に感度を持つ X線検出器として使用. SXS HXS 0.5keV 10keV 100keV
観測機器配置 衛星のスピン軸から45度傾けて互いに位相角を90度ずらした4方向に2台ずつ計8台を配置. 4方向のすだれはそれぞれ異なるピッチと回転角を持つ
観測機器スペック • 他のガンマ線バースト観測衛星とのスペック比較 広い視野(サイズ比を考慮) 高い位置決定精度 広いエネルギー領域での観測
バースト警報手段 • ガンマ線バーストの発生情報(バースト警報)の伝達方法 -データ中継衛星の使用 コスト高,技術的課題が多い 今回は採用しない. -多数の地上局の設置 ガンマ線バーストの研究を 行っている大学・研究機関 に地上局の設置を依頼. 極軌道をとるため,多数の地上局を設置が必要
地上局構成 • Sバンドでの観測データ受信 • UHFによるプログラムアップロード等コマンド操作 • UHFによるHKデータ,ガンマ線バースト警報受信 • メイン地上局 通信時間 1300秒/Day • サブ地上局 • UHFによるHKデータ,ガンマ線バースト警報受信 (簡易設備で可) 通信途絶時間 平均約9分 一日通信可能時間 平14.1時間
ミッション要求 • 高精度姿勢決定 • 観測機器の反太陽指向制御 • 観測機器の回転 • 姿勢安定 • 地上への迅速なバースト発生源情報の通知 • 観測機器の熱制御 ・ 観測機器の位置検出制度は5分角 ・ 太陽は巨大なX線発生源 ・ 回転すだれコリメータを使用 ・ すだれコリメータによる観測 ・ 地上での残光観測により位置決定制度の向上 ・ 観測機器の温度特性
打ち上げ手段・時期 H-2Aロケットのピギーバック衛星 主衛星の軌道に大きく左右される. 太陽同期軌道もしくはGTO軌道の可能性大 GTO軌道・・・バンアレン帯を通過するため,観測に支障が出る. 太陽同期準回帰軌道を選択 ALOSとの相乗りを想定
ミッションシーケンス -Phase:A- 初期姿勢制御,姿勢決定フェーズ(スピン安定化) ロケットからの放出直後. 衛星は不規則な運動. 太陽電池パドル未展開. 使用機器 粗太陽センサ,3軸アナログジャイロ,3軸磁気センサ(磁気トルカ用),OBC,テレメトリ送信機,コマンド受信機
ミッションシーケンス -Phase:B- • プリセッションマヌーバ (反太陽指向)フェーズ ・スピン安定状態 ・スピン軸を反太陽方向に向ける ・太陽電池パドルは未展開 消費可能電力小. ・スピン軸変更後,太陽電池パドル展開 使用機器 マグネトルカ,磁気センサ, 3軸アナログジャイロ,OBC,テレメトリ送信機,コマンド受信機,太陽センサ,GPS受信機,OBC,パドル展開機構
ミッションシーケンス -Phase:C- • 日照フェーズ ・大電力発生可能 ・地球からの太陽光反射により,恒星センサ動作不可 ・日陰後,速やかに観測ミッションへ移行し可能な限り高精度で制御可能にするため姿勢決定を継続 使用機器 マグネトルカ,磁気センサ,IMU,テレメトリ 送信機,コマンド受信機,太陽センサ, GPS受信機,OBC,Sバンド送信機
ミッションシーケンス -Phase:D- • 日陰フェーズ ・日照時との電力収支が取れているため,日陰時でも十分な電力の使用が可能. ・恒星センサを使った高精度姿勢決定 ・ガンマ線バースト観測 使用機器 マグネトルカ,磁気センサ,IMU,テレメトリ 送信機,コマンド受信機,太陽センサ, GPS受信機,OBC,恒星センサ,Sバンド送信機 HXS,SXS,スタートラッカ
衛星サブシステム • サブシステム構成図
姿勢制御方法の選定 太陽同期軌道 観測機器の反太陽指向 姿勢制御精度要求 低 姿勢安定性要求 高 姿勢決定精度要求 高 スピン安定方式 三軸制御 スピン安定方式 重力傾斜安定 など 姿勢制御機器の簡略化 スピン安定方式 (3rpm) 姿勢決定精度,決定周期 : 1分角以下,5Hz スピン軸変動 : 3.3×10-2 deg/s
姿勢決定・制御機器構成 ・機器構成 姿勢制御機器 磁気トルカ ×4 (Magnetic Torquer, Microcosm) -放出後のプリセッションマヌーバ,デスピン,スピンアップ,デタンブリング. 姿勢決定機器 2軸粗太陽センサ(2-axis sun sensor, SSTL) -初期姿勢決定, スタートラッカ使用不能時の姿勢決定. ジャイロ (低分解能) (QRS11-0100-101,BEI Tech. Inc.) -初期スピンレート測定(低消費電力). 3軸IMU (ジャイロ+加速度計)(Digital Quartz IMU ,BEI Tech. Inc.) -観測時の姿勢制御,姿勢決定時使用. 3軸磁気センサ(3-axis fluxgate Magnetometer,SSTL) -初期姿勢制御,姿勢決定時使用.運用時の姿勢制御時にも使用. スタートラッカ(Advanced Stellar Compass, -観測時の姿勢制御,姿勢決定時使用. Technical Univ. of Denmark)
C&DH機器構成 ・MPU データ処理,テレメトリコマンド処理,姿勢制御・姿勢決定 -高機能,低消費電力,低コスト(INDEXにも使用) 民生品(SH-3)を使用 ・OS 民生品リアルタイムOS(e-Cos)使用 ・メモリ 各MPUにつき3つのSDRAM (32MByte) (2つをデータ用としてミラーリング,1つは誤り訂正符合用) ・放射線対策 多数決を用いた3重冗長 3重冗長の処理結果の判定等は,宇宙用FPGAを使用 ・データ量 観測機器 8.03Mbyte/day ADCS 1.94Mbyte/day C&DH 0.41Mbyte/day Comm.0.62Mbyte/day EPS 1.04Mbyte/day STM 1.73Mbyte/day 12.33MByte 3重冗長
通信系機器構成 • 通信系システム • S-band 送信機 (サイエンスデータ) PSK 120kbps • UHF 送信機 (テレメトリ) GMSK 2400bps • UHF 受信機 (コマンド受信) GMSK 2400bps (プログラム書き換え時は9600bps) • S-band アンテナは切り替えて使用,UHFはアンテナ4本 アンテナ配置
電源系 • 消費電力見積もり 初期姿勢制御時 :33.3W 反太陽指向時 :41.0W 日照時(観測不可) :81.1W 観測時 :89.4W デスピン 日照時/日陰時 反太陽指向 0 Time[s] 140000 電力プロファイル
電源系搭載機器 • 太陽電池セル発生電力制御方式 シーケンシャルシャント方式 • バッテリバス電力制御 非安定化バス方式 • 搭載機器 マルチジャンクションGaAs太陽電池 • 太陽電池 マルチジャンクションGaAs太陽電池セル(SpectroLab ) 効率26.5% セル面積 0.612m2 (2cm×3cmセル,15直列18並列のパドル ×4) (メインバス28V,ダイオードロス1.4V,ハーネスロス1.0V,パッキング効率 95%) 発生電力151.4W • バッテリ リチウムイオン2次電池 小形高容量,メモリ効果少ない,過充電や熱的安定性が高 3.8V,1130mAh 8直列16並列
熱・構造系 –構造- 衛星外観 ・パドル先端にUHFアンテナとGPSアンテナを設置 ・マルマンバンドが取り付けられている面,および天井面にSバンドアンテナを配置 ・粗太陽センサ用のスリット ・観測機器が太陽電池パドルの陰になるため,太陽光の観測機器への入射を避けることが可能.また,温度上昇も避けることが可能.
熱・構造系 –構造2- • 内部構造 ・機軸方向に2層となる構造 ・常に太陽光があたるマルマンバンド側には,バッテリ等,低温での動作に問題があるものを配置
熱・構造系 –構造3- • パドル展開機構 分離ナット(非火工品)Mini QWK NUT(STARSYS Research ) • 構造材料 外壁 アルミハニカム[10mm] パドル アルミハニカム[5mm] 支柱 アルミニウム合金 強度が足りない部分はステンレスで補強
熱・構造系 熱解析条件 ・軌道高度 700km 太陽同期軌道 (日照時(4000秒),日食時(2000秒)) ・太陽指向のスピン安定 ・シミュレーション時間 定常運用状態に入った際の85000秒 (地球14周回分:84000秒 + 初期1000秒) • 搭載機器温度要求
熱・構造系 –熱解析- • 熱解析結果(定常運用時) 各機器とも要求温度 範囲内であることを確認 マルマンバンド 40° 20° バッテリ 0° SXS -20° HXS 0 100000 時間[s]
熱・構造系 –熱解析2- • 結合リングにおける表面状態のばらつきを考慮した解析 • 初期姿勢制御フェーズ での熱解析 • (衛星の上板側が太陽を指向していると仮定 ) バッテリ温度 20° 各機器とも 要求温度範囲内 であることを確認 10° バッテリ 0 時間[s] 2000
まとめ • 小型,低消費電力で,広視野・広エネルギ領域観測かつ高精度位置決定を可能とするガンマ線バースト観測機器を設計した. • ミッション要求をみたす,スピン安定方式のピギーバック衛星の概念設計を行った. • ガンマ線バースト早期警報のための地上局システムの検討を行った. 本衛星を実現させることにより,ガンマ線バースト現象の解明,ひいては宇宙開闢の謎を解明する貴重なデータを取得することが期待できる.