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Communication Systems Engineering B. 通信システム工学 B. H20 年 1/21, 1/28, 2/4 開講. 光ファイバー通信入門. 山田 博仁. http://www5a.biglobe.ne.jp/~babe. 講義資料のダウンロード. 質問等は. E-mail: yamada@ecei.tohoku.ac.jp. 1/21 、 1/28 、 2/4 3 回分の講義内容. 1. 講義の目的 : 光ファイバー通信システムの基礎を習得する 2. 達成目標 : 以下について簡単に述べられるようになること
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Communication Systems Engineering B 通信システム工学B H20年 1/21, 1/28, 2/4開講 光ファイバー通信入門 山田 博仁 http://www5a.biglobe.ne.jp/~babe 講義資料のダウンロード 質問等は E-mail: yamada@ecei.tohoku.ac.jp
1/21、1/28、2/43回分の講義内容 1. 講義の目的: 光ファイバー通信システムの基礎を習得する 2. 達成目標: 以下について簡単に述べられるようになること ・ 光ファイバー通信システムのしくみ、特徴、応用 ・ 光通信の要素デバイスの役割、構造、動作原理 ・ 光導波路(光ファイバー)の中を光が伝わるしくみ 3. 講義内容 1日目 光ファイバー通信とは。その歴史。現代の通信技術の中での位置付け 光通信の要素デバイス(光ファイバー、LD、PD、光増幅器など) 2日目 光伝送路(光ファイバー)中での光伝搬。モードの概念 光伝送方式(分散管理、中継技術、多重化技術) 3日目 フォトニックネットワークとインターネット 4. 成績評価 レポート 5. 参考書 末松安晴、伊賀健一共著、光ファイバ通信入門、オーム社
質 問 • 単一モード光ファイバーと多モード光ファイバーでは、どちらがより多くの情報を短時間に送れるか? それは何故? • 光通信には何故レーザが必要? 白熱電球やLEDではダメ? • 現在の電気通信における伝送方式と、光通信における伝送方式の根本的な違いは何? • 光ファイバー通信における信号多重化の特徴は? • 光3Rとは何か? その内で光増幅器ではできないものは何? • FTTHはADSLと比べると何故高速?
通信とは Alice Bob 情報の搬送媒体 情報の送り手 情報の受け手 搬送媒体を送る 情報を搬送媒体に載せる 搬送媒体から情報を取り出す 搬送媒体 送る手段 手紙を書く 便箋、はがき 郵便システム 手紙を読む マイクロフォン 電流、電波 電話 イヤフォン、スピーカ 情報を送り手から受け手に伝えること
各種通信方式 ? テレパシー 情報搬送媒体 (carrier) 導波機構の有無 通信方式 用途 音波 伝声管 船内、潜水艦内通信 糸電話 教材 機械振動 有線 電流(電磁波) 電気通信 電話、インターフォン 光(電磁波) 光ファイバー通信 FTTH デジタルAV機器 (導波機構有) 海底光ケーブル 音波 会話 携帯電話 航空・船舶無線 電波(電磁波) 無線通信 アマチュア無線 衛星通信 無線 狼煙 腕木通信 手旗信号 光(電磁波) 光通信 衛星間光通信 (導波機構無、 自由空間伝搬) 重力波 重力波通信 腕木通信塔
衛星間光通信 ガウスビーム波 強度分布 w0: ビームウエストサイズ r ガウスビーム波の広がり角 l: 光の波長 2w0 2Dq Ex.) 波長1mmの光を、直径1mのビームにして月に送った場合、 月面でのビームスポットサイズはどのくらいになるか? ただし、月までの距離は約38万km 答 直径約120m
レンズ焦点でのビーム径 2wf 2w0 qf qf < q 焦点でのビーム径 レンズの開口数 (Numerical Aperture: NA) a q f n f : 焦点距離 a : レンズの有効半径 n : 媒質の屈折率 (空気中の場合は1) Ex.) 波長1mmの光を、NA=0.5のレンズの有効径をフルに 活用して絞った場合、どの程度まで絞れるか? 答 直径約1.3mm
身近になった光ファイバー通信 AV機器のデジタル入出力ケーブル AV機器のデジタル入出力ケーブルとコネクタ FTTH(Fiber To The Home):Bフレッツ(NTT), TEPCOひかり(東京電力)などがサービス 出展: http://premium.nikkeibp.co.jp/ftth/part2/top_f.html 光回線終端装置(左) とルーター(右)
ブロードバンド加入者数の推移 総務省通信白書より FTTHが急激に伸びている ADSLはH17年度をピークに減少に転じた 国内におけるブロードバンド インターネット契約者数の推移
IPトラフィックの増加 2倍/2年 国内の全インターネット トラフィックは平均で約500Gbps Internet traffic of IXs in Japan http://www.jpix.ad.jp/en/techncal/traffic.html
海底光ケーブル網 出展 http://www.alcatel.com/submarine/refs/index.htm
電気通信のしくみ 搬送波: 情報搬送の担い手 電気信号 搬送波を作る 搬送波に情報を載せる 搬送波から情報を取り出す 伝送路 発信器 変調 復調 電線 同軸ケーブル 情報の送り手 情報の受け手
光ファイバー通信の構成 xxxx 電気信号 光デバイス 光信号 xxxx 電子デバイス /回路 伝送路 LN変調器 EA変調器 フォトダイオード(PD) APD 搬送波は光 光源 光変調 光検出器 復調 電子回路 光ファイバー レーザー LED、電球 情報の送り手 情報の受け手
電磁波の波長 光通信には、波長1 mm前後の近赤外域を使用
光ファイバー通信の特長 1.広帯域 (高速、大容量通信が可能) シリカ光ファイバーの伝送帯域 >100 THz (THz = 1012Hz) 1本の光ファイバーで、10Tbps(Tbpsは1012bit/secのこと)以上の 伝送が可能。最近、14Tbps, 160kmの光伝送にも成功 (NTT) (同軸ケーブルの帯域:最大でも10GHz程度) 2.長距離伝送が可能 中継間隔 同軸ケーブル:数km ~ 10km 光ファイバー:100 km以上も可能 3.漏話が少ない、電磁誘導の影響を受けない 光ファイバーは非導電性であるため、外部からの電磁誘導ノイズ の影響を受けない。また、ファイバー自体からの電磁波の放射も 無いので、ファイバー間の信号干渉が少ない。 4.多重化が容易 光ファイバーが細く軽量のため、多芯化、長尺化が可能
光ファイバー通信の歴史 年 代 人または機関 事 項 1930年代 Lamb(独)、関(日本) 石英ファイバー(ロッド)による光伝送 Townes(米), Schawlow (米), Basov(ソ)ら 光メーザーの着想 1955年 1957年 渡辺, 西澤(東北大) 半導体による超短波増幅・発振のアイデア 1960年 Maiman(米), Javan(米) ルビーレーザ, He-Neの発振 1962年 IBM, GE, MIT(米) 半導体レーザの発振 1968年 川上,西澤(東北大) Graded-index型光ファイバーの発明 林, Panishら(米) 1970年 AlGaAs半導体レーザ室温連続発振 NEC, 電電公社, 日立, 三菱(日), Bell研(米), STL(英) 1970年代 半導体レーザの長寿命化、発振安定化 1976~79年 電電公社, 藤倉電線(日) シリカ光ファイバー伝送損失が0.2dB/kmに 1980年代 NEC, 富士通, 日立, 東工大他 通信用半導体レーザの開発と高性能化 1990年代 Southampton大(英), NTT(日) 光ファイバー増幅器の発明と実用化
光ファイバー通信の要素デバイス デバイス 役 割 イメージ 光ファイバー 伝送路として光を導く 搬送波としてのコヒーレントな光を発生させる。さらに、搬送波に情報を載せるための光変調も行う 半導体レーザー 搬送波に載っている情報を電気信号として取り出す 光検出器(PD, APD) 伝送中に減衰などで弱くなった光信号を光のまま増幅する 光増幅器 光合分波器 光スイッチなど 光信号を分配したり、光の経路を切り換える
光ファイバー 通信用シリカ光ファイバー 伝搬損失 < 0.2dB/km@l=1.55 mm 光ファイバーの伝送損失 光ファイバー低損失化の歴史 住友電工http://www.sei.co.jp/news/press/02/prs221_s.html
光ファイバーの製法 出展 : Wikipedia 母材製造(プリフォーム) VAD(Vapor phase axial deposition: 気相軸付け)法
光の強度 光の強度 光の電界 光の電界 t t f 又は l f 又は l コヒーレント光 インコヒーレント光 (コヒーレントでない) レーザーとコヒーレント光 光搬送波になるべく多くの情報を乗せるためには、コヒーレントな光が必要 コヒーレントとは、波の位相が揃った状態。高スペクトル純度、良好な収束性を有する 自然界に存在する光は全てインコヒーレント光 例: 太陽光、炎から出る光、蛍の光、白熱電球、蛍光灯、LED コヒーレントな光を人工的に発生させる装置がレーザー
何故コヒーレント光が必要か 1896年マルコーニ(Marconi)は、ヘルツの電磁波発生器にアンテナとアースを付けて2.5kmの無線電信に成功 出展: http://www.geocities.jp/hiroyuki0620785/intercomp/wireless/transatrananticexp.htm 軍艦三笠に搭載の三六式無線電信機は明治36年(1903)旧制二高の木村駿吉教授が開発。送信機は火花放電、受信機はコヒラー検波器を使ってコイル駆動で記録紙に出力するもので、80海里以上の通信到達距離を達成 出展: http://blog.zaq.ne.jp/rootakashi/article/163/ インコヒーレントな電磁波を用いた初期の通信 電磁ノイズによる通信 1887年ヘルツは誘導コイルによる火花放電式電磁波発生器を発明 1905年日本海海戦において、ロシア・バルチック艦隊の発見が「敵艦見ユ」と無線電信で通報され、日露戦争の勝利を導く糸口となった その後真空管が発明されて、コヒーレントで強力な電磁波が発生できるようになり、通信距離が比較的に延びることとなる
何故コヒーレント光が必要か コヒーレントな電磁波を用いる利点 スペクトル純度が高い(単一周波数)ので、受信側で周波数同調(選択)や増幅を行うことにより、微弱な電波でも受信できる。(長距離伝送が可能) スペクトル純度が高い(単一周波数)ので、アンテナなどを用いて、特定の方向にのみ強く信号を送れる。つまり、伝送の指向性が高い。(長距離伝送が可能) スペクトル純度が高く搬送波の位相が揃っているので、より早い速度で光の強弱の変調や、位相までも変調することができる。(送れる情報量が多い) スペクトル純度が高く、占有スペクトル幅が不必要に広がらないので、同一周波数帯を多くのチャンネルで共用できる。(周波数利用効率が高い) このように、コヒーレントな電磁波を用いる通信は、インコヒーレントな電磁波を用いる場合に比べて多くの利点を有している。従って、白熱電球やLEDのようなインコヒーレント光を用いるよりも、レーザのようにコヒーレントな光を用いる方が望ましい。
コヒーレントな電磁波の発生法 電磁波の呼び名 周波数 コヒーレント電磁波の発生法 低周波 ~ 数十kHz 長波 数十kHz ~ 数百kHz 真空管やトランジスタによる発振器 中波 数百kHz ~ 数MHz 電 波 短波 数MHz ~ 数十MHz 超短波 数十MHz ~ 数百MHz Gunnダイオード マイクロ波 数百MHz ~ 数GHz クライストロン、マグネトロン ミリ波 数十GHz メーザー THz波 数百GHz ~ 1013 Hz パラメトリック発振器 量子カスケードレーザー 赤外光 1013 Hz ~ 3.8×1014 Hz 3.8×1014 Hz ~ 8×1014 Hz 可視光 光 各種レーザー 紫外光 8×1014 Hz ~ 1018 Hz 1018 Hz ~ SOR (synchrotron orbital radiation) X線
レーザー 正帰還回路 光の正帰還回路 光増幅媒体 Amp. + 鏡 電気の発振器 レーザー 物質(原子系)と光との相互作用 以下の3つの課程が同時に起きている 電子など E2 減衰 増幅 発光 入射光 出射光 入射光 出射光 E1 二準位系 (原子など) 光の吸収 誘導放出 自然放出 レーザとは、光の発振器 光増幅媒体とは何か?
熱平衡状態 Maxwell-Boltzmann分布 E k: ボルツマン定数 T: 媒質の温度 n2: 励起状態の原子数 E2 誘導放出 E1 吸収 P(E) 吸収 吸収 熱平衡状態では、励起準位の原子数は基底準位の原子数よりも少ない n1>n2 n1: 基底状態の原子数 A: アインシュタインのA係数 自然放出の起きる確率 = An2 B: アインシュタインのB係数 吸収の起きる確率 = Bn1 I 誘導放出の起きる確率 = Bn2 I I: 入射光の強度 正味では減衰 Bn1I > Bn2I 熱平衡状態では、吸収の確率>誘導放出の確率となり、入射光は減衰して出てくる
反転分布 反転分布 Tが負(負温度状態) E n2: 励起状態の原子数 E2 誘導放出 誘導放出 E1 吸収 誘導放出 P(E) 励起準位の原子数が基底準位の原子数よりも多い状態を反転分布という n1: 基底状態の原子数 n1<n2 正味では増幅 Bn1I < Bn2I 反転分布では、誘導放出の確率>吸収の確率となり、入射光は増幅されて出てくる レーザーとは、何らかの方法で反転分布を作り出し、放射の誘導放出(Stimulated emission)を用いて光を増幅する装置
電子 へき開面(鏡面) ホール n型 p型 半導体レーザー 半導体レーザー (Laser Diode: LD) 光を増幅する媒体が半導体からなり、 pn接合への電流注入により、電子の反転分布状態を作り出せる 特徴: ・ コンパクト (チップ本体は0.3mm角程度) ・ 取り扱い容易 (乾電池2本程度で動作可能) ・ 直接変調で数Gbpsの高速変調が可能 ・ 高信頼性 (通信用のInGaAsPレーザは100万時間以上の寿命に) ・ 安価 (FTTH用LDはチップコストで数百円、CD用LDは数十円に) チップの構造 出展: www.phlab.ecl.ntt.co.jp/master/04_module/002.html
半導体レーザの発振モード 分布帰還(DFB)型レーザー 回折格子によるBragg反射により、光の分布帰還が得られ、 Bragg波長近傍の単一波長で発振 発振波長 単一縦モード発振 へき開面(鏡面) L: 回折格子の周期 neff: 実効屈折率 l DFBレーザーの構造 発振スペクトル 出展: www.matsuoka-lab.imr.tohoku.ac.jp/purposes.html Fabry-Perot (FP)共振器レーザー 2枚の平行に向き合った鏡によるFP型光共振器によって正帰還が得られ発振するレーザー 発振波長 縦多モード発振 l q: モード番号 1,2 ‥‥ neff: 実効屈折率 発振スペクトル FPレーザーの構造
p+ 光 光電流 電子 電極 i ホール p+ i n+ n+ 電極 光検出器 PINフォトダイオード 逆バイアスされたpn接合に光が照射されると強度に比例した光電流が取り出せる 光 逆バイアス状態の半導体pin接合 アバランシェ フォトダイオード(APD) 基本的にはPINフォトダイオードと同じであるが、アバランシェ効果により、光電流を増倍するしくみを有している (高感度)
無反射加工 無反射加工 半導体レーザーチップ Er添加光ファイバー増幅器 コアに、エルビウム(Er3+)などの希土類を添加 波長980nmなどの光で励起すると波長1.54 mm付近に光利得発生 Er3+の準位 光増幅器の構成 ラマン増幅器 光ファイバに非常に強い励起光を入射すると、石英ガラスの分子振動エネルギーに対応して、励起光波長より100 nm程度長い波長域に光利得が得られる 光増幅器 半導体光増幅器 半導体レーザーの両端面に無反射膜を形成するなどして、光共振器をなくしたもの (光の正帰還がかからなくなるのでレーザー発振はしない) 光ファイバー増幅器
クラッド コア 0.5 mm 0.5 mm Si 基板 50 mm l1 l2 lN 光合分波器 光を波長によって分ける (分光器あるいは分波器)/多波長の光を束ねる(合波器) Arrayed Waveguide Grating この一本一本がこのような光導波路からなる 石英光導波路 スラブ導波路 Arrayed Waveguide Grating (AWG) AWGの動作原理
光スイッチ 電気制御-光スイッチ (光の経路を切り換えるが、ON-OFFの制御は電気で行う) スイッチング機構 特 徴 出力ファイバー メカニカル (MEMS) Port1 mSオーダーの遅い切換え速度 安価 Port2 入力ファイバー 入力1 出力1 mS~mSオーダーの切換え速度比較的安価 熱光学(T-O)効果 ヒーター 入力2 出力2 + nSオーダーの高速切換え高価 - 電気光学(E-O)効果 電界印加 その他に、磁気光学(M-O)型、音響光学(A-O)型などもある 光制御-光スイッチ (光-光スイッチ or All光スイッチ) ON-OFF制御も光でやる 現在研究開発中 将来の全光信号処理システムに使われるかも?
光導波路の構造 n1>n2 n2 n1 屈折率分布 コア クラッド スラブ導波路 コア クラッド n1>n2 n2 n1 光ファイバー 屈折率分布
光導波路が光を導くメカニズム n1<n2の場合 n1>n2の場合 入射波 反射波 入射波 反射波 j1 j1 j1 j1 全反射 n1 n1 qc n2 n2 Snellの法則 j2 j2 屈折波 屈折波 臨界角 n2 放射モード 全反射 全反射 qc n1 全反射 n2 n1>n2 2qmax 光が伝搬可能な入射角度の範囲 開口数: NA=sin(qmax)
全反射角 コアとクラッド界面での全反射角qcは、前スライドの臨界角より で与えられるが、 ここで、 と置いたが、Dは比屈折率差と呼ばれている 従って、n1とn2との差が小さい時、全反射角qcは以下の式で与えられる さらに、導波路が受け入れることのできる受光角(2qmax)は、 また特に、 を開口数(Numerical Aperture)という
導波路内での光伝搬 光が伝搬方向に伝わる速度は、 であり、vgを群速度(Group Velocity)という (cは光速度) クラッドへの光の浸み出し -f: Goos-Haenchen Shift n2 -f -f a k0n1 k0n1sinq n1 コア q -a k0n1cosq n2 n1>n2 -f 真空中での伝搬定数: k0=2p /l(l:波長)、媒質中ではk0n1 光の伝搬方向の伝搬定数成分bは、b= k0n1cosq 光の伝搬と垂直方向の伝搬定数成分(k0n1sinq)に対して、以下の式が成り立つ時、光伝搬と垂直方向に定在波ができる N: モード番号 (0, 1, 2 ‥‥)
導波モードと定在波 E N =0 Df=0 E N =1 2p E N =2 4p モード番号Nは、横方向の強度分布における節の数を表す
入射角度 光伝搬と垂直方向での定在波条件の式より、モード番号Nに対する入射角度qNは、 ここで、 Goos-Haenchen Shiftの値fNは、入射角度qNの関数になるが、 qNが全反射角qcよりも十分に小さい場合には、 と近似できる。 従って、モード番号Nに対する入射角度qNは、 モード番号がある値よりも大きくなると、全反射条件が満たされなくなり、伝搬できなくなる。つまり、伝搬可能なモードは、以下の条件を満たす。 従って、導波路内を伝搬可能なモード番号の最大値Nmaxが存在し、以下の条件を満たす。
モードの数 従って、導波路内を伝搬可能なモード番号の最大値Nmaxは以下の式で与えられる。 ここでVは、Vパラメータ或いは規格化周波数と呼ばれている Nmaxよりも大きなモード番号のモードは伝搬できないので、カットオフにあると言う N=3 カットオフ領域 (放射モード) N=2 群速度 w/c (k0) 1/n2 曲線の傾きはvg/cで 、群速度に対応 N=1 1/n1 モードによって群速度の値は異なる N=0 b 単一モード条件: V < p/2 導波路の分散関係
光ファイバーの種類 モード数 屈折率分布 材 料 特 徴、用 途 コア: 屈折率n1 光ファイバー通信網に幅広く使用 (海中、幹線、メトロ、加入者系) 様々な光部品(光スイッチ、光合分波器、光増幅器など)に加工されて使用 5~10 mm コア: 石英ガラス クラッド: 石英ガラス 単一モード n2 Step Index型 コア: 屈折率n1 短距離の光伝送、光インターコネクション(コンピュータ、ストレージ筐体間データ通信)、接続容易 コア: 石英ガラス クラッド: 石英ガラス 約50 mm コア: プラスチック クラッド: プラスチック 接続や取り扱いが容易なので、AV機器用データ通信に利用 n2 Step Index型 多モード コア約50 mm 一部の光ファイバー通信網で使用 (接続が容易なので主にLAN用) 比較的高価 屈折率分布 コア: 石英ガラス クラッド: 石英ガラス Graded Index型
光ファイバーにおける導波モード n2 2a n1 Step Index型多モード光ファイバー Vパラメータ 導波モードの数 V≦2.4 単一モード条件 ファイバー内の基本モード(HE11)パターン 出典: 末松安晴、伊賀健一共著、光ファイバ通信入門、オーム社
光ファイバーの分散 多モード光ファイバーにおける分散 モード分散 (Mode Dispersion) 伝搬モードによって群速度 vgが異なる モード3: vg3 モード2: vg2 モード1: vg1 vg1 > vg2 > vg3 モード1を伝搬してきた光パルス モード2 入射光パルスは複数のモードに分配されて伝搬していく モード3 伝搬モードによって群速度が異なるため、光パルスの出射時刻が異なる 光パルスの幅が広がるため、符号間干渉が起こり、ビット誤りが起こる
光ファイバーの分散 単一モードファイバーにも存在する分散 波長分散 Chromatic Dispersion 石英ガラスの材料分散 母材の石英ガラスの屈折率が波長に依存 導波路の構造分散 導波路の伝搬定数が波長に依存 l1: vg1 l2: vg2 l3: vg3 vg1 < vg2 < vg3 入射光パルスが多波長成分を有すると 波長によって群速度が異なるため、光パルスの出射時刻が異なる 偏波モード分散 Polarization Mode Dispersion ファイバーにねじれなどがあると、直交する2つの偏波モードの縮退が解け、 2つのモード間で群速度に違いが生じるようになる
光ファイバーの波長分散 光ファイバーの伝搬損失と分散特性 単一モード光ファイバー(SMF)の波長分散 出典: 末松安晴、伊賀健一共著、光ファイバ通信入門、オーム社
様々な分散特性を有する光ファイバー 分散シフト光ファイバー (Dispersion Shift Fiber: DSF) ゼロ分散となる波長を、1.55 mm帯にシフトさせた光ファイバー DSFの構造 ・単純ステップ型 ・2重コア/セグメントコア型 分散補償光ファイバ (Dispersion Compensation Fiber: DCF) 単一モードファイバー(SMF)の分散を補償するためのもので、SMFとは逆の符号の大きな分散を有する 逆分散光ファイバー (Reverse Dispersion Fiber: RDF) 単一モードファイバー(SMF)と全く逆の分散特性を有する 分散フラット光ファイバ (Dispersion Flat Fiber: DFF) 広い波長域に渡り分散をフラットにしたファイバー ノン零分散シフト光ファイバ(Non-Zero Dispersion Shift Fiber: NZ-DSF) WDM用途のため、分散を完全には零にせず、使用波長域で若干の分散を持たせたもの
その他の光ファイバー 偏波保持(保存)光ファイバー PANDA: (Polarization-maintaining AND Absorption reducing)型ファイバー HE11evenモードとHE11oddモードの伝搬定数差が大きく、少々の外乱では両モード間に結合が生じないため、ファイバーの固有偏波方向と一致する光を入射させるとその偏波が保存されたまま伝搬する コア断面が真円から歪んでいたり、特定方向に応力がかかると基本モードの縮退が解ける PANDA型ファイバーの断面 HE11xモード HE11yモード 高非線形光ファイバー 波長変換やラマン効果など、非線形光学効果を利用するための特殊な光ファイバー プラスチック光ファイバー (POF) 850nm波長帯での短距離光リンク用に開発された光ファイバーで、AV機器のデジタルデータ伝送用ケーブルとして身近になっている
フォトニック結晶光ファイバー T. A. Birks et al., 12B3-1 OECC2000 2. 低屈折率コア型(コアが空気) Photonic Bandgap Fiber 特徴: ・ コアが空気なので非線型効果小 ・ 超低損失材料の必要は無い 1. 高屈折率コア型 Holey Fiber 特徴: ・ 分散量を自由に設計可能 ・ 高効率非線形光学効果利用可
分散補償技術 光学的分散補償デバイス 原理: 伝送路としての光ファイバーとは逆の分散特性を有するデバイスを接続 分散補償光ファイバー(Dispersion Compensation Fiber) (長さに応じて)大きな分散でも広帯域に補償できる。補償する分散量は長さに応じて固定。波長分散の補償のみに有効(偏波分散は×) 分散補償素子 様々なタイプのものが有るが、比較的小さな分散を補償。補償する分散量を可変できるものも有る。ただし、応答速度は比較的遅い 電気的分散補償 (Electronic Dispersion Compensation) 比較的小さく、時々刻々変化する分散量を電気的信号処理により補償。高速応答
光伝送方式 強度変調-直接検波 (Intensity Modulation - Direct Detection: IM-DD)方式 現在の光通信で最も広く用いられている方式。光のコヒーレンス性はあまり利用して いない LDのI-L特性 光出力 光信号 PD 電流 検波出力信号(電気) 変調信号(電気) LDの強度変調 PDによる直接検波 コヒーレント方式 光のコヒーレンスをより積極的に利用する先進的方式。光の振幅、周波数、位相などに情報を載せるASK, FSK, PSKなどがある。IM-DD方式に対して受信感度が改善される。今後徐々に普及する見通し アナログ変調方式 CATVによる映像のアナログ伝送や、マイクロ波の光伝送、リモートアンテナなど、 ごく限られた用途で用いられている
光変調方式 Q I Q 01 11 I Q 00 10 QPSK 1 0 1 0 I QASK 0 1 0 1 0 1 0 y y 0 1 0 x x 光ファイバー通信で用いられる変調方式 デジタル変調 変調対象 アナログ変調 二値(バイナリ) 多値 AM (IM) ASK (OOK) 振幅変調 FM FSK 周波数変調 PM PSK 位相変調 16QAM 偏波変調