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横浜総合病院 創傷ケアセンター メディカルディレクター 東田 隆治. 糖尿病足病変・壊疽 ~足の切断を免れるために~. 糖尿病性足病変について 本日の内容. 糖尿病と足病変の実態 糖尿病性潰瘍・壊死の治療 創傷ケアセンターの役割 糖尿病足病変の予防. 中原区医師会糖尿病病診連携の会 Sep. 8, 2009. 米国の糖尿病事情. 米国糖尿病患者 推定 2100 万人(全人口の約 7 %) 準糖尿病患者 4100 万人 糖尿病は下肢切断の第一原因 毎年 82,000 件の下肢切断 糖尿病患者の 15 %に足創傷 足創傷の 24 %が下肢切断
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横浜総合病院 創傷ケアセンター メディカルディレクター 東田 隆治 糖尿病足病変・壊疽~足の切断を免れるために~
糖尿病性足病変について本日の内容 • 糖尿病と足病変の実態 • 糖尿病性潰瘍・壊死の治療 • 創傷ケアセンターの役割 • 糖尿病足病変の予防 中原区医師会糖尿病病診連携の会 Sep. 8, 2009
米国の糖尿病事情 • 米国糖尿病患者 • 推定 2100万人(全人口の約7%) • 準糖尿病患者 4100万人 • 糖尿病は下肢切断の第一原因 • 毎年82,000件の下肢切断 • 糖尿病患者の15%に足創傷 • 足創傷の24%が下肢切断 • 下肢切断後の5年生存率 = 約32% 特集 “アメリカの将来” DM Epidemic in the USA
日本の糖尿病 2210万人 1620万人 万人 1370万人 年 厚生労働省「2007年国民健康・栄養調査国民健康・栄養調査」
糖尿病性足潰瘍・下肢切断 • 現在治療中の糖尿病患者数 • 糖尿病が強く疑われる人×50.6% = 450万人 • 足潰瘍・壊疽のある患者数 • 現在治療を受けている人×1.6% = 7.2万人 • 下肢切断に至る患者数 • 現在治療を受けている人×0.6% = 2.7万人 下肢切断後の5年以内の死亡率 約70%
微小血管障害 網膜症 腎症 神経障害 大血管障害 脳血管障害 心疾患 閉塞性動脈硬化症 糖尿病の合併症 免疫力低下 足の変形 鶏眼・胼胝 皮膚乾燥・亀裂 熱傷・外傷・靴擦れ 重症下肢虚血 感染 糖尿病性下肢潰瘍・壊死
糖尿病性潰瘍の病因別相対有病率 分類不能 15% 神経性 45% 虚血性 16% 神経虚血性 24% Moulik PK, et al: Diabetes Care 26:491-494,2003
微小血管障害 網膜症 腎症 神経障害 大血管障害 脳血管障害 心疾患 閉塞性動脈硬化症 糖尿病の合併症 免疫力低下 足の変形 鶏眼・胼胝 皮膚乾燥・亀裂 熱傷・外傷・靴擦れ 重症下肢虚血 感染 糖尿病性下肢潰瘍・壊死
糖尿病性神経障害 • 知覚神経障害 • → 足底荷重の不均衡がフィードバックされない • → 立位・歩行時に荷重が足底の特定の位置に集中 • → 胼胝・鶏眼 • 温痛覚障害 • → 怪我・熱傷(低温) • 交感神経障害 • → 皮膚動静脈シャントの増大 • → 毛細血管床の有効血流低下
微小血管障害 網膜症 腎症 神経障害 大血管障害 脳血管障害 心疾患 閉塞性動脈硬化症 糖尿病の合併症 免疫力低下 足の変形 鶏眼・胼胝 皮膚乾燥・亀裂 熱傷・外傷・靴擦れ 重症下肢虚血 感染 糖尿病性下肢潰瘍・壊死
血管専門医だけでなく、プライマリケアにおいてPAD患者を診察する医師にもガイドラインとなることを目的として血管専門医だけでなく、プライマリケアにおいてPAD患者を診察する医師にもガイドラインとなることを目的として J Vasc Surg 45 (Suppl S) : S5-S67, 2007
足関節上腕血圧比(ankle-brachial index; ABI) 正常値: 0.9 ~ 1.3 ABI 低値と心血管イベントor 全死亡率には有意な相関あり Norman PE, etal: Diabetes Care 29:575-580,2006 ABI 異常高値と心血管イベントor 全死亡率にも有意な相関あり Resnick HE, etal: Circulation 109:733-739,2004
日本人糖尿病患者のPAD有病率 • 九州動脈硬化研究(2001~2003年) • ABI < 0.9 263例/3906例 7.6 % vs 2.7% Maeda Y: Peripheral arterial disease and diabetes. Angiology Frontier 7: 17-23, 2008
PADの診断率・治療率 Maeda Y: Peripheral arterial disease and diabetes. Angiology Frontier 7: 17-23, 2008
ADAによるPAD管理ガイドライン • PADの存在は下肢切断だけでなく,虚血性心疾患および脳血管障害の危険因子でもある. • ABIによるPADスクリーニングは非侵襲的診断方法として有用である. • 糖尿病患者は最低でも5年に1回はABI測定を行う必要がある.特に50歳以上の糖尿病患者では全例に施行すべきである. ADA: Peripheral arterial disease in people with diabetes. Diabetes Care 26:333-341,2003
糖尿病性虚血性潰瘍 • HbA1cが1%増加するごとに,PADのリスクが26%増大する. • Selvin E, et al: Ann Intern Med 141: 421-431,2004 • 安静時痛や潰瘍の原因となる重症下肢虚血を発症するリスクは非糖尿病患者と比べ4倍高い. • Norgren L, et al: J Vasc Surg 45(I Suppl): S5-S67,2007 • 大切断に至る率は5~10倍高い. • Norgren L, et al: J Vasc Surg 45(I Suppl): S5-S67,2007
重症下肢虚血(Critical limb ischemia: CLI) • 客観的に証明された動脈閉塞性疾患に起因する慢性虚血性安静時疼痛,潰瘍あるいは壊疽を有するすべての患者. • 慢性疾患であり,急性下肢虚血とは区別される. • 1年以内の死亡率 25% • 1年以内の下肢切断率 25% Wolfe JHN: Br J Surg 11: 153-157, 1986
末梢動脈疾患の重傷度と生存率 跛行患者 重症下肢虚血患者 Norgren L et al. Eur J Vasc Endovasc Surg 33(1 Suppl).S1, 2007
PADと冠動脈疾患・脳動脈疾患 Bhatt DL et al. JAMA 295: 180-189, 2006
CAD, CVD, PADにおけるpolyvascular diseaseの比率 REACH Registry Investigators: JAMA 295(2); 180-189, 2006
症例1 86歳 女性 • 2008年2月,右足背部の腫脹,痛みが出現. 2月7日,皮膚科にて巻き爪処置するも腫脹軽減せず,2月20日,整形外科受診. ABIの低下あり,当科紹介. • ABI: Rt. (-), Lt. 0.50
3D-CT 右外腸骨動脈 100% 右浅大腿動脈 100% 左浅大腿動脈 100% 右後脛骨動脈 100% 左後脛骨動脈 100%
右腋窩動脈 –両側大腿動脈 –両側膝窩動脈バイパス 右腋窩動脈-両側大腿動脈 開存 両側大腿動脈-膝窩動脈 閉塞
皮膚灌流圧(SPP) 再灌流 駆血 ドプラーシフト量 全レーザー光 %perfusion = 創治癒のためには40mmHg以上が必要
皮膚灌流圧(skin perfusion pressure; SPP) Right Foot – Dorsal 18 mmHg Right Foot – Plantar 18 mmHg
右大腿動脈-膝窩動脈バイパスグラフト血栓除去と膝窩動脈・腓骨動脈へのバルーン形成術右大腿動脈-膝窩動脈バイパスグラフト血栓除去と膝窩動脈・腓骨動脈へのバルーン形成術 Right Foot – Dorsal 27 mmHg
人工血管-後脛骨動脈バイパス SPP Right Foot – Dorsal 60 mmHg One straight line
症例 2 62歳 女性 • 2005年~糖尿病.2007年11月18日,心不全, 腎不全で入院.血液透析導入, • 冠動脈造影: 前下行枝 90%狭窄, 右冠動脈 90%狭窄 , 2007年12月17日,経皮的冠動脈形成術. • 2007年12月末,こたつで両側足趾に低温熱傷. 皮膚科で保存的治療行ったが,壊死となった. • 2008年2月1日,形成外科で切断,断端形成行った. 創離開し,血行再建必要と判断され紹介.
血管造影 右浅大腿動脈 完全閉塞 左浅大腿動脈 90%狭窄
血管造影 右前脛骨動脈 完全閉塞 左前脛骨動脈 90%狭窄 右後脛骨動脈 90%狭窄 左後脛骨動脈 完全閉塞
皮膚灌流圧(SPP) 再灌流 駆血 ドプラーシフト量 全レーザー光 %perfusion = 創治癒のためには40mmHg以上が必要 右足背 53 mmHg 右足底 94 mmHg 左足背 58 mmHg 左足底 74 mmHg
微小血管障害 網膜症 腎症 神経障害 大血管障害 脳血管障害 心疾患 閉塞性動脈硬化症 糖尿病の合併症 免疫力低下 足の変形 鶏眼・胼胝 皮膚乾燥・亀裂 熱傷・外傷・靴擦れ 重症下肢虚血 感染 糖尿病性下肢潰瘍・壊死
症例 3 75歳 女性 • 慢性関節リウマチでプレドニン服用 • 糖尿病あり • 約2年前,階段で左下腿にできた傷が治らず潰瘍化,感染を合併し潰瘍拡大.