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化学工学概論. Quinine. Nelfinavir. Non-proteinogenic a -amino acids. Travoprost. 東北大学 農学部 ( 2009 年 12 月). Quinine a Molecule That Changed the World. 11. 3. 4. 7. 5. 5. 6’. 2. 8. 1. 9. 1. 4. 6. 4’. Quinine (英:クァイナイン)・ キニン ・ キニーネ. 1’. 1.
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化学工学概論 Quinine Nelfinavir Non-proteinogenic a-amino acids Travoprost 東北大学 農学部 (2009 年 12 月)
Quininea Molecule That Changed the World 11 3 4 7 5 5 6’ 2 8 1 9 1 4 6 4’ Quinine(英:クァイナイン)・ キニン ・ キニーネ 1’ 1 (R)- 6-Methoxyquinolin-4-yl-[(2S,4S,5R)-5- vinyl-1-aza-bicyclo[2.2.2]oct-2-yl]methanol
学んでほしいこと • 科学(化学)の営みは、社会・経済活動とつねに連動している(互いに影響し合っている) • 科学(化学)にも流行がある。うわべの流行(技術的潮流)に眼を奪われることなく、精神活動としての科学(化学)を求めよう〈不易流行〉 • 科学(化学)には夢があるが、一つ間違うと人間の欲望を際限なく拡大させる手段に堕してしまう • ことに化学は、資源の分配・争奪と無関係ではないから、化学者には合理性に支えられた〈やさしさ〉と〈思いやり〉が求められる • 最近ではさまざまな試薬や触媒が使えるようになったが、有機化学そのものに対する洞察なしに、意味のある有機合成を達成することはできない(21 世紀に生きる私たちは、60 年以上も昔の Woodward よりも賢くなったのだろうか)
Quinine • マラリア治療薬 • アンデス山地東側が原産の Rubiaceae(アカネ)科 Cinchona属と Remijia 属植物が1–5% 含有 • 1820 年 Pierre Joseph Pelletier とJoseph Bienaimé Caventou が単離 • 1854 年 Adolf Strecker が正しい分子式(C20H24N2O2)を提出 • 1908 年 Paul Rabe が平面構造を決定 • 1944 年 Vladimir Prelog が立体構造を決定 • 1944 年 Robert Burns Woodward による形式(リレー)合成 • 2001 年 Gilbert Stork による立体選択的合成
マラリア(malaria) • マラリア原虫(Plasmodium)が引き起こす伝染性の疾患 • 伝染を媒介するのはハマダラカ(Anopheles) • 特徴的症状は、発熱の周期的反復(間欠熱)、倦怠、貧血症など • 世界の人口の 40% がマラリアの感染地域で生活。ことにサハラ以南のアフリカで蔓延 • 毎年 3–5 億人が新たにマラリアに感染 • 毎年 150–270 万人がマラリアで死亡。その多くは 5 歳未満の子供と妊婦
マラリア原虫(Plasmodium) • マラリア原虫の種類 P. falciparum熱帯性マラリア原虫 P. vivax三日熱マラリア原虫P. malariae四日熱マラリア原虫 P. ovale卵形マラリア原虫 • マラリア感染の 95% は P. falciparum と P. vivax によるもの • P. falciparum による感染がもっとも重篤で、感染後 2–3日で重症化。脳に血栓を生じることもあり、致死率は 10–40% • ハマダラカの吸血の過程でヒトの血流に入ったマラリア原虫は、いったん肝臓に寄生したのち、再び血流に出て赤血球に侵入し、そこで増殖 • 赤血球が壊れて内容物やマラリア原虫の老廃物が血中に放出されると、発熱、悪寒、頭痛、腹痛、背中の痛み、吐き気、下痢、嘔吐を発症
マラリア原虫の生活環(1) Anopheles(ハマダラカ)雌 赤血球 Oocyst 無性(増員) 生殖 (中腸) Gametocyte Merozoite Gametocyte Sporozoite Merozoite 有性生殖 (唾液腺) 無性生殖 Merozoite(16–32個) ヒト 48 時間 P. falciparum P. vivax, P. ovale 72 時間 P. malariae Sporozoite(15–20 個) 血液 (< 30 分) 赤血球 肝臓 Merozoite Hepatic schizont 無性生殖 Trophozoite Blood schizont P. vivax P. ovale Merozoite 無性生殖 Merozoite (1–3 万個) (1 周期 48 時間) Hypnozoite Ring (1–2 週間) (肝臓休眠)
マラリアとノーベル賞(1) Charles Louis Alphonse Laveran(仏) • 外科医・陸軍軍医 • 1880 年、赴任先のConstantine(アルジェリア)の陸軍病院で、マラリア患者から採取した新鮮な血液にマラリア原虫を発見 • 1907 Nobel prize in physiology or medicine for recognition of his work on the role played by protozoa in causing diseases Ring (1845–1922) Ronald Ross(英) • 外科医 • 1897 年、勤務先の Secunderabad(インド)の病院で、ハマダラカ(Anopheles)がマラリアを媒介することを証明 • 1902 Nobel prize in physiology or medicine for recognition of his work on malaria, by which he has shown how it enters the organism and thereby has laid the foundation for successful research on this disease and methods of combating it Oocysts (1857–1932)
マラリアとノーベル賞(2) Paul Hermann Müller(スイス) • 1939 年 J. R. Geigy 社(バーゼル)で DDT(dichlorodi-phenyltrichloroethane)を合成し、優れた殺虫活性のあることを発見 • DDT は1939 年にはスイス政府、1943 年には米国農務省(USDA)が農薬としての有効性を確認 + (1899–1965) • 1944 年 DDT はナポリでシラミ駆除に利用され、冬季チフスの流行阻止に成功 • 1948 Nobel prize in physiology or medicine for recognition ofhis discovery of the high efficiency of DDT as a contact poison against severalarthropods • DDT の第一次作用点は神経膜のNaチャンネル • 残留性の問題により DDT は 1970 年までにはほとんどの国で使用が禁止 • 2006 年、WHOはマラリア予防のために DDT を限定的に使用することを承認 • 現在 DDT を製造しているのはインドと中国
キニンの抗マラリア作用 Hemazoin Heme Hemoglobin • キニンはヘモグロビンの消化を阻害 • MDR 1 をコードした遺伝子(mdr1)の増幅によって キニン耐性が発現 Amino acids Digestive vacuole (消化胞) MDR 1 Cytosol(細胞質) MDR 1 = multi drug resistance transporter 1 Quinine Heme
quina-quina • キニンは、アカネ科の Cinchona属(またはRemijia属)のキナノキの樹皮に含まれるアルカロイド • キナノキは、アンデス山脈(ベネズエラからボリビア)の東部(標高 1500–2700 m)に産する常緑樹 • インカ文明で栄えたペルーの先住民は、キナノキを キナキナ(kina-kina)、キンキナ(kinkina)と呼び、スペインに征服される以前から、その樹皮を解熱に使用して ”ganna perides”(fever stick)と呼んでいた • キナ(kina)とは、ペルーの先住民の言葉(ケチュア語)で樹皮のことで、これを繰り返したキナキナ(kina-kina)は薬用樹皮の大木を意味する
リンネの命名で伯爵夫人の伝説は語り継がれることになったがリンネの命名で伯爵夫人の伝説は語り継がれることになったが • 伯爵夫人はペルー滞在中マラリアにかかったという記録はない • 彼女はスペインへの帰途、コロンビアの港町カルタヘナで死亡したのでキナ樹皮を自らスペインに伝えることはなかった 伯爵夫人の散薬 • スペインのペルー総督・副王としてリマに派遣されていたシンコン(Chinchón)伯爵の夫人がマラリアにかかったが、侍医がキナ樹皮のエキスを与えたところまたたくまに全快した • この効能に驚いた夫人は、1638 年この樹皮をスペインに持ち帰った。そしてキナ樹皮は伯爵夫人の名にちなんでシンコナ、キンコナ、その粉末は「伯爵夫人の散薬」と呼ばれた • リンネ(スウェーデンの植物学者)は 1742 年、この伝説をもとに 薬用樹皮を採取した木の属名に Cinchona を採用した
イエズス会宣教師の樹皮(Jesuit’s bark) • マラリアを新大陸(南米)に持ち込んだのは欧州人で、南米はマラリアが持ち込まれると同時に、治療薬(キナ樹皮)を欧州に輸出 • キナ樹皮がマラリアの治療に使われた最初の記録は、1630 年頃リマでイエズス会宣教師に対するもの • キナ樹皮をマラリア治療薬として欧州に伝えたのは、二人のイエズス会士、Antonio de la Calancha 神父(ペルー)と Juan de Lugo 枢機卿(スペイン)の功績で1640 年頃(枢機卿の散薬) • 17 世紀半ばマラリアが猖獗をきわめたのがローマであったこともあり、キナ樹皮のマラリア治療薬としての普及にはイエズス会士が貢献(教皇の散薬) • 1677 年キナ樹皮は、マラリア治療薬としてロンドン薬局方に記載 • キナ樹皮の南米から欧州への輸入はスペインが独占して 200 年間続くことになるが、キナノキの自然林は次第に消滅 Juan de Lugo
キナ樹皮中の活性成分の探求 • 産地、輸送条件によってキナ樹皮に含まれる有効成分(キニン)の量(したがってマラリアに対する薬効)が変動するため、散薬の混ぜもの(adulteration)が出回る • 18 世紀になると散薬の粗悪品を検出するためにも、キナ樹皮からマラリア治療に有効な活性物質(active principle)を単離する試みに化学者が挑戦 • Antonie François Fourcroy (仏)はキナ樹皮を水、アルコール、酸、アルカリで抽出し、体系的に分析して 1790 年、樹皮に触れた水がリトマス青を呈する(アルカリ性である)ことを観察。 さらにキナ樹皮の浸漬液を石灰水で処理すると緑色の沈殿が生成することも観察 (1755–1809)
アルカロイドの単離 • ドイツでは 1805 年、Friedrich Wilhelm Sertürner がモルヒネと酸が結晶性の塩を形成することを見出してモルヒネの単離に成功 F. W. Sertürner • フランスでは、Joseph LouisGay-Lussac が 同僚の PierreJean Robiquet に Sertürner の手法を他の有機化合物の単離に応用することを提案(Robiquet は、アスパラギンやコデインを単離した化学者) (1783–1841) Gay-Lussac (1778–1850) Morphine • Robiquet の指示を受けた Pierre JosephPelletier と Joseph Bienaimé Caventou は、Sertürner の手法を用いてエメチン(1817)、ストリキニン(1818)、ブルシン(1819)などのアルカロイドの単離に成功
キニンの単離と近代製薬産業の始まり • 1820 年 Pelletier と Caventou は、キナノキの黄色樹皮から 2 種の物質を単離することに成功し、キニンとシンコニンと命名 • 臨床試験によって、キニンはマラリアの治療に有効であるが、シンコニンは無効であることが示され、純粋なキニンを用いたマラリア治療法も確立 • Pelletier と Caventou は、キニンを抽出するための工場をパリに建設(近代製薬産業の始まり) 左: Caventou(1795–1877) 右: Pelletier(1788–1842) Cinchonine Quinine
キニン単離のその後 • キナノキと同じ Rubiaceae(アカネ)科に属するコーヒーの木にもキニンが含まれると考えたRobiquet は 1821 年、コーヒーの木からカフェインを単離 • 1844 年までに Cinchona属植物から、キニンと類縁のアルカロイド(25 種類)単離。その後 1941 までに 6 種が追加 Caffeine (1821) Cinchonidine 1844 年 Winckler Quinidine 1833 年 Henry, Delondre
キノリン(quinoline)環の N 原子が H 原子の酸性度を高めている d-Quinotoxine Weak or diluted acids Pasteur, L. Compt. Rend. 1853, 37, 110. Pasteur, L. Liebigs Ann. Chem. 1853, 88, 209. + H Quinine d-Quinotoxine + H
ラセミ酒石酸の分割 Pasteur, L. Compt. Rend. 1853, 37, 162. Louis Pasteur(仏)が ジアステレオマー塩の形成 を利用した分割に 世界で初めて成功 (1:1) L-(+)-(2R,3R) Natural D-(-)-(2S,3S) Unnatural (1822–1895) Racemic (±)-tartaric acid • 結晶化 d-Quinotoxine は 世界最初の分割剤 2 Diastereomeric salt d-Quinotoxine
キニンの供給が帝国の繁栄を左右 • アンデス山脈東斜面のキナノキの自然林が 19 世紀初めにほぼ消滅したため、キニンの価格は高騰。(1880 年のキナノキの主要産地は、依然コロンビア) • 英・仏・蘭は、マラリアが猖獗する植民地の支配に大量のキニンを必要。1850 年代、東インド会社(英)は年間 10 万ポンドをかけてキナ樹皮を購入したがそれでも不足 • 1855 年、Charles Ledger(英国貿易商)がキナノキの種子をインドとジャワ(Dutch East Indies)に送ったところ、ジャワでのプランテーション化に成功。品種改良によって樹皮に 18.5% のキニンを含むキナノキも出現 • 第二次世界大戦まで世界のキニン供給は、オランダが支配 英はスリランカとインドで キナノキの栽培に部分的に成功
キニン合成への挑戦 1849 年、August Wilhelm von Hofmann がロイヤル・カレッジ(Royal College of Chemistry)での講演で、有機化学が実社会に役立つことを実証するために、キニン合成に挑むことを表明 • Hofmann は Gießen 大学の Justus von Liebig のもとで化学を学ぶ • イギリス王子 Albert(Prince Consort of Victoria)がHofmann を Royal College of Chemistry(RCC)の初代学長として招聘 • RCC は 1845 年、実践的化学教育を目的として英国王室と政界による資金援助で設立され、1872 年まで存続 • RCC への資金提供者たちは、 Hofmann に対して社会に役立つ(実利のある)化学研究を要望 Hofmann (1818–1892) Liebig (1803–1873)
加減法によるキニン合成の試み 1856 年、RCC がイースター休暇に入ると、18 歳の William H. Perkin は自宅の実験室で、Hofmann の指示に従って N-allyltoluidine を酸化 2 C10H13N + 3 [O] C20H24N2O2 + H2O 実際に得られたのは赤褐色のタール状物質 K2Cr2O3 ? 2 X N-Allyltoluidine (mostly para)
19 世紀後半における有機構造論 • 1854 年 Adolf Srecker(独)がキニンの正しい分子式 (C20H22N2O2)を提出 • 1858 年 Friedrich August Kekulé(独) と Archibald Scott Couper(英) が〈炭素原子四価説〉を 独立に提唱 • 1865 年 Kekulé がベンゼンの共鳴構造式を提唱 • 1874 年 Jacobus H. van’t Hoff(蘭)と Joseph-Achille Le Bel(仏)が〈炭素四面体説〉を独立に提唱 Strecker (1822–1879) Kekulé (1829–1896) Couper (1831–1892) van’t Hoff (1852–1911)
Perkin の発見(セレンディピティー) • Perkin は、N-allyltoluidine(C10H13N)の代わりに 入手の容易な aniline(C6H7N) を使って同じように酸化 • Aniline を酸化して得られたのは真っ黒な固体 • 真っ黒な固体をフラスコから洗い出すために使った、アルコールや水が紫色に着色することを発見 • この溶液に布を浸すと美しい紫色に染まったことから、 Perkin は黒色の固体混合物から紫色の染料を抽出する方法を開発 K2Cr2O3 Quinine (C20H22N2O2) + Aniline (C6H7N) R = H, Me Perkin は偶然にも、キニンではなく紫色の染料(世界初の合成染料)を合成
コールタール由来の粗ベンゼンはトルエンを含有コールタール由来の粗ベンゼンはトルエンを含有 1 Perkin がクロム酸カリで酸化したのは、 純粋な aniline (1)ではなく o-toluidine(2) と p-toluidine (3)を含む混合物だった 2 3
Perkin のアニリン・パープル 3 1 2 Aniline • Perkin が黒色の固体から抽出したパープル染料の収率は 5% • Meth-Cohn, O.; Smith, M. J. Chem. Soc. Perkin Trans. I1994, 5. 1 + - 1 OAc o-Toluidine 2 2 2 3 p-Toluidine + 3 - 1 OAc
モーブ(mauve)・モーベイン(mauveine) • Perkin は、Hofmann の反対にもかかわらず、発明した染料の特許を取り、父親の資金的援助を受けて染料の商業化に着手 • 1857 年、 Perkin はロンドン近郊の Greenford Green に染料工場を建設。これが有機化合物を大量に製造するための世界で最初の工場 • Perkin がコールタールから製造した紫色の染料(anilinepurple)は耐久性に優れ、色褪せしなかったため〈モーブ(仏)〉と呼ばれて一世を風靡し、ビクトリア女王も愛好 • モーブの成功によって合成染料工業が誕生 Perkin の発明以前、紫色の染料は、地中海産の 小さなムラサキ貝(Murex brandaris)から取られて いたが、1 g の染料を作るには 9000 個の貝が必要。 そのため長い間、 紫色を使えたのは王侯貴族など富裕な特権階級のみ(tyrian purple)
アリザリン(alizarin) • アリザリンは、セイヨウアカネグサ(Rubia tinctorum)の根から得られる赤色染料で、古代エジプトではミイラを包む布の染色に使用 • 1868 年、Johann Friedrich Wilhelm Adolf von Baeyer (独)の助手であった Carl Gräbe と Carl Liebermann は、alizarin を亜鉛の粉末と加熱すると、anthracene(コール・タールの一成分)に変換されることを発見 • Gräbe と Liebermann は、anthracene に酸素を付け足せば、 alizarin が得られると推論 Zn dust heat [O] ?
合成アリザリン • 1868 年、Gräbe と Liebermann は anthracene から alizarin を合成することに成功。これが天然染料を実験室で合成した最初となったが、工業的生産には不適 • 二人の発表を知った Perkin は、anthracene から alizarin を製造する工業的方法を開発し、1869 年末には 1 トンのアリザリンを製造。1871年には、年間 220 トンの alizarin を製造 • Gräbe と Lieberman は、BASF(Badische Anilin- und Soda-Fabrik)の Heinrich Caro と共同で アリザリンの工業的製法を確立。それは偶然にも Perkin の製法と同じであったが、特許は BASFが 1日早く出願 • 1874 年、 36 歳の Perkin は自分の工場を売り払ったが、モーブを発明した古い家で化学研究を継続 1838–1907
Gräbe, Leibermann, Caro による alizarin の製法(1869 年) 1. SO3, H2SO4 [O] アリザリンは媒染染料で、実際の染料に使用されるのは金属イオンとの錯塩(アルミニウムで赤、銅で紫、クロムでボルドー色、鉄で黒紫) 2. NaOH NaOH, KClO3 H2O - + Na fusion, [O] 170 C, 20 h Alizarin
Perkin 反応 1868 年、Perkin は世界最初の合成香料として coumarin(クマリン)の 合成に成功。この時見出したのが Perkin反応 + 2 - + Na 2 + + - + Na Coumarin hay, woodruff gingerbread
Perkin 反応の応用[Baeyer による indigo の第 2 合成(1882 年)] KOH Br2 BASF は1890 年頃までこの方法で indigo を製造したが価格は天然のものと比べ さほど安くならなかった EtOH (Perkin 反応で調製) heat Cu2Cl2 K3Fe(CN)6 NH3 H2O - + H2SO4 (NH4)S2 + -
現在の indigo の工業的製法(BASF) - MeNO2 NaOMe + NaS2O4 - + Na 1905 Nobel prize in Chemistry for recognition of his services in the advancement of organic chemistry and the chemicalindustry, through his work on organic dyes and hydroaromatic compounds NaOH H2O, 6 C (82%) MeOH (90%) Tyrian purple は indigo が臭素化されたもの Baeyer (1835–1917)
減成実験によるキニン(quinine)の構造決定 • 1853 年 Pasteur が、キニンが左旋性であることと、弱酸で処理 すると d-キノトキシン(quinotoxine)に変化することを報告 • 1854 年 Srecker がキニンの正しい分子式(C20H22N2O2)を提出 • 1908 年 (Perkin の死の翌年)Paul Rabe (独)がキニンの平面 構造式を提出 • 1944 年 Vladimir Prelog(クロアチア/スイス)が立体構造を決定
キニンの芳香環(aromatic)部分の構造 キニンの構造の解明には Adolf von Baeyer、W. Königs、Z. H. Skraup ら当時のヨーロッパの卓越した有機化学者の多くが挑戦 [O] (HNO3, H2CrO4) KOH fusion + H2O or H 6-Methoxyquinoline Quininic acid 6-Methoxylepidine
キニンの非芳香環(non-aromatic)部分の構造 • Königs, W. Ber. Dtsch. Chem. Ges. 1894, 27, 900. • Königs, W. Ber. Dtsch. Chem. Ges. 1894, 27, 1501. + dil H = Meroquinene mero = meros (ギリシャ語) = part(部分) + weak H [O] d-Quinotoxine
キニンに対する希酸の作用 3 d-Quinotoxine 2 4 1 8 + H 6 8 9 Quinine 1 3 6 8 4 9
希酸によるメロキニン(meroquinene)の生成 + H 6-Methoxylepidine OH2 Meroquinene + H + H
メロキニンはシンコナアルカロイドに共通の分解産物メロキニンはシンコナアルカロイドに共通の分解産物 4種の異性体は(少なくとも)8 位に関するジアステレオマー 1. Königs, W. LiebigsAnn. Chem. 1906, 347, 172. 2. Rabe, P. LiebigsAnn. Chem. 1909, 365, 353. 8 Cinchonidine R = H Quinine R = OMe 8 Cinchonine R = H Quinidine R = OMe
キニンの立体化学(相対配置) Cinchonine R = H Quinidine R = OMe 3 7 3. Leithe, W. Ber. Dtsch. Chem. Ges. 1932, 65, 660. 4. Freundenberg, K. J. Am. Chem. Soc. 1932, 54, 234. 8 位に関するジアステレオマー 9 8 8 Cinchonidine R = H Quinine R = OMe 3 位ビニル基は C-7/C-8 と同じ側 3 環化が起こらないので 8 位の立体配置は exo1,2 8 1. Kenner, J. Ann. Rep. Chem. Soc. 1922, 19, 157. 2. Dománski, T.; Suszko, J. Rec. Trav. Chim. 1935, 966. 9 (S) 8 位と 9 位の相対配置はエフェドリンとの比較から erythro と推定3,4 (R) Ephedrine
Prelog によるキニンの立体配置の決定 10 11 6’ 1. Kaufmann, A. et al. Ber. Dtsch. Chem. Ges. 1916, 49, 2302. 2. Prelog, V.; Zalan, E. Helv. Chim. Acta1944, 27, 535. 3. Prelog, V.; Zalan, E. Helv. Chim. Acta1944, 27, 545. von Braun degradation PBr5 8 3 位と4 位の立体配置が 決まれば 8 位と 9 位の 立体配置も決まる Cinchonine 1. HBr 2. Zn/AcOH 4 Reduction 3 3 4 2 4 3 1 Dihydrocinchonine
メロキニンの 3位と 4位の立体配置 1. NaOEt 1. Ag 2. Br2 1. Prelog, V.; Zalan, E. Helv. Chim. Acta1944, 27, 535. 2. Prelog, V.; Zalan, E. Helv. Chim. Acta1944, 27, 545. 3. Raney Ni 2. aq NaOH Optically inactive catalytic hydrogenolysis 3,4-cis 1975 Nobel prize in Chemistry for his research into the stereochemistry of organic molecules and reactions (R)-(-)-2-Methylbutanoic acid (1906–1998)
シンコナアルカロイド(Cinchona alkaloids)の構造 3 4 7 8 9 Cinchonidine Quinine 3 4 8 位と 9 位の立体配置は 鏡像の関係 3 位と 4 位の立体 配置は共通 Cinchonine Quinidine
Rabe の減成実験(1909 年) Rabe, P. Liebigs Ann. Chem. 1909, 365, 366. d-Quinotoxine の平面 構造を提出したのは Rabe Rabe, P. Liebigs Ann. Chem. 1909, 365, 353. Oppenauer 酸化 NaOEt EtOH t-BuOK + Rabe は 40 年にわたりキニンの化学を研究
塩基の存在下キニンと亜硝酸アミルの反応 - + EtO Na - + Na Ar - + + - Na Na OEt
オキシム(oxime)の加水分解 - HO = - OH Meroquinene
Rabe による cinchonine の減成実験 Cinchonine Dihydrocinchotoxine 接触還元 弱酸 + H Dihydrocinchonine
N-Benzoylhomocincholoipon ethyl ester 1. PhCOCl 2. MeI - I + Dihydrocinchotoxine - 1. KMnO4, OH + 2. EtOH, H