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第 14 回大阪府市統合本部会議資料. 資料3-1. 地下鉄事業について (最終報告). 2012 年 6 月 19 日 地下鉄民営化・成長戦略 PT. 【PT リーダー 】 大阪市都市制度改革室 府市再編担当部長 堀 秀司 【PT サブリーダー 】 大阪市交通局 経営企画担当部長 岡橋 和成. 【 アドバイザー 】 大阪府・大阪市特別顧問 上山 信一、余語 邦彦 大阪府・大阪市特別参与 太田 薫正、佐々木 潤. 目 次. Ⅰ はじめに Ⅱ 地下鉄事業の現状 Ⅲ 民営化の効果について Ⅲ -1 前提条件とまとめ Ⅲ -2 改善方策
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第14回大阪府市統合本部会議資料 資料3-1 地下鉄事業について(最終報告) 2012年6月19日 地下鉄民営化・成長戦略PT 【PTリーダー】 大阪市都市制度改革室 府市再編担当部長 堀 秀司 【PTサブリーダー】大阪市交通局 経営企画担当部長 岡橋 和成 【アドバイザー】大阪府・大阪市特別顧問 上山 信一、余語 邦彦 大阪府・大阪市特別参与 太田 薫正、佐々木 潤
目 次 Ⅰ はじめに Ⅱ 地下鉄事業の現状 Ⅲ 民営化の効果について Ⅲ-1 前提条件とまとめ Ⅲ-2 改善方策 Ⅲ-3 現状の運営体制の問題点 Ⅳ 安全とサービスの向上 Ⅳ-1 安全の確保 Ⅳ-2 サービス向上 Ⅴ 事業運営のあるべき姿 Ⅴ-1 組織設計 Ⅴ-2 子会社(外郭団体)の戦略的活用 Ⅴ-2 システム構築 Ⅴ-3 私鉄との共通化 Ⅵ その他課題 (1) 資産・資本政策(B/S) (2) 広域化の検討 (3) 制度面の課題 Ⅶ 民営化スケジュールの概略
Ⅰ はじめに • 地下鉄事業者の中では東京メトロに次ぐ事業規模である大阪市の地下鉄事業は、2003年度以降黒字を計上し(2010年度:239億円) 、累積欠損金についても、 2010年度に公営地下鉄事業者としては全国ではじめて累積欠損金を解消するなど、近年経営の健全性が高まってきている。 • しかしながら、乗車人員については1990年以降減少傾向が続くとともに、依然として高コスト体質や安全性についての課題も残されていることから、将来に向けた持続可能な交通機能の確保、都市の成長戦略への貢献、府市の財政再建への寄与を目的として、府市統合本部のもとプロジェクトチームを設置し、地下鉄の民営化および成長戦略を検討してきたところである。 • 具体的には、 • 独占的かつ自治体直営の経営形態に由来する非効率 • 公共目的による会計規律の歪み • 自律的な成長、改善メカニズムが働いていないのではないか • といった課題を設定し、民間鉄道事業者(民鉄)の専門家による評価と交通局による自助努力により課題解決に向けた検討を行った。 • 本報告書は、これらの検討から浮かびあがってきた課題・期待成果を「見える化」して、地下鉄事業の民営化に向けた基本的な方向性案を示すものである。
Ⅱ 地下鉄事業の現状 (1)路線 都心を中心にほぼ市域全体に路線が広がっており、高密度(特に中心部) 井高野 【路 線 名】 【区 間】 【営業キロ】 【集電方式】* 第1号線 御堂筋線 江坂~中百舌鳥 24.5km サードレール方式 第2号線 谷町線 大日~八尾南 28.1km サードレール方式 第3号線 四つ橋線 西梅田~住之江公園 11.4km サードレール方式 第4号線 中央線 コスモスクエア~長田 17.9km サードレール方式 第5号線 千日前線 野田阪神~南巽 12.6km サードレール方式 第6号線 堺筋線 天神橋筋六丁目~天下茶屋 8.5km 架空線方式 第7号線 長堀鶴見緑地線 大正~門真南 15.0km 架空線方式 第8号線 今里筋線 井高野~今里 11.9km 架空線方式 ニュートラム 南港ポートタウン線 コスモスクエア~住之江公園 7.9km 側面接触式 吹田市 守口市 江坂 大日 門真市 門真南 天神橋筋 六丁目 梅田 西梅田 野田阪神 本町 長田 東大阪市 難波 今里 大正 天王寺 コスモスクエア 南巽 天下茶屋 八尾市 住之江公園 八尾南 堺市 中百舌鳥 *【サードレール方式】線路の脇又は中央に集電用のレールを設置し、台車に取り付けられた集電靴(コレクターシュー)から電気を取り入れる方式 【架空線方式】線路の上空に裸電線を架設し、電車の屋根上に取付けられたパンタグラフに接触させて電気を取り入れる方式【側面接触式】走行軌道桁に剛体構造とした給電用及び帰線用の導電レールを設備した方式
Ⅱ(2) 事業の変遷 路線キロの延長とともに乗車人員は増加していたが、1990年をピークに減少 2,813 乗車人員のピーク 2,738 敬老パスIC化 2,469 2,422 2,350 2,293 2,422 2,074 京橋~鶴見緑地間が開業し、地下鉄網が100kmを超える 1,908 137.8 122.2 112.4 110.9 105.7 ニュートラム開業 100.7 97.5 乗車人員(一日平均) 単位:千人 1,022 75.6 70.2 67.1 64.2 634 42.8 407 路線キロ 単位:km 35.4 284 19.8 185 14.2 11.9 8.8 1933年5月営業開始 (梅田~心斎橋間) 経営改革計画 (2002~06) 中期経営計画 (2007~11) 経営健全化計画 (1995~99) 緊急整備(地下鉄建設)5ヵ年計画 (1963~69) 1951年 1区 10円 1960年 1区 20円 1972年 1区 40円 1978年 1区 100円 1989年 1区 160円 1997年 1区 200円 1984年 全駅で自動改札化完了 2001年 全駅で冷房化 1995年 ・御堂筋線で 10両編成運転開始 ・車両冷房化100%達成 2006年 PiTaPa導入
Ⅱ(3) 地下鉄事業者での比較 大阪市営地下鉄は、全国の公営地下鉄事業者中で最大級の事業規模 なお、地下鉄事業者では東京メトロに次ぐ事業規模 営業キロ(㎞) 駅数 走行キロ (万㎞/日) 在籍車両数 (両) 輸送人員 (万人/日) 職員数 (人) 大阪市 (8) 東京都(4) 名古屋市(6) 横浜市(3) 札幌市(3) 京都市(2) 神戸市(3) 福岡市(3) 仙台市(1) 東京メトロ(9) *2010年度末現在。都市・会社名のあとの(数字)は路線数 *数字は全て概数。職員数は、公営は損益勘定のみ。東京メトロは全従業員数 *大阪市はニュートラムを除く。 出典:2010年度 公営交通事業決算調、東京メトロハンドブック2011
Ⅱ(4) 収支 (2010年度、単位:億円) 運賃収入で費用の約99%をまかない、雑収入、補助金等を含めると239億円の黒字 費用では人件費が最大だが、減価償却、支払利息の割合も大きく支出の3大項目 97 239 53 一般会計より約100億円 101 1403 *2 その他 133 194 支払利息 広告料 46 賃貸料 25 その他 30 動力費 59 修繕費 84 *4 386 減価償却費 1391 運賃と雑収入で費用の106% 委託費 41 *3 人件費 506 運輸部門 314 保守部門 148 管理部門 43 一般会計 補助金 費用 運賃 雑収入 特別乗車料 繰入金 黒字 *1 人件費、資本費(減価償却費、支払利息)で約8割 *1 本市福祉行政の観点から、 70歳以上の市民の市営地下鉄利用に対する乗車料金の減免(敬老優待パス)等に対して、一般会計から繰入れ *2 乗車券販売手数料、除却費、光熱水費、一般会計分担金、受託工事費等 *3 運輸部門:運転費・運輸費、保守部門:線路保存費・電路保存費・車両保存費・建物保存費、管理部門:運輸管理費・住宅施設費・研修所費・一般管理費 *4 雑収益13億円、受取利息等10億円、駅共同使用料2億円、その他5億円 当年度損益ベースで、数値については、個々に四捨五入しているため、合計数値と合わないことがある。
Ⅱ(5) 収支トレンド(単位:億円) 2003年度に総費用が総収入を下回って以降、継続的に黒字を確保 総費用 結 果 要 素 最終収支 総収入 黒字 運輸収入 収支 〔補助金を除く〕 0 運転費用 減価償却費 赤字 整備費用 補助金 管理費用 2005年度以降、補助金を除く収支においても黒字を確保 *経常損益ベースで、数値については、個々に四捨五入しているため、合計数値と合わないことがある。
Ⅱ(6)累積欠損金の推移(単位:億円) 累積欠損金については、2003年度以降、単年度黒字を継続的に確保することで減少し、2010年度に累積欠損金を解消 2002年度 20032004200520062007200820092010 特別損失 ▲150億円 (フェスティバルゲート売却損) 純損益 ~ ~ 欠損金処理 ※ 1,748億円 累積欠損金 ※総務省からの指導により、特例債元金償還補助金相当額について、 議会の議決を経て取り崩し、欠損金処理を実施 ▲2,933億円
Ⅱ(7)企業債残高の推移 路線の建設により企業債残高は増加したが、今里筋線開業後は減少 【今里筋線】 井高野~今里開通(11.9km) (km) (億円) 【長堀鶴見緑地線】 大正~心斎橋、 鶴見緑地~門真南 開通(4.1km) 【中央線・ニュートラム】 OTS区間を一元的 に運営(3.7km) 【長堀鶴見緑地線】 心斎橋~京橋 開通(5.7km) 【堺筋線】 動物園前~天下茶屋開通(1.5km) 公的資金補償金免除 繰上償還を実施 2007年度 218億円 2008年度 123億円 2010年度 157億円
約6,500億円の負債 企業債 6,120 特例債 382 固定資産 13,091 ・運賃収入(1,444億円)の 約4.5倍 ・償却前損益(660億円)の 約9.9倍 出資金 3,389 剰余金 3,518 流動資産 774 繰延勘定 1 流動負債 324 その他 133 Ⅱ(8) 資産・負債/資本の状況 資 産 負債・資本 (単位:億円) 退職給付債務 780億円* *:2010年度大阪市交通局 アニュアルレポートより
Ⅱ(9)民間鉄道事業者との財務比較※1 15.4倍 11.6倍 10.0倍 9.5倍 8.9倍 4.5倍 4.5倍
Ⅱ(10) 生産性の比較(地下鉄事業者比較)Ⅱ(10) 生産性の比較(地下鉄事業者比較) 17.4 14.3 【営業キロあたり総収益・総費用】(億円/㎞) ・他都市に比べると、運輸収入が多い ・運輸収入に対する支払利息や減価償却費などの資本費の割合が低い 経常損益の黒字 12.812.0 11.910.1 8.611.4 9.67.9 9.48.5 9.09.2 8.58.0 8.27.9 7.37.5 運輸収入 人件費 利息 償却 大阪市 札幌市 仙台市 東京都 横浜市 名古屋市京都市神戸市 福岡市 東京メトロ 【営業キロあたり職員数】(人/㎞) ・他都市に比べ、職員数が多い 生産性が低い 大阪市 札幌市 仙台市 東京都 横浜市 名古屋市京都市神戸市 福岡市 東京メトロ *2010年度末現在 東京メトロは全事業の総収益・総費用。職員数は、公営は損益勘定のみ、東京メトロは全従業員数 出典:2010年度 公営交通事業決算調、東京メトロハンドブック2011
Ⅱ(11)安全性 事故発生率は他社と遜色ないものの、重大インシデントや輸送障害が発生 事故の頻度 事故の内容 インシデント • 2010年3月 長堀鶴見緑地線重大インシデント • ・ 影響 • ⑴ 長堀鶴見緑地線の運転見合わせ • 全線の運転再開まで5時間16分 • 影響人員 約57,000人 大阪市 輸送障害 • 2012年2月 梅田駅 駅構内火災 • ・ 被害状況⑴ 人的被害 軽症17名(地下鉄運転士1名、車掌1名、駅職員15名) • ⑵ 物的被害F階段下倉庫(約22平方メートル)内を焼損 • ・ 影響⑴ 駅職員により約3,000名のお客さまを避難誘導(内訳:ホーム上約1,000名、地下鉄乗車(上下)各約1,000名)⑵ 地下鉄御堂筋線の運転見合わせ • 運転見合わせの時間 9時01分~10時40分影響人員 約118,000人 • 2012年4月 本町駅 喫煙による輸送障害 • ・ 影響 • ⑴ 四つ橋線の運転見合わせ • 列車4本が最大1分遅れ 大阪市 14
Ⅱ(12)地下鉄事業の現状評価と今後の課題 1. 肯定的側面 高い収益力 地下鉄事業は、全国の公営地下鉄事業者中で最大級の事業規模 他都市に比べて、営業キロあたりの運賃収入が多い この間の合理化努力もあり、2002年度に約2,933億円に達していた累積欠損金を、2010年度決算において、公営地下鉄の中ではじめて解消 企業債残高は着実に減少 2. 今後の課題 安全性の確保 輸送障害・運転事故件数はいずれも地下鉄である(踏切がない)ことを考慮しても関西5私鉄並みかそれ以下であるが、最近、長堀鶴見緑地線の重大インシデントや梅田駅構内の火災などの重大な事案が発生 利用者の漸減傾向 乗車人員は毎年約1%減少(ピーク時1990年度に比して約18%の減、今里筋線開業(2006年)以降と比較しても約4%の減) 生産性(高コスト体質)の改善 他都市との生産性の比較で見ると、職員数が多い 資本費(減価償却費・支払利息)の割合(経常経費の約4割)は相対的に低い 地下トンネルの比率が多く、建設コストがかかる地下鉄事業の性質に鑑みれば、今後、(防災上の観点も含め)更新投資の負担が順次重くのしかかってくる可能性は否定できない。 自立性の追求 EBITDA(営業利益+減価償却費+民間企業会計への置換(簡易)=約688億円)の約9.5倍の企業債残高(約6500億円) 東京メトロの有利子負債/EBITDA倍率(4.5倍:2010年度連結決算ベース)と比較すれば約2倍 厳しい財政状況のもとで、行政から継続的な財政支援を前提とする枠組みからの自立をめざす意味でも、自己の信用力で市場等から資金調達ができるような経営体質の強化が望まれる。 3. 可能性の追求 他私鉄のターミナル駅とつながっている利便性をはじめ、地下鉄を核に大阪全体への展開の可能性を追求 都市の成長戦略への貢献が期待できる。
Ⅲ 民営化の効果について • 現在の市営地下鉄を民間会計に置き直すと、経常利益50億円前後の企業体となる。また、民営化により、約180億円の経常利益改善が見込まれる。 • 現在の地下鉄事業は補助金の受入れ、固定資産税・法人税の免除などの恩恵により、170億円前後の経常利益を生んでいるが、民間企業の会計基準に置き直すと、50億円前後となる。 • 大胆な業務の見直し、組織運営体制の見直しを通じて人員が718人、経費が63億円削減可能、また、投資も年間35億円抑制が可能と試算 • 民営化に向けた改善提案を策定するにあたり、WGにより民間企業の視点から事業運営を見直し • 総務WGでは、間接部門と調達金利を検討 • 運輸WGでは、乗務員の実働時間、駅務員の配置基準、休出補充率、管理単位の統廃合を中心に検討 • 電気WGでは、保守拠点の集約、夜間の保守体制を中心に検討 • 車両WGでは、車両・機器更新周期や定期検査などの業務内容を中心に検討 • 工務WGでは、保守体制、発注形態を中心に検討 • 現状の地下鉄事業は真の鉄道事業体とは言いがたく、民営化前に取組む必要のあることも多い。現行業務のプロセスの見直しなど、交通局が自前で現在、取組んでいる内容を深掘りするとともに、民営化をにらみ運営の枠組みを見直すことで円滑な民営化が可能となる。 • 共通の本質的課題として、大阪市地下鉄事業は自律した意思決定ができる真の鉄道事業体になっておらず、権限と責任が一体化した体制を確立する事が急務。個別の課題として人事、財政規律等を検討。 • 交通局の円滑な民営化のためには、従来の「大阪市ルールの呪縛」から直ちに脱却し、本来保有すべき自社の運営権限の奪回が必要
Ⅲ-1 前提条件とまとめ ⑴ 検討のフレームワークⅢ-1 前提条件とまとめ ⑴ 検討のフレームワーク 民鉄からの特別参与をメンバーとするワーキンググループ(WG)を設置し、民間経営の視点で改善点の発見や改善方策の検討を実施。検討課題のグループ分けとして「新基準」と「民営化」のカテゴリを設定し、それぞれの改善効果を算定 共通課題の取りまとめ 総務 WG 運転 WG 駅務WG 電気 WG 車両 WG 工務WG 改善点 改善方策 ↓ 民営化効果 運営体制のあり方 人件費 経費(含む償却) フィードバック 投資 財務 検討課題のカテゴリー
Ⅲ-1⑵ 地下鉄民営化・成長戦略PTにおける民鉄からの特別参与Ⅲ-1⑵ 地下鉄民営化・成長戦略PTにおける民鉄からの特別参与
Ⅲ-1⑶ 本プロジェクト検討に際しての前提Ⅲ-1⑶ 本プロジェクト検討に際しての前提 地下鉄事業を5つのワーキンググループを通じて検討 組織体制と人員(現状) ※職員数は、2012年5月1日現在 ※経費・投資は2010年度決算(税抜)、総務WGの経費は支払利息のみ ※「運転」:管理課、運転課、輸送指令所、乗務運輸で構成 ※「駅務」:駅務課、お客さまサービス担当、駅務運輸で構成
Ⅲ-1⑷ 地下鉄事業民営化収支の要因分析 民営化にあたっては、収支に影響するアップサイドとダウンサイドのファクターが存在 民営化による収支影響要因 その他課題の 要因分析 経常利益(億円) 民営化した場合 の経常利益※5 法人税 投資 (減価償却費※4) ① 2011年度 経常利益 (公営会計決算見込 速報値) 収益的収支 の補助金 租税公課※1 ② ①を民間企業 会計に置換えた 経常利益 (簡易)※2 人件費 経費 ③ ②に新基準 による業務改善 効果を加味し 経常利益 人件費 経費 支払利息※3 敬老パス制度の 改正による影響 人口減少※6 業務改善 (新基準による効果額) 業務改善 (民営化による効果額) ※1 固定資産税、都市計画税、事業所税、事業税 ※2 民間企業会計置換時に退職給与引当金(過去分)が別途発生(2012年3月試算841億円) ※32010年度企業債残高6,502億(平均金利2.7%)を長期2.0%短期1.0%に借換えたと仮定 ※4 投資額に占める改善余地の比率を減価償却費に掛けて試算 ※5 別途、当年度利益に法人税がかかる ※62020年度までの乗車人員減推計による運輸収益減少の影響 ☞合理化によるコスト削減だけでなく、民営化による持続的な収益向上のための施策に早急に着手することが重要
Ⅲ-2 改善方策 ⑴ 全部門総括 検討の結果、人員718人(13%)、経費(支払利息含む)63億円(19%)、投資35億円(15%)の改善余地が導き出された ※1 現状:人件費の職員数は、2012年5月1日現在、 経費・投資は2010年度決算(税抜) ※2 遠隔制御システム(+800百万円)については、実施年度のみの増要素 ※3 合計人件費効果額については1人当たり9百万円で試算、なお、運輸部門での出勤率の見直しによる人件費増分+750百万円(150人×5百万円)を見込む
Ⅲ-2⑵ 部門別施策:総務部門 総務部門では、主に間接部門と調達金利を検討 ※ 現状:人件費の職員数は、2012年5月1日現在 経費は、2010年度決算(税抜)支払利息
Ⅲ-2⑶ 総務部門(間接部門の見直し) 総務部門内においては、地下鉄の事業特性、内部ヒアリングおよび民鉄との比較を通じて間接部門人員を30%程度の削減可能性 2 • 現業部門の削減余地 • 交通局内でのヒアリングを通じた感触 1 3 民鉄との比較におけるPTの 評価 • 大阪市交通局の事業特性 • 民間会社にない業務の削減余地 • (議会対応、契約手続等) • 公営企業にない業務の追加(IR等) • 経理、情報システム部門のアウトソーシング余地※1 「各社のアウトソーシング、グループ会社戦略、多角化の状況には違いがあるが、民鉄と比較して交通局は付帯事業がほとんどないことに鑑みると、間接部門について2~3割の削減余地がある」 民営化時の削減効果 削減人員(2割程度)⇒▲70名 アウトソーシング(1割程度) ⇒▲30名 ▲100名 • 考慮要因 • 民鉄各社はバス事業を子会社化 • 民鉄各社は運輸業以外の事業が比較的大きい ※1 民間各社では既に実施
Ⅲ-2⑷ 総務部門(資金調達の見直し) 民営化後、調達期間(借入金利)を見直すことで55億円の削減可能性 社債発行時 借入金利の見直し 現在 平均金利 1.85% 平均金利 1.575% 短期 (7.5%) (金利1.0%) 金利 2.7%→1.0% (15%) 短期 【民間参考水準】 -直間調達比率社債:借入金=50:50 -借入金長短比率長期:短期=85:15 -社債含めた調達比率 長:社:短=42.5:50:7.5 -金利企業債(10~35年)=2.7% …公営 長期 (10年)=2.0% 社債 (7年)=1.3% 短期 =1.0% 社債 (7年) (50%) (金利1.3%) 長期 (企業債) 金利 2.7% ※1 金利 2.7%→2.0% (100%) 長期 ※2 (85%) 長期 (10年) (金利2.0%) (42.5%) 55億円の支払利息の削減※3 さらに18億円の支払利息の削減※3 ※12010年度企業債残高の平均金利 ※2 社債発行可能時期までは借入で対応 ※32010年度末残高(6,502億円)をベースに試算
Ⅲ-2⑸ 運輸部門(運転) 運転部門では、主に乗務員の実働時間、乗務所等の管理単位を検討 ※ 現状:人件費の職員数は、2012年5月1日現在
Ⅲ-2⑹ 運輸部門(駅務) 駅務部門では、主に駅員の配置、駅の管理単位を検討 ※ 現状:人件費の職員数は、2012年5月1日現在
Ⅲ-2⑺ 電気部門 電気部門では、主に保守拠点の集約、夜間の保守体制を検討 ※ 現状:人件費の職員数は、2012年5月1日現在 経費・投資は2010年度決算(税抜)
Ⅲ-2⑻ 車両部門 車両部門では、主に車両・機器更新周期や定期検査などの業務内容を検討 ※ 現状:人件費の職員数は、2012年5月1日現在 経費・投資は2010年度決算(税抜)
Ⅲ-2⑼ 工務部門 工務部門では、主に保守体制、発注形態を検討 ※ 現状:人件費の職員数は、2012年5月1日現在 経費・投資は2010年度決算(税抜)
Ⅲ-3 現状の運営体制 ⑴ 課題整理 真の鉄道事業体に変革するための課題を検討 根本的解決策 課題 効果 共通課題 • 自立した意思決定の出来る真の鉄道事業体になってない • 権限と責任が一致する体制が確立されていない • ○鉄道事業体としての、ある • べき経営権限の回復 • 交通局の円滑な民営化のため、従来の「大阪市ルールの呪縛」 から脱却し、本来自社が持つべき権限を奪回 • 人事(社員採用)権 • 予算権 • 契約、調達 • 経営判断権 • いびつな年齢構成、社員の採用決定権の欠如 • 職場活力減退、今後深刻な人材不足と技術継承の断絶 • 安定した事業運営と技術継承 • 現場と本社一体の人事管理 人事 • 経営/執行/ガバナンスの役割権限が曖昧 • 長期的な視点に立った事業の優先順位や全体的な投資計画の経営判断が不明確である 財政規律 • 現場管理部門の経営参画の明確化 • コストに対する個人の意識向上、職場風土改善 • 生産性の改善 契約 • 鉄道事業者に合わない調達ルールによる制約 • オール大阪のルールに従わざるを得ず、鉄道事業者としての有効的な発注業務が出来ない • 結果、駅が「ショウルーム」化、車両は多数メーカー混在 • 調達コスト・保守コストの縮減 • 発注期間の短縮、工期短縮 • 職員の経営意識の改善 組織 • お客さまを向いた組織の確立と民営化に向けた機能強化 • お客さま第一主義を意識した風土を実現する組織になっていない • 組織の改廃、ポスト数も本庁に管理されており、経営方針に即した機能的な組織編成が実現できていない。 • ○鉄道事業体としての、責任 • を明確化する組織設計 • お客さまを頂点に、交通局現場職員を最前線に配した逆ピラミッド型組織形態の採用 • 自ら考え、自らの責任のもと実行する、民間企業としての経営意識を備えた人材の育成 • あるべき組織を検討※1 • 専門スタッフによる機動的事業展開※1 • 子会社の戦略的活用を推進※1 付帯事業 • ベースの確立 • 人材、ノウハウ、スキルがなく、事業の成長を描きづらい。 • 統一された意識下での経営 • 職員のモチベーションアップ • お客さま第一主義の徹底 意識改革 • 民営化に向けた風土改革とCIの強化 • めざすべき企業イメージが明確でない。 ※1Ⅴ 事業運営にて詳述 各WGへの波及効果
Ⅲ-3⑵ 人事 課題 • 年齢構成がいびつなため、人事が停滞し職場の活力も減退。今後、深刻な人材不足と技術継承の断絶を招く • 幹部候補に運転士等の現場業務を経験させておらず、現場・本社が一体となる人材育成・人事管理ができていない • その他、給与・人事評価制度等の見直し、現場管理・指導体制の強化などが必要 原因・背景 • 事業拡大期の大量採用、昭和40年代及び近年の採用抑制によるいびつな人事構成 • ・ 平成29年からの10年で43.8%、次の10年で43.4%(20年間で9割)の職員が定年退職 • ・ 社員の採用数を交通局自らが決定できない(大阪市の厳しい関与) • 採用形態の二重構造 (人事委員会採用(事務・技術職)と交通局採用(現業職)) • ・ 幹部候補職員(人事委員会採用者)は大阪市の行政職として募集・採用され、総務局が交通局に配属 • ・ 職員の意識・ジョブローテーション等において、現場と本社との一体感が不足 • その他 • ・ 上位職種との賃金カーブの重なりが大きい。成績不振者に対する厳しい対処ができていない • ・ 評価制度は市と同一の制度を導入、運用も画一的。職員の資質・意欲向上に十分に機能していない • ・ 駅長への昇任希望者が少ない。運輸助役が窓口業務も担っており、指導監督に専念できていない 対 策 効 果 • 長期スパンの計画採用実施(平成25年4月から毎年120名採用) • 市採用枠に交通局総合職を創設(平成26年4月から) • その他 • ・ 職能別賃金制導入、評価制度の見直しと厳正運用 • ・ 評価の給与反映方法の見直し、表彰制度の充実・活用 • ・ 駅長職・運輸助役職等の見直し(配置数・権限等) • 安定した事業運営・技術継承 • 現場・本社が一体となった人事管理・組織運営が可能となり、安全風土、サービス・業務改善、不祥事防止の礎となる • 給与・評価制度への信頼向上、怠慢を許さない職場風土。やる気のある者がさらに頑張り、お客さまサービスが向上 • 上位職の魅力向上、職員の上昇志向の喚起
Ⅲ-3⑶ 財政規律 課題 • 事業者としての長期的な視点に立った各事業の優先順位や、それに基づく全体的な投資計画に対する経営判断が不明確 • 生産性が民間に比べ劣る 原因・背景 • 部門別収支の意識が薄く、管理会計の考え方も薄い • 年度の予算編成を行う仕組みはあるが、民間の取締役会に相当する経営会議において、全体的・長期的視点に立った投資計画やそれを前提とした経営収支に対する明確な意思決定や議論がなされていない • 個々の部署においてはそれぞれ安全確保を前提とした更新投資等の考え方を 持っているが、考え方の根拠(法令、メーカーの基準等)は各部署まかせになっているなど、事業者としての生産性をチェックする機能が不明確 • 一例として、現在コンクリート構造物については最も古いもので75年が経過しているとともに、40年以上を経過している区間も全体の約半分を占め、老朽化によるコンクリートの剥落事象が生じているが、現時点では第三者被害を防止するために適宜補修を実施するという事後保全的な対応となっており、事業者としての計画的な予防保全に対する経営判断ができていない 対 策 効 果 • (民営化まで) • 事業者としてのチェック機能の向上 • 現場管理部門の経営参画の明確化 • コストに対する個々人の意識向上、職場風土改革 • コスト削減等による生産性の改善 • 計画的な予防保全を行うことによる継続的な安全確保とそれによる企業価値の向上 • (民営化まで) • 部門別収支や長期収支の全職員への共有、管理会計の導入 • 安全の確保を前提とした更新投資の整理・見直しや契約手法の見直しによる生産性の向上 • 計画的な予防保全を含んだ投資計画の優先順位(費用対効果を含む)に対する経営判断(収入に見合う範囲でコントロールされた長期投資計画決定) • 上記を行うための権限と責任の一体化を含んだ組織としての仕組みの構築(経営会議の活性化等) • (民営化後) • 上記事項の継続的実施 • 民営化後の企業形態にあわせ、組織としての仕組みを改善 • (民営化後) • 上記効果が継続 • 民間事業者としての利潤の確保
Ⅲ-3⑷ 契約 課題 • 鉄道事業者に合わない調達ルールによる制約(鉄道事業体としての合理的な発注ができない) 原因・背景 • オール大阪で定められた画一的な契約基準 によらなければ、発注ができない • ・大阪市全部局への画一的適用が優先され、個別局の事情 は考慮されない • ・入札機会増を目的に分離 ・ 分割発注 が求められ、鉄道事業者には不合理な契約単位での発注 • ・案件内容に関係なく、契約事務手続きに画一的な期間を要する (入札は 3か月、比較見積なら1か月) • ・契約方法として、「 比較見積 」(数社による簡易入札)が合理的な場合も採用できない • ・これらの制約が、自発的な契約コストの縮減意欲を阻害 • その結果、交通局契約案件で不合理な契約事例が多数発生 • ・例1:同じ駅で駅務機器メーカーを統一できず、「ショウルーム」 と揶揄されるほど、多数の機種が並ぶ • → 入札の結果、最大で同一駅に5社の機器を設置(メーカー別の保守管理費、予備品保管、ソフト改修費等が必要となり、コスト増を招いている) • ・例2:新造車両は、発注のたびに、製作メーカーが異なっている • → 発注のたびに新たに設計業務が必要となり、工期 ・コスト ・人件費の増となっている • ・例3:駅防災盤工事を、わざわざ建築工事と電気工事に分離して発注している • → 分離発注で保守区分が分かれると、 総合動作確認が不十分となる危険が高まる 対 策 効 果 • 交通局事業にかかわる全ての契約は、交通局長が自らの責任と権限 で執行できるよう改める • 交通局内部に、外部監査を含む適正契約担保の仕組みを整備する (民営化までは、大阪市入札等監視委員会へ報告も実施) • 民営化後は、比較見積中心の契約方式とする • 調達コスト・保守コストの削減 • 発注期間の短縮、全体工期の短縮、事業の円滑化 • 職員の経営意識の改善 (責任と成果の明確化) • 民営化後は、比較見積を中心とすることで、さらにコストを削減
Ⅲ-3⑸ 組織 課題 • 鉄道事業体として、経営方針に即した機能的な組織編成が実現できていない • 担当部長や担当課長が多く、(責任の所在が)わかりにくい組織になっている 原因・背景 • 大阪市の一部局の位置づけで、ALL大阪市のルールに拘束されている • (企業としてのあるべき論に関係なく市政改革の方針に従わざるをえない) • 組織の改廃は本庁に管理されており、交通局長が企業管理者の権限を発揮できていない(ポスト数が定数管理されている) 対 策 効 果 • 交通局における組織の改廃は、企業管理者である交通局長に権限を回復し、自らの責任で組織設計を行えるようにする • お客さま第一主義を念頭においた組織づくり • 現場と本局の垣根解消(現場への権限移譲) • 間接部門の削減 • 法務、コンプライアンスセクションの設置 • 経理部門の育成、強化 • IRセクションの設置
Ⅲ-3⑹ 付帯事業 課題 • 付帯事業収益が伸びず、収益全体に占める割合が低い • (経常収益に占める賃貸料と広告料の割合は約4%(2010年度)) 原因・背景 • 鉄道事業が中心であり、付帯事業を含めたグランドデザインが描けていない • 鉄道事業と付帯事業の収益性を総合的に検討する組織、人材、ノウハウ、スキルがない • お客さまや事業者のニーズをスピーディに把握できていない • 付帯事業に必要な機動性、スピード感がない 対 策 効 果 • (民営化まで) • 付帯事業部門を検討・実施する部署を鉄道事業本部に配置し、駅施設を最適開発 • 既存の駅施設で対応できる事業(小規模な商品)の開発 • 他事業者との連携によるノウハウの獲得 • (民営化後) • 戦略子会社の設立 (ハウスエージェンシー、リテール、メンテナンス等) • 戦略子会社での専門スタッフ採用育成 • グループ事業経営の推進 • (民営化まで) • 魅力ある駅づくりと付帯事業強化 • 小規模事業の積み上げによる収益力向上 • (民営化後) • スピード感のある機動的事業展開 • 専門スタッフによるニーズをとらえた商品開発 • グループ全体としての増収
Ⅲ-3⑺ 意識改革(CI・コンプライアンス・風土)Ⅲ-3⑺ 意識改革(CI・コンプライアンス・風土) 課題 • 民間化までの移行期間におこる公営と民営の実務的・意識的(風土の違い)ギャップがある。・・・風土 • 繰り返される不祥事や事故・トラブルが繰り返されている。・・・コンプライアンス • めざす企業イメージが明確になっていない。・・・CI 原因・背景 • 新局長の元すでに民営化に向けての意識改革が求められている中、既存の役所ルールを乗り越える問題解決が求められているが、まだ意識的についていけていないので、移行期間中は、公営のままどこまで緩和できるかの検討がなされていない • 変革の中、従来の意識から脱せられず、身分保障や給与の面で不満を持つ者や退職者などから内部告発が相次いでいる • トップ(局長)の持つ経営イメージと経営方針をしっかり把握できていない 対 策 効 果 • (民営化まで) • 民営化移行チームを作って、公営と民営のギャップを調整 • コンプライアンスチームの強化と行動指針の策定 • 民営化された時の企業イメージに向けてCIワーキングの実施 • (民営化後) • CIに沿った企業活動の展開 • 法務部、コンプライアンス統括委員会の設置 • (民営化まで) • 交通局の新しいイメージ作りにより、社員のモチベーションアップ、利用者のイメージ刷新 • 企業内浄化 • お客さま第一主義の意識 • (民営化後) • 統一された企業イメージや経営理念・コンセプトの明確に打ち出した企業活動の展開 • お客さま第一主義が徹底され、不祥事のない企業
Ⅳ 安全とサービス • 安全に関する現況としては、事故等の発生率は他社とさほど変わらないものの、内容面において重大インシデントが発生しており、改善が望まれる。従来の対応策は公営企業の発想で「人海戦術」であり「物量投入」であったが、コストを意識した経営が求められるなか、民間企業と同じく「個人のスキルや問題意識の向上」、また「組織としての安全管理体制の構築」によって改善すべきである。こういったことからも、意識の促進と浸透のために民営化が求められる。 • サービスを検討するにあたり、「お客さまの声」と「民鉄の目」を通じて向上策を検討 • お客さまの声を分析するにあたり、運輸部実施の「お客様満足度調査」を活用 • 改めて分析の結果、「トイレ」「料金」「終電時間」に対する満足度が低く、「接遇」についても規範となる • サービスマネージャーに比べ、一般の職員の改善余地が大きいことが判明 • 民鉄の目を通じて、ハード面・ソフト面で多くの改善事項をあぶり出し、具体的な改善の方向性を提示 • プロジェクト前よりあらかじめ検討対象として設定していた料金施策については、民営化によるインパクト • が判明したことから、一定の方針検討が可能 • 終電は、他社に比べ現状30分~40分程度早いことから、第一段階として終発後に運行している回送 • 列車の営業化等による延長を早期実施。第一段階の実施後に状況等を踏まえ、第二段階以降の • 実施の可能性について検討
+ × × Ⅳ-1 安全の確保 (安全の要素と民営化の影響) 民営化のいかんにかかわらず、コスト意識がより一層求められるこれからの地下鉄事業では、安全に対する従来のパラダイムを大きく変える必要がある 現状 従来の対応 民鉄の対応 これからの地下鉄 ◎ 設備 • 民鉄と比べ充実 • コスト意識の求められる事業運営では、従来の対応は望めない 物量投入 & 人海戦術 人員数 ◎ • 平均2.6倍の人員 • ※1営業キロ当たり 重心の シフト (輸送)安全 △ ? • 不明(ベンチマーク見当たらず) スキル • 新組織の設計にあたっては、民鉄のノウハウを吸収する必要あり • 発生率は他社と遜色ない • ただし一つ一つの事故が大きく、世間的に目立っている 意識と工夫 組織的取組 相互作用 • 表面上は取組内容は民鉄と遜色なし 体制/取組 ? (参考)
Ⅳ-2 サービス向上 ⑴ お客様満足度調査Ⅳ-2 サービス向上 ⑴ お客様満足度調査 トイレ、料金、終電への満足度が低く、接遇の改善余地が大きい □・・・注力項目
Ⅳ-2⑵ 民鉄の目から見た地下鉄サービス 民鉄の目を通じて導き出された項目は満足度調査と大きく変わるものではなく、改善事項の提示まで踏み込んだ内容は示唆に富む 分野 改善すべき事項 投資有無 トイレ • 老朽化したトイレが多く、清掃頻度が少ない(利用者割合) • 百貨店並みのレベルをめざすべき 有 案内表示 • 汚れや欠損が目立ち、美観が損なわれている • デザイン性も含め、サインの一新が必要 有 ハード 改札口 • 旧態依然とした改札口であり、お客さまが近づきにくく、オープンカウンター方式への変更が必要 有 構内 • 壁、天井が工事中である期間が長すぎる。お客さまに廃墟にいるような印象を与えている • 工事期間の圧縮を図るとともに、工事中もお客さまから見た美観を意識した対応が必要 無 接遇 • 一部において改善は見られるが、全体としてサービス業である自覚が未だ希薄。お客さま第一主義を具現化する接遇レベルの向上が必要 • サービス業としてふさわしくない身なりをしている職員が散見される。お客さまの視線を絶えず意識したサービスマネージャーレベルの身だしなみ、接客態度を全ての職員に期待 無 ソフト 清掃 • 駅全体として、暗く汚れた印象がある。天井や通路に埃だまりがあり、一定期間ごとの特別清掃が必要 • 車両の外装の汚れが目立つ 無 放送 • 駅放送、車両放送ともマイクの使い方が全体的に悪く、声が割れる。適度な音声での情報のクリアな伝達が必要 無
Ⅳ-2⑶ 運賃値下げの収支への影響 値下げ時の額、区割、消費税の変更を含む数パターンを分析、影響額は▲14億~▲60億円
Ⅳ-2⑷ 料金施策 地下鉄PTで検討した合理化インパクトを踏まえ、以下の3つの事項を考慮したうえで、値下げの実行可能性を検討 料金値下げの収支への影響 • 初乗り190円で約14億円/年の影響(減収) • 初乗り180円で約31億円/年の影響(減収) 料金改定等に伴う機器の改修 • 交通局及び民鉄各社で事務調整、機器の改修が必要(1年~1年半) • 料金値下げ、消費税改定、敬老パス制度変更のたびに民鉄各社においても機器の改修が生じる • ⇒同時実施が望ましい 敬老パスの影響 • 上限制、有料化により、一定のレベルの逸走が考えられる • 制度変更による影響額は最大39.1億円/年(減収)
Ⅳ-2⑸ 終発延長① 現在の地下鉄は他社と比べ30~40分程度早く、大阪を世界と戦える都市とするための第一歩として終発延長を検討 状況 民鉄や首都圏の地下鉄と比べて終発が30~40分程度早い • 地下鉄御堂筋線は、現状で新幹線や民鉄の終発と連携できている(参考2-1、2-2) • 民鉄と比べて、主要ターミナルにおける地下鉄の終発が30~40分程度早い(参考1) • 首都圏の地下鉄と比べて、終着から始発までの営業休止時間が40分程度長い(参考3) 必要性 終発延長は世界と戦える都市にするための第一歩 • “都市の格”、“働きやすさ”など都市機能の根幹に関わる話で、採算性だけの問題ではない • 大阪の成長戦略として、地下鉄の終発延長は世界と戦える都市にするための第一歩 考え方 まずは都心から郊外へ向かう終発を民鉄並みに • まずは、民鉄並みを目途に、早期実施可能な終発延長プランの検討 • 利用実態・利用ニーズを踏まえて、利用者の視点から終発延長プランの検討 • 深夜時間帯の需要創出に関わる成長戦略等の施策と連携した終発延長プランの検討
Ⅳ-2⑹ 終発延長② 参考1 都心ターミナルから郊外方向への終発状況(民鉄・地下鉄) 44
Ⅳ-2⑺ 終発延長③ 終発延長は3つのステップで推進検討 【地下鉄の終発延長の具体案】回送列車の営業化による終発延長の可能性 ・第一段階 : 終発後に運行している回送列車の営業化等による延長を早期実施に向けて検討 《回送列車の状況》 ・第一段階の実施後に状況等を踏まえ、第二段階以降の実施の可能性について検討 第二段階 : 相互直通各社とのダイヤ調整を踏まえた終発延長の検討(堺筋線等) 第三段階 : 都市魅力の創造やまちづくりなど、深夜時間帯の需要創出に関わる成長戦略の策定や 実施等と連携して、さらに踏み込んだ終発延長の検討
Ⅳ-2⑻ 終発延長④ 参考2-1
Ⅳ-2⑼ 終発延長⑤ 参考2-2
Ⅳ-2⑽ 終発延長⑥ 参考3 地下鉄各社局の始終発時刻等の現状
Ⅴ 事業運営 • 組織設計においてはお客さま第一主義の浸透、お客さまの利便性向上、市部局モデルからの脱却と民営化をにらんだ機能強化が求められる。 • お客さま第一主義の理念浸透 • 逆ピラミッド組織型組織図の採用 • 日常業務において「お客さま第一主義」が常に職員の最優先事項となる組織風土の刷新 • 駅舎運営とお客さま利便性向上をにらんだ組織改編 • 駅のトータルコーディネートを行なう組織として、「鉄道企画室」の創設 • 鉄道事業本部内の組織改編により、お客さまの利便性向上を第一に考える組織風土の確立 • 大阪市部局(組織)モデルからの脱却および民営化をにらんだ機能強化 • 法務部を独立させ、同時にコンプライアンス推進体制も強化する • お客さま第一主義のもと、総務部に企画部門を創設し、IR、CI、広報活動を強化 新会社の成長戦略を措くにあたり次の観点が有効に活用が求められる - ノウハウ確保:不足分を補う為、技術継承の為 - ローコストオペレーション:既存賃金体系からの解放、アウトソーシング - 増収策/危機対応 民間企業として事業を運営する上で、現存システムの修正のみで対応可能
Ⅴ-1 組織設計 「お客さま第一主義」を目に見える形で浸透させるため「逆ピラミッド」型の組織図に改めると共に、「お客さま第一主義」の価値基準に基づき判断し行動する組織風土を作ることが必要 機能強化のポイント 旧部署 新部署 新組織と主な改編部門 • 駅の一元管理によるトータルコーディネイト力強化 • 総務部(事業開発担当) • 駅構内事業担当 • 鉄道事業本部(事業監理担当) • 事業監理課 • 鉄道事業本部 鉄道企画室 事業計画課 お客さま • 鉄道事業本部 運輸部 駅務課 • 鉄道事業本部(事業監理担当) • バリアフリー企画担当 • 営業力、お客さま対応力の強化 現業部門 • 鉄道事業本部 運輸部 施設課 • 鉄道事業本部 運輸部 駅務課 • 鉄道事業本部 運輸部 • お客さまサービス担当 • 総務部(経営企画担当) • 営業企画担当 • 鉄道事業本部 運輸部 営業課 企画課 グループ事業課 財務課 事業計画課 用地管理課 施設課 営業課 管財課 法務課 コンプライアンス 推進課 監査課 安全監査課 • 用地不動産管理業務の強化 • 本部内において駅運営との一元管理 • 総務部(事業開発担当) • 事業開発課(管財) • 鉄道事業本部 鉄道企画室 用地管理課 本局部門 鉄道企画室 運輸部 電気部 車両部 工務部 • IR,CI、広報活動の強化 • IR---該当なし • [総務部(経営企画担当) 企画課] • 経営企画部 企画課 総務部 法務部 経営企画部 人事部 監査室 • コンプライアンスの強化 • 総務部 総務課(庶務、文書の一部) • 法務部 法務課 • 法務部 コンプライアンス推進課 • 監査業務の強化 • 総務部 監査・監理団体担当 • 鉄道事業本部 安全監査担当 • 監査室 監査課 • 監査室 安全監査課 鉄道事業本部 • グループ事業経営の推進 • 監理団体業務担当を整理統合 • 成長戦略におけるグループ会社の育成 社長 • 経営企画部 グループ事業課 • 総務部 監査・監理団体担当 • 財務機能の強化 • 総務部 経理課 • 経営企画部 財務課