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シリカガラスの光学的性質. 福井大学 工学部 葛生 伸. シリカガラスの伝送損失. D. L. Griscom, J. Ceram. Soc. Jpn. 99, 923 (1991). 赤外線領域の光吸収. Si-OH , Si-H などの末端構造に起因するもの. ⇒ 末端構造濃度の定量. 骨格の振動などに起因するもの. ⇒ 結合角分布 → 仮想温度の推定. シリカガラスの分光透過率. OH 基関連の吸収: 1.4 m m , 2.2 m m , 2.7 m m.
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シリカガラスの光学的性質 福井大学 工学部 葛生 伸
シリカガラスの伝送損失 D. L. Griscom, J. Ceram. Soc. Jpn. 99, 923 (1991)
赤外線領域の光吸収 Si-OH,Si-Hなどの末端構造に起因するもの ⇒ 末端構造濃度の定量 骨格の振動などに起因するもの ⇒ 結合角分布 → 仮想温度の推定
シリカガラスの分光透過率 OH基関連の吸収: 1.4 mm,2.2 mm,2.7mm R. Brückner, J. Non-Cryst. Solids, 5, 123 (1970)
ドライゲルを各温度て時間加熱処理したときの近赤外吸収スペクト ル Wook et al., J Am. Ceram. Soc. 66, 693 (1983)
シリカゲル体 (Cabasil) のOH関連赤外吸収スペクトル • オリジナル • 室温脱気 • 500 ゚C 脱気 • 800 ゚C 脱気 OH 粟津浩一「非晶質シリカ材料応用ハンドブック」リアライズ(1999) p.70; 原典 M. L. Hair, J. Non-Cryst. Solids 19, 299 (1975) OH 関連の赤外吸収スペクトルについては下記参照: K. M. Davis and M. Tomozawa, J. Non-Cryst. Solids, 201, 177 (1996).
SiOHとSiHによる吸収 モル吸光係数 γ線照射量 rad eH = (0.45±0.06) eOH H2 = 6.5 ×1020 cm-3 eOH = 77.5 dm3 mol-1 cm-1 G. Hetheringhton and K. H. Jack, Phys. Chem. Glass, 3, 129 (1962) J. E. Shelby, J. Appl. Phys. 50, 3702 (1979)
赤外反射および吸収スペクトル ⇒ 表面付近の情報 1122 cm-1ピーク ← Si-O-Si結合の非対称振動 モード ⇒ バルクの情報 2260 cm-1ピーク ← 1122 cm-1 ピークの倍音 A. Agarwal, K. M. Davis, and M. Tomozawa, J. Non-Cryst. Solids, 185, 191 (1995)
シリコン酸化膜の赤外吸収スペクトル 酸化温度 J. T. Fitch et al. J. Vac. Sci. Tech. B7, 153 (1989)
1160 cm-1反射ピーク位置とSi-O-Si結合角との関係 • nref : 反射スペクトルから得られたピーク位置 • n : Kramers-Krönigの関係式から得られたピーク位置 • q: Si-O-Si結合角 • m = 2.676×10-26 kg : 酸素原子の質量 • a = 5.305×10-12 s/cm • a = 600 N/m • b = 100 N/m A. Agarwal, K. M. Davis, and M. Tomozawa, J. Non-Cryst. Solids, 185, 191 (1995)
各種シリカガラスの紫外~真空紫外分光透過率各種シリカガラスの紫外~真空紫外分光透過率
紫外~真空紫外領域の吸収 (固有の吸収) エネルギーバンドによる吸収 バンドギャップ ≈ 9 eV エキシトンによる吸収 ≈ 8.5, ≈ 11.5 eV, Urbach 端 欠陥構造による吸収 ≡SiSi≡, ≡Si・・・Si≡, ≡Si・ 末端構造による吸収 ≡Si-OH, ≡Si-Cl 溶存気体分子による吸収 O2, Cl2
バンドギャップよりも短波長領域での吸収スペクトルバンドギャップよりも短波長領域での吸収スペクトル O. M. Sorokin et al. Opt. Spectrocs. 35, 291 (1973) 1~3: NaCl またはKCl上にスパッタ後基板を溶解除去 1. 70 nm 2. 130 nm, 3. 140 nm 4, 5: 反射スペクトル
バンドギャップよりも高エネルギーでの吸収スペクトルバンドギャップよりも高エネルギーでの吸収スペクトル Z. W. Weinberg et al. Phys. Rev. B19, 3107 (1979) 反射スペクトル をK-K変換 エキシトンによる吸収
シリカガラス薄膜の8~9 eV領域での吸収スペクトル エキシトンによる吸収 エキシトン吸収帯 8.7, 8.55, 8.45 eV A. Appleton et al. Physics of SiO2 and its interface, S. T. Pantelides Ed. (1978) p.94
7.4~8.8 eV領域の光吸収スペクトルの温度依存性 Urbach端 エキシトン吸収が非晶質の乱れおよび熱により広がる I. T. Godmains et al. Phys. Stut. Sol. B116, 279 (1983)
光吸収端の温度依存性 K. Saito and A. J. Ikushima, Phys. Rev. B 62, 8584 (2000)
≡SiSi≡結合による7.6 eV帯 吸収断面積 s = 4×10 -20 cm2 Hosonoet al. Phys. Rev B44, 12043 (1991) Kaminaw et al. Aool, Phy. Lett. 32, 98 (1978)
塩素処理したVAD法シリカガラスに見られる7.6 eV帯 スート Cl中1300゚C (脱水)×4h → 真空中1500゚C×4h (ガラス化) S. Hayashi et al. J. Non-Cryst. Solids 179, 235 (1994)
真空焼結シリカガラスの光吸収スペクトル スートを1380゚C仮焼 → 1550゚C, 40 min 真空中で焼結 6.7 eV 帯 ≡SiSiSi≡ cf. トリシラン(Si3H8)の吸収 7.6, 6.7 eV 外側 6.7 eVの吸収はトリシラ中のSi-Siのリードベルグ遷移 内側 後述 Awazu et al. J. Appl. Phys 70, 69 (1991)
溶融石英ガラスおよび無水合成シリカガラスに見られる5eV付近の吸収帯溶融石英ガラスおよび無水合成シリカガラスに見られる5eV付近の吸収帯
5 eV 付近の2種類の吸収帯 B2a 帯 B2b 帯 R. Tohmon , M. Mizuno, Y. Ohki, K. Sasegawa, K. Nagasawa, and Y. Hama, Phys. Rev. B39, 1337 (1989)
B2a 帯およびB2b 帯の発光および発光励起スペクトル B2a 帯 B2b 帯 R. Tohmon , M. Mizuno, Y. Ohki, K. Sasegawa, K. Nagasawa, and Y. Hama, Phys. Rev. B39, 1337 (1989)
II型およびI型溶融石英ガラスのB2帯の熱処理効果II型およびI型溶融石英ガラスのB2帯の熱処理効果 Type I Type II T. Bell et al. Phys. Chem. Glass 3, 141 (1962)
熱処理前後による各種サンプルの吸収スペクトルの変化熱処理前後による各種サンプルの吸収スペクトルの変化
熱処理前後の溶融石英ガラスの発光および発光励起スペクトル熱処理前後の溶融石英ガラスの発光および発光励起スペクトル
熱処理前後のED-B の発光および発光励起スペクトル
熱処理に伴うII型溶融石英ガラスの差スペクトル熱処理に伴うII型溶融石英ガラスの差スペクトル 1150゚C,24 h
B2b 帯アニールメカニズムに対するモデル Si≡ O HO-Si≡ → → + H2 =Si: =Si HO-Si≡ O Si≡ Si≡ O =Si H HO-Si≡ =Si: がB2b帯の原因と仮定 N.Kuzuu and M.Murahara, Phys. Rev. B 47,3083(1993) OH基の減少量: 3.9×1017 cm-3 B2b帯のピーク強度の減少量: 0.25 cm-1 (=Si: の減少量) = ½ (OHの減少量) ⇒ 吸収断面積: s = 1.3×10-18 cm2 cf. =Ge: s = 1.5×10-18 cm2 O=Si:, O=Ge: の吸収断面積 s = 1.5×10-18 cm2 K. Awazu and H. Kawazoe, J. Appl. Phys. 70, 69 (1991).
7.5 eV吸収帯減少の原因 OH量の減少に伴うものか? ED 材の示すOH吸収とは,半値幅は一致するがピーク位置異なる。 OH間の水素結合の有無によるものか? H. Hosono and Y. Ikuta, Nucl. Instrum. Moth. Phys. Res. B166-167, 691 (2000) OHの減少量から見積もった吸収断面積 s = 2.2×10-18 cm2 水の吸収断面積 6~8×10-18 cm2と同程度。 K. Watanabe and M. Zelkoff, J. Opt. Soc. Am. 43, 735 (1953)
真空焼結シリカガラスの光吸収スペクトル スートを1380゚C仮焼 → 1550゚C, 40 min 真空中で焼結 FWHM ≈1.2 eVと幅広い5 eV帯 外側 B2a 帯およびB2b 帯の重ね合わせでは再現できない。 シリコンクラスター ? 内側 Awazu et al. J. Appl. Phys 70, 69 (1991)
シリカガラス中の溶存ガスなどによる吸収断面積シリカガラス中の溶存ガスなどによる吸収断面積 POL (Peroxy- Linkage) ≡Si-O-O-Si≡ K. Awazu et al. J. Non-Cryst. Solids, 179, 214 (1994)
OH量の異なるVAD法シリカガラスの差スペクトルOH量の異なるVAD法シリカガラスの差スペクトル
酸素含有シリカガラスの吸収スペクトル Type IV 同じタイプのシリカガラス同士の差はO2分子含有量の差 Type IVでは,O2の他にPOL(≡Si-O-O-Si≡)による吸収が考えられる。 Type III Type IIIでは,≡Si-O-H量の差も関係か?) K. Awazu and H. Kawazoe, J. Appl. Phys. 68, 3584 (1990)
塩素ドープシリカガラスの真空紫外吸収スペクトル塩素ドープシリカガラスの真空紫外吸収スペクトル Cl2/He中で焼結 a. Cl2/He = 5/10 b. Cl2/He = 3/10 c. Cl2/He = 1/10 He中で焼結 d. 脱水なし e. 800゚C CCl4 脱水 f. Fドープシリカ SiCl4の真空紫外吸収スペクトル OH K. Awazu et al. J. Appl. Phys. 69, 1849 (1991) K. Awazu et al. J. Appl. Phys. 69, 1849 (1991)
塩素過剰シリカガラスの光吸収スペクトル Cl2/He中で焼結 CL5: Cl2/He = 5/10 CL3: Cl2/He = 3/10 CL1: Cl2/He = 1/10 He中で焼結 Vaddry: 800゚C CCl4 脱水 Vadwet: 脱水なし Cl2 K. Awazu et al. J. Appl. Phys. 69, 1849 (1991)