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東京保険医協会講習会. 施設・人員基準の管理と適時調査等への対応. 平成 25年10月19日 有限会社メディカルサポートシステムズ 認定医業経営コンサルタント 第 5590 号 細 谷 邦 夫. はじめに. 指導・監査等の最近の傾向. 指導側の諸問題 保険医療機関等に対する指導監査業務の見直し等 指導監査の在り方に関しての見直し(平成 23年度) コンプライアンス 及び情報の迅速な共有を徹底する具体的 仕組み 人権無視 の高圧的な指導 本来 の「指導」という目的を逸脱した処分
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東京保険医協会講習会 施設・人員基準の管理と適時調査等への対応 平成25年10月19日 有限会社メディカルサポートシステムズ 認定医業経営コンサルタント 第5590号 細 谷 邦 夫
はじめに 指導・監査等の最近の傾向 • 指導側の諸問題 • 保険医療機関等に対する指導監査業務の見直し等 • 指導監査の在り方に関しての見直し(平成23年度) • コンプライアンス及び情報の迅速な共有を徹底する具体的仕組み • 人権無視の高圧的な指導 • 本来の「指導」という目的を逸脱した処分 『保険医療機関等に対する指導・監査の検証及び再発防止策に関する検討チーム中間とりまとめ(平成22年12月17日)』 • 医療機関側の諸問題 • 相次ぐ不正請求 • 指導強化により、指導対象が増えたが、対策が進んでいない • 痛ましい結果に繋がることも
はじめに 返還の状況 • 平成23年度の指導・監査等の実施件数 • 個別指導:3、955件(対前年度比106件減) • 適時調査:2、274件(対前年度比157件増)※医科は2124件 • 監 査 : 161件(対前年度比 2件増) • 返還金額:82億9,401万円 • 指 導 :20億7,754万円 • 適時調査:55億8,133万円 • 監 査 : 6億3,513万円 • 指定・登録取消の状況 • 20機関(対前年度9機関増) 31名(対前年度18名増) • 特徴 • 不正内容は架空請求・付増請求・振替請求・二重請求が殆どだが、施設基準の虚偽申請があった • 取消の発端 • 保険者・医療機関従事者・医療費通知に基づく被保険者からの通報が11件と大部分を占める
指導・監査等の基礎知識 指導・監査等の類型 • 指導と監査は似て非なるものであることの確認 • 指導及び監査は、保険診療の質的向上及び適正化を図ることを目的とし、「指導大綱」「監査要綱」により実施
指導・監査等の基礎知識 都道府県ごとの指導・監査等の状況 • 指導・監査等の実施率を分析 • 以下の資料を基にデータを分析した • 保険医療機関等の指導・監査等の実施状況 (平成22年度、平成23年度) • 医療施設動態調査(医科・歯科機関数) • 衛生行政報告例(薬局数) • 単年度ではデータの偏りが出る可能性があるので、平成22年度と平成23年度の平均値で分析した • 適時調査については平成23年度以降公表が始まっているため、比較データは無い
指導・監査等の基礎知識 都道府県ごとの指導・監査等の状況 • 厚生局ごとの実施率(医科)
指導・監査等の基礎知識 都道府県ごとの指導・監査等の状況 • 厚生局ごとの実施率(調剤)
指導・監査等の基礎知識 都道府県ごとの指導・監査等の状況 • 指導・監査の実施率を分析 • 医療機関数や対象地域の広さ等の要因があるので一概には比較できない • 医療機関数の多い地域は集団指導に力を入れざるを得ない • 四国は医科・歯科ともに指導と監査の率が高い • 近畿は医科・調剤で指導率は低いが監査に至る事例が多い • 関東信越で集団的個別指導が激減しているのは改定の影響と思われる • 北海道は全てに於いて平均を下回っている • 医科・歯科では個別指導の高い所は監査に至る事例も多い
指導・監査等の基礎知識 都道府県ごとの指導・監査等の状況 • 指導・監査の実施率を分析(医科) • 東京都の適時調査: • 医科:60件(0.45%) • 歯科: 2件(0.02%) • 調剤: 0件 • 監査ゼロ: • 富山、熊本、群馬、神奈川、長崎、島根、山形、宮崎、山梨、鹿児島、佐賀、岩手
指導・監査等の基礎知識 都道府県ごとの指導・監査等の状況 • 指導・監査の実施率の分析(調剤) • 監査: • 上位・下位のほか秋田、大分、三重、福島以外は実施ゼロ • 適時調査: • 記載以外は未実施
指導監査等の基礎知識 【参考】薬局に対する指摘事項 • 1.処方せんの受付方法とその記載事項等の確認 • ① 用法・用量の指示等の記載が不完全である • ② 2以上の規格単位がある医薬品の規格単位が記載されていない • ③ 定時的に服用しているものを頓服薬として処方している • 2.処方内容に対する薬学的確認 • ① 薬事法による承認内容と異なる用法・用量で処方されているもの。 • ② 薬事法による承認内容と異なる適応症への使用が疑われるもの。 • ③ 過量投与されているもの、または疑われるもの。 • ④ 倍量処方が疑われるもの。 • ⑤ 重複投与・不必要と思われる多剤併用が認められるもの。 • ⑥ 薬剤の処方内容より禁忌例への使用が疑われるもの • ⑦ 投与期間の上限が設けられている医薬品について、その上限を超えて投薬されているもの。 • ⑧ 漫然と長期に渡り処方されている医薬品があるもの。 • ⑨ 重複投薬、または薬学的に問題があると思われる多剤併用が認められるもの。 • ⑩ 頓服薬について余りにも多い頓服回数があるため、服薬状況を確認すること。(毎日定期的に服用しているようであれば内服薬とするよう処方医と相談すべき)
指導監査等の基礎知識 基本的留意事項 • 指導・監査に関わる用語の定義の再確認 • 安易な請求が大やけどに繋がる可能性がある • 不正請求の類型 • 架空請求 • 実際には診療を行っていない患者の請求をすること • 付増請求 • 診療行為の回数(日数)、数量等を実際に行ったものより多く請求すること • 振替請求 • 実際に行った診療内容を保険点数の高い他の診療内容に替えて請求すること
指導監査等の基礎知識 基本的留意事項 • 不正請求の類型(続き) • 二重請求 • 自費診療を保険でも診療報酬を請求すること • その他請求 • 医師数、看護師数の標欠、定員超過入院 • 非保険医の診療、非医師の診療 • 労災を保険請求すること • 保険医療機関以外の場所での診療の請求をすること • 診療報酬点数表で請求できないこととされている診療行為(押し掛け往診、健康診断、無診療投薬等)に関して請求すること • 自己診療に関して請求すること 等
指導監査等の基礎知識 基本的留意事項 • 指導等の評価 • おおむね妥当 • ほぼ適切として指導終了 • 経過覿察 • 適正を欠くが軽微であり改善が期待できる場合 • 半年~1年間レセプトの経過歓察 • 改善あれば指導終了。改善なければ再個別指導 • 再指導 • 妥当・適正を欠く部分が認められる場合 • 改善状況を判断する為に概ね1年以内に再度個別指導 • 要監査 • 監査要綱に該当すると判断された場合で後日監査 • 明らかに不正・不当が発見された場合には、直ちに監査に切り替えられることがある • 患者からの聞き取り調査により監査になる場合もある
指導監査等の基礎知識 基本的留意事項 • 指導監査に至るきっかけ • 保険者・医療機関従事者・医療費通知に基づく被保険者からの通報が大部分を占める • 毎月のレセプト請求もリスク要因であることを認識 • 毎月同じ理由での査定が多い場合には要注意 • コンプライアンスの徹底 • 保険診療を担う一員であることの再確認 • 療養担当規則をはじめとした関連法規の理解 • 法令違反をしている意識の希薄さ
指導監査等の基礎知識 適時調査とは • 適時調査 • 各施設基準に係る届出を行っている保険医療機関が対象 • 届け出た施設基準・人員基準を遵守して運用されているかについて確認する • 日常的な管理が重要 • 受理後6ヶ月以内と原則年1回を目途に現地調査を実施 • 現実的にはこの頻度での実施はされていない • 原則として全ての医療機関が対象 • 特に病院は厳しい目で見られている • あくまでも施設基準上の調査 • 診療内容については踏み込まない
指導監査等の基礎知識 適時調査とは • 適時調査対策のポイント • 変更があった際の届出がなされているか • 医師・診療科・診療時間・病床数 等 • 院内掲示は基準を満たしているか • 届出事項・保険外負担 等 • 届出時の基準や算定要件が満たせているか • 施設・人員、入院診療計画・院内感性防止対策 等 • 定例報告はなされているか • 定数超過入院ではないか • 各種書類の状況 • 免許書の写し・タイムカード・雇用契約書・看護職員の勤務表・病棟日誌・外泊や外出等の申請書・許可証 等 • その他 • リネン庫・不潔庫の区分、機材の点検、食事療養の指示・検食・外注委託 等
指導監査等の基礎知識 適時調査の流れ • 実施通知と事前準備 • 概ね実施の3週間前に実施の通知 • 調査に必要な書類の一覧(事前提出するものもある) • 調査の実施者 • 医療機関の規模により2~8名程度 • 事務官を中心に看護師や管理栄養士が加わり、より専門的な見地から調査・指導が行われる • 調査当日 • 挨拶及び当日の流れの説明 • 担当 • 入院料にかかる看護要員の計算、看護関係、入院時食事療養、特掲診療料関係(リハビリテーション、薬剤管理指導等)、保険外負担・院内掲示等 • 事前提出書類に基づき、各部門責任者への質問・確認、院内のラウンド・スタッフへの聞き取り等 • 調査終了後に厚生局の職員のみでとりまとめを行う
指導監査等の基礎知識 適時調査の流れ • 調査終了後講評 • とりまとめた内容について医療機関の職員に対して口頭での講評 • 調査の結果不備とされた内容について伝達される • 適時調査実施後 • 講評の内容が「適時調査における指摘事項」として送付される(概ね1ヶ月~2ヶ月程度) • 「改善指導事項」について「改善報告書」の提出が求められる(概ね1ヶ月以内に返送) • 施設基準不適合とされた事項については自主返還を求められ、必要な書類等の提出が求められる(概ね2ヶ月以内)
日々の業務のチェックポイント 適時調査の主なポイント • 全般的事項 • 施設基準の変更等の届出がされているか • 医師、医療従事者、診療科、診療時間、病床数 等 • 要件変動の特例を除き、変更や廃止の届出が必要 • 院内掲示 • 入院基本料に関する事項(病棟にも) • DPC/PDPS算定病院である旨 • 地方厚生局長への届出事項 • 明細書発行状況 • 保険外負担に関する事項 • 入院時食事療養に関する事項 • 施設基準や診療報酬の算定要件にかかるもの • 医療法上必要な掲示事項 • 保険医療機関である旨
日々の業務のチェックポイント 適時調査の主なポイント • 全般的事項 • 定数超過入院ではないか • 医師(歯科医師)の員数が医療法人員標準をクリアしているか • 有資格者の免許証の写しの保管は適切か(新入職員、氏名変更は要注意) • 新たに資格を取得した有資格者は免許登録日に注意 • カルテ及び関係帳票類の記載、訂正方法が適切か • 鉛筆書き、修正液等の使用は不可 • 医療情報システム使用の場合、ID管理は適切か • なりすまし指示がないか、代行入力では医師の承認 • 看護記録等に記録の先付けは無いか • 定期処置、リネン交換、日付や決裁印等
日々の業務のチェックポイント 適時調査の主なポイント • 入院料関係 • 入院診療計画 • そもそも作成されているか • カルテに添付されているか • 入院から7日以内に説明し、患者署名があるか • 医師、看護職員等が共同して作成しているか • 担当者名欄等の記載漏れはないか • 院内感染防止対策 • 院内感染防止対策委員会設置要綱が作成されているか • 委員会は開催されているか • 週1回程度の感染レポートが作成されており、委員会で活用されているか
日々の業務のチェックポイント 適時調査の主なポイント • 入院料関係 • 医療安全管理 • 医療安全管理委員会設置要綱が作成されているか • 月1回程度委員会が開催されているか • 議事録があり、院長決裁が行われているか • 職員研修が実施されているか • 医療事故等の院内報告体制が整備されているか • 褥瘡対策 • 褥瘡対策チームが適切に設置されているか • 専任の医師、看護職員以外が対象者に対する治療計画の作成、評価を行っていないか
日々の業務のチェックポイント 適時調査の主なポイント • 入院料関係 • 栄養管理体制 • 入院診療計画書に特別な栄養管理の必要性の有無を記載する欄があるか • 入院患者全員に記載されているか • 特別な栄養管理が必要な患者の栄養状態を定期的に評価し、必要に応じて栄養管理計画を見直しているか • 重症者等療養環境特別加算 • 重症者室への入室基準が定められているか • 入室・退室指示は医師により行われているか • 診療録管理体制加算 • サマリーは全患者について作成されているか • 医師事務作業補助体制加算 • 32時間以上の所定の研修が適切に行われているか
日々の業務のチェックポイント 適時調査の主なポイント • 入院料関係 • 看護要員 • 看護要員数は基準通り充足しているか • 平均入院患者数の算出は適切か • 平均在院日数の算出は適切か • 看護職員の勤務表の運用は適切か(決裁、記載誤り等) • 勤務時間数の計上等様式9の看護要員数、月平均夜勤時間数の管理は適切か(勤務表からの転記誤り、病棟以外との兼務者、申し送り時間、休憩時間、夜勤時間帯に重なる日勤帯などの時間数の計上) • 施設基準に定められた夜勤体制が組まれているか
日々の業務のチェックポイント 適時調査の主なポイント • 入院料関係 • 看護業務 • 病棟管理日誌、看護管理日誌の運用は適切か • 付き添いは家族のみ、必要最小限の場合に限り文書により許可されているか • 外出・外泊許可証の運用、帰院時間のチェックなどの管理は適切か • 看護計画は適切に立てられているか • 医師の指示、看護師等の指示受け、実施の記録は明確か • 看護記録の記載内容は適切か、食事摂取量やリネン交換などの記載漏れはないか • リネン庫(清潔庫)、不潔庫が区分されているか • 病棟における麻薬、毒薬、向精神薬の保管(施錠等)や記録は適切か
日々の業務のチェックポイント 適時調査の主なポイント • 入院料以外にかかるもの • リハビリテーション • リハビリテーション室が訓練を行うための専用施設とされているか • 必要面積を満たして居るか(事務スペース、倉庫スペース等を面積から除外しているか、他業務に使用されていないか) • 専従者は原則他業務に従事していないか • 専任医師のリハビリテーションへの関わり方は明確か • 具備すべき器械及び器具に漏れはないか • フローチャートや業務基準など業務の流れや内容が整理されているか • リハビリテーションの種類や起算日の記載があるなど、リハビリテーション処方せんの内容は適切で具体的な内容になっているか
日々の業務のチェックポイント 適時調査の主なポイント • 入院料以外にかかるもの • リハビリテーション • 訓練記録の記載内容は充実しているか • リハビリテーション計画書が適宜作成され、説明のうえ交付されているか • 算定日数上限を超えてかつ13単位を超えて実施する場合、医師から再度指示せんが発行されるなどして「継続することとなった日」をカルテ上明らかにしているか • 多職種によるカンファレンスが定期的に実施され、その記録があるか • 訓練記録の記載と請求されたレセプトの単位数は一致するか • 訓練予定表、実施(実績)表が作成され、実施単位数は適切に管理されているか
日々の業務のチェックポイント 適時調査の主なポイント • 入院料以外にかかるもの • 薬剤管理指導 • DI室(医薬品情報室)はDI業務にかかる専用の部屋になっているか • 指導料算定の間隔は適切か(中6日以上) • DI室には常勤の薬剤師を配置しているか • 記録の内容は適切か • 退院年月日、投薬・注射歴、副作用歴など基礎的事項の把握、記録内容の充実 • 保険外負担 • 徴収内容や項目が妥当であるか • 衛生材料等不適切な項目はないか • 院内掲示等患者への周知は適切か • 徴収にあたって患者の同意を得ているか
日々の業務のチェックポイント 適時調査の主なポイント • 入院料以外にかかるもの • 入院時食事療養 • 食事せん(特別食を含)は医師により発行されているか • 特別食の場合、食事せんに該当病名の記載はあるか、加算・非加算の表示は明確か • 特別食にかかる減塩食は、6g未満とされているか(院内食事せん規約及び実際の献立表) • 病院の医師または栄養士による検食が毎食行われているか • 外泊・外出、食止めなど食数把握は適切か • 厨房における清潔、不潔の区分は適切か • 業務委託の場合、委託契約内容は適切か • 栄養指導における医師の指示内容は適切か。記載漏れはないか • 栄養指導の内容と記録、指導実施時間の記載は適切か
日々の業務のチェックポイント 適時調査の主なポイント • その他 • ニコチン依存症指導管理料について、禁煙治療を行っている旨の院内掲示はあるか • 神経学的検査について、検査チャートは定められた様式のものを使用しているか • コンタクトレンズ検査料1について、眼科の外来受付及び支払い窓口の分かりやすい場所に規定された掲示はあるか • 外来化学療法加算について、専任の常勤看護師が化学療法を実施している時間帯に、常時当該治療室に勤務しているか • 外来化学療法加算1について実施される化学療法のレジメンを評価、承認する委員会の構成員は適切か • 画像診断管理加算について、画像診断を専ら担当する常勤医師の要件を満たしているか • 「常勤者」が他の医療機関や施設等で働いていないか
日々の業務のチェックポイント 適時調査の主なポイント • その他 • カルテ記載については施設基準とは直接関係ないが、調査の過程において不備が発覚することがある • 看護職員数を満たせなかった場合に入院基本料を取り消された場合の例 • × 7:1 → 10:1 • ○ 7:1 → 特別入院基本料 • 適時調査から個別指導へ繋がるケースもあり得る
日々の業務のチェックポイント 適時調査後のポイント • 調査によって届出と異なる事項や不適合が判明した場合 • 変更届け等の提出により適正化を図る • 変更や不適合が生じた時点まで遡った自主返還 • 届出の辞退または変更届出の提出を求められる • 改善が見られないと判断された場合 • 届出の受理が無効とされ取消が行われる • 弁明の機会は保障される • 取消の場合には返還措置が取られ、当該届出にかかる新たな届出が6ヶ月出来ないことになる • 辞退届提出の場合は取消ではないので6ヶ月のペナルティは避けられる