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日本と東アジア経済専題研究 ( 一 ). 担当 小山 直則. 今日学ぶこと. 第 3 章 当面の復興財源をどこに求めるか 復興財源の方向付けが何もなされていない この機会に財政構造の徹底的見直しが必要 法人税減税はもともと必要なかった 復興財源に奇策はあり得ない. ●東日本大震災の被害額 内閣府推計 (2011 年 6 月 24 日 ) ⇒ 16 兆 9000 億円 ( 震災や津波による住宅、工場、社会インフラの被害額 ) 。 2. 林敏彦 (2011) ⇒ 34 兆円。. ●過去の大災害 ( 林 (2011) より引用 ) ⇒.
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日本と東アジア経済専題研究(一) 担当 小山 直則
今日学ぶこと 第3章 当面の復興財源をどこに求めるか • 復興財源の方向付けが何もなされていない • この機会に財政構造の徹底的見直しが必要 • 法人税減税はもともと必要なかった • 復興財源に奇策はあり得ない
●東日本大震災の被害額 内閣府推計(2011年6月24日) ⇒16兆9000億円(震災や津波による住宅、工場、社会インフラの被害額)。 2. 林敏彦(2011) ⇒34兆円。 ●過去の大災害(林(2011)より引用) ⇒ 3.1. 復興財源の方向付けが何もなされていない
●補正予算 第一次補正予算(菅5/2) ⇒総額4兆153億円で阪神大震災後初の補正予算の約4倍 2. 第二次補正予算(菅7/20) ⇒総額1兆9988億円。 3. 第三次補正予算(野田11/21) ⇒総額は12兆1025億円 (史上2番目の規模) 4. 野田総理は第四次補正予算の編成を指示したと明言(12/1)。 *補正予算:国または地方公共団体の予算で、経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由(例. 震災)に基づき、追加・変更を行うために作成される予算のこと。 3.1. 復興財源の方向付けが何もなされていない
●第一次補正予算(菅5/2) ⇒総額4兆153億円で阪神大震災後初の補正予算の約4倍。 ⇒東日本大震災関連経費を賄うために、 ⇒基礎年金国庫負担率1/2を維持するために予定されていた財源(2兆4,897億円)など ⇒既定経費を削減した。 ⇒この財源削減の意味は? 3.1. 復興財源の方向付けが何もなされていない
●財源削減の意味は? (1) 13.5%分の国庫負担のための年金特別会計の積立金を一時的に取り崩すこと。 *積立金は、将来世代の給付に充てるためのもの。 (2) 13.5%分を補填するために将来の消費税増税が必要となる。 (3) 増税が不可能なら国庫負担を36.5%に戻す必要があるであろう。 ●基礎年金財源(11年度) 3.1. 復興財源の方向付けが何もなされていない 50% 保険料 この財源を復興財源に転用 36.5% 国庫負担
●基礎年金とは? ⇒すべての国民に給付する共通の公的年金のこと。 ⇒高齢者の生活を保障するために1986年に導入された。 ⇒20歳以上の国民が保険料を支払い、65歳から基礎年金をもらうのが原則である。 ⇒満額を受け取ると月6万6000円となる。 ●第一号被保険者(自営業者) ⇒定額の基礎年金のみを受け取る。 ●第二号被保険者 ⇒厚生年金に加入するサラリーマンと共済年金に加入する公務員は、報酬に比例した年金が基礎年金に上乗せされる。 ●第三号被保険者(専業主婦) ⇒保険料を納めなくても基礎年金がもらえる。 基礎知識
●基礎年金国庫負担 ⇒国民年金法によると、基礎年金の国庫負担の割合は従来は1/3であった。 ⇒2009年4月の法令改正で1/2に引き上げられた。 ●基礎年金の財源 ⇒従来 保険料 2/3(36.5%) 国庫負担 1/3 ⇒現行制度 保険料 1/2 国庫負担 1/2 ⇒財源はどうするのか? 基礎知識
●税と社会保障の一体改革 ⇒社会保障の持続可能性と財政再建の同時達成が必要である。 ⇒社会保障費の対GDP比 80年代平均 13.71% 90年代平均 16.74% 2000年代平均 24.22% ●ワニの口 基礎知識 社会保障給付費(GDP比) 財源問題 GDP成長率 収入が減る一方で、支出が増えている。
●日本の税体系「1940年体制」 ⇒基幹産業である製造業が利益を上げ、法人税を納め、 ⇒その従業員が源泉所得税を負担する仕組みのこと。 ⇒これらの税収の一部は生産性の低い農業部門に補助金として支給されることによって、社会の安定化が図られる。 ●財政健全化 財政赤字=歳出ー歳入 ⇒歳出を削減する? 例. 基礎年金国庫負担率削減、年金保険料と給付額の見直し ⇒歳入を増やす? 例. 恒久財源としての消費税増税、成長戦略 3.2. この機会に財政構造の徹底的見直しが必要
1990年 2003年
●法人税の経済効果 ⇒企業が投資をして資本投入を拡大させるとする。 ⇒企業投資の最適条件 *企業利潤π =(1-τ)(収入ー資本費用等c) K:資本 τ:法人税率 Cには、p126の控除項目を含む。 ⇒法人税は最適条件に影響を与えない。すなわち、法人税は企業の投資行動に中立的である。 3.3.法人税減税はもともと必要なかった
●税収中立的な改革 ⇒法人税率を引き下げるのであれば、 ⇒同時に税収減を穴埋めするために ⇒126ページの特別措置を廃止すべきである。 ●企業の負担(136ページ) ⇒企業にとって重い負担は法人税ではなく、 ⇒社会保険料の負担である。 ⇒基礎年金未納者が増えると厚生年金負担が増えるので、法人税の問題よりも未納問題を解決すべき。 3.3.法人税減税はもともと必要なかった
●奇策 政府紙幣 2. 無利子国債 3. 国有財産の証券化 ●1. 政府紙幣 ⇒政府が紙幣を発行しても実際には流通させないで日銀が引き受けるのであれば、 ⇒国債の日銀引受と経済効果は同じである。 ●2. 無利子国債 ⇒無利子国債を購入する動機は相続税の免除にあると考えられる。 ⇒将来の相続税収の先食いであり、通常の国債と経済効果が同じである。 ⇒相続税の免除額が利子の喪失額よりも大きい人が購入することになり、 ⇒国庫純収入はマイナスになるであろう。 ⇒個人消化されるだけで市場で流通されにくい。 3.4.復興財源に奇策はあり得ない
●奇策 政府紙幣 2. 無利子国債 3. 国有財産の証券化 ●3. 国有財産の証券化 ⇒官庁や庁舎などの国有財産は、それを保有することによって現金収入を生み出しにくいので、証券化できない。 ⇒現金収入のある国有財産を証券化すれば、国庫収入が減少することになる。 ⇒将来の収入を先食いするという意味で無利子国債と同じ経済効果がある。 3.4.復興財源に奇策はあり得ない