1 / 73

シナリオ まとめ 日本社会の未来 と エネルギー環境技術・製品の 「場」

シナリオ まとめ 日本社会の未来 と エネルギー環境技術・製品の 「場」. 2009 年 2 月13日 ( 財)日本エネルギー経済研究所 角和 昌浩. 発表の内容. 1. SEPP プロジェクトで用いられたシナリオ・プランニング   手法について 2.シナリオ作品の紹介 高齢化 都市と交通の未来 食と農 技術進歩と社会 日本企業のアジア展開 . エネルギー環境に関わる新技術 と  未来社会の製品需要の  『 場 』. エネルギー供給インフラは短期間に転換することは困難

caden
Download Presentation

シナリオ まとめ 日本社会の未来 と エネルギー環境技術・製品の 「場」

An Image/Link below is provided (as is) to download presentation Download Policy: Content on the Website is provided to you AS IS for your information and personal use and may not be sold / licensed / shared on other websites without getting consent from its author. Content is provided to you AS IS for your information and personal use only. Download presentation by click this link. While downloading, if for some reason you are not able to download a presentation, the publisher may have deleted the file from their server. During download, if you can't get a presentation, the file might be deleted by the publisher.

E N D

Presentation Transcript


  1. シナリオ まとめ 日本社会の未来 と エネルギー環境技術・製品の 「場」 2009年2月13日 (財)日本エネルギー経済研究所 角和 昌浩

  2. 発表の内容 • 1.SEPPプロジェクトで用いられたシナリオ・プランニング  手法について • 2.シナリオ作品の紹介 • 高齢化 • 都市と交通の未来 • 食と農 • 技術進歩と社会 • 日本企業のアジア展開

  3. エネルギー環境に関わる新技術 と 未来社会の製品需要の 『場』エネルギー環境に関わる新技術 と 未来社会の製品需要の 『場』 エネルギー供給インフラは短期間に転換することは困難 しかし、人々の生活や考え方、それに基づくエネルギーの使い方は短期間で大きく変化する可能性がある。 エネルギーを使うという観点から未来社会の可能性を探る 「エネルギー・環境に関わる新技術が導入され、普及していく『場』 はどのようなものか?」 「30年後(~2040)、どのような未来社会が出現し、その社会の需要にむけて、どのような技術・製品を開発し、導入・普及することになるのか?」 日本社会の未来とエネルギー環境技術・製品の 『場』

  4. シナリオ・プランニングとは何か • シナリオ・プランニングは、将来の展開が不確実な未来を語るための「手法」です。 • 組織の中長期戦略策定を行う際に、前提となる未来の在りようを、首尾一貫したストーリーにしてみます。 • 未来の予測など、どだい、無理なことです。 • 将来見通しを一つだけおいて戦略を作るのは危険です。将来見通しを複数持つことで、見通しが外れた場合のリスクが計れ、取るべき対策も事前に考えられます。 Why?

  5. 激変する世界 私たちは、2009年2月13日 に 生きている 3年前、2007年の2月・・・・ 米国サブプライムローン問題は、グリーンスパンが気づいていた、と思われる。 が、全世界の景気をこれほど暴力的に縮減させる、と、想像しただろうか? 現行の派遣業法の問題点は、グッドウィル破綻によって気づかれていた、と思われる。 が、・・・ 2008年末、日比谷公園に 「派遣村」が出現する、と、想像できただろうか?

  6. 魅力的な新製品は、続々と現れる • 私たちは、2009年2月13日 に 生きている • 5年前、2005年の2月・・・・ • i-Pod, i-Tune, i-Phone? • 5万円パソコン ? • 第3のビール ? • 宮崎マンゴー「太陽のたまご」 ? • みんな、イノベイション!!!

  7. シナリオプランニング とイノベイション 公式の未来  組織の意思決定者が、現在持っていて、  それに沿って活動している戦略、の  基になっている将来見通し。 現在 見えている 事象 公式の 未来 BAU(Business As Usual) シナリオ イノベイション理論では、Inside-the-Box

  8. シナリオプランニングは、 Outside-the Box を 応援する Outside-the-Box イノベイションを、組織の中で、戦略的に、持続的に育てるための「しくみ」 BAUシナリオ/In-the-Boxの反撃  ・・・計数化、競争力分析、ベストプラクティス、リーディングカンパニー・・・ 未来の技術と、未来のマーケットの新しい結合は、概念的に、 シナリオストーリーとして語るほかない。BAUシナリオと同質の「詰めかた」は、求めて、得られるはずもない。 長期未来には、In-the-Boxイノベイション と Outside-the-Box は、同等に、花が咲く可能性がある。

  9. シナリオとは何か? 未来世界 1 Branching Point 事象の 分析・ 解釈 現在 見えている 事象 BAU 構造化した整理 未来世界 2

  10. イノベイション と シナリオプランニング •   日本社会の未来 と •      エネルギー環境技術・製品の 「場」 • = 未来の技術と、未来のマーケットの、新しい結合のあり様 • 未来技術の、萌芽と、アプリケーションの可能性を探す。 • 未来の 消費者=われわれ は、何を欲するのか?     ・・・価値観や嗜好? • 長期未来の社会像を、シナリオストーリーでいきいきと描き、想像力を刺激する。 → Outside-the-Box

  11. 1.SEPPプロジェクトで用いられたシナリオ・プランニング  手法について1.SEPPプロジェクトで用いられたシナリオ・プランニング  手法について • 2.シナリオ作品の紹介 • 高齢化 • 都市と交通の未来 • 食と農 • 技術進歩と社会 • 日本企業のアジア展開

  12. シナリオ作成者 • 高齢化          東京大学公共政策大学院                        助教      松浦正浩 • 都市と交通の未来 東京大学社会基盤学科社会基盤学専攻 准教授加藤浩徳 • 食と農 東京大学公共政策大学院      研究スタッフ 山口健介                        特任研究員  木下理絵 • 技術進歩と社会 東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授    湊 隆幸 東京大学公共政策大学院                        客員教授   鈴木達治郎 • 日本企業のアジア展開 一橋大学大学院商学研究科 教授      橘川武郎 (財)日本エネルギー経済研究所戦略・産業ユニット       担任特別補佐角和昌浩

  13. シナリオ分析手法のモジュール 将来展開 が読める 事象 現在 見えて いる事象 未来社会 1 ? ? どう解釈 できるのか? シナリオ分析 の枠組み 将来展開が 読みにくい 事象 シナリオストーリー 未来社会 2 ? ? ? シナリオスタディ の 主題 ?

  14. 読める 現在 見えて いる事象 未来社会 1 解釈? 枠組み 読みにくい 未来社会 2 SEPP 高齢化 シナリオ 個人の自己責任と自主独立。 団塊世代は鍛えられている。 「ひとに頼らない社会」 将来、高齢者となった 日本人ひとりひとりは、 どのような暮らし方を 望むのか? 結果、どんな住まい方 をしているのか? 日本社会の コンセンサス 形成? 20年後の団塊世代は、考え方を変え、未来の若者を巻き込みながら、 「ひとに頼ってゆく社会」 を作る。

  15. 将来人口の推移(推計) • 以前から、老年人口(65歳~)は増加の一途、年少人口(~14歳)も減少の一途 • 生産年齢人口(15~64歳)が減少局面に突入 • 総人口もかなり近い将来に減少局面に突入するはず (国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口 平成18年12月推計より)

  16. 高齢化問題と対策 • 生産年齢人口の減少に伴い、現役世代による老人福祉負担が急増の見込み • 人口問題は出生、死亡、移動とパラメーターが少なく、人為的な調整は困難⇒(気候変動問題と同じく)adaptationが鍵 老年人口/生産年齢人口の比 (国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口 平成18年12月推計をもとに作成)

  17. 高齢化・人口減少 とエネルギー・環境 • 活動量の減少によるエネルギー消費とGHG排出の減少 • 急激な人口減少により(効率が不変でも)エネルギー消費、GHG排出が減少する可能性 • 産業構造に与える影響 • 労働力不足、前期高齢者を労働力に見込む必要性 • 製造業のスキル伝承の重要性 • 世帯構成の変化によるエネルギー需要の変化 • 世帯の人員が多いほど一人あたり消費量は少ない・・・・

  18. 世帯の人員が多いほど1人あたり消費量は少ない・・・世帯の人員が多いほど1人あたり消費量は少ない・・・ • 高齢者の住まい方(独居か共同生活)が不確実要因 •           ⇒ シナリオではここに着目 世帯人数別 1人当りのCO2排出量 (2000 年度) (東京都環境審議会第2回企画政策部会(平成15年3月24日)資料より)

  19. 2つのシナリオ • シナリオ1:個が自己責任で自己実現する社会 • サクセスフル・エイジングがキーワード • 高齢者にも自己責任、人生すべて自己責任 • 貯蓄に応じて多様な高齢者の住まい方 • シナリオ2:新たな公による福祉重視社会 • 新たな公がキーワード • もちつもたれつの社会 • 信頼に基づく比較的画一的な共同生活

  20. シナリオ 1 の 道すじ自己責任・自己実現シナリオ 1 の 道すじ自己責任・自己実現 • 10年後 • 介護保険制度の見直し、介護格差拡大 • 消費税増税失敗、法人税減税で深刻な国の財源不足 • 高齢者の労働参画拡大、ホワイトカラーのアジア移住 • 20年後 • 健康志向の強化(ほぼ全面禁煙、健康食材、フィットネス) • 混合診療自由化、高齢者医療の2階建化 • 移民の大量受け入れによる産業構造の維持 • 年金改革により低貯蓄高齢者が単純労働にやむなく参入 • 30年後 • サクセスフル・エイジングのアジア展開 • 高齢者と移民の間の対立

  21. シナリオ 1 の 結末自己責任・自己実現 未来の住まい方シナリオ 1 の 結末自己責任・自己実現 未来の住まい方 • 単独世帯の急増 • 多様性の高い住まい方 • 超高級マンション居住(高齢者向け六○木ヒ○ズ) • 余裕の室内空間、ゲストルーム、パーティ会場など完備 • 最先端の大型家電、住宅設備 • 医療からエンターテイメントまで何でも揃う • 理想のいなか暮らし • 築数十年の茅葺き農家などを大改造 • 空調、給湯などのアメニティは都市生活と不変 • 地方の病院が高貯蓄高齢者向け特別サービスを提供 • SUVなどで移動の自由も獲得 • 木賃アパート、公団住宅暮らし • 貯蓄のない人々は昭和のアパート等を賃貸 • 給湯等の設備は年代もの、壊れるまで使い、集約化不可能 • 高齢者も肉体労働のため都心に電車で通勤

  22. シナリオ 2 の 道すじ新たな公 • 10年後 • 地縁・「地域ボス」の衰退と新たなコミュニティの発生 • 前期高齢者がNPOなどを通じ、ボランティアとして統計にカウントされない労働力を供給 • 若干の消費税増税(但し生活必需品は免税に) • 20年後 • 新種の高齢者圧力団体発足、政策運営に強い影響 • プライバシーの低下、「評判」の流通 • (貨幣ではなく)人間関係に基づく介護 • 国の経済「規模」の縮小 • 30年後 • 尊厳死希望者の増大 • 生活の均質化

  23. シナリオ 2 の 結末新たな公未来の住まい方シナリオ 2 の 結末新たな公未来の住まい方 • 比較的均質な住まい方 • (人口減少以上のペースで) 世帯数の減少 • コレクティブハウスなど • 個人の居室は小規模 • 食事、風呂、娯楽などは共同スペースを利用 • 前期高齢者が福祉サービスを提供 • 空調、給湯などは集約型の設備 • 2~3世代同居 • 大胆な所得控除により現役世代にもメリット • NPOなどによるデイサービスなどを通じた支援 • 比較的大型の住宅設備、建て替え時に高断熱化

  24. 未来の高齢者の住まい方【比 較】 • シナリオ1 • 貯蓄があれば自由を謳歌できる • 貯蓄がなければ何歳でも働き続けなければならない • 家電や住宅設備も個人単位で導入(パーソナライズ) • 大型・高効率と小型・低効率に二極分化 • シナリオ2 • 貯蓄の意味がほとんどなくなる • コミュニティの中でみな同じような生活 • コミュニティに溶け込めないと辛い • 家電や住宅設備は共有が前提(大型集約化)

  25. 読める 現在 見えて いる事象 未来社会 1 解釈? 枠組み 読みにくい 未来社会 2 SEPP 都市と交通の未来 シナリオ • 人口の減少と超高齢化社会の到来 • 地方自治体の財政状況の悪化 • 地球環境問題に対する関心の向上と国際的責務 • 情報通信技術(ICT)の一層の発展と普及 • 都市・交通に関して将来の見通しが不確かな事象 • 電気自動車(EV)は普及しているか否か? • 都市のコンパクト化は進むか否か? • 公共交通へのシフトが進むか否か? • 公共交通が行政主導型か民間主導型か?

  26. 将来の日本に確実に起こると考えられる事象(1)将来の日本に確実に起こると考えられる事象(1) • 人口の減少と超高齢化社会の到来 • 2050年には,日本の人口は1億人を割り込む可能性がある.特に,地方部における人口減少が著しい. • 2050年には, 3人に1人は老齢人口となる. 日本の総人口の将来予測値 2005年から2035年の30年間の将来の都道府県別人口増減数(推計値) データ:国立社会保障・人口問題研究所 データ:国立社会保障・人口問題研究所

  27. 将来の日本に確実に起こると考えられる事象(2)将来の日本に確実に起こると考えられる事象(2) • 地方自治体の財政状況の悪化 • 生産年齢人口の減少は,地方自治体の税収が減少するとともに,購買力の低下を招く. • 自治体間の格差が拡大し,財政破綻に陥る自治体が現れる. 多くの自治体が,財政破綻の危機に直面している.第二,第三の夕張市が生まれる可能性は高い. 都道府県別財政力指数(2005年) 出典:日本経済新聞(2008年10月1日付) 参考:財政統計研究所

  28. 1998 関心がある 2001 ある程度関心がある わからない あまり関心がない 2005 全く関心がない 2007 0 20 40 60 80 100 将来の日本に確実に起こると考えられる事象(3) • 地球環境問題に対する関心の向上と国際的責務 • 世界各地の異常気象の多発等により,地球環境問題に対する社会的な関心が高まる. • ポスト京都議定書において,一層の環境負荷軽減施策が国際的に義務づけられる. 国民の地球環境問題に対する関心は,どんどん高まりつつある. 2050年までに世界の温室効果ガスを半減させるとする数値目標を共有することで合意がなされた. 国民の地球環境問題に対する関心度 洞爺湖サミットでの首脳集合写真 出典:内閣府「地球温暖化対策に関する世論調査」 出典:ウィキペディア

  29. 将来の日本に確実に起こると考えられる事象(4)将来の日本に確実に起こると考えられる事象(4) • 情報通信技術(ICT)の一層の発展と普及 • インターネットを用いた高度情報伝達技術が開発され,移動の代替・補完サービスが広範囲に提供される. • ITSの発達と普及が進み,道路・公共交通のインフラや,歩行者,自転車など移動者の利便性が格段に向上する. 歩行者,車椅子使用者,自転車などに,安全・快適・利便を提供する歩行者ITS 追突軽減ブレーキシステムや車間距離維持システムなどをはじめとするさまざまな安全装備を備えるASV (Advanced Safety Vehicle) 出典:国土交通省 出典:国土交通省

  30. 都市・交通:将来の見通しが不確かな事象(1) • 車両に関わる新技術の開発・普及状況 • 電気自動車,燃料電池自動車の社会への普及は,電池やモーターの技術開発ならびに規制緩和がどの程度進むかに大きく依存. • 新技術を受け入れる市民の理解も不可欠. 三菱が電力会社と共同で実証実験を進めている電気自動車のi MiEV トヨタが開発中のプラグインHV.2010年までにフリートユーザー向けに販売予定. 出典:トヨタホームページ 出典:三菱自動車ホームページ

  31. 都市・交通:将来の見通しが不確かな事象(2) • 都市のコンパクト化の進行程度 • 都市のコンパクト化は地球環境負荷ならびに財政コストの削減に寄与する可能性が高い. • しかし,郊外地域の計画的縮退は,既存の郊外居住者からの合意獲得が困難.また,日本の都市計画制度が,都市構造をコントロールできる強制力を持てるかどうか. 低人口密度の都市は,自動車利用に頼らざるを得ないため,環境負荷が増大する. 生活スタイル,交通システム,都市構造は相互に密接な関係にある.1つの要素の機能不全が,次々と悪循環を呼ぶ. 世界主要都市の人口密度と私的交通機関のエネルギー消費量との関係 モータリゼーション・スパイラル 出典:Newman and Kenworthy (1999)

  32. 都市・交通:将来の見通しが不確かな事象(3) • 公共交通を基軸とした都市交通システムの実現性 • バス,BRT,LRT等の公共交通システムの導入,改良,維持に関する社会的合意形成の可能性が不透明. • 公共交通指向型開発(TOD),ロードプライシング,公共交通との連携カーシェアリング等の公共交通へのモーダルシフトに向けた諸施策の実現性が不透明. TOD (Transit Oriented Development):公共交通の駅を中心とした高密度な都市開発を行うことで,コンパクトな土地利用を実現. 公共交通との連携カーシェアリングやロードプライシングは,公共交通利用を促進する施策として注目されている. 鉄道事業者(SBB)による駅前カーシェアリング (チューリッヒ) ロードプライングシステム(ロンドン) 出典:国土交通省

  33. 都市・交通:将来の見通しが不確かな事象(4) • 公共交通システムの計画・運用の制度? • 民間主導型?:一定の市場規制の下において,企業間の競争を通じて,高いサービス水準が達成される. • 行政主導型?:自治体が直接公共交通を運営したり,自治体の交通計画に基づいて補助金入札によって民間企業に運営を委託したりする. 英国のロンドン以外の地域では,乗合バスの補助金について入札制度が導入されている.また,需要の見込めない生活路線では,地方交通計画に基づいて契約が結ばれることもある.ただし,自治体の費用負担増大が懸念されている. 我が国の乗合バス市場は,2002年に規制緩和され,市場競争原理導入による運営の効率化が図られた.その一方で,路線バス衰退の加速,赤字路線廃止,利用者不在の競争等が懸念されている. 東京都内の民営バス 英国ダーラム市のバス

  34. シナリオ設定の進め方 • 将来の我が国の都市・モビリティのシナリオをあらゆる条件の下で検討することは,無理 → 単純化を図る • 将来の日本:確実に起こると考える事象 • 人口の減少と超高齢化社会の到来 • 地方自治体の財政状況の悪化 • 地球環境問題に対する関心の向上と国際的責務 • 情報通信技術(ICT)の発展と普及 • 都市・交通:将来の見通しが不確かな事象 • 電気自動車(EV)の普及? • 都市のコンパクト化は進むか否か? • 公共交通へのシフトが進むか否か? • 公共交通が行政主導型か民間主導型か? 複数ケースの想定 高齢化、地方財政の悪化、低炭素化の諸課題を、ICTなど技術の高度利用 を実現して、都市・交通システムを新たに設計することにより解決した、 2つの、望ましい未来像

  35. 日本の都市モビリティ: 2つの将来シナリオ日本の都市モビリティ: 2つの将来シナリオ

  36. (参考) 日本の都市モビリティの2つの将来シナリオ(参考) 日本の都市モビリティの2つの将来シナリオ 公共交通中心型都市モビリティ 個人交通中心型都市モビリティ  特定の地域や時間帯での,自動車(EVを含む)使用の環境的・社会的コストを考慮した,ロードプライシングの導入や,自動車保有税の引き上げがなされ,自動車の保有・利用が制限される.同時に,自家用車に対する課税から得られた収入を用いて,行政主導により,公共交通の新規投資,維持管理の強化,および公共交通と連携したEVカーシェアリングシステムが,全国的に導入される.ICT技術進展により,目的地情報提供,乗換支援,運賃収受等の改善が行われ,公共交通の利便性が,飛躍的に向上する.また,従来,交通産業と無関係だった企業や外資企業が,公共交通市場に参入し,公共交通を軸とした総合都市サービスが提供される.ここでは,中心市街地の再開発や,土地の混合利用等を促進することによって,居住地,職場,商店街,公共施設の空間的な相互関係が改善され,中心市街地に活気が取り戻される.伝統的な地縁や人と人とのふれあいが戻り,賑わいのあるまちが醸成される.  一方で,コミュニティーに入れない人々が,インフォーマルセクターを形成し,フォーマルセクターとインフォーマルセクターとの間の経済格差が拡大する.都市内の治安確保のために,ICT技術を駆使した相互監視システムが広く使用されるようになる.都市居住者が急増して農業従事者が減少し,食糧自給率が低下する.  電気料金の定額料金システムが電気会社から導入されたところ,プラグインEVが爆発的に普及する.燃料電気自動車の開発にも弾みがつき,自動車会社は,世界の電気自動車市場をリードして日本経済を活性化させる.EV利用者や歩行者のためのITS技術を駆使した,ハイテク道路ネットワークが整備され,高速かつ安全な移動が可能となる.その結果,交通事故がほぼゼロに近づく.分散型の居住構造が加速される一方で,雇用が分散化することはない.ただし,ICT技術を用いた高水準コミュニケーションの実現により,在宅勤務や自宅におけるネット上での買物が当たり前になる.また,インターネット等を介して,国内外の人々とのグローバルな交流が図られるようになる.  人々は,緑溢れる環境の中で居住し,自由な移動と自由な生活を享受する.個人での移動が中心となることから,個人向けサービスの開発が進む.拡散居住により,物流コストが上昇する.人々は,食糧を確保するために,各自,家庭菜園に励むようになり,地産地消が進むようになる.  ただし,人口減少による地方財政悪化から,鉄道や公共交通への投資,補助金は削減され,多くの中・小都市において,公共交通サービスが消滅する.

  37. 読める 現在 見えて いる事象 未来社会 1 解釈? 枠組み 読みにくい 未来社会 2 SEPP 食と農 シナリオ 政治の側面 農地の集約化? 中山間地の活用? 直接的 安全確保!   (国産品選好) 消費の側面 食の安全問題対応? 経営の側面 国内農商工連携融資? 開発輸入? 青年/定年の帰農? 外国人労働者? 市場制度設計の強化!

  38. 農業生産額:米を中心に減少の傾向

  39. 基本的な課題:3指標の減少 • 農地:効率的な利用をすれば、単位当たり生産性は高い      ⇒効率的な利用を阻む政治の側面 • 担い手:魅力ある産業なら、人は集まる      ⇒魅力を低下させている経営の側面 • 自給率:消費者が国産品を選好すれば、自給率あがる      ⇒国産品選好を低下させる、消費の側面

  40. 現状と課題 未来の事象 シナリオの枠組み シナリオの描写

  41. 将来、確実に起こる事象 • 政治の側面 • WTO農業交渉の妥結 • 高関税・生産調整から直接補償への転換 • 政治団体としての農協の弱体化 • 経営の側面 • 担い手不足の顕在化 • 都市近郊を中心に農地の規模が拡大 • 短期的には、民間金融機関から生産法人への融資が増加 • 消費の側面 • 安全・安心への関心が持続 • 高級グルメ志向層の存在 • 中食・利便性を求める層の存在

  42. 将来、生起が不確実な事象 • 政治の側面 • 農地の面的集約化 • 中山間地の利活用 • 経営の側面 • 国内農商工連携への、長期的な融資動向 • (開発)輸入の増加 • 青年/定年帰農者の動向 • 外国人経営者・労働者の本格的受け入れ • 消費の側面 • 食の安全問題への対応の在り方

  43. 現状と課題 未来の事象 シナリオの枠組み シナリオの描写

  44. 食の安全確保策 の 2類型「信頼」 の 社会システム食の安全確保策 の 2類型「信頼」 の 社会システム 食の安全を揺るがす事件の多発 食の安全確保のための、消費者の行動がシナリオをけん引するドライバ 食の安全は社会的不確実性 • 援用:「信頼」理論 • 社会的不確実性への対応 • A:公的制度に  依った安心 • B:他人への信頼 • ドライバA • 公的制度に基づいた制度への絶対的な信頼。関連制度の推進。 • Traceability • HACCP; GAP • ドライバB • 制度への信頼は限定的。直接的な安全確保の模索が優先。 • 国産品信仰 • 地産地消、帰農 山岸俊男(2008)「安心社会から信頼社会へ」

  45. 分岐点 と シナリオストーリー 食の安全問題 直接的 安全確保!   (国産品選好) 市場制度設計の強化! 民間による国内 農業融資活発化 基準を満たす安価な輸入品への選好 面的集約化のインセンティブ賦与 農商工連携の活発化 国内農業 の衰退 開発輸入 の増加 外国人労働者・経営者の本格導入 定年・青年帰農者への支援 中山間地利用されず 民間金融機関の農業融資 限定的

  46. 空洞化シナリオ 市場制度設計の強化! 安全を求めて・・・★公的制度に基づいた制度への信頼 トレーサビリティー等、履歴制度の充実。生産・流通履歴制度の国際標準化。 制度による安全担保のコスト増に対して、コスト削減のために、安価な中国等からの開発輸入が増加。同時に、海外から基準を満たした安価な輸入品の増加。 国内の農業では、都市近郊で農商工連携等に成功した地域は一部残るものの、中山間地を中心として農業は衰退。 地方における農地は周辺部を中心に淘汰され、都市を中心としたコンパクトシティが形成される。 将来的には、外資種苗ビジネスによるGMO食品も国内市場を席巻する。

  47. 地域再生シナリオ 直接的 安全確保!   (国産品選好) 安全を求めて・・・★直接的な安全確保の欲求 国産品を選好する消費者。国産品「信仰」の創出。・・・けれども、・・・偽装事件の増加も? 安全を求めて、派遣切り等も背景として、青年/定年帰農の動き強まる。 帰農は地方医療・教育がボトルネックとなりクリティカル・マスには達しないが、都市近郊を中心に地産地消型の農商工連携で成功する地域も生まれる。 これまで農業がボトルネックで進まなかった東アジア地域などとEPAにおける、積極外交を展開。 外国人労働者などの活用で、自給飼料生産などで中山間地の積極的利用も可能に。

  48. エネルギー・環境への示唆

  49. セキュリティーへの関心 ++ 読める 現在 見えて いる事象 未来社会 1 解釈? 政府管理 読みにくい 未来社会 2 ‐‐ SEPP 技術進歩と社会 シナリオ • ICタグ技術、スマートカード • 情報の“ばらまき“ • 情報の一元管理による弊害 • 情報技術は社会変容のアクセル • プライバシーの壁の崩壊。 • セキュリティー問題の社会的影響 • 技術の“ばらまき”が引き起こす社会問題 • 革新技術としての『データ融合』技術の導入。 • 政府の政策発動 ・・・何 に対していつ? 市場化

  50. 問題の設定 • 技術進歩が将来の人間社会の構築にもつ影響とは? • 技術政策の話題は政治的アジェンダとして明示的に取り上げられることは少なく、必ずと言ってよいほど、短期的な意味での経済的帰結のみがクローズアップされる。 • 本稿では情報技術のもつ影響を、経済的な側面を超えて考慮し、以下の2つの視点から未来社会の姿を描き出す。 • (1)国家管理か市場主導か • (2)情報セキュリティーへの関心度

More Related