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Magnetic Calorimeter の 原理と現状. 宇宙科学研究所 山崎典子. Magnetic Calorimeter の原理. 常磁性体に磁場をかけ、スピンをそろえる。 (Zeeman effect) ε=gμ B J Z H〜1μeV(H/10mT) エネルギー入射があるとスピンが反転し、磁化が変化する。 ΔN=E(C spin /C total )/ε 出力は Δm=ΔN x μ B ∝E/H 磁化の変化を SQUID で読み出す。. MC の原理 (II). Spin 1 個あたりのエネルギーを E=-gμ B J Z H として
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Magnetic Calorimeterの 原理と現状 宇宙科学研究所 山崎典子
Magnetic Calorimeterの原理 • 常磁性体に磁場をかけ、スピンをそろえる。(Zeeman effect) • ε=gμBJZH〜1μeV(H/10mT) • エネルギー入射があるとスピンが反転し、磁化が変化する。 • ΔN=E(Cspin/Ctotal)/ε • 出力はΔm=ΔN x μB∝E/H • 磁化の変化をSQUIDで読み出す。 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
MCの原理 (II) • Spin 1個あたりのエネルギーをE=-gμBJZHとして • 分配関数Zは • Z=sinh((J+1/2)γβH)/sinh((1/2)γβH) • β=1/kBT, γ=gμB, • 磁化Mは M=gμBJBJ(γβJH) • (BJ:Brilloin function, J=1/2のときB1/2(x)=tanh(x)) • 比熱Csは CS=kBX2(d/dX BJ(X))=H2χ/T ;X=γβJH • 磁化の温度変化dM/dT = -C/H • Δm=(dM/dT)x(E/Ctot) • 磁気比熱(CS)と格子比熱(Cl) • CS∝T-2H2,Cl∝T3よりΔmを最大にするのはCS=Clのとき 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
MCの動作条件 • どのような温度、磁場が必要かγβJH〜1で飽和 →μBH/kBT=0.67(H/10mT)(T/10mK)-1 • どのような物質が望ましいか。 • 何かに常磁性体イオンを希釈したような系を考える • ホストの条件:信号の立ち上がりは物質内の熱伝導に依存するので金属あるいは準金属 • イオンの条件:RKKY相互作用(常磁性体イオンと伝導電子間に働く)がイオン同士をカップルさせる 3d/4d より4f seriesのほうが相互作用小さい 互いの距離によるので濃度のコントロールは必要 (500ppmで出力を27%下げる、との計算例あり) 最近ではAuにEr3+を希釈したものが用いられている 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
MCによる放射線計測 • Buhler & Umlauf 1988,Europhys. Lett. 5,p.297 • 150mg YAG crystal doped with 0.5% Er • Absorberは7.5g の サファイア • 0.35K (3He cryostat) and 30mT, DC SQUID readout • →65keV (FWHM) for 5.5MeV α particle • Rise time 〜100msec 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
MCの開発の現状 • Heiderberg大学(独),Brown大学(米)のEnss, FleischmanらによってAu:Er系での開発がすすめられている 当初はセンサーからSQUIDまで48cm、磁化の検出効率は約30% 検出効率をあげるため、基板上に配置するようにした。 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
MC のセットアップ例 • センサーは直径50μm,厚み25μm, • Absorber をつける(8μmの金箔)こともある。 • 磁場はNb cylinderにトラップさせてかけることもある。 • Au:Erを磁気温度計として用いることで1μK/hourの温度制御 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
Au:Er MCの動作条件 • Enss et al. 2000による最適化条件 • Au;Er (g=6.8, α=5)Cabsorber=10-12 J/K T=50mK, • B = 1.5 T/g (T) →10.9 mT • X = 4.2 T/g2/α →900 ppm • R = 1.5 (Cg2α/T)1/3 (cm)→17um • Z = 0.4R →7um • Smax = 1.7x10-9(CαT2/g)-1/3 Φ0/eV →1.4x10-4 Φ0/eV • SQUIDnoiseを3μΦ0/√Hzとすると1eVの分解能 • Enss et al., 2000, Journal of Low Temperature Physics, vol. 121, p. 137 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
X 線の検出例 • 9eV(FWHM) at 5.9 keV • (Fleischmann, et al. LTD23) • 分解能はSQUID noise 〜7uΦ0/√Hzによって制限されている。 33mK. 3mT, 50μmΦx25μm のセンサーに 100μm角、8μmのabsorber 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
γ線の検出例 • T=25mK, B=4.7mT , 480ppm Er doped Au (0.36mmφx 0.5mm) • Resolution 340eV at 122keV (FWHM) • Good linearity ! 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
信号の温度/磁場依存性 • RKKY相互作用をparametarizeしたもので理解できる。 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
ノイズ • ノイズ源としては • SQUID Noise〜uΦ0/√Hz • Magnetic Johnson Noise • 〜T1/2 • Thermal Fluctuation Noise ΔErms〜√kBT2C • 現状ではmagnetic Johnson noiseで解釈可能 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
信号の早さ • 信号の立ち上がり: • Au 1mmであれば0.1μsで熱化可能 • スピンと伝導電子のrelaxationは1μs程度 • (Korringa則τ=7ns/T(k)) • 信号の立ち下がり:double exponential • 周りとの熱浴によるものが支配的 • 理由がわからないが磁場に依存するdecay あり 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
宇宙研/都立大での実験 • Au:Er系の試料を赤外線真空加熱炉を用いて製作 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
宇宙研/都立大の実験(II) • 製作した試料を分けて、RF-SQUID で4.2Kでの磁化を測定 • Tanh(gμBH/kBT)でフィットしてEr濃度、g(6〜7)などを得る 磁化(emu) 金だけだと、反磁性 (文献値とほぼ一致) 磁場(x500Gauss) 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
宇宙研/都立大の実験(III) • 3He Cryostat を用いる。 • SQUIDも0.3K stageに設置する。 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
宇宙研/都立大の実験(IV) 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
宇宙研/都立大の実験(V) • この1,2ヶ月で0.35Kでの冷却実験を続けている。 • 使用している試料は約1mmx1mm 厚さ170um,重量3mg,Er80ppm 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
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宇宙研/都立大の実験(VI) • 今のところ、パルスの検出に至らず。 • 0.35K, 100Gaussで5.5MeVα線が入射 • C=4.3x10-9J/K(ほとんどが金)より • ΔT=0.2mK変化し、Δφ〜0.27Φ0 • 現状では、磁場をかけるコイルがクエンチし、50Gauss以上かけられていないとか素子を落とすとか、いろいろ、 • SQUIDのφ-V curveの振幅はかわらず、 • 動作することを確認 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07
まとめ:MCのメリット • 物性的には単純な系であり、よく理解されている • 製作が比較的容易であり(素子と直接配線をしなくてよい)SQUIDと一体化して基板上に多数作り込むことも難しくはないと考えられる。 • 使用できるエネルギー範囲が広く、線形性もよい。 • (分解能 S∝C-1/3) 超低温超伝導素子の次世代応用 N.Y.Yamasaki 2003/02/07