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7[ 再 ] ・ 日本を再認識してみる. 2009.06.09. 青山 ・文化人類学. 日本をめぐる一般的な誤解. 日本は「単一民族国家」で ある 先住民族の代表であるアイヌ、少数民族の代表である在日韓国・朝鮮人など複数のエスニック・マイノリティが暮らしている 島国だから(ほぼ)ひとつの民族で、外からの攻撃から守られ平和だった イギリス、ニュージーランド、フィリピン などがそうであるとは言えない 日本は「小さな島国」で ある 世界の 235 国・地域の面積で大きい方から 番目 日本は「周囲から切り離された島国」で ある
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7[再]・日本を再認識してみる 2009.06.09.青山・文化人類学
7[再]・日本を再認識してみる 日本をめぐる一般的な誤解 • 日本は「単一民族国家」である • 先住民族の代表であるアイヌ、少数民族の代表である在日韓国・朝鮮人など複数のエスニック・マイノリティが暮らしている • 島国だから(ほぼ)ひとつの民族で、外からの攻撃から守られ平和だった • イギリス、ニュージーランド、フィリピンなどがそうであるとは言えない • 日本は「小さな島国」である • 世界の235国・地域の面積で大きい方から番目 • 日本は「周囲から切り離された島国」である • 見慣れた地図の向きを変えてみる cf. Asia Map • 見慣れた地図では韓半島などが省略されるからそのように感じる
7[再]・日本を再認識してみる 補足:隣の国はどのくらい近い? • 日本から一番近い外国は、つぎのどれ? • 北海道北端の稚内~ロシア・サハリン島南端 • 北海道・択捉島北端~ロシア・得撫島南端 • 長崎県・対馬北端~韓国・西南端の釜山 • 沖縄県与那国島西端~台湾・東北端
7[再]・日本を再認識してみる 補足:隣の国はどのくらい近い? • 日本から一番近い外国は、つぎのどれ? • 北海道北端の稚内~ロシア・サハリン島南端 42km • 北海道・択捉島北端~ロシア・得撫島南端40km • 長崎県・対馬北端~韓国・西南端の釜山48km • 沖縄県与那国島西端~台湾・東北端 106km
7[再]・日本を再認識してみる 補足:隣の国はどのくらい近い? • 対馬・比田勝港~韓国・釜山港は約65km、高速船の航路があり、1.5時間・6500円かかります。では、渋谷から直線で65kmの距離にあるのは、次のどこ? • 大宮 • 小田原 • 銚子 • 甲府
7[再]・日本を再認識してみる 補足:隣の国はどのくらい近い? • 対馬・比田勝港~韓国・釜山港は約65km、高速船の航路があり、1.5時間・6500円かかります。では、渋谷から直線で65kmの距離にあるのは、次のどこ? • 大宮 28km • 小田原 67km • 銚子 101km • 甲府 102km
7[再]・日本を再認識してみる Japanese Ethnic Minorities (1)アイヌ/沖縄 • 自己申告に基づく北海道内のアイヌの人口(2006年・北海道の調査)は23,782人 • この調査において、「アイヌ」とは、「地域社会でアイヌの血を受け継いでいると思われる方、また、婚姻・養子縁組等によりそれらの方と同一の生計を営んでいる方」とした(各市町村が把握することのできた人口)。ただし、アイヌの血を受け継いでいると思われる方であっても、アイヌであることを否定している場合は調査の対象とはしていない。また、全国データも存在しない。 • http://www.ainu-assn.or.jp/about03.html • 2005年国勢調査による沖縄県民は1,361,594人
7[再]・日本を再認識してみる Japanese Ethnic Minorities (2)外国人 • 外国人登録者数(法務省統計資料より) • 2,152,973人(全体の1.69%)(2007年末) • 中国(台湾・香港を含む)が606,889人、次いで韓国・朝鮮が593,489人、以下ブラジル、フィリピン、ペルー、アメリカ…… • 外国人入国者(短期)(法務省統計資料より) • 9,152,186人(2007年1~12月) • 不法残留者(法務省統計資料より) • 149,785人(2008年1月1日現在) • 常時200万人台(全人口1億2700万人の約2%)の外国人が居住・滞留していると考えられる
7[再]・日本を再認識してみる Japanese Ethnic Minorities (3)帰化・国際結婚 • 日本への帰化許可者(法務省統計資料より) • 13,218人(2008年1~12月) • うち韓国・朝鮮人7,412人、中国人4,322人 • 帰化不許可は269人 • 日本の国籍離脱者・国籍喪失者(法務省統計資料より) • 離脱者=179人(2008年1~12月) • 喪失者=619人(2008年1~12月) • 国籍を得れば日本人?国籍を失えば非・日本人? • 国際結婚(夫又は妻が外国人、厚労省統計資料より) • 40,272組(=全体の5.6%、2007年1~12月) • 両方とも日本人は679,550組(2007年1~12月) • これらのカップルから生まれてくる子どもは?
7[再]・日本を再認識してみる Japanese Ethnic Minorities (4)宗教? • 2002年のプロテスタント人口542,057人 • http://www.church-info.org/html/churchmap.html • 2007年のカトリック人口439,360人(全人口の0.35%) • http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/data/st07/statics2007.pdf • 2006年? の創価学会世帯数827万世帯(国内) • http://www.sokanet.jp/sg/FWIM/sn/soka-info/information/outline.html
7[再]・日本を再認識してみる 「日本人」とはいつを基点にするか • 日本列島にモンゴロイドが到達する以前(日本列島にヒトがまだ渡ってくる前)=3万年前を基点にすれば、全員が「渡来人」=100%がエスニック・マイノリティ • 現状の「日本人」に最も近い定義は、明治維新直後の1872年壬申戸籍に登録された者の末裔、つまり、1872年が基点 • わたしたちの多くが「日本国籍」のパスポートをもらえ、自分が「日本人である」と特に疑問もなく思っていられる根拠はここにある • これよりあとに「入ってきた」ひとたちが、わたしたちの感覚では「外国人」あるいは「他民族」ということになる
7[再]・日本を再認識してみる 日本の勢力圏拡大と国家形成 (1) • 1869年 北海道を領有……北海道アイヌ • cf. 榎本武揚「北海道共和国」(1868年10月~1869年5月) • 1871年 琉球(沖縄)を領有……琉球エスニック・グループ • このことが、それまで既に多様であった旧幕藩体制域の間の差異よりも、ずっと大きな差異を国家体制内に組み込む嚆矢となった • 以後、日本は多民族帝国への道を進み始める
7[再]・日本を再認識してみる 日本の勢力圏拡大と国家形成 (2) • 1875年 千島列島を領有・樺太を放棄 • cf. 千島アイヌ……近世には北千島・中部千島・南千島の3集団からなり、カムチャツカ半島の住民との交易が15~16世紀頃には始まっており、また千島産のラッコ皮や鷲羽などが日本にもたらされていた。近世後期、中部千島以北はロシア、南千島は日本側の勢力下にあったが、1875年樺太・千島交換条約によりすべて日本の統治下におかれた。ロシア化されていたシュムシュ(占守)島やポロムシル(幌筵)島の北・中部千島アイヌ97人は、1884年シコタン(色丹)島に移住させられたが、環境が合わず5年の内に半数が死亡、さらに第二次大戦時のソヴィエト侵攻により色丹島から根室に強制引き揚げを余儀なくされた。 • cf. 樺太アイヌ……樺太のアイヌは3年後に日露いずれかの国籍を選ぶことになっていたが、1875年10月、日本は樺太アイヌ841人を北海道に強制移住させた
7[再]・日本を再認識してみる 日本の勢力圏拡大と国家形成 (3) • 1875年 小笠原列島を再領有(以前は1861-1863年)……アメリカ系・イギリス系 • 1895年 台湾を領有……台湾漢人および台湾原住民 • 1905年 南樺太を領有……ウィルタ(オロッコ)・ニヴフ(ギリヤーク)・サハリン=樺太アイヌ • 1910年 大韓帝国を併合……韓民族/朝鮮民族 • 1914/22年 南洋群島(ミクロネシア)……チャモロ(スペイン系)とカナカ(それ以外) • 1931年 満洲国
7[再]・日本を再認識してみる 日本の勢力圏拡大と国家形成 (4) • 1941年 香港占領 • 1942年 シンガポール(英領)、インドネシア(蘭領)、ビルマ(英領)、フィリピン(米領)、ニューギニア(豪領)、ソロモン諸島(英領)、ギルバート・エリス諸島(英領)、ナウル(国連委任統治領)、アリューシャン列島(米領)を相次いで占領
7[再]・日本を再認識してみる 敗戦による領土(とその住民)の喪失(1) • 沖縄は米軍政下へ(1950年民政移行・1972年5月15日「復帰」) • 千島列島はソヴィエトへ返還 • 小笠原は米軍占領下へ(旧島民は戦時中に強制引揚済~1946年欧米系住民「帰島」・1968年6月26日「返還」) • 台湾は中華民国へ返還 • 南樺太はソヴィエトへ返還 • 朝鮮は米ソ両軍政下へ(1945年12月米英ソ3国の信託統治下へ、1948年8月大韓民国・1948年9月朝鮮民主主義人民共和国が相次いで成立、南北分断へ~1950年朝鮮戦争)
7[再]・日本を再認識してみる 敗戦による領土(とその住民)の喪失(2) • 南洋群島は米軍占領下へ(1947年国連信託統治下へ、以後ミクロネシア連邦設立をめざすが、マリアナ諸島はアメリカ自治領・マーシャル諸島は1979年自治政府~1986年独立、ベラウ(パラオ)は1994年独立、残るヤップ・チュウック(トラック)・ポーンペイ(ポナペ)・コシャエでミクロネシア連邦が1986年独立) • 満洲国は崩壊、中華民国~中華人民共和国へ • 香港はイギリスへ返還 • シンガポールはイギリスへ返還、1963年マレーシア連邦の1州として独立、さらに1965年マレーシア連邦から追放され1国として独立 • インドネシアは直後にオランダからの独立戦争に入り1949年独立
7[再]・日本を再認識してみる 敗戦による領土(とその住民)の喪失(3) • ビルマはイギリスへ返還、1948年独立 • フィリピンはアメリカへ返還、1946年独立 • ニューギニア(東部)はオーストラリアに返還、1975年パプアニューギニアとして独立 • ソロモン諸島はイギリスに返還、1978年独立 • ギルバート・エリス諸島はイギリスに返還、1978年エリス諸島がツヴァル、1979年ギルバート諸島がキリバスとして独立 • ナウルは国連信託統治領、1968年独立 • アリューシャン列島はアメリカに返還
7[再]・日本を再認識してみる なぜ「単一民族国家」のように思うのか • 以上の膨張過程を通じて、日本は戦前において「多民族帝国」化した • 敗戦により、海外領土とともに「他民族も全て喪失した」と考えられた • 実際にはそれは間違いで、それは戦後朝鮮人(朝鮮人・韓国人)・台湾人の扱いをめぐってみられた「不作為」に明らか • 結果として、さしひき「もともとの大和民族」だけが残ったという「単一民族幻想」が、戦後になって作られた