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電磁気学Ⅲ講義. 単元1~2. 電子・光システム工学科 2年次後期.選択2単位. 講義の目的. ◎電磁気学Ⅰ、Ⅱでの知識の復習 ・ 電磁界の様々な法則に関する基礎知識の思い起こし ・ Maxwell の方程式の組立までの理論の道筋の整理 ◎新たな電磁現象の学習 ・ 物質中の電磁界、時間とともに変化する電磁界の性質 ・電磁界の様々な法則を整理し、電磁気学の全体構成を理解 ・ 電磁界の諸法則を用いた電磁波の性質の解説. 講義の内容. (1) 電界と磁界のエネルギー (2) 電・磁界のエネルギーとチカラ (3) 誘電体と磁性体 (4) 電磁波の記述
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電磁気学Ⅲ講義 単元1~2 電子・光システム工学科 2年次後期.選択2単位
講義の目的 ◎電磁気学Ⅰ、Ⅱでの知識の復習 ・電磁界の様々な法則に関する基礎知識の思い起こし ・Maxwellの方程式の組立までの理論の道筋の整理 ◎新たな電磁現象の学習 ・物質中の電磁界、時間とともに変化する電磁界の性質 ・電磁界の様々な法則を整理し、電磁気学の全体構成を理解 ・電磁界の諸法則を用いた電磁波の性質の解説
講義の内容 (1) 電界と磁界のエネルギー (2) 電・磁界のエネルギーとチカラ (3) 誘電体と磁性体 (4) 電磁波の記述 (5) 電磁波の基本性質
スケジュール(その1) • 第 1単元: 電磁気学Ⅰの復習 • 第 2単元: 電磁気学Ⅱの復習 • 第 3単元: Maxwellの方程式 (中間試験)
スケジュール(その2) • 第 4単元: 静電界のエネルギ • 第 5単元: 仮想変位法 • 第 6単元: 静電界エネルギと静電力 • 第 7単元: 磁石の持つエネルギ • 第 8単元: 静磁界のエネルギ (中間試験)
スケジュール(その3) • 第 9単元: 静磁界エネルギと磁力 • 第10単元: 磁界が電流に及ぼすチカラ • 第11単元: Flemingの左手の法則 • 第12単元: 渦電流
スケジュール(その4) • 第13単元: Maxwell方程式と波動方程式 • 第14単元: 平面波と球面波 • 第15単元: 電磁界のエネルギーと ポインティングベクトル および電磁波の放射 (期末試験)
成績の評価 • 出席と試験の結果で評価 • 「インターネット演習」利用も評価 http://tamanoac.cc.it-hiroshima.ac.jp/lecture/denji1/exercise.htm • 授業内容と過去の試験の解答例は、 以下のサイトで閲覧・入手可 [閲覧]http://tamanoac.cc.it-hiroshima.ac.jp/lecture/denji3/ [入手] ftp://tamanoac.cc.it-hiroshima.ac.jp/denji3/
具体的な評価法 • 期末試験の結果を主に評価: 約25% • 出席状況も重視 : 約30% • 途中で数回試験を実施 : 約35% • インターネット演習の得点 : 約10% 最近は、単に出席さえすれば単位がもらえる時代ではない! 試験(演習・レポートを含む)で修得知識の理解度を確認 出席状況と途中試験、インターネット演習を合算し評価 これらを出席関連得点として見れば、全体割合で75% これらを合算して総合評価
電磁界の諸法則に関する基礎 基本となるMaxwellの方程式の組立てに至る道筋 単元1(1/44) 第1単元電磁気学Ⅰの復習 電磁気学の知識としての重要性 ・電磁気学は電子工学・光システム工学全体の専門知識の基礎学問 ・最近のハイテクエレクトロニクスや情報科学技術者の基礎知識 電磁気学Ⅰで学んだこと
単元1(2/44) 今日の講義の要点 電磁Ⅰで学んだ項目の確認 • 電磁気学Ⅰの講義項目のリスト • 学んだ講義の内容を確認 電磁Ⅰで学んだ基本公式の復習 • 基本公式集のリスト • 基本公式を導びく 静電気現象の実験 • クーロンの法則の基礎になる静電気現象の実験 • 基本公式との関係を直感的に理解する
単元1(3/44) 電磁気学Ⅰの講義内容 第1回 電磁気学の考え方 第2回 ベクトルと電磁気学 第3回 ベクトル解析 第4回 電荷とCoulombの法則 第5回 電界と電気力線 第6回 電位の傾き 第7回 Gaussの法則 第8回 電気力線の発散 第9回 Poisson、Laplaceの式 第10回 静電容量 第11回 誘電体、分極 第12回 電束密度 第13回 誘電体エネルギー 第14回 電流
単元1(3/44) 講義で学んだ内容 (1)電磁気学の考え方 (2)ベクトル場 (3)電荷と電界 (4)電界と電位 (5)真空中の導体系 (6)静電容量 (7)誘電体 (8)電流(オームの法則)
単元1(4/44) 講義の要点 電磁Ⅰで学んだ項目の確認 • 電磁気学Ⅰの講義項目のリスト • 学んだ講義の範囲を確認 電磁Ⅰで学んだ基本公式の復習 • 基本公式集のリスト • 基本公式を導びく 静電気現象の実験 • クーロンの法則の基礎になる静電気現象の実験 • 基本公式との関係を直感的に理解する
単元1(5/44) 主な基本公式(1) 主な基本公式(1) N • Coulombの法則 • 電界の強さ • 点電荷が受ける電界のチカラ • 電気力線方程式 V/m N
単元1(5/44) 主な基本公式(2) • 電位 • 電位の傾き • Gaussの法則 • 電気力線の発散 (Gaussの法則の微分形) (参:この数式形は連続の式と呼ばれる) V V/m (Gaussの発散定理)
単元1(6/44) 主な基本公式(3) • Poissonの式 • Laplaceの式 この式を詳細に記述すると ※これらの方程式は、楕円型の偏微分方程式と呼ばれる
単元1(7/44) 主な基本公式(4) F • 静電容量の式 (覚え方: “柿 はシブイ”) 静電容量の記述例 ・半径aの孤立球の静電容量 ・面積S、隙間間隔dの 平行平板間の静電容量 ・内部円筒半径a、外部円筒半径bの 同軸円筒の静電容量
単元1(8/44) 主な基本公式(5) • 電束密度 • 電束のGaussの法則 C/m2 分極と比誘電率の関係
単元1(9/44) 主な基本公式(6) • 誘電体に蓄えられる 静電エネルギー • 微小空間に蓄えられる 静電エネルギー • 電流 J J/m3 A A/m2 微小空間におけるOhmの法則
単元1(10/44) 講義の要点 電磁Ⅰで学んだ項目の確認 • 電磁気学Ⅰの講義項目のリスト • 学んだ講義の範囲を確認 電磁Ⅰで学んだ基本公式の復習 • 基本公式集のリスト • 基本公式を導びく 静電気現象の実験 • クーロンの法則の基礎になる静電気現象の実験 • 基本公式との関係を直感的に理解する
単元1(11/44) 静電気とは 歴史:まさつ電気として発見 • 伝説:BC7世紀、Thales(ギ)は琥珀を擦ってゴミを吸い付ける現象を記録 ひくもの=エレクトロン(ギ) → 琥珀の名称 → 電気の語源 • 中国:琥珀を「捨芥先生」と呼んで、摩擦によるゴミを引きつける現象を記録
単元1(11/44) 1 cm 静電気とは 歴史:まさつ電気として発見 • 伝説:BC7世紀、Thales(ギ)は琥珀を擦ってゴミを吸い付ける現象を記録 ひくもの=エレクトロン(ギ) → 琥珀の名称 → 電気の語源 • 中国:琥珀を「捨芥先生」と呼んで、摩擦によるゴミを引きつける現象を記録 琥珀 第三期(3000万年前)の松ヤニの化石 〔ドミニカ共和国産〕
単元1(11/44) 静電気とは 歴史:まさつ電気として発見 • 伝説:BC7世紀、Thales(ギ)は琥珀を擦ってゴミを吸い付ける現象を記録 ひくもの=エレクトロン(ギ) → 琥珀の名称 → 電気の語源 • 中国:琥珀を「捨芥先生」と呼んで、摩擦によるゴミを引きつける現象を記録 まさつ電気の発生 • 物質を、叩く、擦る、加熱など、刺激を与える → 原子・分子の電気平衡が変化 電気平衡の変化 → 電荷の誘導 • 絶縁物は電気伝導がほとんどできないことで、物質表面に電荷が蓄積分布 • 蓄積電荷は静電気(電荷が動かず変化しない=電気現象が変化しない)を発生 1600年にGilbert(英)が示唆 +側に帯電しやすい材質を上位に-側に帯電しやすいものを下位に並べた序列 帯電列 ガラス-ウール-レーヨン-人の皮膚-Al-紙-Fe-Cu-ゴム-ポリエステル-アクリル-塩ビ
単元1(12/44) 静電気の発生(1) まさつ電気の発生実験 • ビニロンひもを合成繊維布で擦る: 人(+)・レーヨン(+)←→ビニロン(-)・ゴム(-)
単元1(12/44) 静電気の発生(1) まさつ電気の発生実験 • ビニロンひもを合成繊維布で擦る: 人(+)・レーヨン(+)←→ビニロン(-)・ゴム(-) アクリル板の上で擦ると、(-)の電荷が多く発生し、ビニロンひもに多く付着できる
単元1(13/44) 静電気の発生(2) 歴史的なまさつ電気の発生装置 • まさつ発電機: 18世紀、平賀源内が国内で初めて復元
単元1(13/44) 静電気の発生(2) 歴史的なまさつ電気の発生装置 • まさつ発電機: 18世紀、平賀源内が国内で初めて復元
単元1(13/44) 静電気の発生(2) 歴史的なまさつ電気の発生装置 • まさつ発電機: 18世紀、平賀源内が国内で初めて復元 近代のまさつ電気の発生装置 • J.Wimshurst発電機: 1884年に発明。 最も完成した発電機
単元1(13/44) 静電気の発生(2) 歴史的なまさつ電気の発生装置 • まさつ発電機: 18世紀、平賀源内が国内で初めて復元 近代のまさつ電気の発生装置 • J.Wimshurst発電機: 1884年に発明。 最も完成した発電機
単元1(14/44) 静電気の性質 チカラの原因が電荷の間の電気力であること • まさつ電気を帯びた物体間にチカラが発生=電荷の間のチカラ • 電荷間のチカラによる運動を法則化(定式化)=Coulombの法則
単元1(14/44) 静電気の性質 チカラの原因が電荷の間の電気力であること • まさつ電気を帯びた物体間にチカラが発生=電荷の間のチカラ • 電荷間のチカラによる運動を法則化(定式化)=Coulombの法則
単元1(14/44) 静電気の性質 チカラの原因が電荷の間の電気力であること • まさつ電気を帯びた物体間にチカラが発生=電荷の間のチカラ • 電荷間のチカラによる運動を法則化(定式化)=Coulombの法則 紙片運動のメカニズム • 紙(+)とアクリル板(-)の電荷の間のチカラ → 紙片の運動 • 異符号電荷の引力で上昇 →接触で電荷が散逸 →同符号電荷間で反発で降下繰り返しによる上下運動
単元1(15/44) 講義の要点 電磁Ⅰで学んだ項目の確認 • 電磁気学Ⅰの講義項目のリスト • 学んだ講義の範囲を確認 電磁Ⅰで学んだ基本公式の復習 • 基本公式集のリスト • 基本公式を導びく 静電気現象の実験 • クーロンの法則の基礎になる静電気現象の実験 • 基本公式との関係を直感的に理解する
単元1(16/44) 主な基本公式(1) 主な基本公式(1) N • Coulombの法則 • 電界の強さ • 点電荷が受ける電界のチカラ • 電気力線方程式 V/m N
単元1(17/44) Coulombの法則 万有引力と同じチカラの原因が電荷の間にもあることを証明 • 万有引力(I.Newton)=距離の逆2乗法則 • 電荷間のチカラ=質量間のチカラ であることの証明を意図 異符号電荷間の吸引力に対抗させたガラス繊維のねじれ力で距離を保つようにすることで、距離とチカラの関係を測定 この方法は二つの物体がくっつき実験が十分進行できなかった。
単元1(17/44) Coulombの法則 万有引力と同じチカラの原因が電荷の間にもあることを証明 • 万有引力(I.Newton)=距離の逆2乗法則 • 電荷間のチカラ=質量間のチカラ であることの証明を意図 異符号電荷間の吸引力で振動周期の変化を観察。 誤差数%の計測に成功。 距離の-1.93乗であった。 → 距離の-2乗と結論
単元1(18/44) 余談 我が国のCoulombの法則の実験 橋本宗吉著:「エレキテル究理源」に記載(1811に献序の記録) • Egbert Buys(蘭)の書物の参考と自らの実験結果を紹介 • Coulombは1784年に法則を発見 (我が国は、およそ20年後に定性的実験)
単元1(19/44) Coulombの法則 法則の式表現 • 万有引力(I.Newton)=距離の逆2乗法則 • 電荷間のチカラ=質量間のチカラ であることの証明を意図 N 単位系(SI単位系)で定まる定数 ε0 :真空の誘電率 F/m ε0=4π/C02 ≒8.854×10-12 式の意味 二つの電荷間に働くチカラの大きさは、 二つの電荷のそれぞれの電気量Q1Q2に比例し、電荷間の距離r12の2乗に反比例
単元1(20/44) Coulombの法則のベクトル表現
単元1(21/44) Coulombの法則のベクトル表現 • Q1、Q2: 点電荷の電気量 C • r12: 点電荷間の最短距離 m 式の意味 二つの電荷間に働くチカラの大きさFは、 二つの電荷のそれぞれの電気量Q1Q2に比例し、電荷間の最短距離r12の2乗に反比例
単元1(22/44) 電荷で生じるチカラ これって、どの程度大きいチカラ? N
単元1(22/44) 電荷で生じるチカラ 米国原子力空母エンタープライズがなんと約20杯もつり上げられる! これって、どの程度大きいチカラ? Enterpriseの排水量:89600 t N
単元1(23/44) 講義の要点 電磁Ⅰで学んだ項目の確認 • 電磁気学Ⅰの講義項目のリスト • 学んだ講義の範囲を確認 電磁Ⅰで学んだ基本公式の復習 • 基本公式集のリスト • 基本公式を導びく 静電気現象の実験 • クーロンの法則の基礎になる静電気現象の実験 • 基本公式との関係を直感的に理解する
単元1(24/44) 電界の強さと電束密度 電界の強さはチカラ • 1 Cの電気量に1 Nのチカラを発生させる「電界」の特性値(一種の係数) • 電荷が置かれている空間にはどこでもチカラが発生するので、空間に連続した特性(場の性質)として「電界の強さ:E」と定義 (ベクトル) • 単位: V/m (=N/C) 電束は電気を帯びた物質が繋がった糸 • 1 Cの電気量から1本の「電束(線)」が外へ拡がって出る • 電束は電気量と同じ物質 • 単位: C (Coulomb) • 電束の痰面積当たりの密度=電束密度: D C/m2
単元1(25/44) 電界の強さ 電界の強さはチカラ • 1 Cの電気量に1 Nのチカラを発生させる「電界」の特性値(一種の係数) • 電荷が置かれている空間にはどこでもチカラが発生するので、空間に連続した特性(場の性質)として「電界の強さ:E」と定義 (ベクトル) • 単位: V/m (=N/C) 電界の強さ 電気力線 1 Cの電荷に生じるCoulombのチカラのベクトルを位置を連続的に変えてつないで画いた線
単元1(25/44) 電界の強さの式表現 電界の強さはチカラ • 1 Cの電気量に1 Nのチカラを発生させる「電界」の特性値(一種の係数) • 電荷が置かれている空間にはどこでもチカラが発生するので、空間に連続した特性(場の性質)として「電界の強さ:E」と定義 (ベクトル) • 単位: V/m (=N/C) 「電界の強さ:E」と定義 大きさだけで表した簡略式
単元1(26/44) 点電荷が受ける電界のチカラ 電界の強さはチカラ • 1 Cの電気量に1 Nのチカラを発生させる「電界」の特性値=電界の強さ:E V/m 点電荷qC に発生するチカラ=Coulombの法則によるチカラ:F 点電荷qを電界の強さEがあるところに置くと、それに Eq のチカラが発生する=場の式 物質に生じる現象 → 場の考え
単元1(26/44) 電束密度 電束は電荷=物質 • 1 Cの電気量から1本の電束線: φ=1 C • 単位面積当たりの本数(面積密度=密度): D=φ/S C/m2 電束線 空間に充満する誘電物質の電界による+-の一連のつながった列 線の不連続な端だけが+-になり、途中は相殺されて中性
単元1(27/44) 電界の強さと電束密度の関係式 電束(電荷)で電界が発生 • 電束密度D は単位面積当たりの電気量:σ C/m2 • 電荷(電荷密度 σ)によって電界の強さEが形成 電束線の端が集まったところに電荷 Q C があると考える。 半径 R m の導体球を考える。 導体球表面の電界の強さ:EV/m 導体球表面の電荷密度:σ = 導体球表面の電束密度:D