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(管理監督者用). 心の健康づくりについて -講義編-. 人事院職員福祉局. 心の健康に関して管理監督者に 理解が求められること. 心の健康に関する正しい知識を持つとともに、職場の心の健康づくりの必要性を認識. 1 心の健康づくりの必要性 2 ストレスについて 3 職場の心の健康づくりの推進 4 心の健康の保持増進 5 早期発見・早期対応 6 心が不健康となり、長期間休んでいた職員の 職場復帰に当たっての対応 7 自殺防止に関する対応 8 プライバシーの保護 9 職場でみられる主な心の不調. ・心が不健康な状態とはどういうものか
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(管理監督者用) 心の健康づくりについて-講義編- 人事院職員福祉局
心の健康に関して管理監督者に理解が求められること心の健康に関して管理監督者に理解が求められること 心の健康に関する正しい知識を持つとともに、職場の心の健康づくりの必要性を認識 1 心の健康づくりの必要性 2 ストレスについて 3 職場の心の健康づくりの推進 4 心の健康の保持増進 5 早期発見・早期対応 6 心が不健康となり、長期間休んでいた職員の 職場復帰に当たっての対応 7 自殺防止に関する対応 8 プライバシーの保護 9 職場でみられる主な心の不調 ・心が不健康な状態とはどういうものか ・部下が不調を自覚することが重要 心の病気への偏見をなくす。うつ病等は誰でもなりうる 部下を不調にしないために重要なことは ・部下が不調だと思ったときどうするか ・部下が不調なとき、健康管理者へ相談 ・心が不調となった職員が職場に復帰するときの職員や健康管理者、健康管理医等への対応 ・職場に復帰した職員の再発防止
平成13年度及び平成18年度の長期病休者の比較平成13年度及び平成18年度の長期病休者の比較 (人) (平成18年度人事院「国家公務員長期病休者実態調査」より)
精神及び行動の障害による長期病休者(原因別)精神及び行動の障害による長期病休者(原因別) 総数 3,849人 (平成18年度人事院「国家公務員長期病休者実態調査」より)
国家公務員の自殺者数の推移 (人) 自殺者数 ※調査対象者数は、平成15年度は約78万人、同16年度は約64万人、同17年度は約56万人で、国立大学の法人化等により減少 (平成21年度人事院「国家公務員死亡者数等調査」より)
安全配慮義務と人事院規則 国も安全配慮義務が適用 ・ 国は、公務員に対し、公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理に あたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負ってい るものと解すべきである(最高裁判例)。 ・ 具体的には、病気発症の予見義務、発症の状態や職場実態等の現状把握義務、発症 又は症状増悪の防止義務、自傷・他傷等被害発生の回避義務が考えられる。 国家公務員法第71条 能率の根本基準 職員の能率は、充分に発揮され、且つ、その増進がはかられなければならない。 同 第98条 法令及び上司の命令に従う義務 職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。 人事院規則10-4第3条 各省各庁の長の責務 各省各庁の長は、法及び規則の定めるところに従い、それぞれ所属の職員の健康の保持増進及び安全の確保に必要な措置を講じなければならない。 同 第4条 職員の責務 職員は、その所属の各省各庁の長その他の関係者が法及び規則の規定に基づいて講ずる健康の保持増進及び安全の確保のための措置に従わなければならない。
職員の健康に関する管理監督者の責任 各省各庁の長が施設・労務の管理に当たって、 職員の生命・健康を危険から保護するよう配慮す べき義務 ※各省各庁の長が職員に負う国家公務員法・人事院規則上の義務 「危険予知義務」と「結果回避義務」 各省各 管理監督者に安全配 庁の長 慮義務が求められる (権限委譲) 安全配慮義務の実行責任者は管理監督者です
ストレス要因(ストレッサー)と心身の健康の関係についてストレス要因(ストレッサー)と心身の健康の関係について 個人要因 仕事上のストレッサー ストレス反応 疾患 仕事外のストレッサー (強い場合) 緩衝要因 職場不適応 (米国国立職業安全保健研究所(NIOSH)提唱モデルを一部改編)
身近なストレス要因の例 ○仕事上:長時間勤務 過重な心理的負荷のかかる勤務 上司、同僚、部下との人間関係の悪化 異動による勤務環境の変化 など ○仕事外(家庭や個人):経済的問題 職員又は家族の健康 家庭内の人間関係 家族の介護 子の教育、進路 など ○ストレス要因は、よりよい人生を送るスパイスという面もある。
①身体:虚血性心疾患、高血圧及びがんの危険因子の増大、全身倦怠感、消化不良、頭痛、筋緊張など①身体:虚血性心疾患、高血圧及びがんの危険因子の増大、全身倦怠感、消化不良、頭痛、筋緊張など ②心理:集中力の低下、思考の混乱、記憶力・判断力の低下、意思決定の困難、消極的な考えなど ③感情:緊張、不安、ゆううつな気分、自信・自尊心の低下、いらだち、意欲低下など ④行動:引きこもり、喫煙・飲酒の増加、睡眠困難、ミス・事故の増加など ストレス反応とは 1 ストレスにより起こる心と身体の様々 な反応である。2 心身の変化により、3つの段階がある。 3 ストレスが強かったり持続することで、 心身に障害や症状が現れることがある。 (ストレス関連疾患) <危険信号が体から発せられる時期(警告期)> 疲れ、いらいら、肩こり、ミスや事故が多くなる、血圧変動などを感じ、経験する。 <疲れがたまった感じが強く、それが興奮又は脱力感に陥る時期(ストレスに反発・抵抗する時期)> 仕事を抱え込む、休まなくなる、血圧変調、消化器・循環器異常など <踏ん張りが効かなくなり、自分の力ではどうしようもなくなる時期(疲弊期)> 集中力がなくなる、おっくうで何もする気が起こらなくなるなど。この時期になると心身症、うつ状態、うつ病へ移行していく可能性が強くなるため、この時期に移行しないうちに、早めの対応が必要である。
職員の心の健康づくりのための 基本的考え方職員の心の健康づくりのための 基本的考え方 ○心の健康づくりは、心が健康な状態のときから行うことが必要。 ○管理監督者等が、職場内外におけるストレス要因の軽減・除去、勤務環境の向上、職員の心身の健康増進を図る必要がある。 ○ 心の病気は身近な人はもとより自分もかかりうるものである。 例えば、国民の5人に1人は一生のうちに次のどれかを経験するとされる。 ① うつ状態・うつ病 ② 神経症 ③ アルコール依存症等の精神に作用する物質による障 害 ○ 心の三つの状況に応じた対策が必要である。 ① 心が健康なとき ・・・・心の健康の保持増進 ② 心が不健康なとき・・・ 早期対応 ③ 回復したとき ・・・・円滑な職場復帰と再発の防止 ○心が不健康な状態になったときは、治療など適切な対応を早期に実施することにより、早期回復が期待でき、仕事の遂行、同僚との関係等において、良い結果をもたらし、また再発の可能性も低下させる。 ○心の不健康な状態については、自覚がなかったり、言い出せないことも多く、受診しないことも多いことから、管理監督者は、部下の言動等の変化を早期に把握するようにする。 ○管理監督者は、健康管理者に協力して作成する受入方針を理解するとともに、職場における職員の状況に注意する。
職場におけるストレスの把握、評価、改善 心の健康づくりの方針表明、目標、計画、評価 効果的な職場環境改善手順
○○省の心の健康づくり体制(例) ○健康管理者 大臣官房人事課長 ○健康管理担当者 大臣官房人事課人事係長 ○健康管理医 ○○省診療所長 ○相談窓口担当医 ○○医師 ○医療スタッフ等 ○○保健師、○○看護師 ○○心理職 ○外部委託医療機関 ○○病院 ○○クリニック ○その他(電話相談等)
心の健康づくりのための管理監督者の役割 1 部下の日常の状況について把握する。 2 職場の良好な勤務環境を作る。 3 部下の言動等の変化を早期に把握する。 4 部下の職場復帰に当たり、復帰後の職員の状況等を把握し、必要に応じ仕事の内容等を調整する。
各省各庁の長(健康管理者)の役割 1 組織全体の心の健康づくりに責任を持つ。 2 職員への体系的な研修を実施する。 3 長時間勤務等の職員の面接指導等の適切な実施を図る。 4 相談窓口等を設け、周知する。 5 専門的な助言を行う医師等を確保する。 6 心の健康の保持増進のため勤務環境の整備等を行う。 7 早期対応に努める。 8 職場復帰に当たり、具体的な受入方針を決定し、実施する。 ① 職員のストレス状況の把握に努め、職場のストレス要因の軽減・除去及び勤務環境の向上に努める。ハード面の整備として、事務室内の採光、騒音、気温、机の配置等を適正に保ち、また、ソフト面の整備として、超過勤務の縮減を図り、人事配置、人事管理、仕事の進め方等を適切に行い、セクシュアルハラスメント問題等に適切に対処する。 ② 職員及び家族に対し、ストレスに気づくことの重要性、ストレス対処方法等の基本的事項の周知を図る。 ③ 管理監督者に対し、管理監督者の役割、勤務環境の評価及び改善の方法、部下からの相談の受け方等に関する知識を提供する。 ④ 必要に応じ管理監督者に勤務環境の改善方法を指示するとともに、管理監督者からの相談に応じ必要な措置を講ずる。長時間勤務等により特にストレスが多くなっている職員に対して健康管理医等による問診等を行い、健康管理医等の意見を踏まえ健康診断等の健康管理を行う。
4 心の健康の保持増進-管理監督者の役割-4 心の健康の保持増進-管理監督者の役割-
職場のコミュニケーション・相互協力は心の健康と会社の業績の基礎職場のコミュニケーション・相互協力は心の健康と会社の業績の基礎 平成19年版国民生活白書から抜粋し作図。元データの出典は財団法人 社会経済生産性本部 (2006)および労働政策研究・研修機構(2004)。 川上憲人(東京大学教授)より提供 22
勤務環境等の改善 1 部下の日常の状態を把握し、ストレッサーの軽減・除去に努める。 2 職場のコミュニケーションを良くし、職場の良好な人間関係づくりに努める。 3 仕事の進め方等を工夫し、超過勤務の縮減を図る。
相談しやすい関係について 1 部下と日頃から信頼関係を構築して おくことが、部下が安心して早期に心 の状態を相談できることにつながる。 2 部下からの相談に適切に対応する。
部下から見た困った上司(例) ○ 細かい上司 必要以上に細かい指示を与えたり、資料を作成させたりすることで、部下の業務量の増加、モチベーション低下を招く。 ○ 意見を押しつける上司、無理を言う上司 自分の意見だけを正しいと思い込み、他人の意見を寄せ付けない ○ 責任を取りたがらない上司、頼りにならない上司、コミュニケーションを取りたがらない上司など
上司としての心構え(例) 1 声掛け まず、上司から動いて部下に接していくこと。その際、自分の本音を出すことが、信頼関係を生む。 2 日常のやり取りが大事 上司が「叱り口調」、「小馬鹿にする」、無関心では、部下は萎縮し、相談しなくなる。 3 部下のためを思って注意する 「こんなことも出来ないのか」、「全然ダメ」、「責任取れ」はNG。また、部下の「逃げ道」を全てふさがないよう、留意する。
集団レベルでのストレス評価法について(例)集団レベルでのストレス評価法について(例) 簡易版ストレス調査票による質問項目(12項目) ○得点の計算方法:問1~6は、そうだ=4点、まあそうだ=3点、ややちがう=2点、ちがう=1点を与えます。問7~12は、非常に=4点、かなり=3点、多少=2点、全くない=1点を与えます。以下の式に従って各得点を掲載します:仕事の量的負担=問1+問2+問3、仕事のコントロール=問4+問5+問6、上司の支援=問7+問9+問11、同僚の支援=問8+問10+問12。 「平成11年度労働省作業関連疾患の予防に関する研究班」報告書
職場ストレスを減らすための「職場環境改善ヒント集」職場ストレスを減らすための「職場環境改善ヒント集」 「メンタルヘルスアクションチェックリスト」を改変
デンマーク職場環境局のWEBサイトに、職場環境対策の優良企業ランキングが掲載デンマーク職場環境局のWEBサイトに、職場環境対策の優良企業ランキングが掲載 スマイリーシステム 川上憲人(東京大学教授)より提供 23
部下の心が不健康な状態である可能性のある場合部下の心が不健康な状態である可能性のある場合 ○ 日常と異なり、次のような状況が続く場合には 注意する。 1 仕 事 上:ミス、能率の低下、など 2 勤務態度:欠勤、遅刻、早退が増える、など 3 対人関係:孤立、口数の減少、いらだち、 飲酒による問題、など 4 原因不明の体調不良: 頭痛、倦怠感、肩こり、目の疲れ、 不眠、など
部下の心が不健康な状態である可能性のある場合の対応部下の心が不健康な状態である可能性のある場合の対応 1 積極的に話しかけて事情を聞く。 2 必要に応じ同僚等に部下の状況の変化の有無を聞く。 3 健康管理者、健康管理医、専門家等と対応を相談する。 4 職場の面接指導等を活用する。 普段から部下と信頼関係がないと応えてくれない可能性があり、このためにも日常から信頼関係の構築に配慮する。 本人と親しい同僚等に、なんとなくおかしい状況、普段と違う印象、又は不自然な感じがないかなどを尋ねてみる。ただし当該職員の心が不健康という先入観を与えないように注意する。 部下が強いストレスを受けていると考えられた場合は、早期に健康管理者等と相談する。一人で抱え込むことは自身の大きな負担となるとともに、早期対応の機会を逸することにもなりうる。なお、プライバシーの配慮には十分注意する。 長時間勤務による健康障害防止のための面接指導制度を活用する。
部下と話す場合 1 十分時間を確保し、部下が安心して話せる場所で受ける。 2 悩みを正面から受け止め、真摯に、落ち着いて話を聞く。 3 安易な叱責、激励などにより、部下の精神的負担を増加させないようにする。 4 強いストレスがかかっていると考えられた場合は、健康管理者等と相談する。 自らの気持ちが落ち着いていて、悩みを十分聞く余裕があるときに相談を受けるようにする。 気分転換の方法(レジャー、運動、旅行、会合への参加)など、自らの経験に基づく助言が必ずしも有効でないことに留意 特にうつ病、うつ状態の場合は注意 ○一人で抱え込むことで自身の負担や早期対応の機会を逸することにもなりうる。また、自殺など危険な状態にある場合は、健康管理者、家族等と役割分担し、一人にしないようにする。 ○「誰にも言わないように」と口止めしてきた場合 「プライバシーは尊重する。話を聞いた上であなたにとって最も良くなるようにしたい。」など、プライバシーは守るが、本人の利益を考え、状況によっては関係者や専門家に相談することがあることを伝えておく。口外しない約束をしない限り話をしないと主張する場合は、相談はプライバシー尊重が原則であること、相手のために真摯な姿勢であることを理解させ、話を促すように努める。もし、相手が話をしないでそのまま帰った場合には、健康管理者等と相談する。
うつ状態、うつ病などの場合の望ましくない対応例うつ状態、うつ病などの場合の望ましくない対応例 「気合いを入れて乗り切れ」「あなたにはこれから重要なポストが待っているはずだ」など 1 「頑張れ」など、激励をする。 2 「そんなことでどうする」など、批判がましいことを言う。 3 「気にしないことが大事」など、気分の問題にする。 4 「努力が足らない」など、努力の問題にする。 「自分の立場がわかっているのか」「将来のために今は辛抱すべきだ」「いつまでそんなことを言っているのだ」 「そんなの気の持ち方の問題だ」 など 「もっとしっかりしないと」など 5 その他 ① 「その話はともかくとして、○○の仕事はどうなった」など、話をはぐらかす。 ② レクリエーション、旅行などの気分転換を勧めることはかえって本人の精神的負担を増やすことがあるため注意する。会合に誘うことも同様である。
○まず相談に行くことが大事であり、最初の相談先は内科等でも良い。身体的検査等に異常がなかった場合に、精神科又は心療内科の受診も考慮させる。○まず相談に行くことが大事であり、最初の相談先は内科等でも良い。身体的検査等に異常がなかった場合に、精神科又は心療内科の受診も考慮させる。 ○受診・相談の勧めに応じない場合は、部下と親しい同僚、友人等に勧めてもらう方法もあるので、適宜健康管理者等と相談する。 ○家族から連絡を受けた場合には、健康管理者等と連絡をとり、指示を受ける。 部下の心が不健康な状態であると思われる場合 1 健康管理者、健康管理担当者等と相談し、 専門家への受診・相談を勧奨する。必要に 応じ家族と連絡をとり、対応する。 2 職場の面接指導等を活用する。 3 活用できる相談窓口等 ・ 自府省設置の相談窓口、電話相談 ・ 人事院こころの健康相談室 ・ その他(精神保健福祉センター等) 活用できる相談窓口等を理解し、部下に活用を勧める、又は自ら活用するなど、利用を図るようにする。
従来と異なるうつ等への対応について (例えばいわゆる「新型うつ」などを含む)従来と異なるうつ等への対応について (例えばいわゆる「新型うつ」などを含む) ・ 最近は、若い世代を中心に、対応に苦慮するような、例えばいわゆる「新型うつ」などが増えていると言われている(「新型うつ」は、医学用語ではなく、人事管理上の用語)。 ・ 旧型・典型的なうつと異なり、「こうなったのはそもそも社会のせいだ」と思い、休みの間は元気で、自分が嫌いな仕事をさせられると具合が悪くなるとか、休職中に海外旅行に出かけてしまうような事例。薬効は少なく、しばしば慢性化すると言われている。 [一般的に言われる主な特徴(例)] ・若年者に多く、全体に軽症で、訴える症状は軽症のうつ病と判断が難しい。 ・仕事では抑うつ的又は仕事を回避する傾向。ところが余暇は楽しく過ごせる。 ・仕事や学業上の困難をきっかけに発症する。 ・病前性格として、“成熟度が低く、規範や秩序又は他者への配慮に乏しい”などが指摘。 ※ ただし、「病名」にとらわれず、状況の把握、対応に努めることが肝要。また、職員本人のみに責任を負わせることは適切でない場合がある。 [対応]<ポイント> 一人で対応しない。疑われる場合は、まず健康管理者や健康管理医と相談。 ※ 職員への接し方によっては、悪化させることや職場に攻撃的な行動を取られる可能性もある。 ※ 健康管理者としては、職員の主張の方向性を見極める、事実関係を把握しておく。 ・ 職員の要求を全て聞くことはできず、職場で対応できないこともある。そのような場合には、人事 労務管理の枠組みで対応する必要があり、様々な場合が想定できることから、「許容範囲」を主治 医、健康管理医等と相談しながら、職員への伝え方も含めて要検討(必要に応じ法律家にも相談)。
6 心が不健康となり、長期間 休んでいた職員の職場復帰 に当たっての対応6 心が不健康となり、長期間 休んでいた職員の職場復帰 に当たっての対応
職場復帰前の対応 1 管理監督者は、健康管理者等による情報収集に協力する。 2 管理監督者は、健康管理者が作成した受入方針の内容を理解し、職場復帰の際の対応方法の修得に努める。
職場復帰後の対応 予定通り実施されていない場合は、健康管理者等と相談する。自分一人で判断することは避けるようにする。 1 受入方針に沿って、職員に対応する。 2 特に構えることなく、自然に接するようにする。 3 相談には積極的に対応する。 4 職員の状況に注意する。 5 定期的に健康管理者等に報告し、対応方針を確認する。職場として対応に困難が生じる可能性が出てきた場合は、速やかに健康管理者に相談する。 再発の防止のためには、症状の再燃、再発についての早期の気付きと迅速な対応が不可欠であることから、勤務状況、精神的・身体的疲労の様子、職場の人間関係等の職員の状況に注意し、ストレス要因となっている場合などは、調整等を行う。 ○職員が心が不健康な状態のために定期的に医療機関を受診する場合 職員からの報告・相談等により知った場合には、管理監督者としては、長期間休んでいた職員への対応と同じ配慮等を行う。
「円滑な職場復帰及び再発防止のための受入方針」改定のポイント「円滑な職場復帰及び再発防止のための受入方針」改定のポイント (1) 受入方針検討前(療養開始時 ~療養期間中)の対応を明記 復職前に行う「試し出勤」の制度を新たに提案 (4) 受入先職場の管 理監督者、同僚等 への配慮を明記 職場復帰 3 職場復帰前 (受入方針の 検討) 1 療養開始 2 療養期間中 4 職場復帰後 (5) 復職後に勤務軽減を行 う場合の留意点を明記 (2) 職場復帰の各段階における健康管理医等の役割を明記 (3) 職場復帰の各段階における主治医との連携を重視すべき点を明記
「試し出勤」とは? 一定期間継続して試験的に出勤することにより、職場復帰に関する不安を緩和するなど、職場復帰を円滑に行うため 実施の 目的は? 心の健康問題に係る療養のため長期間職場を離れている職員のうち、実施を希望する者 誰が? 職場復帰前で、主治医、健康管理医及び健康管理者が「復職可能の時期が近い」と判断される程度に回復した時期 いつ? 原則「元の職場」だが、元の職場に発症の要因があると考えられる場合は別の職場でも可能 どこで? 原則1月程度。実施期間の短縮や、必要最小限の範囲で延長することも可能 期間は? 何をするの? 「実施プログラム」に基づき、実務に関連した作業等を実施(職場復帰前なので職務には従事しない)
自殺との関連がみられる状況 仕事上、人間関係、家庭内や個人が抱える悩み、また、うつ状態・うつ病などの精神疾患などがある。また、ある人にとっては何でもないことが、ストレスへのもろさ、問題に対処する能力の違いなどから原因となることがある。 1 自殺の原因は様々である。 2 特に自殺との関連がみられる状況には次が挙げられ、留意する必要がある。 ・ 仕事上のストレス、家族や個人の ストレスが深刻なとき ・ 精神障害が背後にあるとき ①長時間・過重な勤務、②上司、部下等との関係、③転勤・単身赴任に伴う変化、④昇任による責任増大 ①経済的問題、②本人又は家族の健康、③親子、夫婦等家庭内の人間関係、④家族介護、⑤子の教育、進路 自殺者の多くが何らかの精神疾患にかかっているとの報告があり、早期の段階で発見して、適切に治療することにより、自殺防止を図ることができる可能性がある
自殺との関連がみられる状況 にある職員への対応の留意点 1 状況の変化の気付き ① 言動の変化を見落とさないようにする。 ② 状況の把握に努め、必要に応じ勤務環境等 に配慮する。 2 職場で留意すべき点 ① うつ状態、うつ病で治療中の職員に対しては、 精神的負担を増加させないよう配慮する。 ② 相談対応を適切に行う。 3 職員が精神的に危機的な状態(危険な状態)であると感じた場合は、健康管理者に連絡し、相談する。 積極的に話しかけ、真摯に悩み等を聴き 飲食の会合、運動・レクリエーション、外出、レジャーに安易に誘うことは避ける。また、職員の出張については、専門家の意見を聞く。 特にうつ状態、うつ病の職員には安易な激励、叱責等を行わないよう注意。
自殺までには長いプロセスを経て、すでに準備状態が固定化してくることが多い。自殺までには長いプロセスを経て、すでに準備状態が固定化してくることが多い。 ○直接の契機は、些細なものに思える出来事である場合が多い。 ○強いストレス、疲労がある場合には、うつ病等の症状を示さないこともある。 ○危険な状態になる誘因として、周囲からのサポートを失う、失ったと感じることがある。 (例)①信頼する上司・同僚・主治医の異動、②本人の異動、③近親者・友人の死亡 危険な状態にある職員への対応 ①感情の不安定:いらいらする、突然涙ぐむ ②性格の変化:自ら周囲より孤立していく、投げやりな態度が目立つ ③様々な身体的不調の訴え(特に内科等を受診していながら不調が改善されない場合は要注意):不眠、頭痛、食欲不振、めまい、しびれ、動悸、息苦しさ 1 危険な状態とは 自殺との関連がみられる状況にある職員に 何らかの言動の変化が現れたとき 2 言動の変化とは 自殺をほのめかす、唐突に辞表を提出してくる、唐突に異動を申し出てくる、など 3 健康管理者に連絡し、相談する。また、一人にしないように注意する。 ①引きこもりがち、②関心のあったことへの興味喪失、③多量飲酒(飲酒しない者が眠れないために飲酒するようになった場合は要注意)、④飲酒運転等重大な事故につながる行動の繰り返し、⑤大切にしていたものの整理・誰かにあげる、⑥自殺をほのめかす、自殺について話す (1)気分、体調の変化 (2)行動の変化 (3)職場における変化 ①身なりに構わない、②唐突な辞表の提出、唐突な異動希望の申し出、③遅刻・欠勤が多くなる、④仕事の速度が落ち出来も悪くなる、注意力がなくなる 危険な状態である可能性がある場合は、健康管理者に連絡 ○受診・相談の際は、健康管理者とともに本人に同行
プライバシーの保護 ○ 職員の心の健康に関する情報等の多くはプライバシーに関わるものである。 ○ そのためその保護には十分注意する。
職場でみられる主な心の不調 ①発症にストレスの影響が大きい。 ②約15人に1人の割合でかかり、4分の3は治療を受けていないといわれている。 1 うつ状態、うつ病 憂うつな気分、興味・喜びの喪失などが持続し、日常生活に支障が現れるまでになった状態である。 2 心身症 ストレスにより身体に症状が現れる病気である。 3 不安障害(神経症) 不安な気持ちが生じ、それをコントロールできにくくなった状態である。 ③心と身体の様々な症状が現れる。できるだけ早期に対応することが重要。 ①身体的原因やはっきりした理由はみつからない。 ②症状は多彩で様々(パニック障害、全般性不安障害、強迫性障害、急性ストレス反応)
治療により、発症前と同等の職務を期待できる例が多い。治療により、発症前と同等の職務を期待できる例が多い。 4 アルコール依存症 アルコールを過量、習慣的に飲むことを止められなくなり、そのことにより心及び身体に様々な症状が生じている状態である。 5 統合失調症 主な症状として、存在しない声や音が聞こえる幻聴、あり得ないことを信じてしまう妄想、頭の中がまとまらなくなる思考障害等がある。 (1)比較的若い世代(10~40代)に起きやすい。 (2)①陽性症状:幻聴、妄想、興奮症状、②陰性症状:意欲の低下、自閉症状、感情鈍麻、③解体症状:混乱して考えがまとまらない (3)本人が発病を自覚できず、周囲と問題を起こす可能性があり、迅速な対応を要する。