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対数線形モデルによる 分割表データの分析. 行動計量学研究分野 B4 町田 透 machida@koko15.hus.osaka-u.ac.jp. Agenda. χ 2 検定の限界 対数線形モデルの導入 p × q 分割表の分析 (10/16) 多次元分割表への拡張 (10/23) シンプソンのパラドックス SAS による分析例 PROC CATMOD. 1 . χ 2 検定とその限界について - Chi-square test for Contingency tables -. χ 2 検定の復習 χ 2 検定とは p × q 分割表による具体例
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対数線形モデルによる分割表データの分析 行動計量学研究分野B4 町田 透 machida@koko15.hus.osaka-u.ac.jp
Agenda • χ2検定の限界 • 対数線形モデルの導入 • p×q分割表の分析 (10/16) • 多次元分割表への拡張 (10/23) • シンプソンのパラドックス • SASによる分析例 • PROC CATMOD
1.χ2検定とその限界について- Chi-square test for Contingency tables - • χ2検定の復習 • χ2検定とは • p×q分割表による具体例 • χ2検定の限界
Q. 「χ2検定」って何ですか? A. カテゴリカルな変数間の関連の有無を検討するための手法(心理学者) • 「性別」と「色の好み」との関連etc • 分割表の分析手法としては“定番” • FREQプロシージャ & CHISQオプション(SAS) A. χ2統計量を検定統計量として用いる検定の一般的な呼称(統計学者)
p×q 分割表による具体例 • 就職への関心についての調査(大学生) • 性格の自己評価×就職への関心 • χ2 = 6.37, df = 2, p < .05 ⇒(5%水準で)関連あり
χ2検定は有意だが・・・ • χ2検定で有意⇒変数間は独立ではない • p×q分割表 • どのセルが有意性に“貢献”したのか不明 • 残差分析により対処可能 • 多次元分割表(3変数以上) • どの変数間に関連があるのか不明 • H0:「3変数A,B,Cはすべて互いに独立」 ⇒ “H1 : H0 is NOT true.” では情報として不十分
χ2検定の限界 • χ2検定は “overall” な検定 • 得られる情報は分割表の全体的な傾向のみ • セルや変数の増加に伴い無力化 where? A B where? related? where? C
χ2検定のモデルを再考 • χ2検定⇒“積”のモデルを仮定 • 独立からの“偏り”をモデル化 A,Bが独立でない ことによって 生じる効果
We developed another model. • 対数をとると“積”が“和”になり,分散分析と類似したアプローチが可能に ⇒“対数”線形モデル!!
2.対数線形モデルの紹介- Log-Linear Models for Contingency tables - • 2変数-対数線形モデルの導入 • p×q 分割表の再分析 • SASによる分析例―PROC CATMOD
2次元分割表の一般形 • 期待度数 mij を Fij と表すこともある
対数線形モデルとは • 各セル度数の“対数値”がいくつかの要因効果に分解されると仮定したモデル • モデル式は分散分析と“酷似” • 質的データの分散分析 • カテゴリカルデータの分析には“必須” ※文献によっては,各セルの“確率”の対数値に線形モデルを当てはめていることもある • (大局的には)アプローチによる差はない
2変数-対数線形モデルの導入 • 2変数の独立性を仮定したモデル
独立でない場合のモデル (i, j) セルの組み合わせによる効果 • 2次元分割表で考えられる全ての効果を含む ⇒(2変数の)「飽和モデル」(saturated model)
「主効果」を“直感的に”理解 • Aの主効果が存在 ⇒Aのカテゴリによってセル度数が異なる • Bは考慮に入れない (Aのみで集計)
「主効果」をより正確に理解 • Aの主効果が存在 ⇒Aのカテゴリによって対数セル度数の平均が異なる • Bのカテゴリは考慮に入れない
「交互作用」を“直感的に”理解 • 交互作用A×Bが存在 ⇒Bのカテゴリによって,Aの主効果が異なる ⇒Aのカテゴリによって,Bの主効果が異なる
「交互作用」をより正確に理解 • 交互作用A×Bが存在 ⇒Bのカテゴリによって,Aのカテゴリ間における対数セル度数の変動の様子が異なる • LLMでは対数セル度数のプロットが有効
LLMにおける「交互作用」の意味 • 交互作用A×Bが存在 • AのカテゴリによってBの効果が異なる • 「性格」によって「就職への関心」が異なる • AとBの間に関連性が存在 • Aのカテゴリを知ることで,Bの度数の変動が説明可能 • 「性格」についての“情報”が,「就職への関心」を知るための“手がかり”となる
関西出身・・・ たこ焼き器あり!! 関西出身・・・? たこ焼き器あり ・・・?? A,Bの関連が(極端に)強い場合 A,Bが完全に独立の場合
DATA loglin2; DO person = 1 TO 2; DO concern = 1 TO 3; INPUT num @@; OUTPUT; END; END; /* DOとENDの個数は必ず同じ */ CARDS; 31 35 7 19 42 15 ; RUN; (Continued on PROC step) SASプログラム 2-1 (DATAステップ) person = 1は(性格が)外向的,2は内向的 concern = 1は(就職への関心が)強い, 2は一応,3はあまりない
度数ゼロのセルを含む場合 • ⇒明らかにまずい • ゼロに近い正の数に置き換える • (可能な限りは)サンプル数の増加が無難 … INPUT num @@; IF num = 0 THEN num = 0.5; /* num = 0 のときは 0.5 に置き換える */ OUTPUT; …
(Continued from DATA step) PROC PRINT DATA = loglin2; RUN; /* 変数の割り当てをCheck */ PROC CATMOD DATA = loglin2; WEIGHT num; /* numが度数であることを明示 */ MODEL person * concern = _RESPONSE_; /* _RESPONSE_により対数線形モデルを指定 */ LOGLIN person | concern; /* モデルに投入する要因効果を指定 */ /* A | B = A B A*B */ RUN; SASプログラム 2-1 (PROCステップ)
各変数の主効果・交互作用について有意性を検討各変数の主効果・交互作用について有意性を検討 MAXIMUM-LIKELIHOOD ANALYSIS-OF-VARIANCE TABLE Source DF Chi-Square Prob -------------------------------------------------- PERSON 1 0.60 0.4398 CONCERN 2 27.77 0.0000 PERSON*CONCERN 2 6.18 0.0455 LIKELIHOOD RATIO 0 . . 飽和モデル(すべての変数を含めたモデル)では,LIKELIHOOD RATIOは無視してよい
「飽和モデル」以外のモデルとは? • 交互作用や主効果を“0”とおいたもの • 「飽和モデル」に対し,「不飽和モデル」という
モデルのルール • 階層の原則 (Hierarchy Principal) • モデルが高次の交互作用を含むときは,そのなかの変数による低次の効果も“必ず”含む • を含める ⇒ も“必ず”含める
不飽和モデルの検討方法 Source DF Chi-Square Prob -------------------------------------------------- LIKELIHOOD RATIO 2 6.46 0.0395 • 尤度比カイ2乗統計量G2 は 小さいほど良い • モデルの当てはまりの“悪さ” ⇔ p が大きいほど良い • モデルが正しいときに,観測されたデータが発生する可能性(0.10以上が望ましい) 2変数間に 独立性を仮定
不飽和モデルの適合度 • 「階層の原則」に従い,高次の項から順に 0 とおいてみる • 不飽和モデルはどれも適合が悪い
出力結果の続き(飽和モデル) ANALYSIS OF MAXIMUM-LIKELIHOOD ESTIMATES Standard Chi- Effect Parameter Estimate Error Square Prob ---------------------------------------------------------------- PERSON 1 -0.0758 0.0981 0.60 0.4398 CONCERN 2 0.1350 0.1293 1.09 0.2964 3 0.5923 0.1183 25.06 0.0000 PERSON*CONCERN 4 0.3206 0.1293 6.15 0.0131 5 -0.0153 0.1183 0.02 0.8968 • パラメータの推定値と標準誤差,χ2値と p値が出力 • χ2値は標準効果(=推定値/標準誤差)を2乗したもの • 出力結果は不十分 ⇒ 残りのパラメータは?
Birchの制約式(2変数) • 各効果におけるパラメータの総和は“0” • CATMODプロシージャ では,パラメータは辞書順に出力 • 番号の小さい順 • アルファベット順 • 最後の項は出力されない 0 0 0 0
分析結果(まとめ) • 残りのパラメータは のようにして求める
( )内はパラメータの推定値 • 部分のセルは未検定(=n.s.とは限らない) • (SASでは)変数を辞書順に読み込むため • Birchの制約式 or 数値の割り当て方を変更し再び“RUN” (例)① 外向的→2,内向的→1,② 強い→3,あまりない→1,③ ①+②
主効果の推定値の解釈 • 一様性からのセル度数の偏りを反映 • 属性間や条件間の度数の違いを表す +⇒more frequency-⇒less frequency
交互作用の推定値の解釈 • 独立モデルからのセル度数の偏りを反映 • 実際のセル度数の大小を表すとは限らない +⇒positive association-⇒negative association
How to Interpret • 飽和モデル採用の場合 • 2変数間に関連あり ⇒ 交互作用を解釈 • 主効果の解釈にはあまり関心がない • 属性間・条件間の度数の違いを表すのみ • パラメータの有意性と符号をCheck • 不飽和モデル採用の場合 • 採用したモデルを解釈
【参考】 実際のセル度数の比較 Case①複数標本×複数カテゴリの回答 • 各標本について一様性の検定 ⇒ 1変数LLM • ANOVAでの「単純主効果の分散分析」に対応 • ただし標本間における度数の比較は無意味 Case②それ以外の場合 • 比較への興味・比較を行う意味による • χ2検定,LLM ⇒ 変数間の関連に主眼 • 特定の行(列)に着目する意味を考慮
2変数LLMのまとめ • p×q分割表にLLMを用いるメリット • 独立からの“偏り”をモデリング ⇒独立性から関連性に導いたセルを同定可能 • 「χ2検定+残差分析」とほぼ同様の分析結果 • 独立性以外のさまざまなモデルを検証可能 • SAS vs. SPSS • 対数線形モデル ⇒ SAS • χ2検定+残差分析 ⇒ SPSS
FAQ about LLM > χ2検定で,残差分析をして,「どこが有意であることに > 貢献したか?」ということをみるという手法の弱点は, > どのようなものなのでしょうか? 「χ2検定 ⇒ 残差分析」という流れには, 特に問題はないと思います. ただ,対数線形モデルを用いると,2次元分割表で セルの数が増えたとき(2×3以上の場合)だけでなく, 変数の数が増えたとき(3変数以上の場合)にも 柔軟に対応できる,というのが強みですね.
3.多次元分割表への拡張- The analysis of Multidimensional tables - • シンプソンのパラドックス • 3変数-対数線形モデルの導入 • 3次元分割表の分析
教科書的な例平成14年度大学院入試問題から • 携帯電話の有無×男女別姓への意見 • χ2 = 53.02, df = 1, p < .001 ⇒ 高度に有意 • 携帯電話をもつと男女別姓に賛成?
Not so !! • 年齢により層別し再分析 • χ2検定はどちらも非有意 • That’s strange !!
正しい解釈 ①年齢による意見の違い • 若年層は男女別姓に肯定的 ⇒ 80%が賛成 • 中高年層は否定的 ⇒ 80%が反対 ②年齢による携帯所有率の違い • 若年層は携帯所有率が高い ⇒ 約91% が所有 • 中高年層は低い ⇒ 約91%が所有せず 「携帯あり(なし)⇒別姓賛成(反対)」 という傾向は,「年齢層」という第三変数によって 見かけ上表れたものに過ぎない!!
Simpson’s Paradox • 多次元分割表で,変数をむやみに“つぶす” (collapse)のは危険!! • 層別にみると“関連なし”⇔全体では“関連あり” • 層別にみると“関連あり”⇔全体では“関連なし” ・・・??? • 多次元分割表は,あくまで多次元のままで分析するのが基本!! ⇒対数線形モデルによるアプローチが有効
「χ2検定+残差分析」の繰り返し C1とC2で結果を比較 p×q×r分割表 ⇒ pq×r分割表 従来の対処方法どちらも第三変数の関わりを検証できない
調査データの分析例大学生の時間的展望 • 目標があれば未来は明るいか? • 将来の見通し×未来イメージ(SD法) • 将来目標への欲求の強さを考慮
3変数-対数線形モデルの導入 (i, j, k) セルの 組み合わせ による効果 • 3変数の飽和モデル