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今までのまとめ. E32-070 杉本 賢. 公的年金の歴史. 日本で最初の年金は、明治時代の軍人を対象とした恩給です。その後、大正になってから公務員対象の恩給法ができました。一般の労働者は、1939年の船員保健法の制定により、海上労働者を対象とした年金制度が確立され、その後、1942年にブルーカラー対象の労働者年金保険法が施行されました。そしてこれは、1944年にホワイトカラーや女性にも対象を広げた厚生年金保険法に改定されました。.
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今までのまとめ E32-070 杉本 賢
公的年金の歴史 • 日本で最初の年金は、明治時代の軍人を対象とした恩給です。その後、大正になってから公務員対象の恩給法ができました。一般の労働者は、1939年の船員保健法の制定により、海上労働者を対象とした年金制度が確立され、その後、1942年にブルーカラー対象の労働者年金保険法が施行されました。そしてこれは、1944年にホワイトカラーや女性にも対象を広げた厚生年金保険法に改定されました。
全国民を対象とした年金は、1961年の国民年金法が施行されてからで、これ以後、国民皆年金となりました。また、20歳以上60歳未満の人が強制加入となったのは、1986年からのことです。そのときから全国民共通の基礎年金をベースに、厚生年金や共済年金から給与に比例した年金を上乗せする、いわゆる2階建て構造になって今日に至っています。全国民を対象とした年金は、1961年の国民年金法が施行されてからで、これ以後、国民皆年金となりました。また、20歳以上60歳未満の人が強制加入となったのは、1986年からのことです。そのときから全国民共通の基礎年金をベースに、厚生年金や共済年金から給与に比例した年金を上乗せする、いわゆる2階建て構造になって今日に至っています。
公的年金制度体系 • わが国の年金制度は、従来、民間サラリーマンを対象とする厚生年金保険、公務員などを対象とする数種の共済組合、自営業者などを対象とする国民年金というように分立していました。 • しかし、こうした分立した制度体系をとっていると、就業構造・産業構造の変化によって、財政基盤が不安定になり、長期的安定が図れませんし、入っている制度により給付や負担に不公平が生じます。
そこで、昭和60年の改正により全国民共通の基礎年金が導入され、厚生年金や共済組合は、その上乗せとして報酬比例の年金を支給する制度に再編成されました。そこで、昭和60年の改正により全国民共通の基礎年金が導入され、厚生年金や共済組合は、その上乗せとして報酬比例の年金を支給する制度に再編成されました。 • その他、サラリーマンのより豊かな老後を保障するものとして厚生年金基金があり、また、自営業者等に対し基礎年金の上乗せ年金を支給するものとして国民年金基金があります。図にすると次のような感じの図になります。
公的年金不信の要因 • 現在の日本では公的年金不信が問題となっており、その要因としてあげられるのは、少子高齢化問題、日本経済の不況によるフリーターの増加とそれにともなう年金の空洞化、年金給付の世代間格差問題などがあげられるでしょう。
少子高齢化と財政方式 • 少子高齢化問題の原因は、やはり経済不況により子供を産み育てる余裕がなくなった家庭が多くなったことによる極端な少子化と団塊の世代(1947~49年生まれ)の人々が、近年高齢者の仲間入りを果たすことが多くなり、それが重なってしまったことが、少子高齢化問題の一番の原因であると考えられます。 • 公的年金の問題を考える際、制度に
関する知識と分析のためのいくつかの理論的準備が必要になる。そして、公的年金の「財政方式」も、欠かせない理論的準備の一つです。関する知識と分析のためのいくつかの理論的準備が必要になる。そして、公的年金の「財政方式」も、欠かせない理論的準備の一つです。 • 公的年金給付の財源調達方法を財源方式という。財源方式には、大きく分けて賦課方式と積立方式の2つがあります。 • 賦課方式とは、政府が国民から微収した公的年金保険料を、そのままの年度の公的年金給付に充当する方法で、毎年度、微収した保険料を使い切る方式であり、われわれの払った保険料は、どこかに
積み立てられるのではなく、政府の特別会計をスルーして、そのまま誰かしらの年金給付に充てられます。積み立てられるのではなく、政府の特別会計をスルーして、そのまま誰かしらの年金給付に充てられます。 • これに対して、将来のために保険料を積み立てておくのが積立方式です。支払った保険料は、積立金として積み立てられ、利息とともに将来の年金給付に充当されます。わが国の場合、巨額の積立金も保有しているが、基本的には賦課方式で運営されています。 • 賦課方式の問題点は、少子高齢化という人口動態の変化に弱いことです。すなわち、少子高齢化によって、保険料を支払う側
(被保険者)に対する年金を受け取る側(受給者)の比率が上昇すると、被保険者一人当たりの保険料を引き上げなければならなくなります。(被保険者)に対する年金を受け取る側(受給者)の比率が上昇すると、被保険者一人当たりの保険料を引き上げなければならなくなります。 • このことを具体的な数値で確認すると、65歳以上人口の総人口に占める割合を高齢化率といいます。わが国の高齢化率は、2000年で17.4%であり、先進諸外国と比べてもそれほど高くはありません。しかし、2020年に27.8%、2050年には35.7%に達すると予測されている。先進諸外国中、最も高齢化の進んだ国の一つとなるわけです。
では、高齢化により具体的な保険料水準は • どの程度上昇すると予測されているのだろうか。 • 自営業者などが加入する国民年金の保険料は現在、月額1万3300円の定額です。民間サラリーマンが加入する厚生年金の保険料率は、総報酬、すなわち月収と賞与に対して13.58%です。 • 2002年12月に公表された厚生労働省の試算によれば、現行の給付水準を維持するためには、厚生年金保険料率は2036年度には総報酬の26.20%、国民年金保険料は
2024年度には2万9300円(99年価格)まで引き上げる必要があるという。現在のおよそ2倍の水準である。2024年度には2万9300円(99年価格)まで引き上げる必要があるという。現在のおよそ2倍の水準である。 • 保険料負担の増大は、公的年金制度の持続可能性を脅かしかねない。度重なる保険料の引き上げは、国民の公的年金制度に対する信頼低下と老後の不安を増幅させ、消費の抑制につながるでしょう。 • 人口動態上も改革が急がれており、人口の塊である団塊の世代が受給サイドに回る時期が、2007年と2年後に迫っており、今や待ったなしの状態になっています。
国民年金 • 国内に住む20歳以上60歳未満の自営業、農林漁業、学生、無職の人などが対象となり、老後の所得保障となる老齢基礎年金をはじめ、病気やけがで障害が残ったときの障害基礎年金、万が一被保険者が死亡したときに遺族を守る遺族基礎年金などの基礎年金の給付を行います。
国民年金加入者 <第1号被保険者> • 日本国内に住所を有する20才以上60才未満の人のうち、農業や自営業の人、無職の人、学生などは国民年金の第1号被保険者です。第1号被保険者の保険料は一律で、月額13,300円(2004年度)を各自で納めます。 <第2号被保険者> • 厚生年金、船員保険、共済組合に加入している人は、第2号被保険者です。保険料は
それぞれの賞与と報酬額によって決定され、事業主と折半された額が賞与と毎月の給与から天引きされますそれぞれの賞与と報酬額によって決定され、事業主と折半された額が賞与と毎月の給与から天引きされます <第3号被保険者> • 第2号被保険者に扶養されている配偶者は、第3号被保険者として国民年金に加入します。保険料は配偶者である第2号被保険者の加入する制度(厚生年金、共済組合)が負担するため、各自で納める必要はありません。ただし配偶者が勤務する事業所の事業主を通して届け出なければなりません。
保険料の免除申請 • 生活が苦しくて保険料の納付が困難な人は、申請をすれば、保険料が免除されることがあります。免除には、生活保護を受けている人や、障害年金1・2級の受給者のための「法定免除」と、所得が少なくて生活が困難な人のための全額免除・半額免除、学生納付特例の「申請免除」があります。免除を受けた期間は、受給資格期間(25年)には、それぞれ1ヶ月分として含まれますが、年金額は、全額免除の期間は、1/3ヶ月分納付したとして計算
した額(通常の3分の1)、半額免除の期間は、2/3ヶ月分納付したとして計算した額(通常の3分の1)となります。ただし、各免除月から10年以内に免除額を追納すれば、追納した月分は通常に納めた場合の1ヶ月分として年金額が計算されます。また学生(夜間、通信教育課程程の学生も対象)で、本人の所得が一定額の場合に、申請をして承認を受ければ、在学中の保険料を後払いできる学生納付特例制度もあります。した額(通常の3分の1)、半額免除の期間は、2/3ヶ月分納付したとして計算した額(通常の3分の1)となります。ただし、各免除月から10年以内に免除額を追納すれば、追納した月分は通常に納めた場合の1ヶ月分として年金額が計算されます。また学生(夜間、通信教育課程程の学生も対象)で、本人の所得が一定額の場合に、申請をして承認を受ければ、在学中の保険料を後払いできる学生納付特例制度もあります。
公的年金の老齢給付 • 現在の公的年金制度での老齢給付は、国民年金から全国民共通の老齢基礎年金が支給され、厚生年金保険(または共済組合)からそれに上乗せする形で報酬比例の老齢厚生(または退職共済)年金が支給される、2階建て方式になっています。つまりこの方式で考えた場合、その一階部分となるのが老齢基礎年金なのです。
老齢基礎年金 • 老齢基礎年金は国民年金の第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の人で、年金・加入期間などの条件を満たしていれば誰でももらえる老齢給付です。サラリーマンが年金をもらうときに、基礎部分という言い方をするのが、この老齢基礎年金です。これは国民年金に原則として25年以上加入した人が65歳から受ける、全国民に共通した年金です。年金額は40年加入した場合が満額となり、加入年数がそれに満たない場合は、
その期間に応じて減額されます。本人が希望すれば、60歳以降から繰り上げて、また、65歳以降に繰り下げて受けることもできます。その期間に応じて減額されます。本人が希望すれば、60歳以降から繰り上げて、また、65歳以降に繰り下げて受けることもできます。
必要な加入期間は、25年以上 • 老齢基礎年金をもらうためには、原則として 25年以上の加入期間がなければなりません。この25年以上の加入期間は、保険料を支払った期間(保険料納付期間)と保険料免除期間(経済的な理由等で保険料を支払えない人が、法律または申請により保険料を免除された期間)または合算対象期間(国民年金への加入が任意であった人が当時任意加入しなかった期間など)の合計です。
したがって、加入すべきなのに保険料を滞納してきた期間は、加入期間としてカウントされません。したがって、加入すべきなのに保険料を滞納してきた期間は、加入期間としてカウントされません。
17年度の年金額794,500円(月額66,208円)※ 20歳から40歳までの保険料を納めた場合の金額です。 保険料を納めた期間が40年に満たない場合は、その期間に応じて減額されます。 • <計算式>
繰上げと繰り下げ • 老齢基礎年金は希望すれば60歳からでも受給できます。ただし64歳以前に請求する(繰上げ)と減額され、66歳以後に請求する(繰下げ)と増額され、支給率は一生変わりません。繰上げ請求すると厚生年金の一部支給停止や障害基礎年金・寡婦年金が受けられなくなるなどの制限があります。
公的年金の障害給付 • 障害給付は公的年金に加入している人が、何らかの病気や事故で一定の障害状態になった場合、支給要件を満たしていれば受けられるものです。この障害給付も老齢給付と同じく2階だてになっており、一階部分が障害基礎年金、2階部分が障害厚生年金(障害共済年金)となります。国民年金の第1号被保険者の人は一階部分だけ、厚生年金保険の被保険者や、共済組合の組合員(ともに国民
年金第2号被保険者)は1階部分と2階部分の両方受けられます。ふつう公的年金というと、年をとってからの老齢給付だけを考えがちですが、老齢にならなくても、万一障害の状態になったときに公的年金は役立つのです。民間の保険とは違い、基本的に年金で支給され、その状態が続いている限り一生もらえるものです。障害は重いものから1級、2級、3級・・・・とあり、障害給付を受けられるのは国民年金では1級と2級だけです。障害等級1級「日常生活にも他人の介護を必要とする程度のもの」、障害等級2級「必ずしも他人の年金第2号被保険者)は1階部分と2階部分の両方受けられます。ふつう公的年金というと、年をとってからの老齢給付だけを考えがちですが、老齢にならなくても、万一障害の状態になったときに公的年金は役立つのです。民間の保険とは違い、基本的に年金で支給され、その状態が続いている限り一生もらえるものです。障害は重いものから1級、2級、3級・・・・とあり、障害給付を受けられるのは国民年金では1級と2級だけです。障害等級1級「日常生活にも他人の介護を必要とする程度のもの」、障害等級2級「必ずしも他人の
介護は必要ではないが、日常生活が困難で、労働して収入を得ることができない程度のもの」。ここから国民障害給付をもらえるのは、「公的年金加入期間中に初診日がある」、「保険料支払い条件を満たしている」、「治癒または症状固定または初診日から1年6ヶ月経過した」加入者です。介護は必要ではないが、日常生活が困難で、労働して収入を得ることができない程度のもの」。ここから国民障害給付をもらえるのは、「公的年金加入期間中に初診日がある」、「保険料支払い条件を満たしている」、「治癒または症状固定または初診日から1年6ヶ月経過した」加入者です。
障害基礎年金 • 国民年金に加入中に初診日がある病気・けがが原因で障害者になったときに支給される国民年金の給付です。60歳以上65歳未満で日本に住んでいれば、加入をやめた後の病気・けがによるものでも受けられます。ただし、加入期間のうち3分の1以上滞納がないか、2006年4月1日前に初診日のある傷病による障害の場合は1年間に保険料の滞納がないことが条件になります。
なお、20歳前に初診日がある場合は、障害の認定をうけた日以後の20歳の時点で障害があれば障害基礎年金が支給されます。なお、20歳前に初診日がある場合は、障害の認定をうけた日以後の20歳の時点で障害があれば障害基礎年金が支給されます。 • 年金額 • 1級障害 993,100円(2005年度) • (月額 82,758円) • 2級障害 794,500円(2005年度) • (月額 66,208円)
「2004年度年金額」 • 【1級】794,500円×1.25+子の加算【2級】794,500円+子の加算子の加算 • 第1子・第2子 各 228,600円 • 第3子以降 各 76,200円 • 子とは次の者に限る • 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子 • 20歳未満で障害等級1級または2級の障害者
公的年金の遺族給付 • 公的年金の加入者や、かつての加入者で要件を満たしてくれる人が死亡したときには、一定の遺族に「遺族給付」が支払われます。この遺族給付もやはり障害給付と同様に、1階部分が国民年金からの遺族基礎年金、2階部分が厚生年金保険からの遺族厚生年金(または共済組合からの遺族共済年金)と2階建てになっています。1階部分、2階部分とも各々もらうための要件に違いがあります。
この遺族給付は障害給付と同じように、ほとんどが年金の形で支払われます。残された遺族にとっては、生活資金の支柱となる大切な給付です。この遺族給付は障害給付と同じように、ほとんどが年金の形で支払われます。残された遺族にとっては、生活資金の支柱となる大切な給付です。
遺族基礎年金 • (1)国民年金に加入中の人、(2)国民年金に加入していた人で60歳以上65歳未満の人、(3)老齢基礎年金を受けている人や受給資格期間を満たしている人、が死亡した場合に、遺族に支払われる国民年金の給付です。 • 受けられる遺族は、死亡した人に生計を維持されていた18歳未満(18歳の誕生日の属する年度末まで)の子、または18歳未満(同)の子のいる妻です。ただし、(1)・(2)の場合
は、加入期間のうち3分の1以上保険料の滞納がないこと、2006年4月前の死亡については1年間に保険料の滞納がないことが条件になります。は、加入期間のうち3分の1以上保険料の滞納がないこと、2006年4月前の死亡については1年間に保険料の滞納がないことが条件になります。 • 年金額 • 妻と子 1,023,100円(2005年度) • (月額 85,258円) • 子のみ 794,500円(2005年度) • (月額 66,208円)
「16年度年金額」 • 794,500円+子の加算 • 子の加算 • 第1子・第2子 各 228,600円 • 第3子以降 各 76,200円 • (注) • 子が遺族基礎年金を受給する場合の加算は第2子以降について行い、子1人あたりの年金額は、上記による年金額を子供の数で除した額。
フリーターの増加と年金の空洞化 • 経済不況により、就職できない人や正社員として就職する必要性がないと判断した人、保険料を払う余力のないフリーターの増加や、昨年発覚した年金未納問題や社会保険庁による年金保険料の無駄遣いなども年金“空洞化”につながっています。 • 厚生年金制度と共済年金制度に加入しているサラリーマンは第2号被保険者、
サラリーマンの専業主婦の妻は第3号被保険者と名前が付けられ、国民年金に加入していることになっています。サラリーマンの専業主婦の妻は第3号被保険者と名前が付けられ、国民年金に加入していることになっています。 • 自営業者および雇用者でも厚生年金の対象となっていない人などは、国民年金の第1号被保険者と呼ばれます。この第1号被保険者こそが、月額1万3300円の国民年金保険料を納める、いわば正真正銘の国民年金制度の加入者です。 • 国民年金の空洞化とは、国民年金制度が強制加入であるにもかかわらず、保険料を払わない人が拡大している現象を指します。
保険料を払わない人にも、理由によっていくつかのカテゴリーがあります。保険料を払わない人にも、理由によっていくつかのカテゴリーがあります。 • 2003年、国民年金制度にそもそも加入していない未加入者が99万人、加入していても理由なく保険料を払っていない未納者が265万人、合計364万人もいます。 • 厚生労働省は、364万人が第1号から第3号までを合わせた国民年金の対象者7148万人を分母とすることは、実態を過小に評価してしまいます。 • 第2号被保険者と呼ばれる人たちが加入して
いると認識しているのは、厚生年金制度や各共済年金制度であって、国民年金制度ではありません。第2号被保険者は、保険料を払う意思の有無にかかわらず給与から天引きされるので、払わざるを得ないのです。また、第3号被保険者は、そもそも保険料を払っていません。いると認識しているのは、厚生年金制度や各共済年金制度であって、国民年金制度ではありません。第2号被保険者は、保険料を払う意思の有無にかかわらず給与から天引きされるので、払わざるを得ないのです。また、第3号被保険者は、そもそも保険料を払っていません。 • このように、未加入・未納者の規模は、国民年金第1号被保険者の対象者の中で評価すべきであり、国民年金第1号被保険者の対象者2253万人のうち未加入者・未納者の比率は16.2%に達します。
ほぼ6人に1人の割合です。 • 第2に、未納者・未加入者のほかにも、保険料の納付免除者が505万人いる。505万人を加えた場合、空洞化の比率は38.6%に上る。ほぼ2.6人に1人の割合です。 • ただし、保険料の納付免除者も含めて空洞化と呼ぶことに関しては、否定的な見解もある。その理由は、免除者は未加入者や未納者と異なり、低所得などを理由に法律で定められて免除者になっているのであり、しかも免除期間に対する給付は3分の1に減額され、
ペナルティーを負った形になっているというものです。ペナルティーを負った形になっているというものです。 • 確かに、やむを得ない理由によって保険料の免除を受けている人まで空洞化とひとくくりにするのは適切でないかも知れません。しかし、次のように考えると、免除者が多数いる状況は、公的年金制度にとってはやはり問題といわざるを得ません。 • 免除者が問題となる理由の1つは、人数の多さです。そもそも一般に免除とは例外的な措置のはずです。第1号被保険者のうち、実に4分の1が免除者であるというのは、
国民年金制度そのものに問題があるとみた方が妥当です。米国では、一定所得以下の人は公的年金制度ではなく補足的所得保障制度(SSI)に加入させ、その財源も社会保障税(米国では保険料ではなく税)ではなく一般財源から賄っているように、わが国においても、もともと別の制度にするべきものかもしれません。もう1つは、基礎年金が完全な賦課方式で運営されている以上、毎年度必要となる給付額は既に決まっており、免除者の存在によって、保険料を支払っているほかの人がその分のしわ寄せを受けていることになっているからです。国民年金制度そのものに問題があるとみた方が妥当です。米国では、一定所得以下の人は公的年金制度ではなく補足的所得保障制度(SSI)に加入させ、その財源も社会保障税(米国では保険料ではなく税)ではなく一般財源から賄っているように、わが国においても、もともと別の制度にするべきものかもしれません。もう1つは、基礎年金が完全な賦課方式で運営されている以上、毎年度必要となる給付額は既に決まっており、免除者の存在によって、保険料を支払っているほかの人がその分のしわ寄せを受けていることになっているからです。
空洞化に関して厚生労働省の認識が誤っている理由は第3に、保険料を支払っているとされる人のうち全額納付している人は85%にすぎず、残り15%は一部しか保険料を納付していないからです。しかも、一部納付者の定義が甘く、2年間のうち1ヵ月でも払っていれば、一部納付者にカウントされてしまいます。空洞化に関して厚生労働省の認識が誤っている理由は第3に、保険料を支払っているとされる人のうち全額納付している人は85%にすぎず、残り15%は一部しか保険料を納付していないからです。しかも、一部納付者の定義が甘く、2年間のうち1ヵ月でも払っていれば、一部納付者にカウントされてしまいます。 • さらにいえば、未加入者や未納者の統計自体、十分なものではありません。未加入者、未納者、免除者の調査内容と調査時点、
調査方法がそれぞれ異なり、正確な比較ができないからです。未加入者数の出所は「1998年公的年金加入状況等調査」、未納者は「1999年国民年金被保険者実態調査」、加入者・免除者は2001年3月末の数値とバラバラです。調査方法がそれぞれ異なり、正確な比較ができないからです。未加入者数の出所は「1998年公的年金加入状況等調査」、未納者は「1999年国民年金被保険者実態調査」、加入者・免除者は2001年3月末の数値とバラバラです。 • 国民年金制度の空洞化は深刻です。また、重要な政策議論が、このような曖昧な現状把握の上に立って行われていることも、十分認識しておく必要があります。 • そこで、国民年金空洞化の実態をより正確に把握するために、一体いくら歳入欠陥が発生
しているのかに着目し、次のような微収率を考えます。しているのかに着目し、次のような微収率を考えます。 • 微収率=実際の国民年金保険料収入÷理論上の国民年金保険料収入 • 理論上の国民年金保険料収入とは、国民年金第一号被保険者数に年間の保険料をかけたもの(現在は13300円×12ヵ月)です。すなわち、本来、国民年金第1号被保険者となるべき人の数に、1人当たりの年金保険料をかけ合わせて保険料収入の理論を求め、実際に微収された保険料収入と比較することによって財政的な穴を把握するという考えです。
このようにして、2000年度の理論上の保険料収入を求めると、3兆4373億円となります。実際の収入は1兆9678億円だったので、微収率は57%にすぎず、1兆4695億円が歳入欠陥となっています。しかも、この数字は年々拡大傾向にあり、ここ数年は、98年度まで毎年度引き上げられてきた保険料の引き上げが凍結されているのにもかかわらず、微収率が悪化しています。このようにして、2000年度の理論上の保険料収入を求めると、3兆4373億円となります。実際の収入は1兆9678億円だったので、微収率は57%にすぎず、1兆4695億円が歳入欠陥となっています。しかも、この数字は年々拡大傾向にあり、ここ数年は、98年度まで毎年度引き上げられてきた保険料の引き上げが凍結されているのにもかかわらず、微収率が悪化しています。 • このように国民年金空洞化の認識の程度に
よって、公的年金制度改革の姿は大きく変わります。厚生労働省は「5%程度」との認識であり、微収強化などの施策のよって現行制度を維持していく意向です。しかし、現実には現行制度はもはや破錠しているとみた方が妥当であり、制度そのものを作り変えることが不可欠であるといえます。よって、公的年金制度改革の姿は大きく変わります。厚生労働省は「5%程度」との認識であり、微収強化などの施策のよって現行制度を維持していく意向です。しかし、現実には現行制度はもはや破錠しているとみた方が妥当であり、制度そのものを作り変えることが不可欠であるといえます。