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電磁気学 Ⅰ. 担当:鳥井 寿夫(とりい よしお) 居室:16号館 224 A tel: 03-5454-6757 ( 内線 46757) e-mail: ytorii@phys.c.u-tokyo.ac.jp http://maildbs.c.u-tokyo.ac.jp/~torii. 授業日 :毎週 木 曜2限 ( 10 : 30 ~ 12 : 10 )、 10 月 7 日~ 12 月 16 日、 1 月 13 日、 20 日(計 13 回) 曜日振替、休講日なし. 電磁気学 Ⅰ の基本方針.
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電磁気学Ⅰ 担当:鳥井 寿夫(とりい よしお) 居室:16号館224A tel: 03-5454-6757 (内線46757) e-mail: ytorii@phys.c.u-tokyo.ac.jp http://maildbs.c.u-tokyo.ac.jp/~torii 授業日:毎週木曜2限(10:30~12:10)、 10月7日~12月16日、1月13日、20日(計13回) 曜日振替、休講日なし
電磁気学Ⅰの基本方針 • 導体、コンデンサー、コイルなど、1年生で学習した内容は扱わない • 電磁気学の構造や、電磁気学に登場する諸物理(E,B,D,H,P,M,j,ρ,A,φ,S)の意味や互いの関係を系統的に理解する • 特に輻射現象や散乱現象を扱う(空が青いのはなぜか理解する) • 特殊相対性理論と電磁気学の関係を理解する
講義計画 • 第1回:デモ実験・ベクトル解析とマクスウェル方程式の復習 • 第2回:波動方程式と真空中の電磁波 • 第3回:分極と磁化、物質中のマクスウェル方程式 • 第4回:電磁場のエネルギーと運動量 • 第5回:原子のローレンツモデル電磁波の吸収・分散 • 第6回:電磁波の散乱‐レイリー散乱とトムソン散乱 • 第7回:磁性体(常磁性、強磁性、反磁性) • 第8回:電磁ポテンシャルとゲージ変換 • 第9回:リエナール・ヴィーヒェルトポテンシャル • 第10回:様々な電磁輻射 • 第11回:特殊相対性理論 • 第12回:相対論とマクスウェル方程式 • (第13回:量子論とベクトルポテンシャル)
教科書 • 「ファインマン物理学Ⅱ 光、熱、波動」 (岩波書店) • 「ファインマン物理学Ⅲ 電磁気学」 (岩波書店) • 「ファインマン物理学Ⅳ 電磁波と物性」 (岩波書店) • 太田浩一「電磁気学Ⅰ」「電磁気学Ⅱ」(丸善) • 砂川重信「理論電磁気学」(紀伊国屋書店) • 加藤正昭「電磁気学」(東大出版会) 演習書 • 加藤正昭「演習 電磁気学」(サイエンス社)
ファインマン物理学Ⅲ電磁気学 第1章 電磁気学 「人類の歴史という長い眼から、たとえば今から1万年後の世界から眺めたら、19世紀の一番顕著な事件がマクスウェルによる電磁法則の発見であったと判断されることはほとんど間違いない」
太田浩一「電磁気学Ⅰ、Ⅱ」 晴れた空が青いのはなぜだろう― この素朴な質問の答の中に、電磁気学のエッセンスの すべてがひそんでいる(内容紹介より)
太田先生の本に書いてあること • 「磁場の変化が電場を作り、電場の変化が磁場を作る」というのは誤解(エーテルの亡霊)。電磁波の源は全て電荷と電流である。 • ある物理学者が電気力(クーロンの法則)は知っていても磁気力は知らなかったとする。その物理学者はクーロンの法則と相対論だけからマクスウェル方程式を全て導くことができる。 • B(磁束密度)でなくH(磁場)を実在とする立場は認める訳にはいかない。 Hは便宜的に定義された物理量である。
P リエナール-ヴィーヒェルトポテンシャル(ファインマン物理学Ⅱ第3章) 輻射を表す
双極子輻射パターン 放射強度の方向依存性 x z 双極子アンテナから 放射される電気力線 http://www.eto.titech.ac.jp/contents/sub04/chapter02.html
空の偏光特性の実験 http://www.eto.titech.ac.jp/contents/sub04/chapter08_002.html
原子の双極子振動 1s状態と2px状態が半々に重ね合わさった状態にある水素原子を考える。この水素原子が持つ振動する電気双極子の振幅と周波数を求めよ。 ただし<1s|-ex|2px>=d (dは一般に複素数)とする。 振動 + =
デモ実験 • セロテープの光物性 (複屈折性および分散特性) • 磁気浮上(アーンショーの定理は破れたか?) http://www.ru.nl/hfml/research/levitation/diamagnetically/
古典物理(~1905)の全て ファインマン物理学Ⅲ 電磁気学 第18章「マクスウェル方程式」p229
マクスウェル方程式の解 ファインマン物理学Ⅲ 電磁気学第20章「電流と電荷のある場合のマクスウェル方程式の解」p264
ファインマン物理学Ⅲ電磁気学 第20章 p263 「われわれはマクスウェル方程式を解いた。どんな電荷、電流があっても、上の積分によりポテンシャルが直接に分かり、微分して場が求められる。これでマクスウェル方程式は終わりである。(中略)電磁気の世界の中心はここにある。電気、磁気、光の完全な理論-動く電荷の作る場の完全な記述など-それはすべてここにある。力と美の点で完成された、マクスウェルのうち建てた建造物がここにある。これは恐らく物理学の最大の成功の一つである」
マクスウェル方程式の特徴 • 電荷保存則を含んでいる • 発散と回転で表現されている(ヘルムホルツの定理より解が一意的に求まる) • 時間に依存しない場合(静電磁気の場合)は、クーロンの法則とビオ・サバールの法則と同値である • 時間に依存する場合でも解はわかっている • ローレンツ不変性を満たしている(方程式が座標系に依存しない)
ベクトル場の微分公式 その① とりあえずこの3つは必ず覚えよう! 以下は公式ではなくラプラシアンの定義
ベクトル場の微分公式 その② 以下は覚えなくてよい。いつでも導出できる 覚えるべきは、通常のベクトル公式
ベクトル場の積分公式 ガウスの定理(Gauss’ Theorem)←物理法則(law)ではない ストークスの定理(Stokes’ Theorem) ←物理法則(law)ではない
ヘルムホルツの(分解)定理 任意のベクトル場Xは、スカラー場の勾配とベクトル場の回転で表現できる 無限遠でXが1/r2より早くゼロに収束するならば、
任意のベクトル場は、その発散と回転が与えられれば、一意的に定まる任意のベクトル場は、その発散と回転が与えられれば、一意的に定まる ヘルムホルツの定理からの帰結 回転のないベクトル場は、スカラー場の勾配で表わせる 静電場のクーロンの法則 発散のないベクトル場は、ベクトル場の回転で表わせる 静磁場のビオ・サバールの法則
表記法(notation) (例)電荷密度が与えられたときに、クーロンの法則と重ね合わせの原理から、任意の位置における電場を求める式 この講義 太田流 ファインマン流
デルタ関数を使おう! <3次元デルタ関数δ(r - r’)の定義> ・ r = r’での値は無限大、それ以外ではゼロ ・ r = r’を含む体積積分の値は1、含まなければゼロ
デルタ関数の例 ヘヴィサイド関数
マクスウェル方程式(微分形) 基本的に、これだけ知っていればいい (いつでも(物質中でも)正しい)
波動方程式の導出① の両辺に左から∇をかけると 左辺= 右辺= したがって ←3次元波動方程式
波動方程式の導出② の両辺に左から∇をかけると 左辺= 右辺= したがって ←3次元波動方程式
波動方程式の解 成分をあからさまに書けば 電場はy軸方向を向いている(y軸方向に偏光している)とする
電磁波は横波 ところで、マックスウェル方程式 より であるので、これと より、必然的に となる。したがって、y軸方向を向いた電場の波は、y軸方向には空間依存性がない。つまり、電場の波はy軸方向に進行できない
:角周波数 電場の波は+x軸方向に進行しているとする(z軸方向の空間依存性はないとする)と、波動方程式は1次元に帰着できる 一般的な解の形は と表せるが、振動する解は ただし :波数 (λ:波長、 f :周波数) 対応する磁場の解は ただし
+x方向に進行する電磁波 http://web.mit.edu/8.02t/www/
ダイポールアンテナによる電磁場の発生(「高等学校物理Ⅱ」(啓林館)p180)ダイポールアンテナによる電磁場の発生(「高等学校物理Ⅱ」(啓林館)p180)
E, B, kの関係 E k:波数ベクトル (wave vector) B より より したがって、 TEM(Transverse Electromagnetic) wave
+ + + + + + + + + + + + + + + + d d d d d d d d d d d d d d d d - - - - - - - - - - - - - - - - 分極(ベクトル場)の定義 分極ベクトルPは、単位体積あたりの 双極子モーメントp = qd の和 N: 双極子モーメントの密度 面素dSを通過した電荷の量
分極電流密度 分極の時間微分は、電流密度の定義そのものである (分極電流密度) この分極電流は、アンペールの法則のjに含めなければなければならない も含める
分極電荷 (分極)電荷の保存則より 代入 分極電荷密度 この分極電荷密度は、ガウスの法則のrに含めなければならない。 も含める
磁化(ベクトル場)の定義 磁化ベクトルMは、単位体積あたりの 磁気モーメントm = ISnの和 E-B対応 E-H対応 N: 磁気モーメントの密度 表面電流密度:M E-H対応 E-B対応 Mが一様な場合、Mの大きさは、表面電流密度(磁化の方向の単位長さあたりの表面電流)に対応する。 加藤正昭「電磁気学」東大出版会
E-B対応とE-H対応の等価性 (例1)磁気モーメントが外部につくる磁場 ビオ・サバールの法則 磁場のクーロンの法則(E-H対応) ただし真空中 (磁性体の外部)
N N E-B対応とE-H対応の等価性 (例2)磁気モーメントに働く力 真空中では E-B対応とE-H対応での 磁気モーメントの単位の違い + - 一致 電流に働くローレンツ力 磁荷に働くクーロン力
磁化電流密度 ある平面Sを貫く磁化電流は、その平面を囲む閉曲線を絡んでいる磁化電流のみが寄与する 磁化電流密度 ところで、ストークスの定理より 加藤正昭「電磁気学」東大出版会 したがって、任意の平面Sにおいて、 ←これも、マクスウェル方程式の j に含める (E-B対応の場合)
代入 代入 分極と磁化がある場合のマクスウェル方程式
電束密度と磁場 次のベクトル場を便宜的に定義してみる 電束密度 磁場 (補助場by太田) すると、マクスウェル方程式は以下のように簡単になったように見える