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天然物化学とは?. 生薬学. 生化学. 有機化学. 分析化学. 学問は全て繋がっている。. 天然物から創薬へ・・. Key word :. lead 化合物、コンビナトリアルケミストリー、ハイスループットスクリーニング( HTS). ターゲット(標的)の探索. 疾患、生体内における標的部位の決定 天然物からの探索. in vitro (試験管内)、 in vivo (生体内)における薬物評価系を決める. スクリーニングの構築. Lead 化合物の探索. 抽出・分離・構造決定. 生理活性を有する天然由来抽出物から目的化合物を単離精製.
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天然物化学とは? 生薬学 生化学 有機化学 分析化学 学問は全て繋がっている。
天然物から創薬へ・・ Key word : lead化合物、コンビナトリアルケミストリー、ハイスループットスクリーニング(HTS) ターゲット(標的)の探索 疾患、生体内における標的部位の決定 天然物からの探索 in vitro(試験管内)、in vivo(生体内)における薬物評価系を決める スクリーニングの構築 Lead化合物の探索 抽出・分離・構造決定 生理活性を有する天然由来抽出物から目的化合物を単離精製 膨大な化合物(薬物候補)からスクリーニング絞り込んでいく。活性と毒性の評価、作用機序について検討 薬物の評価・作用機序 最適構造の検討 候補化合物を修飾することでより医薬品として有用な化合物へと導く(ドラッグデザイン)- コンビナトリアルケミストリー
天然物の発見年表 morphine (Serturner) 1803年 morphine 1818年 quinine 1819年 caffeine 1831年 atropine 1855年 cocaine 1885年 ephedrine 1895年 tubocrarine 1929年 peniciline 1952年 reserpine 1953年 kainic acid 1958年 vinbrastine 1971年 paclitaxel quinine caffeine atropine cocaine ephedrine (長井長義) tubocurarine oeniciline (Fleming) kainic acid reserpine paclitaxel vinblastine
人物と業績 人物 A. Fleming E. Jenner G. Domagk B.N. Ames P. Ehrlich S.A. Waksman R. Koch J. Pasturner F. Serturner H.A. Krebs 業績 ペニシリン 種痘 サルファ剤 Mutation test サルバルサン ストレプトマイシン 結核菌、コレラ ワクチン モルヒネ TCAサイクル 人物 華岡青洲 長井長義 北里柴三郎 高峰譲吉 鈴木梅太郎 朝比奈泰彦 業績 全身麻酔を用いた手術 エフェドリン 破傷風菌 アドレナリン ビタミンB1 カンフル
問60.次の人物とその業績に関連した事項との対応の正誤について、正しい組合せはどれか。問60.次の人物とその業績に関連した事項との対応の正誤について、正しい組合せはどれか。 a) B. N. Ames(エイムス)――――mutation test b) P. Ehrlich(エールリッヒ)――――salvarsan c) G. Domagk(ドマーク)――――penicillin d) S. A. Waksman(ワックスマン)――――streptomycin e) A. Fleming(フレミング)――――sulfa drug (第82回薬剤師国家試験) a b c d e 1 正 誤 誤 誤 正 2 正 正 誤 正 誤 3 誤 正 誤 正 正 4 正 誤 正 誤 誤 5 誤 正 正 誤 誤
セイヨウイチイ Taxusbaccata (イチイ科 Taxaceae) paclitaxel (taxolâ) セイヨウイチイの樹皮に含まれている。微小管に結合して安定化させ脱重合を阻害することで、腫瘍細胞の分裂を阻害する。
合成ルートを考える~paclitaxel(taxolâ) 最終化合物を効率よく合成するために、各部分を分解し、簡単な化合物から合成できるルートを探索する。 ~ 逆合成解析(retrosynthesis) ・E. J. Coreyにより提唱:1991年ノーベル化学賞受賞
天然物から医薬品へ ポドフィルムPodophyllumpeltatum (メギ科 Berberidaceae) Natural products drug Podophyllotoxin PodophyllotoxinGlucoside Etoposide
天然物は如何にして作られるのか? 化学合成 我々の生活を向上するために必要とされる天然物を有機化学を駆使して人工的に合成する 天然物 生合成 植物や動物などが生きていくために必要とされる化合物を自発的に合成する 天然物を理解するには、自然界においてその化合物が如何にして産み出されているか知る必要がある
生合成による天然物質の分類 生合成経路 酢酸-マロン酸経路 シキミ酸経路 メバロン酸経路 デオキシキシルロース リン酸経路 アミノ酸経路 構造の基本単位 C2(アセチルCoA) C6-C2(ケイヒ酸) C5(イソプレン単位) C5(イソプレン単位) フェニルアラニン チロシン トリプトファン オルニチン リジン 最終産物 ポリケチド フェニルプロパノイド リグナン クマリン フラボノイド テルペノイド ステロイド カロテノイド テルペノイド アルカロイド
一次代謝と二次代謝(その1) 生命の営み:生存、成長、種の保存 数多くの化学物質の変換過程が存在する。 個々の反応過程は酵素のより触媒され、巧みに制御された化学反応ネットワークが構成単位の供給のために用いられている。 中間代謝(それに含まれる経路を代謝経路) 一次代謝とは? 生命に必須の分子の代謝(それに含まれる化合物を一次代謝産物) 炭水化物 – 単糖 タンパク質 – アミノ酸 核酸 – ヌクレオチド 脂質 生命に必須の分子とは? 重合体 上記の化合物を変換したり合成したりする経路は、多少の違いがあっても全ての生物種においてほぼ共通 全ての生物の基本的統一性を示すもの 一次代謝
一次代謝と二次代謝(その2) 生物における生合成 緑色植物のクロロフィルに照射された太陽光が吸収され、それによって得られた光化学エネルギーが変換に用いられる。 Ⅰ 合成反応 光合成 植物 無機物 有機物 動物・微生物 生合成原料を食餌や培地により調達しなければならない Ex) タンパク質 = 各種アミノ酸の供給源 生物種の要求度により生成するアミノ酸の比率は異なる。また、アミノ酸を他のアミノ酸に変換する経路や不必要なアミノ酸を分解し、エネルギー源とする経路も存在する。多くの生物は、タンパク質合成に必要なアミノ酸全てを合成できるわけではない。自分で合成できないアミノ酸、必須アミノ酸は食餌として得なければならない。 Ⅱ 分解反応 ・ 炭水化物や糖類- 解糖系及びKrebs(クエン酸/ TCA)回路により分解される。 ・ 脂質中の脂肪酸 - β酸化 エネルギー放出
一次代謝と二次代謝(その3) 二次代謝とは? 自然界で限られた分布を示す化合物の代謝に関わる経路 その経路に含まれる化合物を二次代謝産物という。 別の表現をすれば種の個性の表現とも言える。 ほとんどの場合、生物における機能や存在意義は未解明である。 なかには容易に理解できる理由で生産されているものも確かに存在する。 Ex) 外敵に対する防御因子(ファイトアレキシン) 同種・多種生物を誘引する揮発性物質(昆虫フェロモン) 薬理活性天然物の大部分を生み出しているのが二次代謝の領域である。 生化学 天然物化学 一次代謝産物 二次代謝産物 脂肪酸・糖類
生合成単位(その1) ペントースリン酸回路 Krebs回路 解糖系 二次代謝産物の生合成原料 = 一次代謝産物 光合成 アセチルCoA- 酢酸経路 シキミ酸 - シキミ酸経路 メバロン酸 1-デオキシキシルロース 5-リン酸 (アミノ酸) メバロン酸・ 1-デオキシキシルロース 5-リン酸経路 二次代謝産物
生合成単位(その2) 1) アセチル CoA 解糖系 酢酸経路 酸化的脱炭酸 ピルビン酸 アセチル CoA フェノール類、プロスタグランジン(PG)類、マクロライド系抗生物質、脂肪酸及びその誘導体 脂肪酸 β酸化* *脂肪酸のβ位が酸化されて、次々に炭素原子が2個少ない脂肪酸になる酸化反応、脂肪酸分解の主要経路で起こる反応。ミトコンドリア内で行われる。 2) シキミ酸 解糖系 ペントースリン酸回路 + ホスホエノールピルビン酸 エリスロース4-リン酸 シキミ酸 シキミ酸経路 フェノール類、ケイ皮酸誘導体、リグナン類、アルカロイド
生合成単位(その3) 3) メバロン酸 アセチル CoA x 3 メバロン酸 メバロン酸経路 テルペノイド、ステロイド デオキシキシルロースリン酸経路 (非メバロン酸経路) 4) デオキシキシルロースリン酸 解糖系 + ピルビン酸 グリセルアルデヒド3-リン酸 デオキシキシルロースリン酸 5) アミノ酸 解糖系、Krebs回路 アミノ酸由来の生合成単位 ペプチド類、タンパク質、アルカロイド、抗生物質 ・芳香族アミノ酸: フェニルアラニン チロシン トリプトファン シキミ酸経路の産物、インドール骨格などに関与 ・オルニチン: Krebs回路中間体を起源、アルカロイドの前駆体、タンパク質の構成アミノ酸ではない ・リジン: 塩基性アミノ酸、ピペリジン骨格に関与
天然物の基本骨格の形成に用いられる生合成単位(基本となる8種)(その1)天然物の基本骨格の形成に用いられる生合成単位(基本となる8種)(その1) 1) C1 : メチル基として、O、NまれにCに結合しているL-メチオニンのS-メチル基に由来 2) C2 : アセチルCoAに由来することが多い 3) C5 : イソプレン単位(isoprene unit)の生成
天然物の基本骨格の形成に用いられる生合成単位(基本となる8種)(その2)天然物の基本骨格の形成に用いられる生合成単位(基本となる8種)(その2) 4) C6C3: フェニルプロピル単位の生成 5) C6C2N: 6) インドール - C2N:
天然物の基本骨格の形成に用いられる生合成単位(基本となる8種)(その3)天然物の基本骨格の形成に用いられる生合成単位(基本となる8種)(その3) 7) C4N:含窒素異項環であるピロリジン 8) C5N:含窒素異項環であるピペリジン
天然物の基本骨格の形成に用いられる生合成単位(基本となる8種)(その4)天然物の基本骨格の形成に用いられる生合成単位(基本となる8種)(その4) 生合成経路を解析することで天然物の構造に対する理解が深まる。 注意点:基本となる炭素骨格の転移反応により生成するものもある。 イソプレン単位に由来する構造によく見受けられる。 一見しただけでは、判別できないことがある。 podophylotoxin papaverine 2 x C6C3 + 4 x C1 C6C2N + C6C2 + 4 x C1 C6C3
一次代謝と二次代謝との関係 グルコース 芳香族アミノ酸 アルカロイド ケイヒ酸 フェニルプロパノイド リグナン クマリン フラボノイド シキミ酸 ピルビン酸 デオキシキシルロースリン酸 アセチル CoA ポリケチド テルペノイド ステロイド カロテノイド メバロン酸 脂肪族アミノ酸 アルカロイド
アルキル化反応:求核置換反応1 L-メチオニン = C1メチル基単位の供給源 SAM (S – アデノシルメチオニン) O - , N – アルキル化
アルキル化反応:求核置換反応2 L-メチオニン = C1メチル基単位の供給源 C – アルキル化
アルキル化反応:求核置換反応3 DMAPP = C5単位の供給源 O – アルキル化 もしくは SN1型の置換反応が進行するという証拠もある
アルキル化反応:求電子置換反応1 分子間付加 分子内付加・環化
アルキル化反応:求電子置換反応2 カルボカチオンの生成機構 A) 脱離基の消失 B) アルケンへのプロトン付加 C) エポキシドへのプロトン付加と開環 D) SAMによるアルケンのメチル化
アルキル化反応:求電子置換反応3 カルボカチオンの消滅機構 カルボニウムイオン × カルボカチオンまたはカルベニウムイオン A) プロトンの脱離 SP2混成軌道 B) 環化 / プロトンの脱離 これに結合する三つの原子を含め全て同一平面上にある オニウムイオン 中性のヘテロ原子に正電荷を持つ1価のアルキル基(カルボカチオン)が配位することにより、原子価を一つ増やして正に帯電した化学種の総称 C) 求核剤(水)による消滅
Wanger - Meerwein転位 ~より安定なカルボカチオンを与えるか、あるいは環の歪みを開放する場合に起こる ほとんどの天然テルペノイドやステロイドは、生合成過程で骨格転移反応が起こるとすれば、それらの構造がC5イソプレン単位に由来することを合理的に説明できる。多くの例でそのような転位反応の存在が実験的に証明されており、いずれもカルボカチオンが介在する反応機構に合致している。 A) 1, 2 – ヒドリド転位 D) 1, 3 – ヒドリド転位 B) 1, 2 – メチル基転位 E) 協奏的1, 2 – ヒドリド転位及びメチル基転位 C) 1, 2 – アルキル転位
AldolおよびClaisen反応 ~新たな炭素-炭素結合を生成する重要な反応 エノラートアニオンの生成 カルボニルへの求核付加
生体内におけるAldolおよびClaisen反応 チオエステルのエステルに対する優位性 A) エステルよりチオエステルの方がエノラートアニオンを生成しやすい B) チオエステルはエステルよりも優れた脱離基として機能する A + B アルドール及びクライゼン型反応の反応性向上に寄与している
MalonylCoAからAcetoacetylCoAの生成反応 Claisen縮合
逆Claisen反応 ~逆Aldol反応ともに天然物を修飾する反応としてよく見受けられる 代表的な例:脂肪酸のβ酸化
C – N結合の生成(その1) ~主にアルデヒドあるいはケトンとアミンとの間の縮合反応で生成する 代表的な反応:Mannich反応 Schiff塩基の生成 A) 1級アミンの場合 B) 2級アミンの場合 Schiff塩基の加水分解
C – N結合の生成(その2) Mannich反応 互変異性とは? イミン – エナミンの互変異性 互変異性(tautomerism)と呼ばれる反応では、プロトンと二重結合の移動が同時に起こることにより、二つの異性体が相互変換する。 2つのイミン間のアルドール反応
C – N結合の生成(その3) Mannich反応の例 1. インドールアルカロイドの生合成 2. 天然物合成(hemibrevetoxin B)
アミノ基転位反応 (transamination) (その1) ~アミノ酸とケト酸間でのアミノ基交換反応 1) アミノ酸生合成における一般的な窒素原子導入法
アミノ基転位反応 (transamination) (その2) 2) アミノ酸から窒素を除去する一般的な方法
脱炭酸反応(decarboxylation) (その1) ~炭素1原子の損失 アミノ酸を利用する生合成反応の特徴となる反応 天然物生合成における炭素の損失反応 1) 逆aldolあるいは逆claisen反応 2) 脱炭酸反応 Ex)
脱炭酸反応(decarboxylation) (その2) A) アミノ酸 ~PLP依存性の反応
脱炭酸反応(decarboxylation) (その3) B) bケト酸 ~熱力学的に不安定で、6員環遷移状態を経由し脱炭酸する
脱炭酸反応(decarboxylation) (その4-1) C) aケト酸 解糖系
脱炭酸反応(decarboxylation) (その4-2) C) aケト酸
脱炭酸反応(decarboxylation) (その4-3) C) aケト酸
生体内で起こる酸化還元反応(その1) 1) 脱水素酵素(補酵素:NADH – NAD+, NADPH – NADP+, FAD – FADH, FMN – FMNH2) 2) 酸化酵素(peroxidase etc) 3) 酸素添加酵素(mono – oxygenase, dioxygenase etc) 4) アミン酸化酵素(monoamine oxidase, diamineoxidase) 5) Bayer – Villiger酸化 6) フェノール酸化縮合
生体内で起こる酸化還元反応(その2) 1) 脱水素酵素(補酵素:NADH – NAD+, NADPH – NADP+)基質から水素2原子を奪い適当な補酵素へ受け渡す
生体内で起こる酸化還元反応(その3) 1) 脱水素酵素(補酵素: FAD – FADH, FMN – FMNH2 ) これらの酵素はフラボプロテインとして酵素に結合している
生体内で起こる酸化還元反応(その4) 2) 酸化酵素(oxidase) 基質から水素を奪い、分子状酸素あるいは過酸化水素に手渡され水を生成する 二次代謝において重要な反応
生体内で起こる酸化還元反応(その5) 3) 酸素添加酵素(oxygenase) 分子状酸素の酸素原子を基質に直接導入する反応を触媒する ・一原子酸素添加酵素 (mono – oxygenase) ・ 二原子酸素添加酵素 (dioxygenase) 混合機能酸化酵素 代表例: シトクロムP450依存性一原子酸素添加酵素(別名:水酸化酵素hydroxylase) ・その強力な阻害剤である一酸化炭素と結合して450nmに強い吸収帯を示す ・生合成反応のみならず哺乳動物における薬物などの無毒化や代謝に関与している