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小惑星の位置合わせと グリッドの応用. 寺薗 淳也 ( 日本スペースガード協会 BATTeRS プロジェクト / ( 財 ) 日本宇宙フォーラム ). terakin@spaceguard.or.jp jtv@terakin.com. http://www.spaceguard.or.jp/ http://www.terakin.com/. クレーンで吊り下げられて運ばれる 1m 望遠鏡の架台 (2001.12). 宇宙からの脅威を見張る設備が必要 !. 観測施設整備の背景.
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小惑星の位置合わせとグリッドの応用 寺薗 淳也(日本スペースガード協会 BATTeRSプロジェクト/(財)日本宇宙フォーラム) terakin@spaceguard.or.jpjtv@terakin.com http://www.spaceguard.or.jp/http://www.terakin.com/ クレーンで吊り下げられて運ばれる1m望遠鏡の架台(2001.12)
宇宙からの脅威を見張る設備が必要! 観測施設整備の背景 • 近年、「宇宙のゴミ」(スペースデブリ)の数が激増し、人類の宇宙活動に対する脅威となりつつある • また、小惑星の地球への衝突は、人類文明を一瞬にして破壊してしまう、潜在的な可能性を秘めている。 大きさ10cm以上のデブリだけでも9000個以上、もっと小さなデブリは無数に存在していると確かめられている。mmオーダ以下のデブリでも、船外活動中の宇宙飛行士に当たれば、致命的なダメージを与える。 直径10kmの小惑星が衝突すれば、恐竜絶滅時とほぼ同じような事態になり、人類文明は存続の危機に立たされる。
小惑星・デブリ等観測施設の整備 • 平成10年度から6年計画で、岡山県に観測施設を整備。 • 光学設備(望遠鏡)による監視施設(美星スペースガードセンター=BSGC)と、電波(レーダ)による監視施設(上斎原スペースガードセンター=KSGC)の2つの施設を整備。 • 旧科学技術庁の特別電源所在県科学技術振興事業補助金を利用し、(財)日本宇宙フォーラムが施設整備を実行。 • 平成13年度(2001年度)までに光学施設(BSGC)は整備完了し、現在運用段階。また、レーダ施設(=KSGC)については、平成15年度(2003年度)までに整備完了予定。
美星スペースガードセンター • 口径1m、50cm、25cmの3種類の光学望遠鏡により、主に地球近傍小惑星、及び人工衛星やスペースデブリの光学観測を行う。 • 観測は、宇宙開発事業団から(財)日本宇宙フォーラムが委託を受け、NPO法人日本スペースガード協会が実施。 中央のドームが大型観測棟(1m望遠鏡)、奥側のスライドルーフに、50cm望遠鏡と25cm望遠鏡がある。手前はラベンダー畑。右手奥は町立美星天文台。
1m望遠鏡 • 小惑星やデブリ観測の主力となる望遠鏡。 • カメラには10個のCCDがモザイク上に配列され、視野角3°という広い範囲を同時に撮像することが可能。
1m望遠鏡 左…据えつけが完了した1m望遠鏡(2001.12) 下…CCDカメラを取りつけた1m望遠鏡(2002.2)
CCDカメラ 2000×4000ピクセルの領域を持つ高感度CCDを10枚使用。
50cm望遠鏡 ↑1m望遠鏡用ドームと50cm望遠鏡50cm望遠鏡及びCCDカメラ→
これまでの状況 • 2001年4月より、50cm望遠鏡、及び25cm望遠鏡によるテスト観測を開始。2000年10月には、BSGC初の地球近傍小惑星発見(2000UV13)。 • 2001年11月に新たな彗星を発見。現在、BATTERS彗星(C/2001W2)として登録。 • 2001年12月に1m望遠鏡の設置完了。 • 2002年1~2月にかけてCCDカメラを設置。現在テスト観測中。 • 100以上の新小惑星を発見。フォローアップ観測も実施。 • MUSES-C計画の候補天体である、1998SF36の光度曲線観測を実施(2001.2) • 現在、6名の観測者が常駐し、観測を行う。 BATTERS彗星発見時の画像→
BSGCのデータ処理 データ公開のポリシー • 内部ユーザは、観測データへのフルアクセスが可能。観測直後のデータなどについてもアクセスすることができる。 • 一般の人を含め、その他のユーザについては、データ発生後2週間で公開を行う。(この2週間というタイミングは、他の科学データに比べても非常に早い) データの流れ • データ量が非常に多い。1m望遠鏡の稼働時に出力されるデータ量は一晩で数十GBにも及ぶ。 • データはまず、BSGC内のサーバに蓄積される。必要な解析をローカルに行うか、画像をそれぞれの機関にダウンロードしてそこで解析する。 • 美星町が所有する光ファイバー網から岡山ギガビットネットワーク(TAO)を経由し、倉敷芸術科学大学を通じインターネットに接続。(最大622Mbps) • 約3TBのネットワークディスクをセンター内に用意。現在、データベースシステムの整備中。
データアーカイブ検索システム • 観測場所や観測対象など、いろいろなパラメータでデータの絞り込みが可能。 • データを分割して、あるいは全体でダウンロードすることができる。 • 複数データの一括ダウンロードが可能。 • データは(自動的に)圧縮されてダウンロードされる。 インターネット経由でデータの検索、ダウンロードなどができるシステムを現在構築中。このシステムの特徴は次の通り。 美星スペースガードセンターのデータアーカイブシステムトップページ
教育プロジェクト • BSGCで得られた観測データを利用した「国際小惑星監視プロジェクト」を実施した(2000年12月~2001年3月) • このプロジェクトは、主に中学・高校生を対象とした教育用のアウトリーチプログラムだが、プログラムは一般の人々にも配布された。これを利用して、一般の人も多数応募し、一緒に小惑星探しを行った。 • このプロジェクトを実施するため、小惑星発見用のソフトウェア「アステロイドキャッチャーB-612」を新たに開発した。このプログラム自体は、当時のBSGCのネットワーク回線が非常に細かったことを考慮してCD-ROM形態で配布された。
本格稼働への準備 データ様式の検討(FITSヘッダ) • 現在は、小惑星の判定については、観測者がパソコン画面上でのブリンキングによって判別している。 • しかし、1m望遠鏡が本格的に稼働したら、データ量からみてとても間に合うものではない。 • そのため、ブリンキングを自動的に行い、小惑星を自動発見するためのソフトウェアを開発中。 • 観測データは、天文分野で一般的なFITSというフォーマットで出力されるが、このヘッダの仕様を決めることが、観測データの迅速な流通には不可欠。 • FITSヘッダの様式などについて、望遠鏡の仕様なども考慮しながら検討中。 小惑星の自動判定
小惑星の同定処理 同定方法については現在検討を進めているところであるが、大体の処理の流れは以下の通り。 CCDから出力されてきたデータを分割 画像補正(Flat field,thermal,biasの各補正) WCSを計算 星像の検出、移動天体ピックアップ
データ処理に必要とされる能力 • これらの同定処理を、リアルタイム、ないしは準リアルタイムで行うとすると、かなりのCPUパワーが必要。 • 少なくとも、所内のネットワークを使ったグリッド処理で、かなり解決できる部分がある? • 汎用性や効率性も考えなければならない。その意味からもグリッド技術を応用するのが最適。 • 大容量のデータを蓄積し、それを送信する技術も必要。 • ネットワーク速度はいくらあっても足りないが、システム内部で限界が来るなら、ネットワークアーキテクチャで克服するしかない。 • グリッド技術を応用して、並列的なデータサーバのアーキテクチャを組めると魅力的。
グリッド技術の応用範囲として • 広い範囲に分散しているディスクを、ネットワーク経由で1つのストレージとしてまとめ上げるような技術。(ネットワーク経由でのLVMのような概念) • 内部ネットワークであれば、ストレージを1つの単位で管理できる。また、ディスクの追加や交換も極めて簡単。 • 外部ネットワークであれば、たとえば、ディスクが余っている組織のディスク領域を(一時的に)借りるなどして、柔軟なディスク構成が組める。 • 並列ネットワークのアーキテクチャ • あえてグリッド技術といわないまでも、現存する技術を組み合わせることによって克服できるか? • 1つのデータを並列で送受信することで、スピードが速くなることは確か。問題はそれをどのように実現するか…。
今後の予定 • システムのさらなる整備1m望遠鏡からのデータが出はじめるのに合わせて、システムのチューンアップ、総合性能の向上を行う。 • 小惑星同定アルゴリズムの検討、実装プログラム作り、テスト、そして実運用へ。 • 定常運用体制へテスト観測から、定常的な観測へ。小惑星検出やデータ整理など、定常作業をできる限り自動化し、観測に集中できる態勢を整える。 • 他プロジェクトとの連携フォローアップ観測などを通じた連携を。