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日本認知科学会 第 24 回大会 ワークショップ W2-3 思考と言語獲得における対称性. 話題提供 : 服部 雅史(立命館大) 中野 昌宏(大分大) 篠原 修二 (アドバンストアルゴリズム&システムズ) 岡田 浩之(玉川大)・今井 むつみ(慶應大) 山崎 由美子(理化学研究所) 企画責任 : 服部 雅史・篠原 修二. 話題. JCSS 2007. 2007/9/5. 進行. はじめに( 5 分) 話題提供( 15 分 × 5 人+ α ) 服部 中野 篠原 岡田・今井 山崎 相互コメント( 2 分 × 5 人+ α )
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日本認知科学会 第24回大会 ワークショップ W2-3思考と言語獲得における対称性 話題提供: 服部 雅史(立命館大) 中野 昌宏(大分大) 篠原 修二(アドバンストアルゴリズム&システムズ) 岡田 浩之(玉川大)・今井 むつみ(慶應大) 山崎 由美子(理化学研究所) 企画責任: 服部 雅史・篠原 修二 JCSS 2007
話題 JCSS 2007 2007/9/5
進行 はじめに(5分) 話題提供(15分×5人+α) • 服部 • 中野 • 篠原 • 岡田・今井 • 山崎 相互コメント(2分×5人+α) • 服部,中野,篠原,岡田・今井,山崎 総合討議(20分) JCSS 2007 2007/9/5
対称性とは 訓練 ? バナナ リンゴ リンゴ JCSS 2007
刺激等価性(e.g., Sidman & Tailby, 1982) 反射性 訓練 逆推移性 推移性 対称性 訓練 【ringo】 「リンゴ」 反射性 反射性 対称性 (音声) (文字) JCSS 2007 友永(1990)を改変
対称性の合理性と非合理性 甘い 赤い まるい JCSS 2007
等確率性仮定:推論と判断における対称性 立命館大学 文学部服部 雅史 JCSS 2007
等確率性仮説(Hattori, 2002) 「もし pならば q」 論理的含意関係 確率的双条件関係 q q p p JCSS 2007
定言的三段論法 • 不周延中名辞(undistributed middle term) • 馬鹿は詩人である • 彼は詩人である • ゆえに彼は馬鹿である • 変換仮説(Chapman & Chapman, 1959) E. A. ポー 「盗まれた手紙」より × ○ ○ × JCSS 2007
誘導推論(invited inference)(Geis & Zwicky, 1971) • 条件完備(conditional perfection) • 「p→ q」 ⇒ 「¬p→ ¬q」 • 予測,約束,脅し,法的陳述,命令,反実条件文,… • 例 • 「もしジョンが窓からもっと乗り出したら,彼は落ちる」 • 乗り出さなければ落ちない • 「芝を刈ったら,君に5ドルあげる」 • 刈らなければ5ドルあげない JCSS 2007
2×2分割表による共変動情報 セル頻度 (a, b, c, d) 帰納される因果関係の強度 関係 JCSS 2007
二要因ヒューリスティック(DFH)モデル(Hattori, 2003; Hattori & Oaksford, in press) 共変動情報に基づく因果帰納の記述モデル データに非常によくフィット • 8つの実験データを用いて,41個のモデルを比較 稀少性仮定 (Oaksford & Chater, 1994) の成立する環境において, • 四分点相関係数 fを近似 • fを求めるより効率的← セルd を無視 JCSS 2007
共変動に基づく因果帰納の実験(Hattori, 2003) 実験参加者: 50名の大学生 刺激 JCSS 2007
実験結果(Hattori, 2003) Hは因果評定値と強い線形関係 DP は因果評定値と無関係
因果帰納とは何か 観察事例から2事象間の因果関係の強さを判断 標本の共変動情報から母集団の特性を推定 標本のHから母集団のf を推定 母集団 f 標本抽出 推定 H C E b a c d JCSS 2007
標本Hによる母集団fの推定精度 JCSS 2007
Wason (1966) 選択課題 Peter Wason(1924-2003) 規則:「片面が母音ならば、別の面は偶数」 p q A K 4 7 p ¬p q ¬q JCSS 2007
Wason 選択課題の実験結果(Wason & Johnson-Laird, 1970) Correct JCSS 2007
最適データ選択モデル(Hattori, 2002; Oaksford & Chater, 1994; 2003) 仮説: 「もし pならば q」対立仮説: 「pと qは独立」 期待獲得情報量がカード選択率を決める • 仮説の正しさに関して,裏返すことによる獲得情報量の期待値が大きいカードほど選択されやすい • 期待獲得情報量は P(p), P(q) の関数 • カード選択率から P(p), P(q) を推定可能 JCSS 2007
過去の実験の P(p), P(q) 推定値 JCSS 2007
等確率性と稀少性 Wason選択課題 因果帰納 JCSS 2007
乳ガン問題(Eddy, 1982; Gigerenzer et al, 1995) 乳ガン検査に参加した女性が乳ガンである確率は 1 % です. 乳ガンに罹っているとき,検査で陽性になる確率は 80 % です. 乳ガンでなくても 9.6 % の確率で陽性になります. ある女性の検査結果が陽性のとき,本当に乳ガンである確率はどれくらいでしょうか. 正解: 7.8 % JCSS 2007
基準率課題の構造 検査で陽性となった人々 乳ガン 偽陽性 実際は乳ガンでない人々 (99 %) 真陽性 偽陰性 実際に乳ガンである人々 (1 %)
基準率課題の構造(Euler円表現) 陽性 乳ガン JCSS 2007
陽性 陽性 X症候群 X症候群 等確率課題 偏確率課題(統制群)
基準率実験(Hattori & Nishida, in prep) X症候群の感染率は 1 % です. X症候群に感染しているならば,ある特徴的な発熱状態を示す確率は 80 %[8 %]です. X症候群に感染していないならば,このような発熱状態を示す確率は 9.3 %[0.93 %] です. いま,患者が特徴的な発熱状態を示しています. この患者が本当にX症候群である確率は何%でしょうか? % JCSS 2007
実験結果(Hattori & Nishida, in prep) Correct
Alternative Causes Symptom=Effect Disease=Cause JCSS 2007 2007/9/5
実験結果(服部・西田, 2006) 2007/9/5 Correct
対称性と因果性 推論(誤推論)の前提としての「対称性」 • 因果推論(共変動検出)=対称性が成立する事象に対してうまく機能する方法で行われている • 演繹推論や確率判断=対称性を前提としている 対称性の前提としての「因果性」 • 因果関係を検出することの重要性 • 時間の重要性・時間を無視する抽象化の重要性 • カテゴリー学習・命名における因果性の役割 (Opfer & Bullock, 2007) • Perceptual Similarity vs. Relational Similarity JCSS 2007
対称性と思考・言語の関係 関係 前件-後件 原因-結果 ラベル-対象 Advantage 認識論的効用 関連性(因果性)の検出 創造的思考 命名規則獲得 思考 言語 言語 思考 言語 思考 思考 ? 言語 JCSS 2007 2007/9/5
基準率実験(服部・西田, 2006) X症候群の感染率は 1 % です. X症候群に感染しているならば,咳をしている[検査で陽性になる]確率は 80 % です. X症候群に感染していないとしても,咳をしている[検査で陽性になる]確率は 9.6 % です. いま,患者が咳をしています[検査で陽性になりました]. この患者が本当にX症候群である確率は何%でしょうか? % JCSS 2007
確率判断 基準率錯誤 連言錯誤 3囚人問題・モンティホール問題 ゴッホ錯誤 等確率性の関係する問題 演繹 • Wason選択課題 • 条件文の双条件解釈・前件否定と後件肯定の誤謬 帰納 • 因果帰納・共変動検出 • 擬似診断性 • 確証バイアス・正事例検査 JCSS 2007
なぜ等確率性を仮定するのか D H, D H H D 「見逃し」が多い 期待獲得情報量最大 「偽警報」が多い JCSS 2007