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10 ・前期のまとめ. 2011.07.05. 青山 ・文化人類学. アイヌ・琉球 = 沖縄と「ことば」. アイヌのみを集めた小学校でアイヌ語を禁じたこと 知里幸恵 が、文字を持たないアイヌの神謡をローマ字で記録し、日本語の訳を付けて、将来へ残そうとしたこと 沖縄 で、方言札を使って、学校における方言使用を罰したこと 方言 を指標として、沖縄人と日本人を区別し、前者をスパイ扱いしたこと 「しまくとぅば(島言葉)」でのみ語り得る戦争体験があること 「文化」と「ことば」は非常に密接な関係があることは容易にわかるだろう. 医療現場と方言 (1). 「今日はせつい」(広島)
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10・前期のまとめ 2011.07.05.青山・文化人類学
10・前期のまとめ アイヌ・琉球=沖縄と「ことば」 • アイヌのみを集めた小学校でアイヌ語を禁じたこと • 知里幸恵が、文字を持たないアイヌの神謡をローマ字で記録し、日本語の訳を付けて、将来へ残そうとしたこと • 沖縄で、方言札を使って、学校における方言使用を罰したこと • 方言を指標として、沖縄人と日本人を区別し、前者をスパイ扱いしたこと • 「しまくとぅば(島言葉)」でのみ語り得る戦争体験があること • 「文化」と「ことば」は非常に密接な関係があることは容易にわかるだろう
10・前期のまとめ 医療現場と方言(1) • 「今日はせつい」(広島) • (肉体的に衰弱して)元気が出ず苦しい • 「今日はえらい」(愛知) • からだがだるい • 「今日はこわい」(北海道など) • 今日は疲れた • 「胃がきやきやする」(静岡) • 少なくとも気分が余り良くない時の胃の調子の事で、やや胸焼けと痛みを感ずる状態。 • 「腹がキリキリにがる」(広島) • 食中毒か何かで、しびれるような痛みがある
10・前期のまとめ 医療現場と方言(2) • 「右腕のところがおぼったい」(静岡) • 重苦しいような、鈍い痛みがあるような、炎症で腫れている感じ • 「親指がいばる」(広島) • とげなどが刺さったことによるじんじんするような痛みがある • 「目がはしる」(広島) • 薬品か何かが目に入ってしみるような痛みがある • 「目がいづい」(北海道) • まぶたがごろごろするような異物感がある • 「鼻ぎんかになった」(新潟) • 鼻が詰まっている
10・前期のまとめ 医療現場と方言(3) • 「腹がもぎれる」(新潟) • お腹が下っている • 「腹がニゴニゴする」(岐阜) • お腹が下っている • 「うー、腹んせく」(長崎) • うー、お腹がいたい • 「あたまわるいの?」(山口) • 頭が痛いの? • 「けんびきが痛い」(香川~愛媛) • 肩胛骨のあたりが凝って痛い • 「胸は痛くないですか?」「……なんか、やめらぃねぇ」(群馬) • 「胸は痛くないですか」「……なんだか不快感があるね」
10・前期のまとめ 『東北ことば』(1)(中公新書ラクレ44) • [津軽弁]ずんぶ散らがてらな。とろけなが。正月ぐれまとあずましぐ過ごへねんだがして。 • ずいぶん散らかってるね。片づけなさいよ。正月くらいもっと気持ちよく過ごせないのかねえ。 • [遠野弁]えづまで外で遊んでれぁ。夕飯だがらへぁぐえさけあれ。よだがにさられんちょ。 • いつまで外で遊んでいるんだ。夕御飯どきだから早く家に帰りなさい。夜鷹にさらわれるぞ。 • [福島弁]じゅぎばっか降って、やんだぐなんない。もう、はあ、じゅぎかぎやっちゃぐねーぞい。 • 雪ばかり降って嫌になりますね。もう、雪かきはしたくないですよ。
10・前期のまとめ 『東北ことば』(2)(中公新書ラクレ44) • [相馬弁]ほーたぶさ、でろくっついでっど。うだでごど。ふいてけっからちゃっぱ持ってこ。 • 頬に泥がついているよ。嫌ですね。ふいてあげるから手ぬぐいを持ってきなさい。 • [村山弁]ばんちゃどむがさり見にんがんなねえので遊ばんにゃえ。おぐれっど、ごしゃがれる。 • ばあちゃんと結婚式を見に行かなければならないので遊べない。遅れると叱られる。 • [仙台弁]ほたるとっさいぐのいいげんども、かぶだれくわねようにすろよ。 • ホタル捕りに行くのはいいが、川にはまらないよう気をつけなさいよ。
10・前期のまとめ 「近代」と「国民国家」 多様・雑多 均質化・画一化 =「くくり」 多様化 & さらなる画一化
10・前期のまとめ さて、初回の授業内容を覚えてますか? • 「文化人類学は、異文化理解について考えます」「異文化は、決して国ごとにだけあるわけではありません」という話をしました • たとえば、 • 県ごとの文化……方言や食文化などの「秘密のケンミンショー」的な内容も「異文化」だし、 • 学校ごとの文化……大富豪のルールや、じゃんけんのかけ声などの違いも「異文化」だし、 • 家庭ごとの文化……家庭で育つうちに身につける洗濯物のたたみ方や、タオルの使い方のルールの違いも「異文化」 • 最初の時にみなさんの頭に浮かんだ「方言と異文化」のイメージと、先週・今週の講義のあとのイメージは、ずいぶん異なってきているはずです
10・前期のまとめ 「異文化」に関するイメージの深化(1) • おそらく最初のころのイメージは「そういえば日本のなかにもいろんな違いがあるなあ」というシンプルなイメージだったはず • しかしそこから、 • 「広州市場と猫食」の話をして、 • 「自文化中心主義」の話をして、 • 「ヤノマミと精霊」の話をして、 • 「森に還される赤ん坊と人工妊娠中絶」の話をして、 • 「未開人と原始人」の話をして、 • 「原始人からみた人類の普遍性」の話をして、 • 「文化と文明」の話をして、 • 「近代と国民国家」の話をして、 • 「日本とアイヌと琉球」の話をして、 • もう一度「方言」の話に戻ってきた今は?
10・前期のまとめ 「異文化」に関するイメージの深化(2) • ただなんとなく存在しているだけに見えた「方言」の背後には、それを支えるさまざまな歴史やひとびとの暮らしがあり、また「方言」に対してひとびとがさまざまな価値判断を行なってきたし今も行なっている、ということがわかってきたはずです。 • 中村の文化人類学の授業のつくりは、「前回インプレッションペーパー」で辛うじて前後をつなげながらとりとめなく話題が移り変わるように見えて、実はぐるっと一周回ると一段高いところに立てるようにできています • 最初と比べて、いま「方言」について考えられるようになった高み・深みが、前期にみなさんが身につけられた「異文化」に関する考えの高み・深みを示しています。どのくらい自分の考えは変わりましたか?