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東京大学大気海洋研究所 徳 山 英 一

東京大学大気海洋研究所 徳 山 英 一. 地球の進化と生命. なぜ地球に海があるのか いつどのように海ができたのか 生命の誕生 原始大気から酸化的大気へ 全地球凍結 - 過去 100 万年の気候変動. 私達は特異な存在か?. D’oú venons nous? Que sommes nous? Oú allons nous?. Earth: from Apollo 17 (NASA,1972). 地球初期の歴史:地質時代区分. Archean 始生代(太古代). Hadean 冥王代. (Press, Understanding Earth, 2003 ).

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東京大学大気海洋研究所 徳 山 英 一

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Presentation Transcript


  1. 東京大学大気海洋研究所徳 山 英 一

  2. 地球の進化と生命 なぜ地球に海があるのか いつどのように海ができたのか 生命の誕生 原始大気から酸化的大気へ 全地球凍結 -過去100万年の気候変動

  3. 私達は特異な存在か? D’oú venons nous? Que sommes nous? Oú allons nous? Earth: from Apollo 17 (NASA,1972)

  4. 地球初期の歴史:地質時代区分 Archean 始生代(太古代) Hadean 冥王代 (Press, Understanding Earth, 2003)

  5. 地球の歴史46億年 (Press, Understanding Earth, 2003)

  6. 地球最古の証拠:ジルコン • 最古の鉱物粒子 • オーストラリア西部:ジャック・ヒル地域 • ジルコン粒子が礫岩中に発見される • 44億年前(U-Pb年代) • ジルコンZrSiO4 • 風化変質に強い • 花崗岩など火成岩を構成する=地殻形成開始 • 酸素同位対比から液体の水との相互作用=海の存在

  7. 地球の特性 • 「海」の存在 • 生命の存在 • 大気中に多量の酸素が存在 • プレートテクトニクスの存在 • プルームテクトニクスの存在

  8. なぜ地球に      海があるのか

  9. 太陽系と地球型惑星 (NASA)

  10. 海がある理由

  11. 火星:地表浅いところの氷 2001Mars Odyssey (NASA)

  12. 地球上の水の分布 (日本海洋学会編、海と地球環境、1991)

  13. いつどのように     海ができたのか

  14. 地球の歴史46億年 (Press, Understanding Earth, 2003)

  15. 地球初期の歴史:海の誕生 • 微惑星の衝突速度増(地球半径2000km;6370km) • 脱ガスによる原始大気の形成 • 衝突による開放エネルギー大 • 地表の温度上昇(大気による保温もあり) • マグマオーシャンの形成 • 衝突頻度の減少 • 大気の温度下がる=雲ができる • さらに衝突減少して温度低下 • 液体の水が増えて海洋を形成(地球最初の雨?)

  16. 海の存在の証拠:最古の堆積層 • 雨が降り、岩石を浸食して、それが海に運ばれて「堆積」する • 最古の堆積岩 • 38億年前の礫岩 • グリーンランド・イスア地方 枕状溶岩も含まれる(海底噴火=海の存在を示唆) (Mojziss and Mark, 2000) 緑:始生代の岩石

  17. ハワイ島の溶岩流

  18. 枕状溶岩-海底への溶岩の噴出- pillow lava Mid-Atlantic Ridge: FAMOUS area photos taken by submersible dive

  19. ところで、これまで見つかっている地球最古の年齢の岩石・鉱物は?ところで、これまで見つかっている地球最古の年齢の岩石・鉱物は? • 最古の鉱物粒子 • オーストラリア西部:ジャック・ヒル地域 • ジルコン粒子が礫岩中に発見される • 44億年前(U-Pb年代) • ジルコンZrSiO4 • 風化変質に強い • 花崗岩など火成岩を構成する=地殻形成開始 • 酸素同位対比から液体の水との相互作用=海の存在

  20. 生命の誕生

  21. 地球の歴史46億年 (Press, Understanding Earth, 2003)

  22. 生命の誕生と海 • ミラーの実験(1953) • 水素、メタン、アンモニアからアミノ酸を合成 • 実際の原始大気は水素濃度低い • 化学進化による生命起源論 • 単純な有機物から複雑な高分子、タンパク質や核酸の生成、そして細胞膜内でのシステムの形成 • オパーリンは「原始海洋のスープで生命が発生」といったが….

  23. 熱水噴出孔 (JAMSTEC, courtesy of Dr. Takai)

  24. 初期生命を育んだ環境 系統樹の元にあるものは 高温環境を好む 数値は最適生息温度 (山岸明彦1997にもとづく:川上紳一)

  25. 4月15日

  26. 原始大気から酸化的大気へ

  27. 海と大気の進化:stage1 • 大気も海洋も酸素に乏しい • シアノバクテリアによって部分的に酸素濃度が高まった表層もある • 海洋で縞状鉄鉱床(BIF)が形成 • 陸上に赤色砂岩はない 大気(還元的) 海洋表層(還元的) 海洋深層(還元的)

  28. シアノバクテリア

  29. シアノバクテリアは藻類の仲間といわれてきたが,真核生物の他の藻類とはちがって,細胞内に核がない原核生物(バクテリア).バクテリアの仲間といっても,他のバクテリアとちがって葉緑素(クロロフィル)をもち光合成をする. 数十億年前から地球上に生息していたことでも知られている.太古の地球では海洋の浅瀬でこのシアノバクテリアが現在の珊瑚礁のようなコロニーをつくり,大繁殖していた可能性が指摘されている.ストロマトライトとよばれる化石がそれにあたる.シアノバクテリアは光合成によって少しずつ酸素を大気に排出 し,現在の大気を作り上げたと考えられている.

  30. オーストラリア西部 ハメリンプール (高塩分濃度)

  31. 化石として出現する ストロマトライト (カナダ)

  32. (富山科学文化センター) 縞状鉄鉱床 • Banded Iron Formation (BIF) • 鉄分に富む鉱物からなる層と珪酸からできた層の繰り返し • 水に溶けた二価鉄イオンFe2+がシアノバクテリアの光合成で生み出された酸素と結びついて沈殿 • 鉄イオンが海中に溶解するためには無酸素状態(還元的)な海が必要 • 38-19億年前に形成(大規模形成は27億年前頃)

  33. ◎一般には、水にとけた二価鉄がシアノバクテリアの光合成によって生み出された酸素と結びついてできると考える◎一般には、水にとけた二価鉄がシアノバクテリアの光合成によって生み出された酸素と結びついてできると考える   (スペリオル型、大規模に大陸棚(浅い海)で形成) ◎鉄は陸からくるか、海底火山に由来すると考えられる   大陸棚の場合は、火山から遠いので、イオン(酸化鉄にならない)の状態で   運ばれてくる必要がある(運ばれている過程では酸素がない、還元的な海が必要)   大陸棚にきてはじめて酸素があって(ここでは酸素があることが必要)酸化沈殿。   すなわち、だいたい還元的で一部で酸化的という状態が必要 ◎27億年前頃から大規模に大陸棚で形成されるようになるが、それ以前は  小規模にだけ出る(アルゴマ型) ◎一方炭酸塩岩が続成作用により酸化した可能性もある、詳細不明

  34. 海と大気の進化:stage2 • シアノバクテリアの光合成によって大気と海洋表層が酸化的に • 海洋で縞状鉄鉱床(BIF)が形成 • 陸上で赤色砂岩が形成 • 22-19億年前??? 大気(酸化的) 海洋表層(酸化的) 海洋深層(還元的)

  35. 海と大気の進化:stage3 • 大気も海洋も酸化的、現在に至る • 海洋で縞状鉄鉱床(BIF)の形成はない • 陸上で赤色砂岩が形成 大気(酸化的) 海洋表層(酸化的) 海洋深層(酸化的)

  36. 全地球凍結

  37.  地球表面温度(気温)        のコントロール

  38. 黒体放射について 黒体;反射がおこらず表面に入射した太陽の光をすべて一度吸収し、後から惑星赤外線に変えて再放射する性質の天体(地球の場合は太陽光線の約33%を空間に反射している) 物質の温度が高くなると放射エネルギーの量も急激に増加する。 例えば、6000Kの物体では300Kの物体に比較し1億倍である。放射量が最大になる波長は、表面温度が6000Kの星では可視域、300Kの惑星では赤外域、宇宙の背景放射に相当する3Kではマイクロ波の領域である。

  39. 地球の黒体温度;5℃ 反射冷却;-25 ℃ ⇒-20 ℃(この場合は水はすべて氷) しかし、3個以上の原子が結びついた分子が大気に含まれている場合(水、二酸化炭素、メタンガス、亜酸化窒素)、赤外光を吸収    ;温室効果

  40. 地球から飛散していく光の吸収特性 地球から飛散していく光の特性

  41.    極低温地球環境

  42. 地球の安定な気候状態

  43. 地表温度の変化

  44. 地球史における氷河期

  45. 迷子石の分布

  46. ギャレン・ハルバーソン博士とナミビアの迷子石ギャレン・ハルバーソン博士とナミビアの迷子石

  47. 氷河性堆積物

  48. 全地球凍結が引き起こす 生物の進化

  49. 地球の歴史46億年 (Press, Understanding Earth, 2003)

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