890 likes | 3.09k Views
Inflammation 炎症. 定義 炎症は細胞組織傷害に対する生体防 御反応である。 名称 臓器・器官名+炎 , -itis 肝炎、胃炎、腎炎、肺炎、胸膜炎、リンパ節炎等 hepatitis, gastritis, nephritis, peumonitis, pneumonia, pleuritis, lymphadenitis, etc 最終ゴールは原因およびそれにより引き起こされた壊死細胞・組織の除去。 炎症消退後に傷害組織を治癒させるための修復が起こる。. 炎症の原因. 物理的因子 外傷、温熱、寒冷、放射線
E N D
Inflammation 炎症 • 定義 炎症は細胞組織傷害に対する生体防 御反応である。 • 名称 臓器・器官名+炎, -itis • 肝炎、胃炎、腎炎、肺炎、胸膜炎、リンパ節炎等 • hepatitis, gastritis, nephritis, peumonitis, pneumonia, pleuritis, lymphadenitis, etc • 最終ゴールは原因およびそれにより引き起こされた壊死細胞・組織の除去。 • 炎症消退後に傷害組織を治癒させるための修復が起こる。
炎症の原因 • 物理的因子 外傷、温熱、寒冷、放射線 • 化学的因子 単純な化学物質 (酸、アルカリ等) 化合物による毒物 • 感染 細菌、ウイルス、寄生虫等 • 人体にみられる炎症性疾患の多くは微生物の感染による • 免疫反応 過敏性反応
Inflammatory cell 炎症細胞 • Neutrophil 好中球 • lysozomeを含有。 • 異物や細菌等の貪食・消化に働く、又、組織を融解し修復を助ける。 • Eosinophil 好酸球 • アレルゲンとIgEの免疫複合体を貪食し、喘息のmediatorの一種を産生。 • 炎症のchemical mediatorに対し、抑制や分解する働きを有する。 • Coticosteroidの濃度が高まると骨髄から末梢への移行が抑制される。 • 寄生虫感染に際し、好酸球増多症が感作リンパ球由来のケモカイン、虫体由来あるいは虫体抗原を貪食した好中球由来の遊走因子により誘発される。 • 好酸球が産生する因子は寄生虫体の殺菌滅菌に働く。 • Basophil 好塩基球, Mast cell マスト細胞 • 大型の好塩基性色素に染まる顆粒を有し、前者は骨髄由来、後者は組織固着性前駆細胞に由来する。 • I型アレルギーに密接に関連、ヒスタミン等のchemical mediator releaser • Lymphocyte, Plasma cell • 急性炎症の末期や慢性炎症の際に出現 • Natural killer cell • Macrophage • 単球由来の細胞で、貪食能と遊走能を有する組織内単核細胞 • 組織在住性のmacrophage (Kupffer’s cell, 肺胞macrophage等) • dendritic cellや皮膚のLangerhans細胞(貪食能をほとんど示さないが、抗原提示能が強い)
炎症の徴候 • 発赤 細動脈の収縮とそれに続く拡張 • 熱感 血流の増加 • 腫脹 血漿成分の滲出 • 疼痛 組織の伸展やゆがみ 組織破壊 • 機能障害 炎症部位の運動が疼痛により 抑制されたり物理的に組織の 可動性が制限される • 炎症の初期にみられる血管の反応に基因
炎症の際の血液生化学的変化 • Leukocytosis白血球増加 • Neutrophilia 多くの感染症 特に細菌感染 • Eosinophilia 寄生虫感染やアレルギー疾患 • Lymphocytosis ウイルス性疾患 • Monocytosis 肉芽腫性疾患 • 核の左方移動 • 赤血球沈降速度(ESR)の亢進 • 急性期蛋白の増加 • 炎症により活性化されたmacrophageの産生するIL-1, IL-6が肝細胞に作用して生合成が高められる蛋白 • C-reactive protein (CRP):炎症の細胞壊死の程度とほぼ相関 • fibrinogen, glycoprotein, haptoglobin, α1-antitrypsin, α1-anticymotrypsin等
Exudation滲出 • 血管内の蛋白質濃度の高い液体が壁を通過し組織間隙に漏れ出ること。滲出液。(循環障害に由来するものは漏出液) • post-capillary venule (毛細血管後小静脈)から滲出する蛋白質は血漿成分全て認められ、分子量の小さいものほど割合が大きい。albuminの漏出量が最大。続いてgloburin。血管損傷が著しいときは最も大きな分子のfibrinogenが滲出。 • 血管透過性の亢進はimmediate phase (30分以内)とdelayed phase (4-5時間をpeakに1-2日)に分かれる
血管内皮が傷害された場合、 血小板の血管内皮への粘着・ 凝集、続いてフィブリンの 凝集が起こる。
Margination 好中球 単球 リンパ球 の順
により細胞表面に 接着分子が発現
Chemotaxis 走化性 • 血管壁を透過した後の白血球とmacrophageは障害部位に遊走する(migration)。 • 白血球はchemotaxis agentの濃度勾配により誘導される。 • Chemotaxis agentは細胞膜上のreceptorと結合、phospholipase-Cのactivation、Ca2+細胞内流入促進、protein kinese Cのactivation、extending pseudopodを形成し白血球の遊走をうながす。 • 白血球のリソソーム顆粒内の塩基性蛋白質はmacrophageのchemotaxis agentとして作用する。
炎症時の化学的仲介物質 EC,endothelial cell 侵入してきた微生物の細孔のある膜に穴をあける
histamine, vascular endothelial growth factor (VEGF)
Resolution 消退 • 急性炎症の後正常状態に戻る事を意味する。 • 原因となる細菌等の物質の除去。 • 酵素によるfibrinの融解。 • 血管とリンパ管による液体の除去。 • macrophageによる壊死破砕物質の除去。 • 毛細血管は充血を減じ正常に戻る。
炎症の特徴 • Vascular change 血流増加血管拡張・充血 (発赤、熱感) 壁透過性亢進 • Exudation滲出 血管内の蛋白質濃度の高い液体が壁を通 過し組織間隙に漏れ出る(浮腫・腫脹) • Emigration of leukocyte遊出 好中球と単核球が内皮細胞間隙を通り血管内 から周囲組織へ抜け出る Endothelial activation, Margination, Rolling, Adhesion, Transmigration • Chemotaxis走化性 血管壁を通過した後の白血球の動きは chemotaxisによりコントロールされる • Phagocytosis貪食 • Leukocyte-induced tissue injury 組織傷害 (疼痛・機能障害)
原因となる因子 炎症の修復過程で 再生組織の維持に angiogenesis血管新生 は重要な因子である。 Healing治癒 急性炎症の転帰
Organization 器質化 • 急性炎症過程において過剰の滲出物と壊死が存在するとき、滲出物と壊死破片の除去に不適当な局所状態が存在する際に生じる。 • 組織学的には新生毛細血管の成長が滲出物あるいは血栓等の中へ生じ、macrophageの遊走と線維芽細胞の増殖を伴い(granulation tissue肉芽組織)、最終的には線維化を生じる。創傷治癒における変化と同様。 • 肺炎を起こした部位の胸膜の変化は良い例で、血栓に対する局所反応や梗塞に伴う壊死においても用いられる。
慢性炎症の組織学的特徴 • 滲出は弱く、組織細胞の増殖が著明で、増殖炎proliferative inflammationと呼ばれる。 • 滲出炎:急性炎症、 増殖炎:慢性炎症 • 多核白血球の減少、リンパ球、形質細胞、組織球の出現。 • 新生毛細血管の形成 • 血管増殖の初期には血管内皮細胞の樹枝状、管状増殖が起こり続いて血管基底膜の変化が起こる。 • 線維芽細胞の増殖とcollagen線維の産生 • 線維化
Granuloma肉芽腫 • Epitheloid cell(類上皮細胞)、Langhans型巨細胞、リンパ球(特にCD4陽性細胞)が集合し結節性病変を形成したものをgranuloma (肉芽腫)とよぶ。 • 特異性炎の際に認められ、特に結核の典型的な肉芽腫は中央に乾酪壊死が見られる。 • 組織学上、肉芽腫に似るが典型的ではない病変を granulomatous lesion(肉芽腫様病変)と呼ぶ。 • ラングハンス型巨細胞の核は馬蹄形に並び、異物型多核巨細胞の核は細胞質全体に散らばり核の大小不同が見られる事が多い。 • granuloma(肉芽腫)とgranulation(肉芽)とは異なる。 • 機序にIV型アレルギーの関与が考えられている。
肉芽腫性疾患 • 感染症 結核、Hansen病(癩)、非定型好酸菌症、 梅毒、真菌、寄生虫、Toxoplasmosis, ブルセラ症、Sarcoidosis等 • 異物 • 化学物質 ベリリウム • 薬剤 • 原因不明 Crohn病、Wedgner肉芽腫症 • 先天性疾患 chronic granulomatous disease (CGD) 慢性肉芽腫症 • 食細胞lysozomeのある種の酵素の先天的欠損により貪食した細菌等を消化できない。持続して存在する病原体にIV型アレルギーが起こり肉芽腫が好発する。
Morphologic patterns in acute and chronic inflammation • Catarrhal inflammation カタル性炎症(粘膜表面に漿液の滲出 ex. アレルギー性鼻炎) • Exudative inflammation 滲出性炎症 • Serous inflammation 漿液性炎症(滲出液にfibrinogenが含まれない時) • Fibrinous inflammation 線維素性炎症 • Pseudomembranous inflammation 偽膜性炎症 (線維素性滲出物が膜を形成) • ex. Diphteric (Diphteroid) inflammation, Psudomembranous colitis • Suppurative (Purulent) inflammation 化膿性炎症 • Abscess 膿瘍 (組織内部に起こる限局性の化膿性炎症) • Phregmon(e) 峰窩織炎 (膿瘍が非限局性に組織間隙にびまん性に広がった炎症) • Empyema 蓄膿 (粘膜や漿膜で囲まれた腔に膿汁がたまる事) • その他・特殊な化膿炎 • Ulceration 潰瘍、fistula 瘻孔、 • Gangrenous inflammation壊疽性炎(腐敗菌等の二次感染による腐敗分解を起こしたもの) • Hemorrhagic inflammation 出血性炎症 ex.連鎖球菌,腸管出血性大腸菌O157,炭疽菌感染,等 • Granulomatous inflammation 肉芽腫性炎症 • Productive inflammation 増殖性炎症
Healing 治癒過程 • 各臓器や組織においてそれぞれ固有の機能を持つ分化した細胞が創傷部位あるいは組織欠損部位に復旧する現象を再生regenerationという • 治癒過程は、再生と肉芽組織による修復repairとが相まって進行する • 再生現象の主要過程 • 創傷または壊死により生じた組織欠損部への残存細胞の移動 • 欠損部を補充置換するための残存細胞の分裂増殖 • 線維症fibrosisは、創傷治癒、慢性炎症、器質化の終末像である
炎症の治癒及び修復 に関わる成長因子
創傷治癒の合併症 • 拘縮 collagen線維の短縮、肥厚によって起こ るゆがんだ瘢痕組織 • keloid 過剰に産生されたcollagenが太い交叉性 の線維束を形成するために創部が著しく 肥厚する現象 • 過剰肉芽 創縁や創底で肉芽組織が過剰に形成され た状態。正常な治癒の進行が阻害される。