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コミュニケーション工学 B

Communication Systems Engineering B. コミュニケーション工学 B. 2013 年 12/9, 12/14(2 時限分 ) 講義資料. 光ファイバー通信入門. 講義日時と場所 :    第 1 回 12/9( 月 )1 講時、 203 講義室    第 2 回、第 3 回 12/14( 土 ) 4, 5 講時、 207 講義室. 山田 博仁. 講義資料のダウンロード   http://www5a.biglobe.ne.jp/~babe. 講義内容. 1. 講義の目的 : 光ファイバー通信のしくみを理解する 2. 講義内容

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  1. Communication Systems Engineering B コミュニケーション工学B 2013年 12/9, 12/14(2時限分)講義資料 光ファイバー通信入門 講義日時と場所:    第1回 12/9(月)1講時、 203講義室    第2回、第3回 12/14(土)4,5講時、207講義室 山田 博仁 講義資料のダウンロード  http://www5a.biglobe.ne.jp/~babe

  2. 講義内容 1. 講義の目的: 光ファイバー通信のしくみを理解する 2. 講義内容 1回目   ・ インターネットを支える光ネットワークと、適用範囲が広がりつつある光通信   ・ 光通信とは?、光通信の歴史、光通信の特長、光通信の要素デバイス   ・ レーザーとコヒーレント光、何故コヒーレント光が望ましいのか? 2回目   ・ 光ファイバーにおける光伝搬、導波モード、分散、伝送帯域   ・ 光ファイバー伝送における信号波形歪の発生と補償技術   ・ 光変調方式、光伝送方式、デジタルコヒーレント光伝送システム 3回目   ・ 光通信における信号多重化方式   ・ 光ネットワークとフォトニックネットワーク   ・ 光通信の将来展望 3. 成績評価   毎回の講義に関するレポート点の合計 (20点満点) 4. 参考書   末松安晴、伊賀健一共著、光ファイバ通信入門、オーム社   伊藤弘昌 編著、フォトニクス基礎、朝倉書店 5. 質問等 E-mail: yamada@ecei.tohoku.ac.jp、電気系2号館203号室

  3. 本日(12/9)のレポート問題 • 以下について述べよ。(本日の講義後に提出) (6点満点) • スマートフォンなどの携帯情報端末の普及により、今国内のネットワークにどんな問題が起きているのか?定量的に述べよ。 • 電気通信と光ファイバー通信との構成上の違いについて述べよ。 • 光ファイバー通信用の光源としては、発光ダイオード(LED)よりもレーザーを用いる方が望ましい。それは何故か? 3問で、A4レポート用紙1枚程度を目安

  4. 1本の光ファイバーの信号伝送容量は? Question: How much information can be transmitted by a thin piece of optical fiber ? A. 100G bps (1G = 109) B. 10T bps (1T = 1012) C. 1P bps (1P = 1015) D. 1E bps (1E = 1018) 通信用光ファイバー Hint: - FTTH (NTT FLETS・光 Premium, KDDI au光): 1G bps - AppleNext Gen. Thunderbolt: 20G bps

  5. 身近になった光ファイバー通信 AV機器のデジタル入出力ケーブル AV機器のデジタル入出力ケーブルとコネクタ FTTH(Fiber To The Home): フレッツ光(NTT), auひかり(KDDI)などがサービスを 出展: http://premium.nikkeibp.co.jp/ftth/part2/top_f.html 光回線終端装置(左) とルーター(右)

  6. 身近になった光ファイバー通信 マンションなどの集合住宅では、共有部分まで光ファイバーを敷設し、ONUで光から電気信号に変換した後、その先の各住戸までは電話回線を利用するVDSL方式が用いられている NTT東日本 フレッツ光HPより 集合住宅などのVDSL(Very high speed Digital Subscriber Line)方式

  7. 国内におけるブロードバンド契約者数の推移 2012年末のブロードバンド・インターネット回線の契約数は、6,098万契約 そのうちFTTH(光回線加入者)は2,386万契約で、前年比約7%増 FWA(Fixed Wireless Access): 固定無線アクセスまたは加入者系無線アクセスシステム BWA(Broadband Wireless Access): 広帯域移動無線アクセスシステム、WiMAXなど 3.9G(第3.9世代移動通信システム): LTE、UMBなど 出典: H25年度版情報通信白書 ※) VDSLはFTTHの分類に含まれる

  8. 海底光ケーブル網 出展  http://www1.alcatel-lucent.com/submarine/refs/index.htm

  9. 適用範囲が広がりつつある光通信 光通信は今や、サーバーの筺体間データ通信から、パソコンにまで Active Optical Cable(AOC)によるStorage Area Network(SAN) Light Peakによる Universal Bus Interface AOCとサーバーのBackplane SONYVAIO Zに搭載されたLight Peak

  10. ボード間光伝送用パラレル光モジュール スーパーコンピューターのボード間データ通信にも光通信が IBM Power775 スパコンに搭載 10Gbps, 12ch(120Gbps) パラレル光モジュール Avago製 MicroPODTM リボン光ファイバー Power775のシステムボード

  11. LSIチップ内光配線 グローバル電気配線層 光配線層 ローカル配線層 Tr層 マルチコア化の流れ LSIの性能限界が近年顕在化 ・ クロック周波数高速化の限界 - バッファ導入による回路複雑化、               消費電力増大 - クロック高速化によるノイズ問題顕在化 ・ コア間、プロセッサ-メモリ間データ伝送  の高速化限界、多層配線の限界 電気配線の限界 光配線のメリット ・ 高速データ通信 ・ 消費電力の低減 ・ 電磁ノイズの低減 LSIチップの断面 (出展: 米Intel社) 130nm 6層銅配線

  12. 適用分野が広がりつつある光通信 筐体(ラック)間 → ボード間 → チップ間 → チップ内(素子間) Active optical cable (AOC) 100mまで Infiniband DDR(20Gbps)AWG24 20mまで Light Peak 出典: C. Gunn, “CMOS Photonics™ Technology Enabling Optical Interconnects” Luxtera, Inc.

  13. 国内のネットワーク トラフィックの推移 国内のインターネット ダウンロード トラフィックの総量は、2012年末で1.9Tbps 現在もなお、年率40%で増加 出典: H25年度版情報通信白書

  14. ネットワーク機器の電力消費の予測 国内のインターネット トラフィックは年率40%で増加 ネットワーク機器の消費電力もそれに伴い増加すると仮定すると、2020年頃には、2007年の年間総発電量を超える見通し http://www.aist-victories.org/jp/about/outline.html

  15. 通信とは Alice Bob 情報の搬送媒体 情報の送り手 情報の受け手 搬送媒体を送る 情報を搬送媒体に載せる 搬送媒体から情報を取り出す 搬送媒体 送る手段 手紙を書く 便箋、はがき 郵便システム 手紙を読む マイクロフォン 電流、電波 電話 イヤフォン、スピーカ 情報を送り手から受け手に伝えること

  16. 各種波動を用いる通信方式 情報搬送媒体 (carrier) 導波機構の有無 通信方式 用途 音波 伝声管 船内、潜水艦内通信 糸電話 教材 機械振動 有線 電流(電磁波) 電気通信 電話、インターフォン 光(電磁波) 光ファイバー通信 FTTH デジタルAV機器 (導波機構有) 海底光ケーブル 音波 会話 携帯電話 航空・船舶無線 電波(電磁波) 無線通信 アマチュア無線 衛星通信 無線 狼煙 腕木通信 手旗信号 光(電磁波) 光通信 衛星間光通信 (導波機構無、 自由空間伝搬) 重力波 重力波通信 腕木通信塔

  17. 自由空間伝搬による光通信 http://www.icsa.gr.jp/system/index_03.htm ビル間光通信 レーザ光通信システム (Canon) 大学キャンパス内 衛星間光通信 実験衛星「きらり」による衛星間光通信実験に成功 (H18年3月) NICT 小金井本部の光地上局

  18. 衛星間光通信 ガウスビーム波 強度分布 w0:ビームウエストサイズ r ガウスビーム波の広がり角 λ:光の波長 2w0 2Δθ Ex.) 波長1μmのレーザー光を、直径1mのビームにして月に送った    場合、月面でのビーム径はどのくらいになるか?    ただし、月までの距離は約38万kmである 答 直径約 240m

  19. 電気通信のしくみ 搬送波: 情報搬送の担い手 電気信号 搬送波を作る 搬送波に情報を載せる 搬送波から情報を取り出す 伝送路 発振器 変調 復調 電線 同軸ケーブル 情報の受け手 情報の送り手

  20. 光ファイバー通信の構成 xxxx 電気信号 光デバイス 光信号 xxxx 電子デバイス /回路 伝送路 LN変調器 EA変調器 フォトダイオード(PD) APD 搬送波は光 光源 光変調 光検出器 復調 電子回路 光ファイバー レーザー LED、電球 情報の送り手 情報の受け手

  21. 電磁波の波長 光ファイバー通信には、波長 1μm前後の近赤外域を使用 可視光域

  22. 光ファイバー通信の特長 1.広帯域 (高速、大容量通信が可能) 1本の石英光ファイバーで、1Pbps(Pbpsは1015bit/secのこと)以上の    高速伝送が可能。最近、1.01Pbpsの光伝送に成功 (NTT, Fujikura,    北大, デンマーク工科大の共同)    参考) 同軸ケーブルの帯域:最大でも10GHz程度 2.長距離伝送が可能    中継間隔     同軸ケーブル:数km ~ 10km     光ファイバー:2,000km以上の無中継伝送も可能 3.漏話が少ない、電磁誘導の影響を受けない    光ファイバーは非導電性であるため、外部からの電磁誘導ノイズ    の影響を受けない。また、光ファイバー自体からの電磁波の放射も    無いので、近接光ファイバー間の信号干渉が少ない。 4.多重化が容易    光ファイバーが細く軽量のため、多芯化、長尺化が可能

  23. 光ファイバー通信の歴史 年 代 人または機関 事  項 1930年代 Lamb(独)、関(日本) 石英ファイバー(ロッド)による光伝送 Townes(米), Schawlow (米), Basov(ソ)ら 1955年 光メーザーの着想 1957年 渡辺, 西澤(東北大) 半導体による超短波増幅・発振のアイデア 1960年 Maiman(米), Javan(米) ルビーレーザ, He-Neの発振 1962年 IBM, GE, MIT(米) 半導体レーザの発振 1966年 Kao, Hockham(英) 低損失シリカ光ファイバーの可能性示唆 1968年 川上,西澤(東北大) Graded-index型光ファイバーの発明 林, Panishら(米) 1970年 AlGaAs半導体レーザ室温連続発振 NEC, 電電公社, 日立, 三菱(日), Bell研(米), STL(英) 1970年代 半導体レーザの長寿命化、発振安定化 1976~79年 電電公社, 藤倉電線(日) シリカ光ファイバー伝送損失が0.2dB/kmに 1980年代 NEC, 富士通, 日立, 東工大他 通信用半導体レーザの開発と高性能化 1990年代 Southampton大(英), NTT(日) 光ファイバー増幅器の発明と実用化

  24. 光ファイバー通信の要素デバイス デバイス 役 割 イメージ 光ファイバー 光信号を導く伝送路 搬送波としてのコヒーレントな光を発生させる。さらに、搬送波に情報を載せるための光変調も可能 半導体レーザー 搬送波に載っている情報を電気信号として取り出す 光検出器(PD, APD) 伝送中に減衰などで弱くなった光信号を光のまま増幅する 光増幅器 光合分波器 光スイッチなど 光信号を分配したり、光の経路を切り換えたりするもの

  25. 光ファイバー 通信用シリカ光ファイバー  伝搬損失 < 0.2dB/km@λ=1.55 μm 光ファイバーの伝送損失 光ファイバー低損失化の歴史 住友電工http://www.sei.co.jp/news/press/02/prs221_s.html

  26. 光ファイバーの構造 ナイロン繊維で被覆 1本 石英ガラス or プラスチック シリコン樹脂で被覆 コア クラッド 光ファイバー素線 光ファイバー 光ファイバー芯線 3000心光ケーブル クラッド コア n1>n2 n2 n1 光ファイバー 屈折率分布

  27. 光の強度 光の強度 光の電界 光の電界 t t f又は λ f又は λ コヒーレント光 インコヒーレント光 (コヒーレントでない) レーザーとコヒーレント光 光搬送波になるべく多くの情報を乗せるためには、コヒーレントな光が望ましい コヒーレントとは、波の位相が揃った状態。高スペクトル純度、良好な収束性を有する 空間的コヒーレンス 時間的コヒーレンス 自然界に存在する光は全てインコヒーレント光  例: 太陽光、炎から出る光、蛍の光、白熱電球、蛍光灯、LED コヒーレントな光を人工的に発生させる装置がレーザー

  28. 何故コヒーレント光が望ましいのか 1896年マルコーニ(Marconi)は、ヘルツの電磁波発生器にアンテナとアースを付けて2.5kmの無線電信に成功 出展: http://www.geocities.jp/hiroyuki0620785/intercomp/wireless/transatrananticexp.htm 軍艦三笠に搭載の三六式無線電信機は、明治36年(1903)旧制二高の木村駿吉教授が開発。送信機は火花放電、受信機はコヒラー検波器を使ってコイル駆動で記録紙に出力するもので、80海里(約150km)以上の通信到達距離を達成 出展: http://blog.zaq.ne.jp/rootakashi/article/163/ インコヒーレントな電磁波を用いた初期の通信 電磁ノイズによる通信 1887年ヘルツは誘導コイルによる火花放電式電磁波発生器を発明 1905年日本海海戦において、ロシア・バルチック艦隊の発見が「敵艦見ユ」と無線電信で通報され、日露戦争の勝利を導く糸口となった その後真空管が発明されて、コヒーレントで強力な電磁波が発生できるようになり、通信距離が比較的に延びることとなる

  29. 何故コヒーレント光が望ましいのか コヒーレントな電磁波を用いる利点 コヒーレントな電磁波はスペクトル純度が高い(つまり、単一周波数)ので、受信機において、周波数同調(選択)を行い、狭帯域に高利得の信号増幅を行うことにより、微弱な信号でも受信できる。(長距離伝送が可能) スペクトル純度が高い(単一周波数)ので、狭帯域の指向性アンテナなどを用いることができ、特定の方向にのみ強く信号を送ることができる。つまり、伝送の指向性が高い。(長距離伝送が可能) スペクトル純度が高く搬送波の位相が揃っている(位相雑音が少ない)ので、より速い速度での変調が可能。また、位相や周波数を変調することも可能となり、高い伝送レートでの信号伝送が可能。(送れる情報量が多い) スペクトル純度が高く、占有スペクトル幅が不必要に広がらないので、同一周波数帯を多くのチャンネルで共用できる。(周波数利用効率が高い) このように、コヒーレントな電磁波を用いる通信は、インコヒーレントな電磁波を用いる場合に比べて多くの利点を有している。従って、白熱電球やLEDのようなインコヒーレント光を用いるよりも、レーザーのようにコヒーレント光を用いる方が望ましい。

  30. レーザー 正帰還回路 光の正帰還回路 光増幅媒体 Amp. + 鏡 電気の発振器 レーザー 物質(原子系)と光との相互作用 以下の3つの課程が同時に起きている 電子など E2 減衰 増幅 発光 入射光 出射光 入射光 出射光 E1 二準位系 (原子など) 光の吸収 誘導放出 自然放出 レーザーとは、光の発振器 光増幅媒体とはどのようなものか?

  31. 熱平衡状態 Maxwell-Boltzmann分布 E k:ボルツマン定数 T: 媒質の温度 n2:励起状態の原子数 E2 誘導放出 E1 吸収 吸収 吸収 P(E) 熱平衡状態では、励起準位の原子数は基底準位の原子数よりも少ない n1>n2 n1:基底状態の原子数 A: アインシュタインのA係数 自然放出の起きる確率 = An2 B: アインシュタインのB係数 吸収の起きる確率 = Bn1 I 誘導放出の起きる確率 = Bn2 I I: 入射光の強度 正味では減衰 Bn1I > Bn2I 熱平衡状態では、吸収の確率 > 誘導放出の確率となり、入射光は減衰して出てくる

  32. 反転分布 反転分布 Tが負(負温度状態) E n2:励起状態の原子数 E2 誘導放出 誘導放出 E1 吸収 誘導放出 P(E) 励起準位の原子数が基底準位の原子数よりも多い状態を反転分布という n1:基底状態の原子数 n1<n2 正味では増幅 Bn1I < Bn2I 反転分布では、誘導放出の確率 > 吸収の確率となり、入射光は増幅されて出てくる レーザーとは、何らかの方法で反転分布を作り出し、放射の誘導放出(Stimulated emission)を用いて光を増幅する装置

  33. 電子 へき開面(鏡面) ホール n型 p型 半導体レーザー 半導体レーザー (Laser Diode: LD) 光を増幅する媒体が半導体からなり、 pn接合への電流注入により、電子の反転分布状態を作り出せる 特徴: ・ コンパクト (チップ本体は0.3mm角程度)     ・ 取り扱い容易 (乾電池2本程度で動作可能)     ・ 直接変調で数Gbpsの高速変調が可能     ・ 高信頼性 (通信用のInGaAsPレーザは100万時間以上の寿命に)     ・ 安価 (FTTH用LDはチップコストで数百円、CD用LDは数十円に) チップの構造 出展: www.phlab.ecl.ntt.co.jp/master/04_module/002.html

  34. 半導体レーザの発振特性 へき開面(鏡面) Fabry-Perot (FP)共振器レーザー 2枚の平行に向き合った鏡によるFP型光共振器によって正帰還が得られ発振するレーザー 縦多モード発振 発振波長間隔 Δλ l λ0 : 発振波長の中心値 neff : 実効屈折率 L : 素子長 λ0 発振スペクトル FPレーザーの構造 分布帰還(DFB)型レーザー 回折格子 回折格子によるBragg反射により、光の分布帰還が得られ、 Bragg波長近傍の単一波長で発振 発振波長 単一縦モード発振 Λ : 回折格子の周期 neff : 実効屈折率 l DFBレーザーの構造 発振スペクトル 出展: www.matsuoka-lab.imr.tohoku.ac.jp/purposes.html

  35. 光変調 光変調器 半導体レーザの直接変調 電界吸収(EA)型光変調器 化合物半導体などのpn接合に逆バイアスを印加すると、印加電界によって光吸収特性が変化し、これを利用して光の強度変調を行うもの 光信号 光出力 40GbpsEA変調器(沖電気) LiNbO3 (LN)によるMZI型光変調器 LNは、電圧を印加すると屈折率が変化する電気光学(E-O)効果を有している。 LNによる光導波路によってMach-Zehnder(MZ)型 電流 の光干渉計を構成し、屈折率変化による光の位相変化を強度変化に変換して光変調を行うもの 変調信号(電気) 半導体レーザの電流-光出力(I-L)特性 LiNbO3(LN)光変調器 (住友大阪セメント)

  36. p+ 光 光電流 電子 電極 i ホール p+ i n+ n+ 電極 光検出器 PINフォトダイオード(PIN-PD) 逆バイアスされたpn接合に光が照射されると強度に比例した光電流が取り出せる 光 逆バイアス状態の半導体pin接合 アバランシェ フォトダイオード(APD) 基本的にはPINフォトダイオードと同じであるが、アバランシェ効果により、光電流を増倍するしくみを有している (高感度)

  37. 無反射加工 無反射加工 半導体レーザーチップ Er添加光ファイバー増幅器 コアに、エルビウム(Er3+)などの希土類を添加 波長980nmなどの光で励起すると 波長1.54 μm付近に光増幅利得発生 Er3+の準位 光増幅器の構成 ラマン増幅器 光ファイバに非常に強い励起光を入射すると、石英ガラスの分子振動エネルギーに対応して、励起光波長より100 nm程度長い波長域に光利得が得られる 光増幅器 半導体光増幅器 半導体レーザーの両端面に無反射膜を形成するなどして、光共振器をなくしたもの (光の正帰還がかからなくなるのでレーザー発振はしない) 光ファイバー増幅器

  38. クラッド コア 0.5 mm 0.5 mm Si 基板 50 mm l1 l2 lN 光合分波器 光を波長によって分ける (分光器あるいは分波器)/異なる波長の光を束ねる(合波器) Arrayed Waveguide Grating この一本一本がこのような光導波路からなる 石英光導波路 スラブ導波路 Arrayed Waveguide Grating (AWG) AWGの動作原理

  39. 光スイッチ 電気制御-光スイッチ (光の経路を切り換えるが、ON-OFFの制御は電気で行う) スイッチング機構 特 徴 出力ファイバー メカニカル (MEMS) Port1 mSオーダーの遅い切換え速度 安価 Port2 入力ファイバー 入力1 出力1 mS~mSオーダーの切換え速度比較的安価 熱光学(T-O)効果 ヒーター 入力2 出力2 + nSオーダーの高速切換え高価 - 電気光学(E-O)効果 電界印加 その他に、磁気光学(M-O)型、音響光学(A-O)型などもある 光制御-光スイッチ (光-光スイッチ or All光スイッチ) ON-OFF制御も光でやる 現在研究開発中 将来の全光信号処理システムに使われるかも?

  40. 光導波路の構造 n1> n2 n2 n1 屈折率分布 コア クラッド スラブ導波路 コア クラッド n1> n2 n2 n1 光ファイバー 屈折率分布

  41. 光導波路が光を導くメカニズム n1< n2の場合 n1> n2の場合 入射波 反射波 入射波 反射波 φ1 φ1 φ1 φ1 全反射 n1 n1 qc n2 n2 Snellの法則 φ2 j2 屈折波 屈折波 臨界角 n2 放射モード 全反射 全反射 qc n1 全反射 n2 n1> n2 2θmax 光が伝搬可能な入射角度の範囲 開口数:NA= sin(θmax)

  42. 全反射角 コアとクラッド界面での全反射角θcは、前スライドの臨界角より で与えられるが、 ここで、        と置いたが、Δは比屈折率差と呼ばれている 従って、n1と n2との差が小さい時、全反射角 θcは以下の式で与えられる さらに、導波路が受け入れることのできる受光角(2θmax)は、 また特に、 を開口数(Numerical Aperture)という

  43. 導波路内での光伝搬 光が伝搬方向に伝わる速度は、 であり、vgを群速度(Group Velocity)という (cは光速度) クラッドへの光の浸み出し ϕ: Goos-Hänchen Shift n2 ϕ ϕ a k0n1 k0n1sinθ n1 コア θ -a k0n1cosθ n2 n1> n2 ϕ 真空中での波数: k0=2π/λ(λ:波長)、媒質中での波数(伝搬定数)は k0n1 光の伝搬方向の伝搬定数成分 βは、 β = k0n1cosθ 光の伝搬と垂直方向の伝搬定数成分 (k0n1sinθ)に対して、以下の式が成り立つ時、光伝搬と垂直方向に定在波ができる N: モード番号 (0, 1, 2 ‥‥)

  44. 導波モードと定在波 E N = 0 Δϕ = 0 E N = 1 2π E N = 2 4π モード番号N は、横方向の強度分布における節の数を表す

  45. 入射角度 光伝搬と垂直方向での定在波条件の式 で、 Goos-Hänchen Shiftの値 ϕNは一般的には入射角度 θNの関数になるが、 θNが全反射角 θcよりも十分に小さい場合には、      と近似できる。 従って、モード番号 Nに対する入射角度 θNは、 モード番号がある値よりも大きくなると、全反射条件が満たされなくなり、伝搬できなくなる。つまり、伝搬可能なモードは、以下の条件を満たす。 従って、導波路内を伝搬可能なモード番号の最大値 Nmaxが存在し、以下の条件を満たす。

  46. モードの数 導波路内を伝搬可能なモード番号の最大値 Nmaxは以下の式で与えられる。 ここで Vは、Vパラメータ或いは規格化周波数と呼ばれている Nmaxよりも大きなモード番号のモードは伝搬できないので、カットオフにあると言う N=3 カットオフ領域 (放射モード) N=2 群速度 ω/c (k0) 1/n2 曲線の傾きはvg/cで 、群速度に対応 N=1 1/n1 モードによって群速度の値は異なる N=0 β 単一モード条件: V < π /2 導波路の分散関係

  47. 光ファイバーにおける導波モード n2 2a n1 Step Index型多モード光ファイバー Vパラメータ 導波モードの数 V≦2.4 単一モード条件 ファイバー内の基本モード(HE11)パターン 出典: 末松安晴、伊賀健一共著、光ファイバ通信入門、オーム社

  48. 光ファイバーの種類 モード数 屈折率分布 材 料 特 徴、用 途 コア: 屈折率n1 光ファイバー通信網に幅広く使用 (海底、幹線、メトロ、加入者系) 様々な光部品(光スイッチ、光合分波器、光増幅器など)に加工されて使用 5~10μm コア: 石英ガラス クラッド: 石英ガラス 単一モード n2 Step Index型 コア: 屈折率n1 短距離の光伝送、光インターコネクション(コンピュータ、ストレージ筐体間データ通信)、接続容易 コア: 石英ガラス クラッド: 石英ガラス 約50μm コア: プラスチック クラッド: プラスチック 接続や取り扱いが容易なので、AV機器用データ通信に利用 n2 Step Index型 多モード コア径約50μm 一部の光ファイバー通信網で使用 (接続が容易なので主にLAN用) 比較的高価 屈折率分布 コア: 石英ガラス クラッド: 石英ガラス Graded Index型

  49. 光ファイバーの分散 多モード光ファイバーにおける分散 モード分散 (Mode Dispersion) 伝搬モードによって群速度 vgが異なる モード3: vg3 モード2: vg2 モード1: vg1 vg1 > vg2 > vg3 モード1を伝搬してきた光パルス モード2 入射光パルスは複数のモードに分配されて伝搬していく モード3 伝搬モードによって群速度が異なるため、光パルスの出射時刻が異なる 光パルスの幅が広がるため、符号間干渉が起こり、符号識別誤りが起こる

  50. 光ファイバーの分散 単一モード光ファイバーにも存在する分散 波長分散 Chromatic Dispersion 石英ガラスの材料分散  母材の石英ガラスの屈折率が波長に依存 導波路の構造分散  導波路の伝搬定数が波長に依存 l1: vg1 l2: vg2 l3: vg3 vg1 < vg2 < vg3 入射光パルスが多波長成分を有すると 波長によって群速度が異なるため、出射光パルスの時間幅が広がる 偏波モード分散 Polarization Mode Dispersion ファイバーにねじれなどがあると、直交する2つの偏波モードの縮退が解け、 2つのモード間で群速度に違いが生じるようになる

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