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2004/10/30 アジア政経学会 2004年度全国大会. タイ主要企業の上場行動と証券市場 -ビジネス・グループ、外資系企業と公開企業化- 三重野文晴 (神戸大学) 郡司大志 (日本学術振興会). 1.問題の背景. 1.アジア金融危機と直接金融市場をめぐる議論 (1)負債ファイナンス偏重への批判 Classens et al.(1998) 、 World Bank(1998) (2)所有経営構造の改革による経営パフォーマンスの改善 (3)少数株主(投資家)保護による株式ファイナンスの活性化
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2004/10/30アジア政経学会 2004年度全国大会2004/10/30アジア政経学会 2004年度全国大会 タイ主要企業の上場行動と証券市場-ビジネス・グループ、外資系企業と公開企業化- 三重野文晴 (神戸大学) 郡司大志 (日本学術振興会)
1.問題の背景 • 1.アジア金融危機と直接金融市場をめぐる議論 (1)負債ファイナンス偏重への批判Classens et al.(1998)、World Bank(1998) • (2)所有経営構造の改革による経営パフォーマンスの改善 • (3)少数株主(投資家)保護による株式ファイナンスの活性化 • La Porta et al.(1997,98)、Simon et al. (2000) • Classens et al.(1999) - ピラミッド型所有構造とコントロール権、キャッシュフロー権の乖離 • - 「収奪」(Expropriation),「利益の『抜き去り』」(Tunneling)
2.タイ経済の現実 (1)本当に負債ファイナンス編重か? (2)99年以降の証券市場改革の乏しい効果 (3)02年以降の証券市場の回復は、実物市場の回復が牽引
3.最近の研究 • (1)Suehiro(2000) - ファミリー企業のパフォーマンスの良さ • (2)Khanthavit et. al (2003) • -金融危機以降、非金融企業の所有構造には目立った変化はない • 4.研究の問題意識 • -なぜ、問題を正確に認識できなかったのか • (1)証券市場の形成という問題意識の欠如 • (2)投資家サイドへの議論の偏重 • (3)企業の参加選択への認識の欠如-非上場企業の存在 • -本研究の検討対象 • 1990年代前半においてどのような企業が、どのような目的で証券市場に株式を上場しているか • ①上場前後の財務指標の変化 • ②上場誘因 (補論) • の観察から考察する。
2.視角 企業の上場行動とPecking Order Hypothesis① 上場プレミアム ②内部資本市場
3.手法(Pagano et.al [1996] ) (1) 企業の上場行動と資金調達の変化 ・上場からの年次(-1~+3,+3以上)に対応したダミー・Age:企業年齢 被説明変数 グループA:経営業績 ①総資産利益率、②設備投資率、③売上高成長率 グループB:資金調達 ④負債比率、⑤銀行借入/総資産、⑥銀行借入/負債、⑦長期借入/総資産、⑧資本金/総資産、⑨資本剰余金/総資産
グループC:銀行への交渉力 ⑩資金コスト グループD:内部資本市場 ⑪金融資産比率、⑫関連企業投融資比率、⑬関連企業借入比率 ・ -1期をベンチマークとした各指標の推移 (順位和検定による確認(略)) ・ パネル分析(Randam Effect Model)による推定 (Pagano et.al [1996]) ・ -1期との差についての検定、-2期以前との差についての検定 Data:・上場企業データ Company Information (SET発行) 非金融企業332社、1197サンプル(非バランス) ・製造業データ(上場、非上場) Manager Information Servic Ltd. 製造業320社、1496サンプル(非バランス) [補論]
2. 上場と負債ファイナンス 上場後、負債比率は低下するが、銀行借入比率は維持される。負債の中での比重は高まる 1. 上場と企業パフォーマンス 上場後、パフォーマンスは悪化する 「*」 、「+」はそれぞれ帰無仮説βj=0(j=-1,0,1,2,3,3+)、帰無仮説βj=β-1(j=0,1,2,3,3+)が5%以上の有意水準で棄却されることを示している。 「*」:-2期以前との比較、「+」:-1期との比較
4 内部金融市場 金融資産比率が増加し、内部資本市場での供給者となる 3 IPOと資本ファイナンス 資本比率の上昇はもっぱら資本剰余金の増加による 「*」 、「+」はそれぞれ帰無仮説βj=0(j=-1,0,1,2,3,3+)、帰無仮説βj=β-1(j=0,1,2,3,3+)が5%以上の有意水準で棄却されることを示している。 なお、資本コスト(対銀行交渉力)への効果は明確には見いだされなかった
企業属性別推定 • (1) 主要企業グループの関係企業 (72社、302サンプル) • (2) 外資系企業 (1998年の外国企業出資比率が5%以上40%未満) • (602サンプル)
主要企業グループ 企業属性別比較 企業パフォーマンス 外資系企業
主要企業グループ 企業属性別比較 IPOと資本ファイナンス 外資系企業
主要企業グループ 企業属性別比較 内部資本市場 外資系企業
主要企業グループ 企業属性別比較 長期負債(長期借入金) 外資系企業
5.補論:企業の上場行動の決定要因 α:coefficent vector X:independent variables ①基本属性: ROA、売上高 ②資金需要: 売上高成長率、設備投資率、負債比率など ③資本コスト: 資金調達コスト ④所有構造: 外資系企業1(出資比率20%以上40%未満) 外資系企業2(出資比率40%以上) 外資系企業3(直接投資によって設立された企業) 金融グループ系企業 製造業財閥系企業 2種類の被説明変数: IPO Dummy: =1 if a firm lists at the year =0 otherwise LIST Dummy: =1 if a firm is listed in SET =0 otherwise
基本的な指標は利かない • 推定結果 資金需要も利かない 出資比率が低い外資系企業は上場確率が高い
6.結論 • 観察の総括 • ①上場後の負債比率の低下は、株式ファイナンスの活発化ではなく、上場時の資本剰余金の獲得によるもの • ②上場後の企業は設備投資が停滞し、金融資産が拡大する。内部資本市場における供給者となる • ③銀行取引は維持ないし活発化。間接・間接金融市場間の補完性? • ④主要グループ関係企業は、②の効果はむしろ一時的 • ⑤外資系企業は、②の効果がやや弱いが、傾向としては同じ • ⑥[補論] 設備投資の資金需要は上場動機になっていない⑦[補論] 部分出資型の外資系企業は上場志向が強い
政策含意(1) 小株主(投資家)保護による証券市場育成の限界(2) 証券市場と間接金融市場との補完性(外部性)(3) 金融システムの全体的な視点からの評価の必要性政策含意(1) 小株主(投資家)保護による証券市場育成の限界(2) 証券市場と間接金融市場との補完性(外部性)(3) 金融システムの全体的な視点からの評価の必要性