資料組織概説　第６回記述目録法と日本目録規則

資料組織概説　第６回記述目録法と日本目録規則資料組織概説　第６回記述目録法と日本目録規則 2004年10月26日（火） M203教室

記述目録法と主題目録法 • 記述目録法（作業） descriptive cataloging • 資料の書誌記述作成 • 記述を検索するための見出しとなる標目（アクセスポイント）の選定 • 主題目録法（作業） subject cataloging • 資料の主題に関する記録作成 • 主題分析およびその結果の分類記号、件名標目の付与

記述目録法と目録規則 • 記述目録作業を行うための指針→目録規則 • 主題目録作業を行うための指針→分類表、件名標目表 • 日本の代表的な目録規則が日本目録規則（ＮＣＲ）。 • 最新版は１９８７年版改訂２版（2001年発行）

日本目録規則１９８７年版改訂２版の構成（１）日本目録規則１９８７年版改訂２版の構成（１） • 序説・総則 • 第I部　記述 • 第II部　標目 • 第III部　排列 • 付録 • 索引

日本目録規則１９８７年版改訂２版の構成（２）日本目録規則１９８７年版改訂２版の構成（２） • 第I部　記述 • 第１章　記述総則、第２章　図書、第３章　書写資料、第４章　地図資料…第９章　電子資料、…第１３章　逐次刊行物、記述付則 • 第II部　標目 • 第２１章　標目総則、第２２章　タイトル標目、第２３章　著者標目、第２４章　件名標目、第２５章　分類標目、第２６章　統一タイトル、標目付則 • 第III部　排列 • 第３１章　排列総則、第３２章　タイトル目録、第３３章　著者目録 …

記述（書誌記述）とは • 個々の資料について、他の資料または同一著作の他の版と同定識別するために、タイトルと責任表示に関する事項、版に関する事項など、一連の書誌的事項を組織的に構成して記録すること、または記録した一連の書誌的事項『日本目録規則　１９８７年版改訂２版』用語解説

記述総則―記述の原則 • 記述対象資料を他の資料から同定識別するのに必要十分なだけ記録 • 他の資料との書誌的関係を示す場合も • ISBDに基づいて記録 • ISBD区切り記号を、書誌的事項の区切りと識別のための手段とする＊カード目録を前提としたルール。コンピュータ目録では問題を生む

記述総則―記述の範囲 • ある資料を他の資料から同定識別する第一の要素はタイトル • 同一タイトルのものを識別するために、責任表示、版次、出版・頒布に関する事項などの要素も記録する • 付属資料や内容細目、資料種別や刊行形式などを加えることも

記述総則―記述の対象 • 単行資料または逐次刊行物が記述の対象 • 単行資料：固有のタイトルを有する、単独に刊行された資料。シリーズの一部をなしているものも含む • 逐次刊行物：一つのタイトルのもとに、終期を予定せず、巻次・年月次を追って継続刊行される資料 • さまざまな形態の資料が対象となる • 複製物はその原資料ではなく、複製物自体を記述の対象とする

記述総則―書誌レベル • 記述の対象に応じて書誌レベルを定める。 • 単行資料・・・・・・・・・単行レベル（基礎書誌レベル） • 逐次刊行物・・・・・・・逐次刊行レベル（基礎書誌レベル） • 単行資料の集合・・・集合レベル（上位レベル） • 構成部分・・・・・・・・・構成レベル（下位レベル）

記述総則―記述の情報源（１） • 情報源とは、記述対象資料の書誌的事項を記録する場合のよりどころ（根拠）となるもの • 次の優先順位で情報源として採用 • 資料本体（カセット、カートリッジ等を含む） • 付属文字資料 • 資料本体と分離可能な容器（箱、帙等）、カバーなど • その資料以外の情報源

記述総則―記述の情報源（２） • それぞれの資料に関して情報源とその優先順位を規定 • 図書の例：①標題紙、奥付、背、表紙、②図書本体の①以外の部分、③カバー、箱等、④その図書以外の情報源 • さらに各書誌的事項の情報源を規定 • タイトル・責任表示は標題紙、奥付、背、表紙 • ISBN、入手条件・定価はどこからでもよい　など

記述総則―記述の情報源（３） • 複製物の情報源は原資料ではなく複製物自体が該当する資料（マイクロ資料、電子資料など）の規定による • 記述対象資料に情報源がない場合は可能な限りの情報源を調査して記録 • 所定の情報源以外から得た書誌的事項は、補記の事実を示すため角括弧（[ ]）に入れて記録する

記述総則―記述すべき書誌的事項とその記録順序記述総則―記述すべき書誌的事項とその記録順序 • 記録順序と区切り記号はISBDに従う • タイトルと責任表示に関する事項 • 版に関する事項 • 出版・頒布等に関する事項 • 形態に関する事項 • シリーズに関する事項 • 注記に関する事項 • 標準番号、入手条件に関する事項

記述総則―記述の精粗（１） • 目録作成機関が、それぞれの方針に応じて、記録すべき書誌的事項の水準（レベル）を選択できる • 日本目録規則では三つの水準を規定 • 第１水準（必須） • 最低限の要件 • 本タイトル / 最初の責任表示. -- 版表示. -- 資料（または刊行方式）の特性に関する事項. -- 出版者または頒布者等, 出版年または頒布年等. -- 特定資料種別と資料の数量. -- (本シリーズ名)

記述総則―記述の精粗（２） • 第２水準（標準） • 通常の目録において必要とされる範囲 • 本タイトル [資料種別] : タイトル関連情報 / 責任表示. -- 版表示 / 特定の版にのみ関係する責任表示. -- 資料（または刊行方式）の特性に関する事項. -- 出版者または頒布者等, 出版年または頒布年等. -- 特定資料種別と資料の数量 : その他の形態的細目 ; 大きさ + 付属資料. -- (本シリーズ名 / シリーズに関係する責任表示, シリーズのISSN ; シリーズ番号.下位シリーズの書誌的事項). -- 注記. -- 標準番号 • 第３水準（詳細） • 国際的な書誌情報の流通に十分対応可能なレベル • 目録規則に定めるすべての書誌的事項

記述総則―転記の原則 • 原則として資料に表示されているままを記録ただし、 • 書体は楷書体、変体仮名はひらがなに改める • 外国文字の大文字・小文字の使い分けは、資料の表示によらず、その言語の慣行に従う • 文字の大きさは無視 • 転記が困難な記号等は説明的語句に置き換える • 誤記・誤植は正しい表記に改める • （別法）誤りのまま記述し、正しい表記を角括弧に入れる • 記述の順序は目録規則の規定に従う

第６回のまとめ • 記述目録法は書誌記述と標目決定から成る • 記述目録作業の指針が目録規則 • 日本目録規則では書誌記述の範囲、対象、情報源、記述すべき書誌事項とその記録順序などを詳細に規定 • 目録作成機関は記録すべき書誌事項の水準を３段階から選択できる（記述の精粗） • 目録の記述にあたっては転記の原則が定められている

資料組織概説 第６回 記述目録法と日本目録規則