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キャラクターの法的保護について. 弁護士・弁理士 冨宅恵 http://www.idea-law.jp fuke@idea-law.jp. はじめに・・・. 本日、対象とする「キャラクター」とは 著名なアニメーションキャラクター WIPOレポートが対象とする「キャラクター」 ★ Fictional Characters ★ Real Persons. 適用法令. キャラクターの保護 *意匠法 *商標法 *著作権法 *不正競争防止法 *民法 種々の法律を駆使して保護を検討する必要がある。. 意匠とは(法2条1項).
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キャラクターの法的保護について 弁護士・弁理士 冨宅恵 http://www.idea-law.jp fuke@idea-law.jp
はじめに・・・ • 本日、対象とする「キャラクター」とは 著名なアニメーションキャラクター WIPOレポートが対象とする「キャラクター」 ★ Fictional Characters ★ Real Persons
適用法令 • キャラクターの保護 *意匠法 *商標法 *著作権法 *不正競争防止法 *民法 種々の法律を駆使して保護を検討する必要がある。
意匠とは(法2条1項) • 物品(物品の部分を含む。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせるもの (2条1項) 「物品」であること(物品性) 「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」であること(形態性) 「視覚を通じて」把握されるものであること(視覚性) 「美感を起こさせるもの」であること(美感性)
商標とは(法2条1項) • 文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合であって、業として商品を生産し、証明し若しくは譲渡する者がその商品について使用するもの、又は業として役務を提供し若しくは証明する者がその役務について使用するもの
著作物とは(法2条1項1号) • 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
不正競争行為(法2条1項1号~3号) • 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為 • 自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為 • 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為
不法行為(民法709条) • 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
各法の関係(私見) 民法 著 意 作 商 匠 権 標 法 法 法 不正競争防止法
理 由 ★キャラクター権 ない ★キャラクター保護法 既存の法律による対応 ★キャラクターの使用態様が豊富
既存の法律による対応 • 種々の法律を駆使して保護する対象 →キャラクター保護に限定されない!! *工業デザイン *応用美術等
キャラクターの使用 • 使用目的 キャラクターへの好感度を利用して、商品購入意欲、サービス利用意欲を喚起する。 • 使用態様 キャラクターのイメージ、名前、二次元・三次元の複製を、あらゆる商品、サービスについて使用される。
使用態様と適用法令との関係 • 商品の形態として利用 意匠、立体商標、著作物、商品等表示、商品形態、法律上保護される利益 • 商品の標章として利用 商標、商品等表示、法律上保護される利益 • 商品の装飾として利用 意匠、商標、著作物、商品等表示、法律上保護される利益 • 著作物として利用 著作物
意匠法による保護 登録第1280314号 株式会社バンダイ
意匠法による保護の限界 • 出願登録の必要性 • 登録要件 *新規性(3条1項1号) →市場に流通する前に出願 但し、新規性喪失から6ヶ月以内の例外(4条2項) *創作非容易性 →当業者にとって転用の商慣行というあり ふれた手法がある場合にはダメ
意匠法による保護の限界 • 創作非容易性 昭和58年6月3日「スヌーピ事件」判決 意登310781号 「動物おもちゃ」 漫画キャラクター「スヌーピ」のぬいぐるみ 原告は「スヌーピ」の著作権者でもあった。 被告は、損害賠償の金額のみを争い、意匠権の効力については争わなかった。
商標法による保護(図形商標) 登録第2191872 株式会社手塚プロダクション
商標法による保護(立体商標) 登録第4225637号 権利者:ケンタッキー(アメリカ)
商標法による保護の限界 • 出願登録の必要性 • 動きのあるキャラクターを固定することによる限界 • 商品・役務を指定すること(5条1項3号)による限界 →商標の効力との関係
商標法による保護の限界商標権の効力(25条・37条1号)商標法による保護の限界商標権の効力(25条・37条1号)
商標法による保護の限界 • 商標の本来的機能を前提としない使用については保護されない。 商標法は、商標の保護(業務上の信用保護)を介して産業の発達と需要者の保護を図る(1条) →かかる法目的にそぐわない商標は保護しない。 *商標の本来的機能 自他商品等識別機能 →出所表示機能・品質等保証機能・広告的機能
商標法による保護の限界 • 装飾的使用 東京地判平成12年3月23日「Juventus事件」判決 「一般消費者に対し装飾的、意匠的な美感に訴える面を有しているとしても、それによって商標自体が有する商品の識別機能が失われるものではなく、また、被告商品に被告標章以外にその製造販売主体を示す別の表示があっても、それによって直ちに被告標章の使用が商標としての使用といえなくなるものではない。」
商標法による保護の限界 • ワンポイントマーク *単なる装飾に過ぎない? →「JUVETUS」事件判決 *全体的に占める割合との関係で商標として機能していない?
商標法による保護の限界 大阪地裁昭和58年2月25日「ポパイ商標権侵害事件」 「一般消費者に対して、その標章自体のもつ装飾、意匠的な美感に訴える面があるのは無視できないけれども、右『ワンポイントマーク』が有する商品全体の単一的色調にアクセントをつける機能上、そこに注目した消費者の目を、次にはその標章の有する外観、呼称、観念に表わされるブランド機能にも引きつけ、そのブランドに対する品質面での信頼から、右標章の付された商品の選択をなさしめることに大きな期待を寄せているものと考えられる。」
商標法による保護の限界 • 立体商標の保護要件の厳格性 審査基準 相当長期間にわたる使用、又は短期間でも強力な広告、宣伝等による使用の結果、同種の商品等の形状から区別し得る程度に周知となり、需要者が何人かの業務に係る商品等であることを認識することができるに至った場合を除き、需要者が指定商品等の形状そのものの範囲を出ないと認識するにすぎない形状のみからなる立体商標は識別力を有しないものとされる。
商標法による保護の限界 • 立体商標の保護の限界 知財高裁平成18年11月29日「ひよこ事件」判決 特許庁 3条1項3号に該当するが、被告による永 年使用の結果,取引者及び需要者の間で 被告の業務に係る商品であると認識され る(3条2項)。
商標法による保護の限界 • 判決 ①本件立体商標に係る鳥の形状自体は,伝統的な鳥の形状の和菓子を踏まえた単純な形状の焼き菓子としてありふれたもの(3条1項3号該当) ②類似した菓子が日本全国に多数存在し,その形状は和菓子としてありふれたものとの評価を免れないから,上記「ひよ子」の売上高の大きさ,広告宣伝等の頻繁さをもってしても,文字商標「ひよ子」についてはともかく,本件立体商標自体については,いまだ全国的な周知性を獲得するに至っていないものというべきである(3条2項非該当)
商標法による保護の限界 • 立体商標については今後も厳しい判断が予想される。 商標の保護期間との関係 存続期間→10年(19条) 更新新登録の申請(20条)→半永久的 *商品の形態を半永久的に保護することになる。 *意匠権の保護期間との関係 →慎重な判断になる。
不競法(2条1項3号)による保護 • 「商品の形態」とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう(2条4項)。 • 「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう(2条5項)。 • 最初に販売されてから3年経過した商品については適用なし(19条1項5号イ)
不競法(2条1項3号)による保護 • 本号の趣旨 投下資本回収の観点から、最初の販売から3年間、模倣商品の譲渡等を禁止 • 実質同一とは 独占的な投下資本の回収を認めるまでもない改変は、本号の埒外 →ほとんど費用のかからない改変を加えたものは実質 的に同一と言える。
不競法(2条1項3号)による保護の限界 • 市場に置いてから3年間のみ • 実質同一が厳格に解釈される傾向 東京高裁平成10年2月26日「ドラゴンソード事件」判決 原審においては同一性肯定 高裁では同一性否定 立体商標とは異なり3年間の 制限があるにもかかわらず・・・
不競法(2条1項3号)による保護の限界 • 相違がわずかな改変に基づくものであって、酷似しているものと評価できるような場合には、実質的に同一の形態であるといえるが、改変の着想の難易、改変の内容や程度及び改変による形態的効果等を総合的に判断して、改変によって相応の形態上の特徴がもたらされ、既に存在する他人の商品の形態と酷似しているものと評価できないような場合には、実質的に同一の形態とはいえない。 • 竜の具体的形態が占める比重が極めて高いところ、原告の竜は頭が一つであるのに対して、被告のそれは双頭である。 • 被告の商品は原告の2倍の大きさ
不競法(2条1項3号)による保護の限界 • 保護主体 東京地裁平成11年1月28日「キャディバック事件」判決 「他人が資金・労力を投下して開発・商品化した商品の形態につき、他に選択肢があるにもかかわらずことさらこれを模倣して自らの商品として市場に置くことは、先行者の築いた開発成果にいわばただ乗りする行為であって、競争上不公正な行為と評価されるべきものであり、また、このような行為により模倣者が商品形態開発のための費用・労力を要することなく先行者と市場において競合することを許容するときは、新商品の開発に対する社会的意欲を減殺することとなる。」「形態模倣の対象とされた商品を、自ら開発・商品化して市場に置いた者に限られるというべきである。」
不競法(2条1項3号)による保護の限界 大阪地裁平成16年9月13日「ヌーブラ事件」判決 「自ら資金、労力を投下して商品化した先行者は保護の主体となり得るが、そのような者のみならず、先行者から独占的な販売権を与えられている者(独占的販売権者)のように、自己の利益を守るために、模倣による不正競争を阻止して先行者の商品形態の独占を維持することが必要であり、商品形態の独占について強い利害関係を有する者も、3号による保護の主体となり得ると解するのが相当である。」
不競法(2条1項1号・2号)による保護 • 東京地裁平成2年2月28日「ミッキーマウス事件」判決 キャラクターの絵、名称の「商品等表示」該当性を肯定 • 商品形態の「商品等表示」該当性 3号の適用が限定されているがために、1号、2号での保護を検討する場面が出てくる。 1号、2号については「類似」とされているので、3号の「実質的同一」より幅が広い
不競法(2条1項1号・2号)による保護 東京地裁昭和53年10月30日「投げ釣り用天秤事件」判決 「商品の形態は、その商品が本来具有すべき機能を十分に発揮させることを目的として選択されたものであつて、商品の出所を表示することを目的とするものではないが、その商品の形態が、同種の商品の中にあって独特の形状を有し、あるいは一定の商品に長期間又は短期間でも強力な宣伝などが加わって使用された結果、商品の形態自体が、取引上二次的に、その商品の出所表示の機能を備える場合があり、かような場合には、その形態自体が、商品の技術的機能に由来する必然的、不可選択的な結果でない限り、不正競争防止法第1条第1項第1号の規定の趣旨に照らして、同号にいう『他人ノ商品タルコトヲ示ス表示』に該当する 」
不競法(2条1項1号・2号)による保護 • 「ハンドリベッター」(大阪地判昭62・10・7) • 「にっくねえむキーホルダー」(東京地判平3・5・31) • 「無線操縦用模型飛行機」(大阪地判平4・7・23) • 「ウォーターマシンガン」(東京地判平6・12・26) • 「ローズ型チョコレート」(東京地判平7・2・27) • 「キッズシャベル」(東京地判平9・2・21) • 「床下喚起口」(新潟地三条支判平9・3・21) • 「iMac」(東京地決平11・9・20判時1696号76頁)、「LEVIS弓形ステッチ」(東京地判平12・6・28(判時1713号115頁)
不競法(2条1項1号・2号)による保護 • 「iMac」(東京地決平11・9・20) • 「LEVIS弓形ステッチ」(東京地判平12・6・28)
不競法(2条1項1号・2号)による保護の限界不競法(2条1項1号・2号)による保護の限界 • 保護主体 最高裁判所昭和59年5月29日「NFLヘルメットマーク事件」判決 「他人には、特定の表示に関する商品化契約によって結束した同表示の使用許諾者、使用権者及び再使用権者のグループのように、同表示の持つ出所識別機能、品質保証機能及び顧客吸引力を保護発展させるという共通の目的のもとに結束しているものと評価することのできるようなグループも含まれるものと解するのが相当」 →広義の混同を認める。
不競法(2条1項1号・2号)による保護の限界不競法(2条1項1号・2号)による保護の限界 • 東京地裁平成2年2月19日、東京高裁平成4年5月14日「ポパイネクタイ事件」判決においても同様の判断 東京地裁昭和51年4月28日(「仮面ライダーV3」事件)判決 ・原告を示す文字は、附された場所及びその文字の大きさからみて容易に人目につかない上に、『石森プロ』、『毎日放送』、『東映』の文字も附されている関係上、原告商品の出所を原告として示す作用を殆んど果していない ・原告以外の業者も同様の人形を製作している。 →仮面ライダーⅤ3の形態が、原告の商品たることを示す 表示として広く認識されるに至っているとは言い難い。
著作権法による保護 • キャラクターの容姿を商品自体、容器等に使用する場合 →著作権法による保護 →複製権、翻案権侵害の判断 →権利者の著作物と被疑侵害著作物との対比 ↓ 特定の困難性!!
著作権法による保護の限界 • 個々のキャラクターの絵とは別に、「登場する人物の容貌、姿態、性格等により表現される抽象的なもの(キャラクター)」を著作物として保護できなか? 東京地裁昭和51年5月26日「サザエさん事件」判決 サザエさん観光 バスの車体側面に左の絵
著作権法による保護の限界 • サザエさんは平凡なサラリーマンの妻として、家事、育児あるいは近所付合いなどにおいて明るい性格を展開するものとして描かれており、またその他の登場人物にしてもその役割、容ぼう、姿態などからして各登場人物自体の性格が一貫した恒久的なものとして表現されており、更に特定の日の新聞に掲載された特定の四齣の漫画『サザエさん』はそれ自体として著作権を発生せしめる著作物とみられ得る。
著作権法による保護の限界 • 原告自身が作成した漫画であって、その話題ないし筋が特定の四齣の漫画『サザエさん』の話題ないし筋と同一であっても、そこに登場する人物の容ぼう、姿態等からしてその人物がサザエ、カツオ、ワカメ等であると認められなければ、その漫画は漫画『サザエさん』であるとは言えない。 • 話題ないし筋がどのようなものであっても、そこに登場する人物の容ぼう、姿態等からしてその人物がサザエ、カツオ、ワカメ等であると認められれば、他人が作成した漫画であっても、その漫画は漫画『サザエさん』と誤認される。
著作権法による保護の限界 • 漫画の登場人物自体の役割、容ぼう、姿態など恒久的なものとして与えられた表現は、言葉で表現された話題ないしは筋や、特定の齣における特定の登場人物の表情、頭部の向き、体の動きなどを超えたものであると解される。しかして、キャラクターという言葉は、右に述べたような連載漫画に例をとれば、そこに登場する人物の容ぼう、姿態、性格等を表現するものとしてとらえることができるものであるといえる。 • 当該キャラクターは著作権法によって保護される。
著作権法による保護の限界 • サザエさん事件判決後 東京地裁昭和52年11月14日「ライダーマンお面事件」判決 大阪地裁昭和54年8月14日「キャンディ・キャンディ刑事事件」判決 東京地裁昭和61年9月19日「キン肉マン事件」判決 抽象的な「キャラクター」に著作物性を認める判決が続いた。 • ポパイネクタイ事件判決による転機 東京地裁平成2年2月19日判決 東京高裁平成4年5月14日判決 最高裁平成9年7月17日判決
著作権法による保護の限界 • キャラクター人形 二次元の漫画・アニメーションの登場人物等を三次元の人形等にする行為 →複製 or 翻案?
著作権法による保護の限界 • 東京地裁昭和52年3月30日「たいやきくん」事件判決 「本件縫いぐるみは、縫いぐるみ人形であって、数種の色彩、柄の布地を裁断して縫製し、その内部に綿類等の芯を詰め入れ、魚の顔を、体を形成しているが、その形体、表情は、本件原画のそれとほとんど同一であることが認められ、他に右認定をくつがえすに足りる証拠はない。右認定によれば、本件縫いぐるみは、本件原画に依拠して、これを変形して製造されたものと認めるのが相当である。」 →翻案
著作権法による保護の限界 • 東京地裁昭和61年9月19日「キン肉マン事件」判決 「被告人形は、いずれも・・・本件映画のキャラクターの姿態をそのまま三次元的に作出し、有形的に再製したものである。・・・被告人形は本件著作権侵害行為を組成する物である。」 →複製
著作権法による保護の限界 • 翻案と解した場合 →人形等が二次的著作物となる。 →著作物性が必要になる。 →人形等に著作物性が認められるのか?