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科学的視点の重要性と メディアリテラシー

科学的視点の重要性と メディアリテラシー. 国際連合大学 安井 至 http://www.yasuienv.net/ 紙節約のため、 デジタルファイルを請求してください。. 第一部 原理原則編. 一般社会と専門家との情報乖離. 乖離の状況は一部で改善されているものの、一部では却って悪化している。 理由 個人主義的な発想が強まっている ノスィズム的な傾向も テレビメディアの偏重 情報を得る時間的余裕の欠落 新聞を読まない層の出現 科学的情報の理解能力の喪失. 環境情報伝達の重要性. 市民社会と 「価値の共有」 をするため

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科学的視点の重要性と メディアリテラシー

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  1. 科学的視点の重要性とメディアリテラシー 国際連合大学 安井 至 http://www.yasuienv.net/紙節約のため、 デジタルファイルを請求してください。

  2. 第一部 原理原則編

  3. 一般社会と専門家との情報乖離 • 乖離の状況は一部で改善されているものの、一部では却って悪化している。 • 理由 • 個人主義的な発想が強まっている • ノスィズム的な傾向も • テレビメディアの偏重 • 情報を得る時間的余裕の欠落 • 新聞を読まない層の出現 • 科学的情報の理解能力の喪失

  4. 環境情報伝達の重要性 • 市民社会と「価値の共有」をするため • 以前は、「社会受容性」という言葉が使われた • それ以前は、「説得」という言葉が使われた • その作業の根幹を成すのは「情報伝達」である。

  5. 技術などの拒絶とその理由 • 1.原子力発電 →厳密すぎる要求 • 2.臓器移植  →社会文化的な違和感 • 3.遺伝子組換 →未知の副次的影響 • 4.再生可能エネルギー  →既存システム • 5.自動化    →雇用の喪失 • 6.製造拠点海外移転 →雇用の喪失 • 7.最終処分地、リサイクル →自己中心 • 8.BSE     →リスクの無理解、リスクゼロ

  6. 「共有」すべき広義の情報 • 共有できる条件 情報の共有がまず第一 • 提供側から出すべき情報 • 価値     リスクベネフィット • 知識     完全開示 • 意味     社会貢献、明確性 • 動機     なぜ今かの明確な説明 • 責任     大きな視点からの倫理観 • 受領側のスタンス ノスィズム回避

  7. 価値:リスクベネフィットの例 • 水道水の塩素消毒 • 水道水の役割、塩素の必要性 • 若干のリスクはある:トリハロメタン • 途上国の平均余命と水道 • ミネラルウォータの規制はなぜ5倍も緩いのか

  8. GDP vs. Life Expectancy

  9. 知識:完全開示の例 • 遺伝子組換え食品 • 食べるだけなら、通常の食品より安全 • しかし、環境の中で何が起きるか=未知 • 環境改変の可能性があっても、餓死を救う遺伝子組換え食品なら受容するか? • BSEのリスク

  10. 意味:社会的貢献、明確に • 京都議定書を守ったところで、地球温暖化は解決されない=本当 • だから意味がない=間違 • 世界的規模の食糧供給の問題

  11. 動機:なぜ今なのか • メディアが騒ぐからは、動機か??? • ダイオキシン • 環境ホルモン • 国際的な約束(ex.京都議定書)は、動機になるのか???

  12. 責任:大きな視点からの倫理観 • 最終処分地は、現状だと必須 • しかし、現世代にも、将来世代にも負担にならないような最終処分地を作る責任 • 徐々に最終処分地を必要とない社会に転換する責任 • エコタウンであれば、リスクベネフィット論もあり得る。

  13. 「共有」するための協同作業 • 過去の事例を十分に検討・評価する • リスクの科学的な解明を十分に行う • 大きな時の流れの中で、現在を把握する • 未来を見通した議論を行う • 未来社会からどのように評価されるか、という視点で、現在を見る • お互いの了解事項 • 宗教戦争にやらないこと。特に、一神教。 • 「正しい情報を共有する」ことがスタート

  14. 第二部 有害性誤認編ヨーロッパの予防原則   とポピュリズムの台頭第二部 有害性誤認編ヨーロッパの予防原則   とポピュリズムの台頭

  15. RoHS型問題 • EUの毒性物質規制 • 重金属4種 • Cd、Hg、Pb、Cr6+ • 臭素系難燃剤2種 • PBDE、PBB • 2006年7月、電子電気機器へ使用禁止

  16. 被害者は居るか • ソニーPSOne摘発問題。 • 2001年12月:コントローラ塩ビケーブル中のカドミウム使用が判明。オランダの基準を超している。基準値は、製品重量の0.01%。130万台が出荷停止に。 • もし、RoHSを破れば、 ビジネスリスクは大きい。

  17. 健康被害者は居るのか • 鉛に限れば、過去最大の環境問題は、ガソリン中の四エチル鉛 • 米国では、総量で700万トンの鉛が大気に放出されたとか • 日本では、牛込柳町の鉛中毒事件 • 日本の土壌中の鉛汚染は、順調に低下中。 • 現在世界での鉛生産量500万トン。0.6%がはんだ。3万トン程度。

  18. Sonyの某幹部 • RoHS規制は欧州の先進的規制である。中国ですら同様のものを作ろうとしているのに、日本の対応の遅れは情けない。 • 反論: • RoHSによって生じるリスクは、ビジネスリスクでしかない。ビジネスリスクの存在を理由に規制を求めることは、筋違いである。

  19. 鉛で公園の土、砂汚染 • 2004年2月1日 朝日新聞1面 • 東大:吉永淳助教授国環研:田中敦主任研究員 • 砂場:25.4ppm、表土:67.3ppm • 150ppmを超す表土も • 「すぐに危険なレベルではないが、身近な場所で乳幼児が鉛汚染にさらされやすくなっている」、吉永談。

  20. Current Demand and Supply (1000tons) Year After International Lead and Zinc Study Group (ILZSG)

  21. End Use of Lead, World The International Lead and Zinc Study Group (ILZSG) http://www.ilzsg.org/

  22. End Use of Lead in USA http://minerals.usgs.gov/ds/2005/140/lead-use.pdf

  23. Performance vs. Human Health Risk Ecological RiskDepletion Risk Risky Acceptable Minimum Performance Desirable Performance Risk Human Health Risk by Product A Human Health Risk + Other Risks by Product B Safe Performance

  24. Performance vs. Human Health Risk Ecological RiskDepletion Risk Risky Acceptable Minimum Performance Desirable Performance Risk Human Health Risk by Product A Human Health Risk by Product B Safe Performance

  25. Human Health Risk +Other Risks by Product B Performance vs. Human Health Risk Ecological RiskDepletion Risk Risky Acceptable Minimum Performance Desirable Performance Risk Human Health Risk by Product A Human Health Risk by Product B Safe Performance

  26. Human Health Risk vs. Others Risky Human Health Risk Risk Other Risk Solution Safe Stage of Development

  27. 鉛の情報 • ○鉛がヒトの必須元素であると確定はしていない。議論があるところ。 • ○ヒトは、鉛を食物・飲み物などから多少暴露を受けるが、大部分は、高温状態の鉛のガスあるいは古くなったペンキからの微粒子などから摂る。 • ○鉛精錬、鋳造、などの職種にあるヒトの血中濃度は、一般人よりも高い。 • ○以前は、有鉛ガソリン中の四エチル鉛が大気中の微粒子の原因であった。途上国ではまだ使用されているが、日本では、1975年にレギュラーガソリンへの四エチル鉛添加が禁止され、その後、ハイオクガソリンへの添加もなくなった。 • ○EUでは、2000年1月1日に有鉛ガソリンの販売を禁止したが、イタリアは、古い車が多く、そのため、2年間延期。

  28. ○鉛は、水道水の配管として使われてきた。若干水道水に溶け込む。そのため、今でも、鉛管を使っている家では、朝一番のヤカン一杯の水は飲むべきでない。○鉛は、水道水の配管として使われてきた。若干水道水に溶け込む。そのため、今でも、鉛管を使っている家では、朝一番のヤカン一杯の水は飲むべきでない。 • ○鉛白と呼ばれる顔料(化学物質名は塩基性炭酸鉛)などは、以前、壁に塗るペンキに使用されていた。厚く塗られたペンキの剥げ落ちた破片を食べると、子供の血中濃度は上がる。 • ○鉛は散弾として狩猟に使用される。この鉛は、小石を飲み込む習性をもった鳥類の一部にとって有害である。 • ○猛禽類は、散弾を受けて死んだ動物を食べるため、鉛中毒になる可能性がある。 • ○EPAは、ペンキ中の鉛白が原因の子供への影響をもっとも深刻なものとして捉えている。 • ○地殻中の存在量は13ppm。自然なレベルは、15~30ppm。以前は、道路の脇などにおける鉛は多いとされていた。例えば、5000ppm。

  29. ODCEの対応 1997年 • 子どもの血中鉛濃度が 10μg/dL 以下になるよう、さらなる方策をとるべき注意を喚起する。血中鉛濃度がこのレベルを超える場合には、さらなる方策が必要。 • 加鉛ガソリン使用の削減と廃止、子ども用製品中の鉛の除去、塗料及びさび止め剤での鉛の不使用、食物及び飲料水を通じて体内に取り込まれる元となる製品中の鉛の制限、及び、これらを源とする鉛の除去と低減のために、スケジュールと戦略を設定することを表明する。

  30. 鉛の血中濃度 •  子供の知能の発達などに悪影響があるとされている。10μg/dLあたり、IQが7.4下がるとする論文がある。それに対する反論もあるようだ。 さらに、3μg/dL以下でも女児の性徴の発達に影響が無いとは言えないとする発表もある。 •  血中濃度とガソリン中の四エチル鉛の濃度との相関が非常に高い。ガソリン中の四エチル鉛をゼロにすると、血中濃度は、3.1μg/dLぐらいになる。 •  米国EPAの発表によれば、「5歳児以下の子どもの血中の鉛濃度平均値は、1976年~1980年の15μg/dLから1999年~2000年の2.2μg/dLへと     約85%も減少した」.

  31. 第3部基本的な環境リテラシー編

  32. 化学物質の毒性 コア知識 • 物質が毒かどうかは、量が決める。 • 量を多く摂れば、すべての物質は天然食品を含めて毒物である。 • 生物は、毒物を摂取することを前提として防御システムを備えている。 • 動物の中では、ヒトはもっとも精緻な防御システムをもっている。しかも、大脳の判断で、リスクを避ける能力がある。

  33. 物質が毒かどうかは量が決める • 通称:パラケルスス • 本名:アウレオルス・フィリップス・テオフラストス・ボンバストス・フォン・ホーヘンハイム(1493ー1541) • スイス人医師。錬金術師。後にバーゼル大学教授。

  34. 環境問題は正しく認識されているか

  35. 環境問題の認識 ・身の回りの環境は20~30年前に比べて よくなっているか  悪くなっているか ・大気汚染は        同上の質問 ・水質汚濁は        同上の質問 ・ダイオキシン汚染は   同上の質問 この問題の答えのみ、YesもNoもあり得るが、 以下の質問の正解はすべてYes 健康問題の認識 ・乳児死亡率は     同上の質問 ・死産率は        同上の質問 ・平均寿命は       同上の質問

  36. 性別による違い(環境問題の認識)  環境問題の正しい認識率は男性の方が高い χ2検定(有意水準1%)でいずれの問も差あり 

  37. 性別による違い(健康問題の認識)  健康問題の正しい認識率は男女間で差がない χ2検定(有意水準1%)でQ6、Q7は差なし、Q8は差あり 

  38. 年令による違い(環境問題)  年令が高くなるにつれ正しい認識率が高くなる χ2検定(有意水準1%)でいずれの問も差あり 

  39. 年令による違い(健康問題)  年令が高くなるにつれ正しい認識率が高くなる χ2検定(有意水準1%)でいずれの問も差あり 

  40. 職業による違い(環境問題)  χ2検定(有意水準1%)でいずれの問も差あり 

  41. 職業による違い(健康問題)  χ2検定(有意水準1%)でいずれの問も差あり 

  42. 職業による違い  環境問題、健康問題ともに  職業の違いにより   正しい認識率が異なる傾向が見られた

  43. 第4部 情報伝達実験

  44. 環境問題としてのライフスタイルなぜ問題解決が困難か?環境問題としてのライフスタイルなぜ問題解決が困難か?

  45. (C)Material World/ ユニフォトプレス 平 均 寿 命(歳) 1 日 本      80.9 2 オーストラリア 79.5 3 スウェーデン  79.5 4 スイス      79.3 5 フランス     79.3 6 モナコ      79.1 7 カナダ      79.1 8 アンドラ     78.8 9 イタリア     78.7 10 スペイン     78.7 :  :  182 マ リ      42.7 183 エチオピア   42.3 184 ウガンダ     42.2 185 ルワンダ     41.8 186 ジンバブエ   40.5 187 ボツワナ    39.4 188 ニジェール   38.9 189 ザンビア    38.5 190 マラウイ    37.9 191 シエラレオネ  34.3 健 康 寿 命(歳) 1 日 本 74.5 2 オーストラリア  73.2 3 フランス     73.1 4 スウェーデン  73.0 5 スペイン    72.8 6 イタリア     72.7 7 ギリシャ     72.5 8 スイス      72.5 9 モナコ      72.4 10 アンドラ    72.3 : : 182エチオピア   33.5 183マ リ      33.1 184ジンバブエ   32.9 185ルワンダ     32.8 186ウガンダ     32.7 187ボツワナ     32.3 188ザンビア     30.3 189マラウイ     29.4 190ニジェール    29.1 191シエラレオネ  25.9 日本人は 世界で最も 健康で長生きです 健康寿命とは: 病気やけがなく健康に 暮らしていける年齢のことです

  46. WHO 日常的なリスクによる損失余命比較 WHO 日常的なリスクによる損失余命比較  損失余命とはそのリスクが無くなったときに、期待できる寿命の増加量を指します。 世界的に 大きな健康リスクは 低体重(栄養不足) と HIV(エイズ) 日本でのリスクは小さい 日本では 大気汚染や 水質汚濁の 健康リスクは 世界と比べて小さい (単位・年)

  47. このグラフは、健康リスクを表しています。上にあるものほど健康に悪いものです。このグラフは、健康リスクを表しています。上にあるものほど健康に悪いものです。 大気汚染物質や 有害化学物質の健康リスクは タバコの 10分の1 ~ 100分の1以下

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