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情報教育において生徒が 形成する知識の構造. 兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科(院生) ○鬼藤 明仁 兵庫教育大学 森山 潤 兵庫教育大学 松浦 正史. 目的. 授業において生徒が,学習内容を理解することは,学習事項の関連性をつかみ,知識を構造化することとされている. 本研究では,情報教育において,生徒がどのように知識を構造化しているかについて,中学1年生と高校1年生を対象に,調査し,分析した.. 調査対象. 2004年4月に調査を実施した. 高校1年生78名(男子42名,女子35名) -「情報とコンピュータ」の内容を既習済み
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情報教育において生徒が形成する知識の構造 兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科(院生) ○鬼藤 明仁 兵庫教育大学 森山 潤 兵庫教育大学 松浦 正史
目的 • 授業において生徒が,学習内容を理解することは,学習事項の関連性をつかみ,知識を構造化することとされている. • 本研究では,情報教育において,生徒がどのように知識を構造化しているかについて,中学1年生と高校1年生を対象に,調査し,分析した.
調査対象 2004年4月に調査を実施した. • 高校1年生78名(男子42名,女子35名) -「情報とコンピュータ」の内容を既習済み -高校情報科の導入時 • 中学1年生72名(男子42名,女子30名) -「情報とコンピュータ」の内容を未履修
調査内容 開隆堂教科書(2001)より 「情報とコンピュータ」に関する用語 114個 東京書籍教科書(2001)より 「情報とコンピュータ」に関する用語 106個 共通する用語48個 選択履修の範囲のみに関する用語を除いた, 40個の用語を設定
ディスプレイ パスワード 著作権 イメージスキャナ ハードディスク ユーザー名 キーボード ハードウェア 文書処理 フロッピーディスク(FD) インターネット マウス ウェブ(Web)ページ ソフトウェア ドメイン名 フォルダ プレゼンテーション 図形処理 ユーザID プリンタ サーバ 基本ソフトウェア(OS) ファイル コンピュータグラフィックス(CG) 電子メール(Eメール) 検索 コンパクトディスク(CD) 応用ソフトウェア アイコン データ ディジタルカメラ セル ディジタル化 MOディスク 表計算処理 コンピュータウィルス ネットワーク データベース処理 コンピュータネットワーク プログラム 設定された40個の用語
調査の手続き 調査は, • 回答形式を,「わかる」,「わからない」の2件法とした. • 調査校の担当教師によって,学級ごとに実施された. • 用語の内容について,担当教師が口頭にて解釈を統制した.
結果既知率の高い上位5用語 • **p< .01
高校生:既知率H,中学生:既知率H 電子メール(Eメール)(高97%,中%82) フロッピーディスク(FD) (高94%,中81%) プリンタ(高94%,中83%) フォルダ(高90%,中56%) 著作権(高81%,中61%) 高校生:既知率H,中学生:既知率L ウェブ(Web)ページ(高79%,中24%) ディスプレイ(高72%,中35%) アイコン(高62%,中32%) コンパクトディスク(CD) (高54%,中35%) ハードディスク(高53%,中28%) 高校生と中学生で既知率に有意差が認められた用語 • 高校生:既知率L,中学生:既知率L • サーバ(高49%,中31%) ・プレゼンテーション(高41%,中17%) • 表計算処理(高37%,中11%) ・ソフトウェア(高36%,中11%) • 基本ソフトウェア(OS)(高31%,中10%) ・イメージスキャナ(高29%,中7%) • ハードウェア(高26%,中4%) ・図形処理(高%23,中7%) • データベース処理(高18%,中7%) ・ドメイン名(高15%,中1%) • セル(高15%,中4%)
高校1年生の回答を集計し,各用語ごとに他の各用語との回答の不一致率を算出した。高校1年生の回答を集計し,各用語ごとに他の各用語との回答の不一致率を算出した。 「例えば・・」 • AとBの不一致率=2/5=0.4 • BとCの不一致率=1/5=0.2 • CとAの不一致率=3/5=0.6
各用語間の不一致率 「Aの距離得点」 • それらを距離得点とし,標準化した後,ward法によるクラスター分析を行った.
クラスタの解釈 「実践的知識」は,「系統的知識」よりも,比較的既知率が高い知識項目が含まれていた.このことから,生徒にとって,実際にコンピュータを活用する実践的な経験を通して知識を獲得する方が,概念間の関係を整理して理解することを通して知識を獲得するよりも,容易なのではないかと考えられる
「④処理力」が,中高男女に共通して,「系統的知識」と有意な相関を形成していた.これは,情報を処理する過程において生徒が,その目的に応じて適切にコンピュータを活用する際,より質の高い問題解決を展開する上で,「系統的知識」が重要な役割を果たしていることを意味している.一方,「⑤創造力」では,知識の構造との有意な相関は認められなかった.これは,新しい情報を生み出す過程では,情報やコンピュータに関連する知識よりも,それ以外の幅広い生活経験や創造的な資質が生徒に求められるためではないかと考えられる.「④処理力」が,中高男女に共通して,「系統的知識」と有意な相関を形成していた.これは,情報を処理する過程において生徒が,その目的に応じて適切にコンピュータを活用する際,より質の高い問題解決を展開する上で,「系統的知識」が重要な役割を果たしていることを意味している.一方,「⑤創造力」では,知識の構造との有意な相関は認められなかった.これは,新しい情報を生み出す過程では,情報やコンピュータに関連する知識よりも,それ以外の幅広い生活経験や創造的な資質が生徒に求められるためではないかと考えられる.
まとめと今後の課題 • 情報教育における生徒の知識は,「実践的知識」と「系統的知識」という2つの構造を形成していると推察された.また,これらの知識の構造が,「情報活用の実践力」と関連していることが示唆された.特に,「系統的知識」は,情報の「処理力」の形成に重要な役割を果たしていることが推察された. • 今後は,生徒の,構成された知識と,「情報活用の実践力」の関連性を検討する必要があると考えられる.