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テンソル相関と対相関で生まれた 11 Li のハロー構造. 理研 池田清美. 2008年2月12日 ( 火) 理化学研究所. 第 Ⅰ 部 Ⅰ はじめに 1. 11 Li 構造研究を始めた動機 2 . 10 Li 、 11 Li に現われた構造の異常性 3 . 研究の経緯 ― 主な転換点 Ⅱ 微視的 10 Li= 9 Li+n 、 11 Li = 9 Li+n+n 模型による 10,11 Li の構造研究 1.対相関を組み入れた微視的 2, 3 体直交条件模型 の定式化
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テンソル相関と対相関で生まれた11Liのハロー構造テンソル相関と対相関で生まれた11Liのハロー構造 理研 池田清美 2008年2月12日(火) 理化学研究所
第Ⅰ部 Ⅰ はじめに 1.11Li 構造研究を始めた動機 2. 10Li、11Li に現われた構造の異常性 3. 研究の経緯 ― 主な転換点 Ⅱ 微視的10Li=9Li+n、11Li=9Li+n+n模型による10,11Liの構造研究 1.対相関を組み入れた微視的2, 3体直交条件模型 の定式化 2.2, 3体共鳴状態を取り扱える複素スケーリング法 の開拓活用 3.芯核9Liの対相関の結合配位の取扱いと対相関 のパウリ・ブロッキング 4. 対相関のパウリ・ブロッキング効果で生じた対照 的な結果
第Ⅱ部 Ⅲ テンソル相関を顕わに表現するテンソル最適化殻模型 1.4Heのテンソル最適化殻模型でのテンソル相関 2.5He=4He+n でのテンソル相関の パウリ・ブロッキング効果 Ⅳ 11Liのハロー構造形成におけるテンソル相関と対相関 の役割 1.9,10,11Liへ適用した模型の概要 2.テンソル相関と対相関の二つのエネルギー極小値 3.10,11Liでのテンソル相関・対相関によるパウリ・ ブロッキング効果 4.11Liで導けた主な結果; 10,11Liの実験と矛盾の無い 良い対応 V 纏めに代えて ― テンソル相関の模型的記述による構造研究の展望 ―
第Ⅰ部 Ⅰ はじめに 1.11Li 構造研究を始めた動機 2. 10Li、11Li に現われた構造の異常性 3. 研究の経緯 ― 主な転換点 Ⅱ 微視的10Li=9Li+n、11Li=9Li+n+n模型による10,11Liの構造研究 1.対相関を組み入れた微視的2, 3体直交条件模型 の定式化 2.2, 3体共鳴状態を取り扱える複素スケーリング法 の開拓活用 3.芯核9Liの対相関の結合配位の取扱いと対相関 のパウリ・ブロッキング 4. 対相関のパウリ・ブロッキング効果で生じた対照 的な結果
I-1. 11Liの構造研究を始めた動機 Ⅰはじめに • RIビームによる初めての実験 • (バークレイ 1985年) • 日本の実験ティームによる実験 • 1970年代後半のニューマトロン計画 • の下での日米協同実験研究の一環 全てがはじめて 11Li = 9Li+n+n の広義の3体クラスター状態 としての理論的解明への 挑戦の始まり(1988~) 11Liの異常構造の認識の始まり 不安定核物理のはじまり 新潟大学の自然科学系 の博士課程の始まり(1985~)
I-2. 11Li、10Liに現れた構造の異常性 A) Halo structure Rm(11Li)/Rm(9Li)=1.35~1.55 Rch(11Li)/Rch(9Li)=1.11 質量(平均2乗)半径 Rm(11Li) = 3.12 0.161), 3.53 0.06 fm2) ( Rm(9Li) = 2.31 0.02 fm1) ) 荷電半径 Rch(11Li) = 2.467 0.0373), 2.423 0.034 fm4) ( Rch(9Li) = 2.217 0.0353), 2.185 0.033 fm4) ) 1) • R. Sanchez et al., Phys. Rev. Lett. 96(2006)033002 • M. Puchalski, A. M. Moro, and K. Pachucki, Phys. Rev. Lett. 97 (2006)133001 • I. Tanihata et al., Phys. Lett. B 206 (1988), 592. • J. A. Tostevin and J. S. Al Khalili, Nucl. Phys. A616(1997)418c
B) Breaking of Magicity N=8 (10,11Li, 11,12Be) C) Borromean System 3体系は束縛状態を持つが、どの 部分2体系も束縛状態を持たない。 その3体系をボロミアン系という。 s2 : p2 ~ 50% : 50% H. Simon et al., PRL83(1999)496 10Li*+n ~0.3 MeV 9Li+n+n 11Li 0.32 MeV 11Li(GS)
D) ボロミアンと10Li=9Li +nとダイニュートロン=n+nの特徴 11Li = 9Li + n + n nn系 10Li系の特徴 束縛状態はないが、 もう少し引力が強ければ 束縛状態を作る系 • 0p1/2 resonances : (0p3/2)(0p1/2) • 1+,2+ • 0.3~0.4 MeV / 0.5~0.8 MeV 散乱長 as = –18.50.5 fm 有効距離 re= 2.83 fm • 1s1/2 virtual state : (0p3/2)(1s1/2) • 1–,2– • 散乱長 as~ –10~–20 fm • d-wave resonacnes ~ 4MeV Expt. H.G. Bohlen et al. Z. Phys. A344(1993)381 M. Thoenessen et al., PRC59(1999)111 M. Chartier et al., PLB510 (2001), 24.
I-3. 理論的研究の道筋での転機 • 初期(1988-1994): 9Li+n+n微視的3体模型の研究を始める • 9Li芯核:単一配位(0s)4(0p3/2)5の不変芯核 • 複素座標スケーリング法との結びつき(1991):束縛、共鳴状態の統一的取扱い • 第2期(1990年代後半~) • 9Li芯核:(nn)Jp=0+,T=1の対相関の結合配位の活性芯核での研究 • 第3期(2002~2006) • 9Li芯核:(pn)Jp=1+,T=0のテンソル相関(芯核励起)結合配位 • (nn)Jp=0+,T=1の対相関に加えての結合配位 • 第4期(2007~) • テンソル相関(模型空間で) • 短距離相関を相関子 テンソル力の引き起こすテンソル相関を模型空間に顕わに取り扱っての軽い核の構造研究の展開(2000年~) の活性芯核 での研究 理論的研究の参考論文 次ページ参照 分離して同時に取扱う 模型空間での研究へ
本稿理論的研究の参考論文リスト • Y. Tosaka, Y. Suzuki and K. Ikeda, Prog. Theor. Phys.83, 1140 (1990). • S. Aoyama, S. Mukai, K. Kato and K. Ikeda, Prog.Theor. Phys. 93, 99 (1995). • S. Mukai, S. Aoyama, K. Kato and K. Ikeda, Prog.Theor. Phys. 99, 381 (1998). • K. Kato, T. Yamada and K. Ikeda, Prog. Theor. Phys.101, 119 (1999). • T. Myo, K. Kato, S. Aoyama and K. Ikeda, Phys. Rev. C63, 054313 (2001). • T. Myo, S. Aoyama, K. Kato, K. Ikeda,Prog. Theor. Phys. 108,133(2002). • T. Myo, K. Kato and K. Ikeda, Prog. Theor. Phys. 113, 763 (2005). • S. Sugimoto, K. Ikeda and H. Toki, Nucl. Phys. A740,77 (2004). • H. Toki, S. Sugimoto and K. Ikeda, Prog. Theor. Phys. 108, 903 (2002). • K. Ikeda, S. Sugimoto and H. Toki, Nucl. Phys. A738, 73 (2004). • T. Myo, S. Aoyama, K. Kato and K. Ikeda, Phys. Lett. B576, 281 (2003). • S. Aoyama, T. Myo, K. Kato, K. Ikeda, Prog. Theor. Phys. 116, 1 (2006). • K. Ikeda, T. Myo, K. Kato and H. Toki, Modern Phys.Lett. A21, 2483 (2006). • Y. Ogawa, H. Toki, S. Tamenaga, S. Sugimoto, K.Ikeda, Phys.Rev.C73, 034301(2006). • T. Myo, S. Sugimoto, K. Kato, H. Toki and K. Ikeda, Prog. Theor. Phys. 117, 257 (2007). • T. Myo, K. Kato, H. Toki and K. Ikeda, Phy. Rev. C76, 024305 (2007).
II 微視的2, 3体模型による10,11Liの構造研究 ー 10Li=9Li+n, 11Li=9Li+n+nー 微視的9Li+n, 9Li+n+n の 2体、3体模型を設定する理由 • 11Li, 10Liの特徴的な構造的性質は9Li+n+n、9Li+nの弱結合の様相を示す。 • これらの異常構造状態はいずれも その構成要素9Li+n+n、9Li+nに分解する閾値近傍に現れる。 • その他の分解閾値はこれらの閾値より比較的高い。 ~0.3 MeV 9Li+n+n 9Li+n 0.32 MeV 10Li 11Li
II-1. 微視的2体、3体模型の概要 1a) 微視的模型の枠組で取扱う運動状態について 9Li芯核 対相関: 対相互作用で結びつく配位状態の 重ね合わせで表現 [殻模型] 9Li (9Li-n) 10Li [(9Li+n)模型] 1自由度の相対運動 9Liと同じ配位状態で表現 殻模型で表現 n 11Li 9Li (9Li ) [(9Li+n+n)模型] n 2自由度の相対運動 • 相関なしは、9Li芯核が(0s1/2)4(0p3/2)5の単一配位状態で、不活性芯核 • 相関ありは、 9Li芯核が、更に(0s1/2)4(0p3/2) 3(0p1/2) 2等との結合配位で 、活性芯核
1b) 対相関のある場合の微視的模型波動関数 9Li芯核 (0s1/2)4(0p3/2)5配位から対相互作用で結びつく配位状態の重ね合わせ 10Li 9Liの核子とn、又はnnとの間の反対称化の演算子 11Li は相対運動の波動関数 • ここでは、角運動量等の量子数は一切省略してある。
1c) 微視的模型の基本方程式(共鳴群法(RGM)の方程式) ー 10Li=9Li+n の場合 ー n 9Li 未知の変分関数 • 共鳴群法(RGM)の方程式
1d) 微視的模型の相対運動状態を取扱う直交条件模型 ー 10Li=9Li+n の場合 ー パウリ禁止状態(Pauli Forbidden State) をいう となる i(9Li)は殻模型状態、この状態で核子が占拠している1粒子の波動{k(n); k=1,,6}をi,F(n)にとると、それらはパウリ禁止状態となる 例 (0s1/2)4(0p3/2) (0p3/2)4とすると、F(n)=(0s1/2), (0p3/2) • 直交条件模型(Orthogonality Condition Model; OCM) RGMの相対波動関数{i(n);i=1,...N})を求むるに、反対称化演算子の役割を、 i) 相対波動関数は上記の“パウリ禁止状態に直交する”という条件で置き換えて、更に、 ii) ハミルトニアン演算子の粒子交換の行列要素を有効的に局所ハミルトニアンの行列要素に処理するという手続きの下に、相対波動関数を求める模型をいう。
1e) 10Li = 9Li+n の場合を取扱う直交条件模型 直交条件模型の方程式 直交条件模型のハミルトニアン n 9Li で占拠されている中性子の1粒子状態を パウリ・ブロックする演算子(を大きくとって分離する) として 共通にとられている。はJ=(3/2–)(1/2–)=1+の共鳴エネルギーを あわせる様に調節する
1f) 11Li = 9Li+n+n の直交条件模型の概要 i) 直交条件模型の相対運動状態に対するハミルトニアン パウリ禁止状態 配位 i=1 : (0s1/2)4(0p3/2)5 配位” i “ によって異なる禁止状態 i=2 : (0s1/2)4(0p3/2)3(0p1/2) 2 i=3 : (0s1/2)4(0p3/2)3(1s1/2) 2 ii) 上記 に更に付け加わる“2粒子交換による対相互作用の結合項(図示) 反対称化により2粒子交換が生じる 対相互作用:c=9Liの2nと 外殻活性2nを結合する 上記i), ii)のハミルトニアン演算子からなる 直交条件模型方程式から{i(nn);i=1,...N})を求める。
1g) 対相互作用Gpairによって結び付けられる配位結合 9Li芯核内ー活性2中性子間 Vnn: Minnesota 9Li芯核内2中性子間 Vnn: MHN (G-matrix) 対結合相互作用 活性中性子間 Vnn: Minnesota 影線は芯核配位の核子群 外殻核子 芯核核子 av : active valence
II-2 10Li= 9Li+nでの対相関のパウリ・ブロッキング効果 2a) 対相関模型での配位結合と10Liのブロッキング効果 9Li 基底 状態 10Li p波 相関エネルギー 損失大 パウリ・ブロッキング 相関エネルギー 損失小 10Li s波
2b) パウリ・ブロッキング効果を組み入れた9Li-n間の有効ポテンシャル ー 相関が強い場合と、弱い場合ー 9Li 2つの配位状態の混合配位 [模型] 対相互作用の結合行列要素 PC-S PC-W PC-W: 対相関が弱い場合 (MHN, G-matrix) PC-S : 対相関が強い場合 (KYI, Cohen-Kurath)
II-3 対相関を取り入れた研究での10,11Liの結果II-3 対相関を取り入れた研究での10,11Liの結果 3a) 共鳴状態(J=(3/2–)(1/2–)=1+,2+)、virtual状態(J=(3/2–)(1/2+)=1-,2-)のスペクトル ー 対相関の強い場合 ー • 相関がない場合単一配位の状態の10Li=9Li+nK.Kato and K.Ikeda,PTP84(1993)623. • 相関がある場合 対相互作用で結合する多重配位の10Li=9Li+n問題K.Kato,T.Yamada,K.Ikeda PTP101(1999)119. 10Li 実験の特徴を2.は導出 • 0p1/2共鳴状態 : (0p3/2)(0p1/2) • 1+,2+0.3~0.4 MeV / 0.5~0.8 MeV • 1s1/2 virtual state : (0p3/2)(1s1/2) • 1–,2–、散乱長 as~ –10~–20 fm 対相関 あり 対相関 なし )
3b) 11Liの基底状態の得られた結果 クラスター軌道殻模型 (COSM) i) 基底状態のエネルギーの収束性 11Li: PC-W V座標表現 l=2 l=1 l=15 TV模型 + T座標 V座標 Ref. T. Myo, S. Aoyama, K. Kato, K. Ikeda, PTP108(2002)133
ii) 得られた基底状態の性質 11Li E(10Li,1–)=0.42MeV (fixed) 11Liは、 (0p1/2)2 ~ 95 % (1s1/2)2 ~ 2 % Pairing excitation ~ 3 % PC-W, PC-S、共に Radius = 2.69 [fm] T.Myo, S.Aoyama, K.Kato, K.Ikeda, PTP108(2002)133
iii) 10Liと11Liで対照的な結果になった要因 10Li 対相関が強い場合(PC-S)には、 Ts > Tp にもかかわらず が導けた これはPBのパウリ・ブロッキング効果のエネルギー損で、Vpeffが 浅い引力になったから。 11Li p2が強く結合 11Li系でのPBのパウリ・ブロッキング効果のエネルギー損は、1中性子あたりの損が半分となり、 –PB分だけ強く結合よりすることとなり、他方(0p)2と(1s)2の対エネルギーは Vpnnの方がVsnn大きい引力となる。両者の効果によって、 (0p)2の方の結合エネルギーが(1s)2の結合エネルギーよりも大きくなる。
”複素座標スケーリング法”の必要性 [参照] 2,3体系に分解する閾値近傍の状態を取り扱い、 クーロン励起やその構造状態の分光学的性質を知るには次のi)~iv)までの事項が必要不可欠である。そしてこれら全てが“複素座標スケーリング法”でできるからである。 • 結合状態と共鳴状態を同じ手法で取り扱える • 種類の異なる連続状態を区分できる • 3体等の多体共鳴状態を取り扱える • 物理量を計算できる。完全系を用意することができる そのエッセンスと、3体の場合の複素スケーリングされた ハミルトニアンの固有値分布の概念図を示しておく
複素座標スケーリング法 J.Aguilar and J.M.Combes, Commun. Math. Phys.,22(’71)269. E.Balslev and J.M.Combes, Commun. Math. Phys.,22(’71)280. 変換 共鳴状態の波動関数の漸近形(2体) Converge 共鳴状態を結合状態と同様にして求めることができる(ABC定理)
ボロミアン3体系の”複素座標スケーリング”ハミルトニアンのスペクトラムボロミアン3体系の”複素座標スケーリング”ハミルトニアンのスペクトラム
第Ⅱ部 Ⅲ テンソル相関を顕わに表現するテンソル最適化殻模型 1.4Heのテンソル最適化殻模型でのテンソル相関 2.5He=4He+n でのテンソル相関の パウリ・ブロッキング効果 Ⅳ 11Liのハロー構造形成におけるテンソル相関と対相関 の役割 1.9,10,11Liへ適用した模型の概要 2.テンソル相関と対相関の二つのエネルギー極小値 3.10,11Liでのテンソル相関・対相関によるパウリ・ ブロッキング効果 4.11Liで導けた主な結果; 10,11Liの実験と矛盾の無い 良い対応 V 纏めに代えて ― テンソル相関の模型的記述による構造研究の展望 ―
III-1 4Heのテンソル最適化殻模型でのテンソル相関 1a) 中間子交換力を根幹とする現実的核子間力 例: AV8’ potential R.B. Wiringa, V.G.J.Stocks & R.Schiavilla, PRC51(1995)36. Vcentral Vtensor
1b) テンソル最適化殻模型(TOSM)の変分波動関数 Tensor-optimized shell model Myo, Sugimoto, Kato, Toki, Ikeda PTP117(’07)257 テンソル相関は、 (0p-0h)と(2p-2h)の結合から、 • テンソル相関は、テンソル力の中間距離(0.5<r<1.5fm)の相関である。 • 高い(lj)までの(2p-2h)の寄与がある。 • 高い運動量成分の寄与がある。 4He 高い2p励起(2p-2h)配位状態の配位混合。 基底関数の拡がり を 変分パラメータ。
1c) テンソル力の特質 ー 中間距離相関 S波D波の結合を生む 行列要素の被積分関数 軌道角運動量L=2、スピンS=2移行 の相互作用 中心部分 0<r< 0.5 fm のF(r)がほとんど消えるのは、 D波の遠心力ポテンシャル (1GeV@0.5fm)のため
1d) ハミルトニアンと変分方程式 Myo, Sugimoto, Kato, Toki, Ikeda PTP117(’07)257 • 変分方程式 :拡がりパラメータ :重ね合わせ振幅 • 以下の計算に用いた相互作用 Akaishi (NPA738) • テンソル力: G-matix (AV8’) with kQ=2.8 fm-1 中間距離と長距離は残る • 中心力: 4Heでの結合エネルギーと半径に合うよう調整 (参考にAV8’, Bonn pot.)
1e) 配位混合状態の拡大(lmaxの増大) による エネルギー諸量の変化とP(D)の変化 Shrink Length parameters lmax good convergence Higher shell effect
4He in TOSM 1f) 結果の一例 4 Gaussians instead of HO c.m. excitation = 0.6 MeV • 0 of pion nature. • deuteron correlation with (J,T)=(1,0) Cf. R.Schiavilla et al. (GFMC) PRL98(’07)132501
III-2 5He系でのテンソル相関を組入れた4He+n模型の適用 2a) テンソル最適化殻模型を適用した5He=4He+nの定式化 RGM i) 5He=4He+n系はRGMに基づいて解かれる。 TOSM : テンソル最適化殻模型の基底 ii) 相対運動状態 {i(n)}は直交条件模型(OCM)の方程式によって解かれる。 OCM iii) 散乱共鳴問題は、複素座標スケーリング法で解かれる。 CSM
2b) 内部領域での5He=4He+n系のパウリ・ブロッキング 内部領域 漸近領域 5He=4He+n • T. Terasawa, PTP22(’59) • S. Nagata, T. Sasakawa, T. Sawada R. Tamagaki, PTP22(’59) • K. Ando, H. Bando PTP66(’81) • T. Myo, K.Kato, K.Ikeda PTP113(’05) パウリ・ブロッキングのために、 テンソル相関が抑制される
2c) 4He-n散乱位相差 -テンソル相関有り/無しにおける変化ー Phase shifts of 4He-n scattering
IV 11Liのハロー構造形成における テンソル相関と対相関の役割 IV-1 9Li, 10Li=9Li+n, 11Li=9Li+n+nへ適用した模型の要約 1a) 9Li 配位の(0p-0h)状態 {i(9Li); i=1,...N} 配位の(2p-2h)状態 配位の(2p-2h)状態 の重ね合わせ(配位混合)の変分関数として 更にこれらの配位群の1粒子軌道状態の拡がりパラメータ を、変分パラメータとする(TOSM)。 • 変分方程式
1b) 10Li=9Li+n 芯核部分 9Li-n相対運動部分 {i(9Li); i=1,...N} • 9Li芯核部分 {i(9Li); i=1,...N} は9Li孤立系と同じ基底 • {b; b0s, b0p1/2,...}は、9Liで最適化された値を用いる 系の波動関数(変分未知関数 {i(nn);i=1,...N}) を求めるに直交条件模型(OCM) • OCMの結合Schrodinger方程式 iは配位状態 i に依存したパウリ・ブロッキング効果に導く
1c) 11Li=9Li+n+n 9Li-n-n相対運動部分 n1 9Li n2 • 9Li芯核部分 {i(9Li); i=1,...N} は9Li孤立系と同じ基底 • {b; b0s, b0p1/2,...}は、9Liで最適化された値を用いる • OCMの結合Schrodinger方程式 を解く際には、少数多体系手法のTV模型波動関数を用いる。 V1 T1 T2 + V2
1d) 境界条件 9Li-n間の反対称化のない状態 n1 10Li “ i ”に依存しない共通のJ0(n) V1 11Li V2 T1 T2 中性子が芯核と相互作用する領域(内部領域)では9Liの中性子とパウリ原理のために変化する。この変化はOCM方程式に従って動的に変化する。この動的変化がパウリ・ブロッキング効果を生む。
1e) 有効相互作用の選択 10Li, 11Liの微視的2、3体模型で必要となる相互作用は次の3種である。 i) Vnn ii) Vcn iii) H(9Li)の2体相互作用 vij 選択の方針:9Li, 10Liの実験情報とその理論的知識を活用し、 3種毎に次のように設定した。 Vnn : • 現実的2体力のvnnで用いたのはAV8’(Argonne) • ハロー2中性子間のnn相関をみるため、特別な制限を置かない Vcn : MHN相互作用を2体有効相互作用とし、9Liの核子密度関数で畳み込むFolding potentialを用いた。その強さは11Liの結合エネルギーを導くよう調節した。またpotential tailは湯川型とした。 vij : vij(tensor)については i) AV8’をそのまま用いるか、 ii)AV8から作られた模型空間をkQ=2.8 fm-1 > kF=1.4 fm-1とするG行列のAK力を用いた。 vij(central)については 9Liの結合エネルギーと平均2乗半径(r.m.s. radius) をあわせる様に中間領域ポテンシャルを調整した。 (深さ21.5%減、拡がり0.185fm増)
1f) テンソル力の特質 ー 中間距離相関 軌道角運動量L=2、スピンS=2移行 の相互作用 S波D波の結合を生む 行列要素の被積分関数
IV-2 9Liのテンソル相関と対相関の2つのエネルギーの極小値 2a) 拡がりパラメータ(bp1/2とbp3/2)のエネルギー表面と2つの極小値 このエネルギー表面の計算は(0s1/2)2(0p1/2)2を1つのGaussianで表現したために、テンソル行列要素を1.5倍にしてとられた。1.5倍の理由は下図で示されている。 a) b0p3/2=1.8 fm, b0p1/2=0.85 fm E(9Li, a)=-43.8 MeV 4HeでのGauss展開法による収束性を示した図である。この収束した結果を9Liにおいて用いている。 b) b0p3/2=1.8 fm, b0p1/2=1.8 fm E(9Li, b)=-37.3 MeV
2b) 2つの極小点の性質と、その重ね合わせられた状態の性質 • テンソル相関 主要 (0s1/2->0p1/2) • 対相関 主要 (0p3/2->0p1/2) T. Myo, K. Kato, H. Toki and K. Ikeda PRC76, 024305 (2007).
2c) 9Liの種々のr.m.s.radius T. Myo, K. Kato, H. Toki and K. Ikeda, PRC76, 024305 (2007). [48] I. Tanihata et al., Phys. Lett. B 206, 592 (1988). [4] A. V. Dobrovolsky et al., Nucl. Phys. A766, 1 (2006). [9] R. Sanchez et al., PRL96, 033002 (2006). [10] M. Puchalski, A. M. Moro, and K. Pachucki, PRL97, 133001 (2006).
IV-3 10,11Liでのテンソル相関と対相関にるパウリ・ブロッキング効果 3a) パウリ・ブロッキングの概念図 異なるパリティ状態 結合する • 対相関 :パウリ・ブロッキング効果は10Li,11Liで同程度 • テンソル相関 : 11Li[(0p)2]でパウリ・ブロッキング効果最大
3b) 11Liの基底状態の得られた性質と4つの模型の比較 i) Inert core (=0.066) ii) 対相関のみ (=0.143) iii) テンソル相関のみ (=0.1502) iv) 両相関(=0.1745) Simon et al. Rm P(s2) 4つの模型は共にS2n(11Li)=0.31 MeVが得られるようにFolding potential Vcnの強さが(1+)倍調節されている。 Tensor +Pairing
3c) Coulomb breakup strength of 11Li No three-body resonance E1 strength by using the Green’s function method +Complex scaling method +Equivalent photon method (T.Myo, Aoyama, Kato, Ikeda, PRC63(’01)054313) • Expt: T. Nakamura et al. PRL96,252502(2006) • Energy resolution with =0.17 MeV.