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7[ 再 々 ] ・ 日本を再認識してみる. 2009.06.16. 青山 ・文化人類学. 「日本人」とはいつを基点にするか. 日本列島にモンゴロイドが到達する以前 (日本列島にヒトがまだ渡ってくる前)= 3 万年前を基点にすれば、全員が「渡来人」 = 100 %がエスニック・マイノリティ 現状の「日本人」に最も近い定義は、明治維新直後の 1872 年壬申戸籍に登録された者の末裔 、つまり、 1872 年が基点 わたしたちの多くが「日本国籍」のパスポートをもらえ、自分が「日本人である」と特に疑問もなく思っていられる根拠はここにある
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7[再々]・日本を再認識してみる 2009.06.16.青山・文化人類学
7[再々]・日本を再認識してみる 「日本人」とはいつを基点にするか • 日本列島にモンゴロイドが到達する以前(日本列島にヒトがまだ渡ってくる前)=3万年前を基点にすれば、全員が「渡来人」=100%がエスニック・マイノリティ • 現状の「日本人」に最も近い定義は、明治維新直後の1872年壬申戸籍に登録された者の末裔、つまり、1872年が基点 • わたしたちの多くが「日本国籍」のパスポートをもらえ、自分が「日本人である」と特に疑問もなく思っていられる根拠はここにある • これよりあとに「入ってきた」ひとたちが、わたしたちの感覚では「外国人」あるいは「他民族」ということになる
7[再々]・日本を再認識してみる 日本の勢力圏拡大と国家形成 (1) • 1869年 北海道を領有……北海道アイヌ • cf. 榎本武揚「北海道共和国」(1868年10月~1869年5月) • 1871年 琉球(沖縄)を領有……琉球エスニック・グループ • このことが、それまで既に多様であった旧幕藩体制域の間の差異よりも、ずっと大きな差異を国家体制内に組み込む嚆矢となった • 以後、日本は多民族帝国への道を進み始める
7[再々]・日本を再認識してみる 日本の勢力圏拡大と国家形成 (2) • 1875年 千島列島を領有・樺太を放棄 • cf. 千島アイヌ……近世には北千島・中部千島・南千島の3集団からなり、カムチャツカ半島の住民との交易が15~16世紀頃には始まっており、また千島産のラッコ皮や鷲羽などが日本にもたらされていた。近世後期、中部千島以北はロシア、南千島は日本側の勢力下にあったが、1875年樺太・千島交換条約によりすべて日本の統治下におかれた。ロシア化されていたシュムシュ(占守)島やポロムシル(幌筵)島の北・中部千島アイヌ97人は、1884年シコタン(色丹)島に移住させられたが、環境が合わず5年の内に半数が死亡、さらに第二次大戦時のソヴィエト侵攻により色丹島から根室に強制引き揚げを余儀なくされた。 • cf. 樺太アイヌ……樺太のアイヌは3年後に日露いずれかの国籍を選ぶことになっていたが、1875年10月、日本は樺太アイヌ841人を北海道に強制移住させた
7[再々]・日本を再認識してみる 日本の勢力圏拡大と国家形成 (3) • 1875年 小笠原列島を再領有(以前は1861-1863年)……アメリカ系・イギリス系 • 1895年 台湾を領有……台湾漢人および台湾原住民 • 1905年 南樺太を領有……ウィルタ(オロッコ)・ニヴフ(ギリヤーク)・サハリン=樺太アイヌ • 1910年 大韓帝国を併合……韓民族/朝鮮民族 • 1914/22年 南洋群島(ミクロネシア)……チャモロ(スペイン系)とカナカ(それ以外) • 1931年 満洲国
7[再々]・日本を再認識してみる 日本の勢力圏拡大と国家形成 (4) • 1941年 香港占領 • 1942年 シンガポール(英領)、インドネシア(蘭領)、ビルマ(英領)、フィリピン(米領)、ニューギニア(豪領)、ソロモン諸島(英領)、ギルバート・エリス諸島(英領)、ナウル(国連委任統治領)、アリューシャン列島(米領)を相次いで占領
7[再々]・日本を再認識してみる 敗戦による領土(とその住民)の喪失(1) • 沖縄は米軍政下へ(1950年民政移行・1972年5月15日「復帰」) • 千島列島はソヴィエトへ返還 • 小笠原は米軍占領下へ(旧島民は戦時中に強制引揚済~1946年欧米系住民「帰島」・1968年6月26日「返還」) • 台湾は中華民国へ返還 • 南樺太はソヴィエトへ返還 • 朝鮮は米ソ両軍政下へ(1945年12月米英ソ3国の信託統治下へ、1948年8月大韓民国・1948年9月朝鮮民主主義人民共和国が相次いで成立、南北分断へ~1950年朝鮮戦争)
7[再々]・日本を再認識してみる 敗戦による領土(とその住民)の喪失(2) • 南洋群島は米軍占領下へ(1947年国連信託統治下へ、以後ミクロネシア連邦設立をめざすが、マリアナ諸島はアメリカ自治領・マーシャル諸島は1979年自治政府~1986年独立、ベラウ(パラオ)は1994年独立、残るヤップ・チュウック(トラック)・ポーンペイ(ポナペ)・コシャエでミクロネシア連邦が1986年独立) • 満洲国は崩壊、中華民国~中華人民共和国へ • 香港はイギリスへ返還 • シンガポールはイギリスへ返還、1963年マレーシア連邦の1州として独立、さらに1965年マレーシア連邦から追放され1国として独立 • インドネシアは直後にオランダからの独立戦争に入り1949年独立
7[再々]・日本を再認識してみる 敗戦による領土(とその住民)の喪失(3) • ビルマはイギリスへ返還、1948年独立 • フィリピンはアメリカへ返還、1946年独立 • ニューギニア(東部)はオーストラリアに返還、1975年パプアニューギニアとして独立 • ソロモン諸島はイギリスに返還、1978年独立 • ギルバート・エリス諸島はイギリスに返還、1978年エリス諸島がツヴァル、1979年ギルバート諸島がキリバスとして独立 • ナウルは国連信託統治領、1968年独立 • アリューシャン列島はアメリカに返還
7[再々]・日本を再認識してみる なぜ「単一民族国家」のように思うのか • 以上の膨張過程を通じて、日本は戦前において「多民族帝国」化した • 敗戦により、海外領土とともに「他民族も全て喪失した」と考えられた • 実際にはそれは間違いで、それは戦後朝鮮人(朝鮮人・韓国人)・台湾人の扱いをめぐってみられた「不作為」に明らか • 結果として、さしひき「もともとの大和民族」だけが残ったという「単一民族幻想」が、戦後になって作られた