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経済原論 IA 第 13 回 「ミクロ経済学で使う最適化理論 (II) 」 京都大学経済学部 依田高典. 偏微分を使う簡単な最適化問題 アドバイス:各種資格試験の択一では細々した奴隷的計算問題が多いが、実はせいぜいコブダグラス型と CES 型の 2 つの関数形に関する解き方を理解していれば、大体事足りることが多い。 ( 大学院に行くと、もう少し汎用的なトランスログ型関数を使うことになる。 ) 問題のみ掲示。解答は講義時にホワイトボード上で解説。. 1. コブ・ダグラス型効用関数 財 x,y を消費する効用関数を、消費量を q x ,q y として、
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経済原論IA 第13回 「ミクロ経済学で使う最適化理論(II)」 京都大学経済学部 依田高典
偏微分を使う簡単な最適化問題 アドバイス:各種資格試験の択一では細々した奴隷的計算問題が多いが、実はせいぜいコブダグラス型とCES型の2つの関数形に関する解き方を理解していれば、大体事足りることが多い。(大学院に行くと、もう少し汎用的なトランスログ型関数を使うことになる。) 問題のみ掲示。解答は講義時にホワイトボード上で解説。
1. コブ・ダグラス型効用関数 財x,yを消費する効用関数を、消費量をqx,qyとして、 とする。今、財x,yの価格が等しいとするとき、効用極大化の場合におけるx財の支出額のy財の支出額に対する比率を示せ。(国家I種 一部改)
2.CES型効用関数 財x,yを消費する効用関数を、消費量をqx,qyとして、 とする。今、財x,yの価格をp1,p2、所得をYとするとき、効用極大化の場合におけるx財とy財の最適消費量を示せ。(国家I種 一部改)
3. コブ・ダグラス型生産関数 資本投入量をK、労働投入量をLとする生産物Yの生産関数を、 とする。今、労働の所得分配率が60%とすると、αの値はいくらか。ただし、要素報酬率はそれぞれの限界生産物に等しいとする。(国家II種 一部改)
4.CES型生産関数 資本投入量をK、労働投入量をLとする生産物Yの生産関数を、 とする。要素報酬率はそれぞれの限界生産物に等しいとする。その場合、実質賃金率はいくらか。また、技術的限界代替率はいくらか。(国家I種 一部改)
5. 契約曲線 2人の個人A,Bと2種類の財x,yからなる経済において、2人の効用関数をそれぞれ、 とする。経済の総資源量がそれぞれ10単位である場合パレート最適な資源配分を求めよ。(国家I種 一部改)
最後に ここまで、授業にずっと真面目に付合った学生さんはご苦労さん。僕が京大に入学したのが前回阪神が優勝した年。丁度、プラザ合意があり、バブルが始った年でもある。その後、バブルが弾け、日本は底なしの不況に突入し、未だ負の遺産に呻吟している。京大生だから将来が保証されるような生温い時代ではなくなった。むしろ、君たちは、自分が未だに何一つ世の中で評価されるような「付加価値」を身につけていないことを自覚した方がよい。 さて、君たちの思い描く未来像は、例えば、研究者(大学院進学)・公務員(国家・地方・国際)・海外留学・公認会計士(資格試験受験)・弁護士(法科大学院進学)・しばらく働いた後MBA取得といったところであろうか。政治家を目指す人もいるかもしれない。 起業家を目指す人もいるだろう。今既に高い目標を持って、努力をしている学生はそのまま頑張るように。まだ、何も具体的な道の見えてこない学生は、取りあえず、(1)国家公務員(第I種)経済職程度の経済学・法律、ならびに(2)TOEFLの英語の勉強から始めよう。国Iの試験勉強を推薦したのは、今回検討した各種試験の中でやはり一番、出題の範囲とレベルがこなれていたからで、別に官僚にならなくても良い。最近は、国Iの試験も資格試験化し、次年度以降にも持ち越しできるし、国IとTOEFLをしっかり勉強しておけば、どのような進路変更にも対応できる。 経済学を学ぶ者は、経済学を単なる立身出世の道具として役立てるのではなく(それ自体を否定しないが)、社会改革の道として学んで欲しい。かって、英国のオクス・ブリッジでは、「ノブレス・オブリージュ(高貴なる者の義務)」が尊重された。「失われた世代」という言葉がある。オクス・ブリッジ生は第一次世界大戦勃発時に自ら志願し、最も苛烈な最前線に赴き、そしてあまた命を散らした。今後もJ.M.Kの生涯を巡る毀誉褒貶は尽きまいが、第二次世界大戦後のブレトン・ウッズ体制の確立のために弱る心臓にむち打ち、その成立を見ることなく急死したケインズの姿に、やはり同型を見出すことも出来よう。 神々の黄昏れた現代社会。マルクス主義はもはや社会改革の実践としての主導的立場を失った。経営学の甘言で世の中が良くなるようには思われない。哀しい消去法ではあるが、強靱な批判精神を忘れずに、(本来アングロ・サクソン民族のイデオロギーに過ぎなかった)ミクロ経済学に正面から取組むのが、社会改革のための確かな道程のように思われる。諸君のその後の創造的破壊を期待します。頑張って下さい。