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竹川俊也、岡朋治、 田中邦彦、 松村真司、 三浦昂大 ( 慶應義塾大学 ) 、酒井大裕 ( 東京大学 ). Background 活動銀河核 (AGN) : 銀河全体に匹敵するほどの 莫大なエネルギー を放出 中心核に潜む 10 6 – 10 9 M ☉ の 超巨大ブラックホール( SMBH ) がエネルギー源. Sgr A * へ落ちつつあるガス雲 G2 の発見が報告された! ( Gillessen et al. 2012). 中心核に 質量降着 → 活動現象を引き起こすことが期待!.
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竹川俊也、岡朋治、田中邦彦、松村真司、三浦昂大 (慶應義塾大学) 、酒井大裕 (東京大学) Background 活動銀河核(AGN): 銀河全体に匹敵するほどの莫大なエネルギーを放出 中心核に潜む106 – 109M☉の超巨大ブラックホール(SMBH)がエネルギー源 Sgr A*へ落ちつつあるガス雲G2の発見が報告された!(Gillessen et al. 2012) 中心核に質量降着→活動現象を引き起こすことが期待! • G2の最接近時期は2013年9月もしくは2014年の3月(Gillessen et al 2013) 我々の住む銀河系にも4×106 M☉のSMBH =電波源Sgr A* 暗くて おとなしい • Sgr A*の活動性がCNDを含む周囲の環境に • どのような影響を及ぼすのかは謎 解明に つながる?! Sgr A*の周り1 pc から数 pc の距離にわたって 高温高密度なトーラス状のガス雲が広がっている Sgr A*およびCircumnuclear disk方向の3mm帯ラインサーベイ観測 銀河系中心核領域の現在の状態を知っておくことは非常に重要 なのにこれまで Sgr A*および CND 方向の mm 波帯での ラインサーベイ観測は行われてこなかった! Circumnuclear disk (CND) (下図左参照) 過去数百年前までは格段に活動的であった可能性が by X線観測 (Ryu et al. 2013など) 検出された分子輝線 Observations 2013年2月下旬と5月下旬に野辺山45m鏡を利用 受信機:TZ1H&TZ1V 分光計:SAM45 観測周波数:81 GHz–116 GHz 観測点: (l, b)=(0”,0”), (+46”,0”), (−40”,0”) の3点(右図) ビームサイズ : 約20” システム雑音温度Tsys〜250 K Image rejection ratio 〜4 dB 赤い十字がターゲットポジション。円はビームサイズを表している。左はHCN J=1-0 の積分強度図に、右は6cmの電波連続波に重ねて表示してある。 Result & Analysis 右の表は検出された分子輝線のリストである。(ただし、混在しているもの判断のつかないものも含め、検出された可能性のあるもの全てをリストアップしてある。) CH3OHやHCCCNなどは複数検出できている。 Abstract 銀河系中心に位置する電波源 Sgr A*は 400 万太陽質量の超巨大ブラックホール (SMBH) であると考えられてい る。その Sgr A*を取り囲むように 1 pc から数 pc の距離にわたって広がるトーラス状のガス雲は Circumnuclear disk (CND) と呼ばれ、様々な分子や電離ガスを多く含んでいる。CND の化学組成や物理状態は中心核SMBHに起因する活動現象の影響を受けている可能性がある。複雑な銀河系中心の物理状態や化学組成を調べるには、様々な分子輝線の定量解析が重要である。さらに近年発見さ れた Sgr A∗ へ落ちつつあるガス雲G2(Gillessen et al. 2012) が中心 SMBH に質量降着すれば、激しい活動現象が引 き起こされ、Sgr A*周りの環境に変化が起こるかもしれない。それにもかかわらず、これまで Sgr A*および CND 方向の mm 波帯でのラインサーベイ観測は行われてこなかった。 そこで今回私たちは野辺山 45m 鏡を用いて Sgr A*および CND 方向の 3mm 帯 (81 GHz から 116 GHz) での ラインサーベイ観測を行った。観測点はSgr A*方向 (l, b)=(0”,0”)とCND方向の2点(l, b) = (+46”,0”), (−40”,0”) の計3点である。その結果、CO、CS、 HCN、CH3OH、HCCCN など様々な分子種の輝線スペクトルを得ることができた。特にCH3OHやHCCCNについては多数の 遷移放射が検出できた。また非常に大きな速度幅をもつ水素再結合線もいくつか検出することができた。水素再結合線は、G2が落下することにより Sgr A*が活発化すると、まず最初に強度や速度幅が増大することが期待されており重要である。さらに強度の比較的強い輝線については主成分解析(PCA)を行った。解析は現在進行中であるが、本ポスターでは観測で得られたスペクトル線とPCAの結果を紹介し、今後Sgr A*が活動的になることを念頭に中心核周りの現在の環境について議論したい。 • 各観測点で得られたスペクトル線図 検出された分子種および原子は44種、輝線は135本である。このうちで比較的強度が強い分子輝線と水素再結合線(Hα線)を左図に示してある。なお横軸は視線速度に変換してある。多くの輝線は大きな速度幅を持ち、Hα線は非常に大きな速度幅を持つことが見て取れる。CNDの回転(〜±100 km/s)を反映したドップラーシフトも確認できる。ベースラインの歪みも除去しきれていないものもある。foregrondもしくはbackgroundを見てしまっている場合も多く、今後定量的な解析を行っていく際には注意が必要である。 またこれら代表的な分子輝線に対して主成分解析(PCA)を行った。(速度を変数とした。) 下図がPCAの結果を示したものである。なお各主成分の寄与率はPC1: 〜70% PC2: 〜15% PC3: 〜10% である。 PCAとは、相関関係を持つ観測値のデータから互いに無関係の因子(主成分)を選び出し、観測値をその因子の線形結合で表す手法である。PCAを行うことで、各分子輝線の共通点を探し出し分類できる可能性がある。 • 主成分解析(PCA)の結果 • 代表的なスペクトル Prospects 現在解析は進行中であり、Sgr A*やCNDについて新しく具体的に言及できることはまだない。今後は、入念にベースラインをひき直した上で、CNDの速度の決定、CH3OHやHCCCNについてボルツマンダイヤグラムを描くことによる温度評価、CN/HCN強度比やHCO+/HCN強度比を調べることによるXDRモデルの検討などを行いたい。さらにPCAを進めることで新しい発見ができることを期待している。また、ASTE望遠鏡による300GHz帯での同様の観測も予定されている。ASTE観測で得られデータを合わせることで、Sgr A*やCNDについてより具体的なことが言えるようになるであろう。今後G2がSgr A*に落ちることを楽しみにしつつ、解析を進めていきたい。