490 likes | 570 Views
日本語構造伝達文法. 複主体,複主語. [6-2]. 複主体 複主語. この項は 『 日本語構造伝達文法( 05 版) 』 の第 19 章~第 21 章の内容に基づいています。. 今泉 喜一. 2011 年 10 月. 印刷 1-3,8-28,30-35,37,39,41,43-45,47-48. 複主体. 複主語. 複主体. 日本語の大きな特徴の一つ. A は B が ~ 。. という構文で, A と B が共に 主格 にある場合の構造を考える。. ○. 彼 は 目 が 大きい。. ← 彼 が 目 が 大きい。. ×.
E N D
日本語構造伝達文法 複主体,複主語 [6-2] 複主体複主語 この項は『日本語構造伝達文法(05版)』の第19章~第21章の内容に基づいています。 今泉 喜一 2011年 10月 印刷 1-3,8-28,30-35,37,39,41,43-45,47-48
複主体 複主語 複主体 日本語の大きな特徴の一つ AはBが~ 。 という構文で, Aと Bが共に 主格にある場合の構造を考える。 ○ 彼は目が大きい。 ← 彼が目が大きい。 × 桃は彼が食べた。 ← 桃を彼が食べた。 複主体を次の4種の構造に分けて考える。 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 [2] 複数の主体が同一属性に立つ構造 [3] 態を含む構造 [4] 上置き構造を伴う構造
私 主格3形式
私 私 hasir- 主格3形式 / -u 私,走る。
私 私 私 hasir- hasir- hasir- 主格3形式 主格3形式
私 私 私 hasir- hasir- hasir- 主格3形式
私 私 私 私 hasir- hasir- hasir- hasir- 第1主格 1 主語について述べる 典型的主語 → 主格詞 Ø1 主格3形式 私 Ø1 走る。 第2主格 2 出来事について 述べる 主格詞 が1 私 が1 走る(こと) 3 第3主格 主語が選ばれる → 主格詞 が2 私 が2 走る。
「は」 [実体ふちどり描写] は,も,こそ [相対化描写](とりたて詞,副助詞,係助詞) 彼Ø1本を読む 彼Ø1は本を読む 彼Ø1は本をは読む [主題にする。] [他と対比する。] 「は」目立つようにしてほかと区別する。 「は」 は [主題化・対比] の機能をもつ。
主格名詞は Ø,が,は で示される。 1林さんØ来ました。 3,5林さんが 来ました。 2, 4林さんは来ました。 描写詞 「は」 主格詞 「Ø1・が」と 主格 +は 主語の実現形式 機 能 - ~Ø1 1 私Ø1田中です。 主語について述べる。 Ø1 ~Ø1は +は 2 私Ø1は田中です。 主語について述べる。 主題・対比 - ~が1 3 あっ,犬が1います。 事実提示/従属節内主語 が1 事実活写提示/ +は ~が1 は 4 雨が1は降る降る。 従属節内対比主語 が2 - 5 ~が2 質問への回答など(選択主語) 私が2田中です。
複主体 複主体を4種の構造に分けて考える。 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 [2] 複数の主体が同一属性に立つ構造 [3] 態を含む構造 [4] 上置き構造を伴う構造
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 1-1 形容属性の場合 形容実体+形容辞 長 naga+ .k- (形容実体) =形容詞 (属性) naga.k- = .k- 属性 (形容属性) 形容辞 鼻 (主体) 長 鼻-ga naga.k- 鼻が長い .k- 1主体,1属性 =単位構造
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 鼻 長 .k- .k- 象 鼻 長 .k- 鼻が長い… 単位構造 象Ø1 鼻が長い 象… 単位構造を属性とする主体 属性主体 は属性の一部 主体が2つになる … 違いは何? 属性主体 本主体 属性主体 形容実体 形容実体 属性 .k- 中国語
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 [特徴1] 属性主体は本主体と常識的に明瞭な関係を持つものであるべき。 本主体は何でもよいが,属性主体には制約がある。 この象 Ø1は 窓が かわいい。 →意味不明 象が象の形のバスなら意味が分かる。 本主体 属性主体 窓はバスとは明瞭な関係がある。 空は指が太い。 ? 富士山は島が純白だ。 ? 川はドアが開く。 ? 東京は人口が多い。 彼は発音が明瞭だ。 ボクは熱が出た。
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 1-2 断定属性の場合 (形容動詞も) 彼 父親 父親 公務員 公務員 de de ar- ar- で格実体 断定属性 主体 本主体 属性主体 2つの主体 父親 Ø1 公務員である。 彼Ø1父親が公務員である。 「単位構造」 [特徴1] 属性主体は本主体と常識的に明瞭な関係を持つものであるべき。 * 彼Ø1は 田中さんが公務員である。
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 1-2断定属性の場合 (形容動詞も) で格実体と属性主体の入れ替えが可能な場合がある。 彼 趣味 彼 陶芸 陶芸 趣味 de de ar- ar- で格実体 で格実体 本主体 属性主体 本主体 属性主体 彼 Ø1趣味が陶芸である。 彼 Ø1 陶芸が趣味である。
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 1-3 動属性の場合 田中 長男 長男 結婚 結婚 o o s- s- を格実体 動属性 主体 本主体 属性主体 長男が結婚する。 田中さん Ø1 は長男が結婚する。 「単位構造」 [特徴1] 属性主体は本主体と常識的に明瞭な関係を持つものであるべき。 *田中さん Ø1 は鈴木さんが結婚する。
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 後ろ 男 五郎 後ろ 気 五郎 気 男 -ru ni i- ni ni i- tuk- ni tuk- 1-3動属性の場合 単位構造が連語の場合 五郎は後ろにいる男に気がつく。 気がつく……単位構造としての連語 他の例 腕が上がる 腕が立つ 手が空く 骨が折れる 気が多い 気が短い 頭がいい 目が高い (形容詞)
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 [特徴2] 「のつなぎ」描写① 「本主体」→「属性主体」の方向でなければならない。 象 鼻 本主体 属性主体 長 形容実体 の の .k- .k- 象Ø1 鼻が長い。 本主体 の属性主体が ~ 象の 鼻が長い。 逆向きの のは不可。 *鼻 の 象 が長い。 本主体(象)が単独の属性(長い)の主体になってしまう。
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 彼 父親 田中 長男 公務員 結婚 の o の de ar- s- で格実体 本主体 属性主体 本主体 属性主体 彼 Ø1 は父親が公務員である。 田中さん Ø1 は長男が結婚する。 彼 の父親 Ø1は公務員である。 田中さん の長男 Ø1 は結婚する。 [特徴2] 「のつなぎ」描写は「本主体」→「属性主体」の方向で。 *父親の 彼Ø1は公務員である。 *長男 の 田中さん Ø1 は結婚する。
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 [特徴3] 「のつなぎ」描写② 属性で実体修飾をする場合は,双方向の「のつなぎ」描写が可能。 「本主体」→「属性主体」 / 「属性主体」→「本主体」 象 鼻 本主体 属性主体 長 の 形容実体 の .k- .k- 「本主体」→「属性主体」 象の 鼻 長い (属性で実体を修飾) 「属性主体」→「本主体」 鼻 の 象 長い (属性で実体を修飾) いずれも単位属性「鼻が長い」全体が本主体「象」を修飾することになる。
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 彼 父親 田中 長男 公務員 結婚 の の o de ar- s- で格実体 本主体 属性主体 本主体 属性主体 彼 の父親 公務員である 田中さん の 長男 結婚する 父親の 彼 公務員である 長男の 田中さん 結婚する [特徴3] 「のつなぎ」描写② 属性で実体修飾をする場合は,双方向の「のつなぎ」描写が可能。
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 [特徴4] 「のつなぎ」描写③ 本主体は,それと特定できる実体であるべき。 妻の賢い弟 ……賢いのはだれ? 妻 弟 弟 妻 賢 の 賢 の 敏子 敏子 .k- .k- 本主体 属性主体 本主体 属性主体 妻は弟が賢い。 弟は妻が賢い。 妻の 弟 妻の 弟 二義 妻の 賢い 弟 妻の 賢い 弟 敏子の 賢い 弟 属性主体は本主体との関係物・人。 属性主体の妻は「敏子」になりにくい。 本主体を敏子のように特定できる 実体にすると二義は生じにくい。
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 [特徴4] 「のつなぎ」描写③ 本主体は,それと特定できる実体であるべき。 妻の賢い弟 ……賢いのはだれ? → 敏子の 賢い 弟 (敏子は 弟 が賢い。) 妻を本主体とする場合 →妻の 賢い 俊彦 弟を本主体とする場合 (俊彦は 妻 が賢い。) 親友のフリーターである息子 ……フリーターはだれ? →親友 の フリーターである 大輔 (大輔は 親友がフリーターである。) → 田中さんの フリーターである 息子 (田中さんは 息子 がフリーターである。) 姉の結婚する娘 ……結婚するのはだれ? → 佐藤さん の 結婚する 娘 (佐藤さんは 娘が結婚する。) →姉の 結婚する 林さん (林さんは 姉が結婚する。)
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 小王 小王 父亲 父亲 死 死 了 了 [中国語] 小王死了父亲。 小王的父亲死了。 的 本主体 属性主体 我腰疼。 这本书内容不错。 中国经济持续发展。 她脸红了。 中国語
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 彼 調子 調子 良 夏 良 .k- .k- 1-4 本主体が複数ある場合 単位構造調子が良い 彼Ø1 は 夏が調子が良い。 実現する場としての本主体 実現する時としての本主体
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 智 雄 雄 夏 調子 智 調子 良 良 .k- 夏 .k- 1-4 本主体が複数ある場合 本 主 体 属性主体 智ちゃん と 雄くんØ1 は 夏が調子が良い。 実現する場としての本主体 時の本主体
複主体 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 彼 読書 読書 趣味 テニス 彼 テニス 趣味 de ar- de ar- 1-5 属性主体が複数ある場合 彼Ø1 は 読書 と テニスが趣味である。 本主体 属性主体
複主体 複主体を4種の構造に分けて考える。 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 [2] 複数の主体が同一属性に立つ構造 [3] 態を含む構造 [4] 上置き構造を伴う構造
複主体 複主体を4種の構造に分けて考える。 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 [2] 複数の主体が同一属性に立つ構造 [3] 態を含む構造 [4] 上置き構造を伴う構造
複主体 [2] 複数の主体が同一属性に立つ構造 私 私 故郷 故郷 懐かし 懐かし .k- .k- 形容属性の場合 私は故郷が懐かしい。 参考 林さんは娘が結婚する。 私が懐かしい。 私…… 感覚主体 ×林さんが結婚する。 ○娘が結婚する。 故郷が懐かしい。 故郷… 帯感主体 感覚主体と帯感主体は常識的な明瞭な関係を持つ必要はない。
複主体 [2] 複数の主体が同一属性に立つ構造 彼 うどん 彼 うどん 好き 好き de ar- de ar- 断定属性の場合 (形容動詞も) 彼はうどんが好きだ。 感覚主体 帯感主体 彼 は うどん が 好き -de ar-u. 彼 は うどん が 好き -de ar-u.
複主体 [2] 複数の主体が同一属性に立つ構造 彼 彼 うどん 好き うどん 好き de 好き ar- 好き de ni ni 格移動 ar- 格移動 連体修飾の場合 うどんの好きな彼 彼が好きなうどん の うどん の 彼 彼 -ga 好き ni ar-uうどん うどん の 彼 彼 -ga 好き ni ar-uうどん うどん の 好き-ni ar-u 彼 連体修飾では「で格実体」が「に」格に うどん の 好き-ni ar-u彼 移動する……格移動
複主体 [2] 複数の主体が同一属性に立つ構造 彼 彼 うどん 好き うどん 好き de 好き ar- 好き de ni ni 格移動 ar- 格移動 連体修飾の場合 うどんの好きな彼 彼が好きなうどん の この二義性 をどう説明するか。 田中さんの好きな鈴木さん この2主体は属性に対して対等な関係にある。 田中さんが好きな鈴木さん つまり,どちらも感覚主体でありうるので二義 を生じている。
複主体 [2] 複数の主体が同一属性に立つ構造 彼 彼 英語 お金 deki- ir- 動属性の場合 彼はお金が要る。 彼は英語が出来る。 語源 「要る」はもともと 「出来る」はもともと 「必要物の中に入る(イル)」の意。 「出現する・生成する」の意。 「彼」は場の主体 「彼」は場の主体 ……「に格」に置くこともできる。 ……「に格」に置くこともできる。 彼にお金が要る。 彼に英語が出来る。
複主体 複主体を4種の構造に分けて考える。 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 [2] 複数の主体が同一属性に立つ構造 [3] 態を含む構造 [4] 上置き構造を伴う構造
複主体 複主体を4種の構造に分けて考える。 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 [2] 複数の主体が同一属性に立つ構造 [3] 態を含む構造 [4] 上置き構造を伴う構造
複主体 [3] 態を含む構造 彼は英語が分かる。wak-ar- 彼は英語が読める。 yom-e- 彼は目が見える。mi-e-
複主体 [3] 態を含む構造 彼 英語 彼は英語が分かる。wak-ar- o 彼は英語が読める。 yom-e- wak- ni 彼は目が見える。mi-e- -ar- wak- : 区別する。理解する。 彼に英語が分かる。 別々にする。 属性一体化 彼 英語 o 彼に英語が分かる。 wak- -ar- 彼が英語が分かる。 複主体の出現 彼が英語が分かる。 (を)
複主体 [3] 態を含む構造 彼 英語 彼は英語が分かる。wak-ar- o 彼は英語が読める。 yom-e- yom- ni 彼は目が見える。mi-e- -e- 彼に英語が読める。 属性一体化 彼 英語 o 彼に英語が読める。 yom- -e- 彼が英語が読める。 複主体の出現 彼が英語が読める。 (を)
複主体 [3] 態を含む構造 彼 目 彼は英語が分かる。wak-ar- de 彼は英語が読める。 yom-e- mi- ni 彼は目が見える。mi-e- -e- 彼が目で見る +-e- 属性一体化 彼 目 彼が目で見る。 mi- -e- 彼が目が見える。 複主体の出現 彼が目が見える。
複主体 複主体を4種の構造に分けて考える。 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 [2] 複数の主体が同一属性に立つ構造 [3] 態を含む構造 [4] 上置き構造を伴う構造
複主体 複主体を4種の構造に分けて考える。 [1] ある主体が「単位構造」を属性とする構造 [2] 複数の主体が同一属性に立つ構造 [3] 態を含む構造 [4] 上置き構造を伴う構造
複主体 [4] 上置き構造を伴う構造 私 水 水 私 o nom- o ta nom- ta .k- .k- 私は水が飲みたい。 →上置き構造: 私が水を飲む 感覚主体 帯感主体 私は水が飲みたい。 「たい」: 上置き構造が現実世界に実現することを話者が望む。 「私」 感覚主体 「水」 帯感主体 上置き構造の論理関係を優先して表現することもできる。 私は水 を 飲みたい。
複主体 [4] 上置き構造を伴う構造 彼 水 彼 水 o nom- o ta nom- ta .gar- .gar- 彼は水を飲みたがる。 「たがる」: 上置き構造が現実世界に実現することを 話者以外の主体が望む。 複主体構造を構成しない。
複主体 終わり
複主体 正しい? ◎ 戻る
複主体 ◎ 戻る