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緩和ケア ( palliative care パリアティブ・ケア). 消化器・一般外科 夕部由規謙 嶋田仁 大坪毅人. ①緩和ケア全般の概論 ②癌性疼痛:モルヒネ ③癌性腹水・癌性イレウス (④予後予測) 目標: 患者さんに癌性疼痛に関して説明できるようになる ・オピオイドの使用法を知る ・オピオイドの副作用に対応できるようになる. 本日の話. ①緩和ケア全般の概論. 緩和ケアは、生命を脅かす疾患による 問題に直面する患者とその家族に対して、 痛みやその他の身体的、心理的、 社会的な問題、さらにスピリチュアル (宗教的、哲学的なこころや精神、霊魂、魂)
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緩和ケア(palliative careパリアティブ・ケア) 消化器・一般外科 夕部由規謙 嶋田仁 大坪毅人
①緩和ケア全般の概論 • ②癌性疼痛:モルヒネ • ③癌性腹水・癌性イレウス • (④予後予測) • 目標: • 患者さんに癌性疼痛に関して説明できるようになる • ・オピオイドの使用法を知る • ・オピオイドの副作用に対応できるようになる 本日の話
緩和ケアは、生命を脅かす疾患による 問題に直面する患者とその家族に対して、 痛みやその他の身体的、心理的、 社会的な問題、さらにスピリチュアル (宗教的、哲学的なこころや精神、霊魂、魂) な問題を早期に発見し、的確な評価と処置を 行うことによって、 苦痛を予防したり 和らげることで、QOL(人生の質、生活の質) を改善する行為である。 • 2002年 世界保健機構(WHO) 定義 ※ヘルシンキ宣言:ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則 1964年 第18回 WMA総会(世界医師会) ← 緩和ケアとは別もの
× キュアを目指す治療 ターミナルケア ○ 緩和ケア キュアを目指す治療 「ターミナルケア」から「緩和ケア」へ がん患者のかかえる苦痛は、がんと診断される時点から存在する。 決して、「治療しますか?緩和ケアにしますか?」という二者択一のものではない。
看護 症状: ・癌性疼痛 ・腹水・腸閉塞 ・胸水・呼吸困難 ・骨転移・リンパ浮腫 終末期患者 栄養管理 精神的問題: ・不安・うつ状態 ・希死念慮への対応 ・終末期せん妄 社会支援
終末期癌患者の死因は 悪液質(Cachexia)といわれる 全身衰弱が最も多い 終末期癌の死因
疼痛 • 倦怠感 • 呼吸困難 • 嘔気・嘔吐 • せん妄 • 【原因】 • 高Ca血症・低Na血症、感染症、脱水、抑うつなど • 胸水、心嚢水、気道狭窄、喘息、腹水、不安など • 薬物副作用、高Ca血症、低Na血症、脳転移、消化管閉塞、便秘、潰瘍など • 薬物副作用、高Ca血症、低Na血症、脳転移、 消化管閉塞、便秘、潰瘍など 高Ca血症 骨転移がなくても癌患者の15%に認める 症状: 嘔気・嘔吐、食思不振、眠気、せん妄、便秘、口渇など オピオイドの副作用に似ている! 終末期癌患者特有の主な症状
高カロリー輸液(TPN)や1000ml以上の輸液は代謝性合併症や体液貯留の悪化を来たす可能性があるため推奨されない。高カロリー輸液(TPN)や1000ml以上の輸液は代謝性合併症や体液貯留の悪化を来たす可能性があるため推奨されない。 • 鎮静の適応: ①患者の耐え難い苦痛 ②2~3週間の予後 ③意識のある本人・家族双方の同意 • 終末期患者の6割が自宅療養を希望するが、在宅で終末期をむかえられる患者は1割程度
体性痛 突出痛に対するレスキュードーズが重要。 • 内臓痛 オピオイドが効きやすい。 • 神経障害性疼痛 難治性。鎮痛補助薬が効くことがある。 癌性疼痛
【痛みのパターン】 • 持続痛: 「24時間のうち12時間以上経験される平均的な痛み」 • 突出痛: 持続痛の有無や程度、鎮痛薬使用の有無に関わらず発生する一過性の痛み、または痛みの増強。 突出痛 (breakthrough pain) 持続痛 (continuous pain)
①麻薬中毒になる • ②命が縮む • ③だんだんと効かなくなる • ④意識がなくなる • ⑤最期の手段 麻薬製剤に対する誤解
中等度から 高度の痛みに 用いられる鎮痛薬 弱い痛みから 中等度の痛みに 用いられる鎮痛薬 • モルヒネ • オキシコドン • フェンタニル 弱い痛みに 用いられる鎮痛薬 コデイン ジヒドロコデイン トラマドール 非オピオイド鎮痛薬(NSAIDs or アセトアミノフェン) 必要に応じて鎮痛補助薬を併用 (抗痙攣薬, 抗うつ薬, 抗不整脈薬, ケタミン など) WHO方式 3段階除痛ラダー Nsaidsはずっと使う 第2ラダー薬剤(ペンタジン・ソセゴンなど)はモルヒネに拮抗するため併用禁忌
1.by mouth • 2.by the clock • 3.by the ladder • 4.for the individual • 5.with attention to detail WHO: Cancer pain relief.1986 改変 WHO方式がん性疼痛治療の5原則
NSAIDsの開始 痛みをとる オピオイドの導入 残存・増強した痛みの治療 10 10 0 0 持続した痛みをとるために オピオイドを増量する (持続痛の治療ステップ) 動いたとき・突然の痛みに対処 するためにレスキューを使う (突出痛の治療ステップ) オピオイドの副作用対策 副作用対策 眠気 せん妄 嘔気 便秘 ・オピオイドを導入しても痛い場合、持続痛か突出痛かを区別する ・持続痛にはオピオイドの増量、 突出痛にはレスキューを使用する
突出痛 (breakthrough pain) 持続痛 (continuous pain) 使用例 Base:オキシコンチン(10)2T2X Rescue:オキノーム(2.5) 1時間空けて何度でも服用可
突出痛 (breakthrough pain) 持続痛 (continuous pain) 良いコントロール例 Base:オキシコンチン(10)2T2X Rescue:オキノーム(2.5) 1時間空けて何度でも服用可
突出痛 (breakthrough pain) 持続痛 (continuous pain) 不足例 Base:オキシコンチン(10)2T2X Rescue:オキノーム(2.5) 1時間空けて何度でも服用可
患者にがん疼痛マネジメントについて教育することで、痛みは緩和する患者にがん疼痛マネジメントについて教育することで、痛みは緩和する (エビデンスレベル1A)
モルヒネでは嘔気・嘔吐の頻度は高い. • 患者さんが内服を拒む最大の理由が 嘔気・嘔吐なので、必ず制吐剤を併用. • 1週間は必ず投与し、投与継続を判断。 • 使用薬剤 • ノバミン セレネース プリンペラン • ガスモチン ナウゼリンなど • それでも改善しないときリスパダールを追加 オピオイド鎮痛薬の副作用とその対策(嘔気・嘔吐)
オピオイド開始後30〜50%の患者で嘔気あり。オピオイド開始後30〜50%の患者で嘔気あり。 • オピオイドによる嘔気・嘔吐は、オピオイド開始後1〜2週間程度で軽減するとされている。 • ドパミン受容体拮抗薬(ノバミン・プリンペラン)の長期投与では、薬剤性の錐体外路症状に注意。
使用薬剤 • マグラックスカマ • プルゼニドアローゼンラキソベロン ・オキシコドン・モルヒネではほぼ全例に発症 ・投与開始時から下剤を併用する. オピオイド鎮痛薬の副作用とその対策(便秘)
使用薬剤 • 眠気:リタリン 夕の処方は不眠の原因になるので朝処方する まずは経過観察(原因検索) 疼痛が残る状態での減量は控える ・腎障害時のモルヒネ⇒オピオイドローテーション ・脳転移,高Ca血症,低Na血症,低酸素,重症貧血,薬剤(眠剤や抗不安薬・抗うつ薬・H2ブロッカー)。 オピオイド鎮痛薬の副作用とその対策(眠気/せん妄)
呼吸数5回/分程度になっても、CO2が蓄積するほどの強い呼吸抑制は少ない。呼吸数5回/分程度になっても、CO2が蓄積するほどの強い呼吸抑制は少ない。 • まずは、モニタリング.SaO2の低下⇒酸素投与 • 注射によるオピオイド投与時は、半分量に • 呼びかけに反応しない、あるいは呼吸回数が5回以下の場合は、ナロキソン投与を考慮 • ナロキソン(0.2mg/1ml/A) • 生食19ml+ナロキソン1A(total 20ml) 1mlを1~2分かけてゆっくり静注 1時間を過ぎて呼吸が安定すればほぼ安全 <呼吸抑制>
オピオイドの種類を変更すること。 • 副作用の軽減・鎮痛効果の改善が主な目的。 • BaseとRescueは同時に種類変更する。 • 第3ラダーから第2ラダーの変更は禁忌。 オピオイドローテーション
発作性/刺す/走る リボトリール・テグレトール・ガバペン・リリカ • 痺れ/しめつけ/つっぱり/焼ける アモキサン・トリプタノール • 腹膜刺激 キシロカイン • イレウスによる痛み サンドスタチン • 腫瘍による炎症・浮腫 リンデロン・デカドロン 鎮痛補助薬
原因: 腹膜播種 腹膜の透過性亢進 低Alb血症 門脈圧亢進症など 治療: 輸液管理 利尿剤 腹水穿刺 腹水再還流法 CART 抗癌剤腹腔内投与 ステロイド リドカイン など 症状: 緊満感 腹痛 嘔気 呼吸困難 尿量低下しているからといって負荷は行わない
がん自体による機械的な閉塞 • がん治療による閉塞 (術後癒着、放射線照射後の線維化狭窄) • 薬による麻痺性腸閉塞 (オピオイド、抗ムスカリン薬) • 全身衰弱による閉塞(宿便など) • がんと関係のない良性疾患 (絞扼性腸閉塞、閉鎖孔ヘルニアなど) 腸閉塞の原因 閉塞基点の把握:病歴・CT
耐術能あり and 予後数か月以上 ⇒ステント・バイパス • 耐術能なし or 超短期予後 ⇒腸瘻・PEG(PTEG) 上部消化管閉塞
経腸栄養不能なことが多い • *嘔気・嘔吐・腹痛などが問題 • イレウス管は効果が見込めない場合が多い。 経鼻胃管(抜き差しや細径)・減圧胃瘻 • バイパス術: 2ヶ月以上の予後が認められるときが一般的。 小腸以降の消化管閉塞
疝痛がない(腸内ガスがまだ通過) ⇒蠕動亢進薬(ラキソベロン、プルセニドなど) • 強い疝痛あり *蠕動亢進薬は禁忌 サンドスタチン(3A/日)、オピオイド、制酸剤、鎮痙薬(ブスコパン60~120mg/日)、抗ヒスタミン薬(トラベルミン、ドラマミン)、ステロイドなど。 小腸以降の閉塞
Palliative Prognostic Score 終末期患者予後予測 (Maltoni M. J Pain Symptom Manage 1999; 17: 240-247)
Palliative Prognostic Index (Morita T, et al. Supprt Care Cancer 1999;7:128-33) * :消化管閉塞のために高カロリー輸液を受けている場合は「正常」とする。**:薬剤が単独の原因となっているもの,臓器障害に伴わないものは除外する。 Palliative Prognostic Score
Palliative Performance Scale 全身状態の評価尺度 (Anderson F, et al. J Palliat Care 1996;12:5-11)
終末期癌の死因の内もっとも多いのは肝不全である。終末期癌の死因の内もっとも多いのは肝不全である。 • 高カロリー輸液は終末期患者の浮腫を助長する。 • 終末期癌におき、高Ca血症は呼吸困難を来たす。 • 不安は鎮静の対象となりうる症状の1つである。 • 突出痛に対してはオピオイド投与から開始する。 • 消化管閉塞による痛みに非オピオイド・オピオイドの疼痛治療は痛みを緩和しない。