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宇宙大規模プラズマと太陽コロナの比較研究. 牧島一夫 ( 東京大学 / 理化学研究所 ). 銀河団の3成分. 可視光. X-rays. ICM ( 高温プラズマ ) 全質量の ~12% kT e = 2 〜 15 keV n e 〜10 -3 cm -3 重力閉じ込めで静水圧平衡。 最も外まで広がる。 宇宙組成の 〜1/3 の重元素を含む。 数 μG に磁化。 β〜 数十。. 銀河 (10 2~3 ) 全質量の 〜3% ほぼビリアル速度で運動する。 最も中心に集中。. 暗黒物質 全質量の ~85% 重力ポテンシャルを規定.
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宇宙大規模プラズマと太陽コロナの比較研究 牧島一夫 (東京大学/理化学研究所) 天文学会@明星大学
銀河団の3成分 可視光 . X-rays • ICM (高温プラズマ) • 全質量の~12% • kTe = 2 〜 15 keV ne〜10-3 cm-3 • 重力閉じ込めで静水圧平衡。 • 最も外まで広がる。 • 宇宙組成の〜1/3の重元素を含む。 • 数μGに磁化。β〜数十。 銀河 (102~3) • 全質量の〜3% • ほぼビリアル速度で運動する。 • 最も中心に集中。 暗黒物質 • 全質量の~85% • 重力ポテンシャルを規定 天文学会@明星大学
銀河団に関する話題 • 暗黒物質の塊 → 構造形成、宇宙論パラメータ • 銀河の集団 → 銀河形成と進化、環境効果 • ICMは最大の既知のバリオン成分 → 元素合成、化学進化 • 高温プラズマと銀河の共存系 -- プラズマ物理学の実験室 • 銀河団の中心に見られる低温プラズマの正体は? • なぜ ICM はノミナルな放射冷却時間で冷えず、むしろ「過剰エントロピー」をもつのか? • 重力ポテンシャルの形は、どうなっているのか? • なぜ銀河団の中心では楕円銀河が多く、さらにz=1→ 0で強い形態進化を示すのか? • なぜ渦巻き銀河の多い銀河群は、X線で暗いのか? • 粒子加速が起きている徴候があるが、その機構は? • 銀河団の中心に見られる低温プラズマの正体は? • なぜ ICM はノミナルな放射冷却時間で冷えず、むしろ「過剰エントロピー」をもつのか? • 重力ポテンシャルの形は、どうなっているのか? • なぜ銀河団の中心では楕円銀河が多く、さらにz=1→ 0で強い形態進化を示すのか? • なぜ渦巻き銀河の多い銀河群は、X線で暗いのか? • 粒子加速が起きている徴候があるが、その機構は? 銀河と ICMの相互作用が鍵! 天文学会@明星大学
25 kpsc Chnandraモザイク 「あすか」GIS NGC1399 Unsharp Masking NGC1404 Unsharp Masking 画像からの情報ーFornax銀河団 25 kpsc 天文学会@明星大学
重力ポテンシャルとの比較 25 kpsc 0.2 0 -0.2 -0.4 -0.6 NGC1399 Unsharp Masking potential (a.u.) -0.8 -1 -1.2 3D Radius -1.4 0.01 0.1 1 10 100 「あすか」で測定した重力ポテンシャル (Ikebe et al. 1996) NGC1399の周囲の「ハロー」は、自分自身の作るポテンシャルの凹みに納まっている。 天文学会@明星大学
外側で規格化したプラズマ温度 Allen et al. (2001);Kaastra et al. (2004) 規格化した半径 • 中心部でICMの放射冷却時間は宇宙年令の〜1/10。 • cD銀河の周辺では確かにICMの温度が有意に低下。 • だが「クーリングフロー」は起きていない: Makishima et al. (2001) • さらに中心部のICM温度は周辺部の1/2〜1/3に揃う。 • ICMは重力エネルギーに加えて〜1 keV/粒子の過剰エントロピーを持つ。 • 低温領域ではSiやFeの組成比が増加、酸素は増加せず。 中心の低温成分 天文学会@明星大学
ICMの正確な温度構造は? cool hot T0 ICM温度 ICM温度 ICM温度 ~T0/2 3次元半径 3次元半径 3次元半径 「あすか」は2P -- Makishima et al. PASJ 53, 401 (2001) ではXMM-NewtonやChandraでは? Single-phase(1P) Two-phase(2P) Multi-phase 天文学会@明星大学
50 kpc 「あすか」 2P 4 プラズマ温度 (keV) 2 足した厚い シェル 1P 0 0.1 0.5 1 5 10 半径 (arcmin) エネルギー (keV) XMM-Newtonで見たケンタウルス座銀河団高橋勲、博士論文(2004) Deprojectした薄いシェル 1Pと2Pは、同程度に良くデータを説明し、優劣がつけられない Two-phaseの方がデータをよく再現→中心部まで外側の高温成分が侵入。 天文学会@明星大学
cDコロナ仮説 銀河の運動/回転 磁力線 リコネクション 高温成分 低温成分 • cD銀河の磁気ループ内:重元素の多い低温成分が閉じ込められ、高温成分から熱的に遮断される。 • 開いた磁力線の部分は、銀河団全体の高温成分が満たし、磁力線方向の熱伝導で等温に。 • 銀河の運動→ICMの磁気乱流→リコネクション→ICMの加熱 • 「銀河+その暗黒ハロー」の運動エネルギーが宇宙年令の間に〜10%減るだけで、 ICMの放射損失を賄い、かつ〜1 keV/粒子の「過剰エントロピー」を与えられる 天文学会@明星大学
ループ閉じ込め圧p ループ長a RTV scalingの応用 • 長さa の磁気ループが、一定の外圧pで閉じ込められ、外部から加熱される。 • ループへの熱入力は、放射冷却と、磁力線に沿う Spitzer伝導冷却に釣り合う。 • ループ内の温度は、熱入力の大小によらずに pとa のみで決まる。 • 長さaの磁気ループが、一定の外圧pで閉じ込められ、外部から加熱される。 • ループへの熱入力は、放射冷却と、磁力線に沿う Spitzer伝導冷却に釣り合う。 • ループ内の温度は、熱入力の大小によらずに pとa のみで決まる。 ループ内の低温成分は高温成分の外圧で閉込められると仮定。 1. RTV機構により、2つの相は熱的に安定に共存。 2. RTV scaling →低温成分の温度の絶対値を説明できる:Tc= 2.0 (p /4e-11)1/3 (a /50 kpc) 1/3 keV 3. TcとThの比例関係を説明できる; Th2.8 ∝ Lx ∝ nh2R 3 → nh∝ Th1.4 →p∝ nhTh∝ Th2.4 これとRTVより Tc∝ Th0.8 ループ内の低温成分は高温成分の外圧で閉込められると仮定。 1. RTV機構により、2つの相は熱的に安定に共存。 2. RTV scaling →低温成分の温度の絶対値を説明できる:Tc= 2.0 (p /4e-11)1/3 (a /50 kpc) 1/3 keV 3. TcとThの比例関係を説明できる; Th2.8∝ Lx ∝ nh2R 3 → nh∝Th1.4→p∝ nhTh∝Th2.4これとRTVよりTc∝ Th0.8 天文学会@明星大学
銀河への反作用 XMM-Newtonによる銀河群NGC1550(川原田et al.) 全 星 ICM 鉄 酸素 1 10 kpc 100 • ICMはエネルギーを得て広がり、銀河はエネルギーを失 なって中心に集中するはず→観測はその通り。 • 過去に銀河が放出した重元素に比べ、銀河は中心に集中するはず→観測はそうなっている。 • ICMが濃いほど銀河は速やかに力学的エネルギーを失い、中心に落下して合体。また角運動量をプラズマに捨てられる→銀河密度の高い環境で楕円銀河が多いことを説明できる。 天文学会@明星大学
今後の見通し • ICMの一部は、銀河の動きに引きずられるはず。またICM中に乱流が励起されるはず→Astro-E2 XRSで初めて重イオン輝線のドップラーが検出可能に。 • 乱流の散逸に伴い、粒子加速も起きるはず→ Astro-E2 XRSで本格的な硬X線の探査が可能に。 • X線と可視光の広がりの比が、進化しているか。 あすか (1993) Astro-E2 (2005夏) 天文学会@明星大学