周辺圃場の土地利用変化が 水田の水需要に与える影響

1. 周辺圃場の土地利用変化が水田の水需要に与える影響周辺圃場の土地利用変化が水田の水需要に与える影響 生産環境整備学講座 灌漑排水学研究室 4年　安江　俊哉

2. 背景 米の生産調整による転換畑、休耕田が増加して水田面積が減少し、農地のスプロール化が進んでいる ＜ 水田用水量 畑地用水量 地区全体の用水量の減少 水田面積の半減 水田用水量の半減 浸透量の増加!?

3. 目的 周辺圃場の転作、休耕が水田の浸透量に及ぼす影響を調査し、水需要の実態の解明

4. 調査地概要 岐阜県揖斐郡大野町 人口･･･24,264人 農用地･･･1,260ha 水田･･･894ha 畑･･･363ha （果樹園も含む）

5. 畑 水田 水田 休耕田 休耕田 西側水田 中央水田 東側水田 柿畑 2年間の比較 畑 畑 休耕田 空き地 水田 調査圃場 H.16からH.17にかけて集団転作 排水路 用水路

6. 調査圃場の半径200m以内の作付け状況 水田面積が8.7haから5.4haへ減少 H.16年 H.17年 26％ 31％ 43％ 69％ 31％ ※　畑に果樹を含む

7. 《調査項目》 水収支 水理条件 • 地下水位 • 排水路水位 • 河川水位 • 取水・排水量 • 降雨量 • 湛水深 浸透量の実測 • N型減水深測定器

8. 水収支式 ＱＩ＋Ｒ－（Ｑo＋Ｐ＋ＥＴ）＝⊿ｓ ＱＩ：取水量　R：降水量 Ｑo：排水量　Ｐ：浸透量　ＥＴ：蒸発散量 ⊿ｓ：貯留水位の変化量 青色:流入要因 赤色:流出要因 Ｐ＋ＥＴ　を減水深（蒸発散浸透量）という 水田貯水のための最低必要水量水需要の指標となる

9. 減水深（水収支） Ｈ.16年 Ｈ.17年 中央水田 12.7 18.7 西側水田 1.3 5.8 単位：mm/d Ｈ.16年からH.17年にかけて明らかな増加傾向がみられる 各水田の浸透量の増加

10. 地下水位の比較　～中央水田～ 灌漑期間 測定限界値を超える低水位 灌漑期間における地下水位の低下がみられた

11. 地下水位の比較　～西側水田～ 灌漑期間 宙水 耕盤層 本来の地下水位 測定した地下水位は宙水

12. 地下水位の比較　～西側水田～ 落水後 地下水位は低下している!?

13. 減水深（水収支） Ｈ.16年 Ｈ.17年 中央水田 12.7 18.7 西側水田 1.3 5.8 単位：mm/d 畦　　　畔 西　側 中　央 中央水田が西側水田より大きい 中央水田の浸透が西側水田に影響しているのでは!? 二筆の水田間の畦畔浸透について検討

14. 畦畔浸透量（中央水田） 中央水田は流出要素が　　　　大きい水田といえる 水収支式による N型減水深による 　　差　　　（畦畔浸透量） 浸透量 降下浸透量 13.4 中央水田 10.3 3.1 0.6 西側水田 15.3 -14.7 単位：mm/d 正の値･･･隣接地との浸透による流入より流出が大きい Ｈ.17年 畦畔浸透量 ･･･畦畔を横方向に浸透する浸透量 浸透量　 ＝ 　降下浸透量　＋　畦畔浸透量

15. 畦畔浸透量（西側水田） 西側水田は流入要素が　　　　非常に大きい水田といえる 　　差　　　（畦畔浸透量） 浸透量 降下浸透量 《証明》 13.4 中央水田 10.3 3.1 中央水田から西側水田への畦畔浸透の存在!! 0.6 西側水田 15.3 -14.7 単位：mm/d 中央水田から浸透によって流入している可能性 減水深：中央水田の過大評価、西側水田の過小評価 中央水田以外からも流入がある Ｈ.17年 水収支式による N型減水深による 負の値･･･隣接地との浸透による流出より流入が大きい

16. 総合考察 H.16年からH.17年の集団転作の影響 地下水位の低下 降下浸透量の増大 中央水田 西側水田 水田の水需要量の増加