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5 章 気液二相流. 5.1 混相流の種類と特性. 図 5.1 混相流の世界. 気泡流. プラグ流. プラグ流. 気泡流. 分離流. 図 5.2 管内 気液二相 流 の 流動様式 ( 水平管路 ). → 流れ方向 → . 気泡流. スラグ流. 環状流. 噴霧流. フ ロス流. 図 管内 気液二相 流 の 流動様式 ( 垂直管路 ). 均質流. 擬均質流. 摺動流 ( しゅうどう ). 堆積流. 図 固液二相 流 の 流動様式 ( 水平管路 ). 均質流. 均質流. 砂丘流 (Dune 流 ). 砂丘流 (Dune 流 ).
E N D
5.1 混相流の種類と特性 図5.1 混相流の世界
気泡流 プラグ流 プラグ流 気泡流 分離流 図5.2管内気液二相流の流動様式(水平管路)
→ 流れ方向 → 気泡流 スラグ流 環状流 噴霧流 フロス流 図管内気液二相流の流動様式(垂直管路)
均質流 擬均質流 摺動流 (しゅうどう) 堆積流 図固液二相流の流動様式(水平管路)
均質流 均質流 砂丘流 (Dune流) 砂丘流 (Dune流) プラグ流 閉塞 図固気二相流の流動様式(水平管路)
均質流 循環流 プラグ流 充填層 図固気二相流の流動様式(垂直管路)
5.2.1 沸騰・凝縮現象と気液二相流の発生 核沸騰 膜沸騰 熱 熱 (a)プール沸騰 熱 熱 熱 熱 (b)サブクール沸騰 (c)飽和沸騰 図5.3 沸騰による気泡の発生
●サブクール沸騰 飽和温度より低い液体の場合(サブクール状態) 局所的に飽和状態となり管壁から小気泡が発生 離脱しても周りの液体が飽和温度より低いため消滅 ●飽和沸騰 周囲液体が飽和状態になると全体が沸騰状態 ●気泡流の運動力学 気泡: 浮力、抗力、後流による静圧、重力などにより運動 気泡はジグザグ運動、らせん運動をする 周囲液体: 気泡からのせん断力、温度差(マランゴニ力)などにより対流(Convection)が生じる
液滴も存在しない 内壁に液体が 存在しない 図5.4 過熱管路内における気液二相流の発達
飽和温度より低い(サブクール温度の)液体が流入飽和温度より低い(サブクール温度の)液体が流入 局所サブクール沸騰が起こり、さらに下流では飽和状態の核沸騰が発生し、小気泡を含む流れの気液二相流となる。 全体が沸騰状態であるバルク沸騰となり気泡の合体が進み大気泡の流れに発達。 この間に管壁を蒸気(泡)が覆う状態(膜沸騰)。 やがて管壁に液(膜)がなくなる状態となり蒸気(液滴)流れ(噴霧流)に発展する
●管路内に水と空気を混合して流すことにより気液二相流を発生。●管路内に水と空気を混合して流すことにより気液二相流を発生。 ●管路内に水と空気を流す場合も、空気流量を増加させる(水流量を減少させる)と沸騰(または凝縮)を伴う流れ ●管路内を上昇中に空気泡は合体して大きな気泡に発達 ●二相流は流動状況を変化させながら流動する性質 図5.5 上昇する気液二相流の変化
5.2.4 流動様式 図5.8 水平管内流における流動様式線図
気泡や粒子が流体から受ける力の例 FB FL :浮力 FD dp ρf v: 気泡や粒子の速度 u: 流体の速度 fluid m ρp FG FC :クーロン力 :抗力 q : 電荷 , k : クーロン定数 :重力 :流体から受けるせん断力 : 衝突力 衝突するかしないかはストークスSt数 非定常力 仮想質量力とバセット力 :揚力
SAFFMAN 揚力 粒子や気泡周囲の流体速度差による揚力 u u dp Fsaff Fsaff (a) u > v v v ωf ωf u u wall u u Fsaff Fsaff (b) u < v v v ωf ωf u u
MAGNUS 揚力 粒子気泡が回転することによる揚力 でも生じる u u dp Fmag Fmag (a) u > v v v ωr ωr u u u u (b) u < v Fmag Fmag v v ωr ωr u u
非定常力(仮想質量力) 粒子や気泡が加速 仮想質量力: 周囲流体を加速させるための力 FVM 周囲流体を加速させるために粒子は、 運動エネルギーを消費する dp ρp fluid ρf 運動エネルギー消費の時間変化 [N]
非定常力(バセット力) バセット力 粘性による境界層発達の時間遅れに起因する力 u 粒子が加速して瞬間的にvになったら、 流体速度の時間変化はどうなる? y v Δu3 Δu2 境界層の流体速度u v dp μ, ν, ρf Δu1 ρp u Δu0 dp t1 t2 t3 t ρp 定常 v 粒子速度vが一定ならば、粒子表面流体速度(スリップなしとした場合)はvで一定。粒子に加速度があると、粘性による境界層発達の時間遅れが生じる。流体速度分布の時間変化は、
t=0のとき、粒子上の流体速度がΔu0、t1のときΔu0+ Δu1、・・・・となったとすると、流体の速度分布の時間変化は、 球表面でτを積分し相対加速度をとると [N]
Basset-Boussinesq-Oseen方程式(BBO 方程式) 単一球の運動方程式 前式で浮力、揚力、電気力を無視すると、 粘度μ一様流中の粒子に働く粘性抵抗 Reが小さいとき成立 ストークス抗力[N] 外力[N]:流体の圧力とせん断応力 仮想質量力[N] バセット力[N] 重力[N]
Basset-Boussinesq-Oseen方程式(BBO 方程式) #2 を左辺に移項 で両辺を割る 緩和(応答)時間を代入
Basset-Boussinesq-Oseen方程式(BBO 方程式) #3 ←流体のNS運動量方程式から • 圧力項 • 粘性項 • 慣性項 • 重力項 ←粒子の運動方程式は、緩和時間と相対速度で書ける
移動度、緩和時間、ストークス数 [N] • ストークス抵抗 • 移動度(モビリティ) [s/kg] • 緩和(応答)時間:静止粒子が周囲流体と同じ速度になるまでの時間 [s] • 質量 • モビリティ ストークス数粒子の流れに対する追随性 τ0特性時間L代表長さu代表速度 S数<<1粒子は流体の動きに追随 S>>1粒子は流体の動きに関係なく運動 S=1粒子は複雑な運動
5.2.3 重要なパラメ-タの定義と関係 図4.6 ボイド率と流動形態(管横断面) a 混合の割合 図5.6 ボイド率と流動形態 体積V、管路横断面積A、流体密度ρ、体積流量Q、 質量流量 、流速(相速度)u、エンタルピh 添字G気体(相) 添字L液体(相)
ボイド率α:気液混合体積Vに占める気相の体積VGボイド率α:気液混合体積Vに占める気相の体積VG (5-1) 管路内流れのボイド率α: 管路断面積Aに占める 気相の断面積AG ホ-ルドアップ 1-α=αL : 液相の占める体積割合 αをαGと書くと、 αG+αL=1、 0<αG,αL<1 (5-3)
クオリティ(x、flow quality): 気液混合体の質量流量に占める気相の質量流量割合 (5-4) [-] (5-5) • 比エンタルピー(単位質量あたりのエンタルピ) h • h = eU+ pv [J/kg] ,eU:内部エネルギ, v:比体積[m3/kg] • 気相の比エンタルピーhG、液体の比エンタルピーhL • 気液二相流の全体の比エンタルピーh
熱平衡クオリティxe:熱力学的平衡の系でのクオリティ熱平衡クオリティxe:熱力学的平衡の系でのクオリティ (5-6) v : 比体積, ρ: 密度 h :混合体のエンタルピ、hL:飽和液相のエンタルピ、 hLG=hG– hL気化の潜熱 ●気体と液体が熱平衡状態 クォリティxと熱平衡クオリティxeは一致 ●熱平衡状態にないとき 両者は一致しない 熱的に非平衡のとき気泡が発生 ●クォリティは0(液体単相流)と1(気体単相流)の間の値 熱平衡クオリティーは負の値(サブクール液)や 1以上のクォリティ(過熱蒸気)も定義できる
静止している気相と液相、均質流のクオリティxは、静止している気相と液相、均質流のクオリティxは、 [-] (5-7) 均質流:気液が一様に混合して気相速度と液相速度が等しい流れ 定常の均質流では、 [-] (5-9)
b 混合の形態 気液界面積濃度aint: 気液混合体検査体積内に存在する気液界面積の割合 • 液相速度の関係 すべり比(S) :液相速度に対する気相速度の比 [-] (5-10) 均質流では、 (5-11) 相対速度ur:液相速度に対する気相速度との差 [m/s] (5-12)
d よく用いられる量と関係 (1) ボイド率-クオリティ式 式(5-10)より、 これを、クオリティの式(5-5)に代入して変形すると、 [-] (5.13)
(2) 相速度u 体積流量をQ[m3/s]で表すと、気相速度uGと液相速度uLは、 [m/s] (5.14) • (3) 体積流束(見かけ速度)j 一つの相だけが管路内を流れたと仮定した場合の速度 [m/s] (5.15) j = jG+jL 全体積流束j、 [m/s] (5.16) 均質流ではuG= uLであり、uG = uL= uとおくと、 (5.17)
(4) 断面平均量 ボイド率や相速度には管路横断面上に分布がある ボイド率で重みをかけて、断面平均量として扱うと便利!! η:管断面積A上の局所変数(例えば濃度、温度、速度など) <> :断面平均を表す記号 ηの断面平均量は (5.18) 局所ボイド率αで重みをかけたηの断面平均量は、 (5.19) (5.18) と(5.19)は同じであるとは限らない!!!
●ボイド率-クオリティの関係式(5.13)は、断面平均記号を用いると、●ボイド率-クオリティの関係式(5.13)は、断面平均記号を用いると、 (5.20) ●質量流束: 全質量流量を管断面積で除した量 式(5-5)より、 なので、質量流束をクオリティxで表すと、 [kg/sm2] 気相の質量流量 をボイド率で表すと、A=1とできるので、 [kg/sm2] (5.21)
(5)平均ドリフト速度 VGj 気相(局所)ドリフト速度: ボイド率と相速度の横断面分布を考慮した速度 [m/s] (5.22) j:体積流束(見かけ速度)式(5.16)式(5.17)参照 平均ドリフト速度VGj:気相(局所)ドリフト速度にボイド率で重みをかけて断面平均量として表したもの 管内流れを1次元的に扱う場合に用いられる。 (5.23) 表5.3に気液二相流の主要パラメータをまとめて示す。
5.3 気液二相流の静力学 dz:微小高さ、 A:二相流体柱の底面積、ρ:二相流体柱の空間平均密度 dp:上下面の圧力差 ρg:二相流体柱の単位体積当たりの重力 圧力pと高さzとの関係を表す基礎式 (5.24) これを積分形で書くと、 図5.9 重力場に静止している 気液二相流体 (5.25)
二相流体の密度ρは、ボイド率をαGとするとき、二相流体の密度ρは、ボイド率をαGとするとき、 (5.26) 式(5.25)のρに式(5.26)を代入して積分すると、 (5.27) ここで、[αG]zは区間長さz内の平均ボイド率を表し、 (5.28) 気液の密度が一定(ρL = ρG = ρ)であると、
式(5.27)で積分定数Cを求める。 座標の原点を液面下z0にとる。 液面(z =z0)に働く圧力をp0とする。 z0-z = H とすると、 図5.10静止した気液二相流の深さと圧力 (5.30.1) (5.30.2) の場合には、 距離H間の圧力差からボイド率が求まる!!
●浮力FG:密度ρLの液体中に、体積VG、密度ρGの気体が占めたときの浮力と重力の差は、●浮力FG:密度ρLの液体中に、体積VG、密度ρGの気体が占めたときの浮力と重力の差は、 (5.31) pL σ σ 気液界面において、表面張力σ[N/m]による凸界面内部(曲率半径R1 、R2)への圧力の跳び、すなわち内外の圧力差δpは、 R2 R1 pG [N/m2] (5.32) 気液界面が球形であれば、 (5.33) VG ρG 図5.11に示す気泡内の圧力pGと液中の圧力pLとの間の関係 ρL (5.34) 図5.11 気泡内の圧力
5.4.1 混合体モデル 図5.12 気液二相流のモデリング
均質二相流の基礎方程式(1次元) ●質量(mass)保存 [kg/sm3] (5.35) ρ:二相流体の密度、t:時間、 u:速度、z:管路軸方向距離、A:管路の断面積、 ※管横断面積が一定であれば、左辺第3項は0 図 混合体の基礎方程式 z 鉛直方向 ●運動量(momentum)保存(運動方程式) θ [N/m3] (5.36) :せん断応力[N/m2] :鉛直方向からの管路傾斜角
●エネルギ(energy)保存※教科書はかなり特殊なときの式●エネルギ(energy)保存※教科書はかなり特殊なときの式 [W/m3] (5.37) [m2/s] h:均質二相流の比エンタルピ[J/kg]、 cp:均質二相流の定圧比熱 [J/kgK] k:均質二相流の熱伝導率[W/mK] q:管路への単位体積単位時間当たりの熱伝達量[W/m3] ●この3つの方程式系には、4つの従属変数ρ, u, p, hと未知関数τ, qが含まれる。 ●必要な式 ひとつの従属変数に関する状態方程式 未知関数τ, qに関する構成式 (壁における摩擦損失および熱伝達の関係) :熱拡散率(温度拡散率)
●1)の混合体の状態方程式(ρとhとの関係)を求める。●1)の混合体の状態方程式(ρとhとの関係)を求める。 ボイド率αGを密度ρで表すと、 (5.38) クオリティxをエンタルピhで表すと、 ここで、気化潜熱: (5.39) 均質モデルのときは、S=1なので、クオリティxとボイド率αGの関係は、式(5.13)より、 (5.40)
式(5.38) と式(5.39)を式(5.40)に代入して、クオリティxとボイド率αGを消去すれば、均質二相流の状態方程式(ρとhとの関係)は、 (5.41) 飽和状態における二相流の状態方程式に対しては、ρG、ρL、hL、hLGは圧力pの関数となる。 (5.42) (5.43) 添字satは飽和状態を表す。
二流体モデルの基本的な考え方 周りの流体と気泡との間の質量移動量、運動量移動量、エネルギー移動量を考える +MuG – MuL +ΓhG – ΓhL – H H Γhk:質量移動にともなうエネルギー移動量 Muk:運動量移動量にともなうエネルギー移動量 H:気液境界におけるエネルギー移動量 uL – Δ uLM uL uG+ Δ uGM +ΓuG – ΓuL +M – M Γuk:質量移動にともなう運動量移動量 M:気液境界における運動量移動量 uL uG uG +Γ – Γ 気泡 Γ:気液境界における質量移動量 周囲の流体
二流体モデルの基礎方程式(1次元) ●質量(mass)保存(単位体積・時間あたりの質量保存) [kg/sm3] (5.44) (管路断面積A =constの場合左辺第3項=0) Γ:気液境界における質量移動量、 Γの上側符号-はk=G、下側+はk=L気泡が液体から質量をもらうときをプラス量 ●運動量(momentum)保存(運動方程式) [N/m3](5.45) k:せん断応力[N/m2] M:気液境界における運動量移動量[N/m3] Γuk:質量移動にともなう運動量移動量
●エネルギ(energy)保存※教科書はかなり特殊なときの式●エネルギ(energy)保存※教科書はかなり特殊なときの式 [W/m3] (5.46) h:比エンタルピ[J/kg] v:比体積[m3/kg] H:気液境界におけるエネルギー移動量[W/m3] Γhk:質量移動にともなうエネルギー移動量 Muk:運動量移動量にともなう エネルギー移動量 hk:比エンタルピ[J/kg]、cpk:定圧比熱[J/kgK]、 kk:熱伝導率[W/mK] q:管路への単位体積単位時間当たりの熱伝達量 [W/m3]
●ボイド率の関係式 (5.47) • ●基礎方程式7式:気液相の保存則6式とボイド率の関係式 • ●従属変数はαk, ρk, uk, hk, pk(k=G, L)の10個 • この方程式系を閉じさせるためには、10個の構成式が必要 • ●(各相)の状態方程式2式 • ●相間相互作用1式:気液境界における圧力の跳び条件 (例えば、pG=pL ) (5.41)参照 ●未知関数は τG,τL, qG, qL,Γ、M、Hの合計7個 気液境界における(各保存則についての)移動則(Γ、M、H)3個の式 壁における摩擦(損失)、熱伝達(係数)に対する関係(τG,τL, qG, qL)4個の式 (5.34)参照