330 likes | 1.63k Views
「てんかんの基礎」. てんかんとは(1). 種々の病因によってもたらされる 慢性の脳疾患 であって、 大脳ニューロンの過剰な放電 (脳波で認められる)から由来する 反復性の発作 を主徴とし、それに変異に富んだ臨床ならびに検査所見表出が伴う。( WHO ) てんかん、けいれん、ひきつけ、発作の違いは? (言葉の意味) ・てんかん:上記で定義された病名 ・けいれん:てんかんの症状の 1 つ ・ひきつけ :けいれんと同義 ・発作 : 症状が突発的に起こること(てんかん発作、
E N D
てんかんとは(1) • 種々の病因によってもたらされる慢性の脳疾患であって、大脳ニューロンの過剰な放電(脳波で認められる)から由来する反復性の発作を主徴とし、それに変異に富んだ臨床ならびに検査所見表出が伴う。(WHO) • てんかん、けいれん、ひきつけ、発作の違いは? (言葉の意味) ・てんかん:上記で定義された病名 ・けいれん:てんかんの症状の1つ ・ひきつけ :けいれんと同義 ・発作 :症状が突発的に起こること(てんかん発作、 喘息発作、パニック発作など)
てんかんとは(2) てんかんの原因 • 3分の2は原因不明 • 新生児仮死、脳炎、頭部外傷、脳血管障害(脳梗塞、脳出血)などによる後遺症、脳の奇形、神経皮膚症候群、脳腫瘍 (これらは頭部CTやMRIで異常が認められる) • 遺伝子の異常(まだ一般的な検査ではない!) (頭部CTやMRIで異常が認められないことが多い) てんかんの発作と間違えやすいもの ・低血圧(脳貧血、失神)、チック、不随意運動、泣き入りひきつけ、ヒステリー(転換性障害)、偽発作、偏頭痛
てんかんとは(3) (5)てんかんの発作の分類(どのような発作症状かで分類する) • 発作型によって治療薬が決まる • 部分発作にはカルバマゼピン、ゾニサミド、 クロナゼパム、クロバザムなど • 全般発作にはバルプロ酸、フェノバルビタールなど • 難治性てんかんのなかには、治療薬の選択が適切でないことが原因である場合がある
てんかん発作の分類(1) 部分発作(脳の一部からの異常放電による) ・単純部分発作(意識は保たれる) 意識があって体の一部が動いたり硬くなる 変なものが見える、変な感覚がおそってくる 腹部不快感、四肢のしびれなど ・複雑部分発作(意識がなくなる) 意識がなくなってボーッとして口をぺちゃぺちゃしたり、 手をごそごそ動かしたりして、徐々に意識がもどってくる (夢遊病者のよう)、持続時間は数十秒から数分であり、 発作後は入眠することが多い 発作時のことを記憶してない • 二次性全般化 部分発作の後、強直間代発作になる
てんかん発作の分類(2) 全般発作(脳全体の異常放電による) ・欠神発作 突然起こる短時間の意識障害、過呼吸によって誘 発されやすい、倒れることはない、発作が終わると 発作の直前までしていた動作を再び続ける、小発 作ともいう ・非定形欠神発作 欠神発作だが始まりと終わりがはっきりしない ・ミオクロニー発作 ピクッとする ・間代発作 全身とくに四肢をがくがくふるわせる、意識はない ・強直発作 全身に力がはいる、レノックス症候群でみられる ・強直間代発作 強直発作の後、間代発作に。大発作ともいう ・脱力発作 全身の力がぬけて転倒する
発作鑑別の難しさ • 複雑部分発作と欠神発作の区別(どちらも意識は障害される) • 強直間代発作がいきなり始まったのか、部分発作後に起こった(二次性全般化)のか。 • 知的障害のある場合、知覚の異常があっても訴えてくれない。 • 麻痺があると音などによって不随意運動が誘発されてけいれんのようにみえる。
てんかんの病名分類(1) 発症年齢、脳波、頭部CT、MRIなどによる病名分類 これによっててんかんが治りやすいか治りにくいかがわかる。 病名によっては発作型と自動的に結びつく (たとえば小児欠神てんかんの発作型は欠神発作である)が、レノックス症候群のように複数の発作型を持つ場合があるので、必ずしも発作型の分類と1対1 対応ではない。
てんかんの病名分類(2) 局在関連(部分)てんかん: 異常放電の焦点がはっきりしているもの 全般てんかん: 発作当初から脳全体に異常放電のみられるもの ※上記それぞれの中でさらに 特発性:原因のはっきりしないもの(CTやMRIで異常所見なし) 遺伝的素因の関与が強い 症候性:原因のはっきりするもの(CTやMRIで異常所見あり) 潜因性:原因ははっきりしないが、脳の異常の存在が推定される ものに分類される
てんかんの治療・副作用 ・治療 薬物治療、できるだけ単剤で 外科治療 ・抗てんかん薬の主な副作用 (ほとんどの薬剤に眠気あり) バルプロ酸 :肝機能異常 フェノバルビタール :注意力低下 カルバマゼピン: :発作の誘発 ゾニサミド: : 発汗減少 フェニトイン: :歯肉の腫脹、多毛 クロナゼパム: :気道分泌の増加 クロバザム: :気道分泌の増加
薬の効果に影響するもの等 ・抗てんかん薬の効果に影響を及ぼすもの 他の抗てんかん薬との併用(薬剤の相互作用) 一部の抗生物質(マクロライド系) グレープフルーツ ・てんかん発作がおこりやすい条件 睡眠不足、疲労、抗てんかん薬の飲み忘れ、発熱時、 女子の場合月経 患者によっては光刺激、過呼吸、特定の音など ・けいれんがおこりやすい薬剤 抗ヒスタミン剤(鼻水を止める) 抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー剤(ザジテンなど) テオフィリン(喘息の薬、テオドールなど)
家庭・学校での対応 • あわてないこと、おちつくこと。 • 衣服をゆるくする。特に首のまわりをゆるくする。 • 仰向けにして顔と体を横に向け、頭部をそりぎみにする (枕をひかない)。 • 吐物、分泌物が口の周りや鼻孔にたまっていたらガーゼで拭き 取る。歯をくいしばって いるときでも口の中にものを入れない。 • (体温を測定し、)発作の持続時間と性状を観察記録する。 • 5〜10分以内で止まらなかったら救急車を手配する。
ダイアップ座剤について • 4mg、6mg、10mgの種類がある • だいたい体重(kg)の半分ないし少し少ない目のmgで投与する。 • 例:体重10kgなら4mg、体重15kgなら6mg、体重20kgなら10mg • すぐに効果があるわけではない!
養護学校におけるてんかん児について てんかんと他の障害の合併 • 基礎疾患として何らかの脳障害がある場合、てんかん、脳性麻痺、知的障害、行動異常(多動、自閉症など)などが単独ないし複数認められる。 • 養護学校には複数の障害が合併している児が多い。 • 脳の障害には、脳が形成されるときの異常つまり脳の奇形(脳梁欠損、滑脳症など)と正常に形成された脳が破壊される病変(低酸素、頭蓋内出血、脳梗塞、脳炎、髄膜炎など)に大別される
具体的な問題点(1) ・重度の脳性麻痺があると不随意運動があるので軽度のてんかん発作がわかりにくい。 ・重度の知的障害があると自分で訴えることができないので軽度のてんかん発作がわかりにくい。 ・多動があると転倒するようなてんかん発作の場合、けがをしやすい。 ・多剤を内服していると眠気がひどく、教育効果が得られない。 ・重度の脳障害があると体温調節がうまくできない。 ・重度の脳性麻痺があると、経口摂取ができずチューブ栄養となるが注入時にけいれんがあると胃から逆流するかもしれず危険である。 ・重度の脳性麻痺に脊椎の側彎などが合併すると呼吸障害を伴っていることがある。 ・脳性麻痺の児は、骨折しやすく、衣服の着脱などで注意を要する。
点頭てんかん(West 症候群)について 乳児期に発症する難治性てんかんの1つである。 原因は様々。点頭(おじぎ)発作が繰り返し起こる。 多くの例で他の発作型のてんかんや知的障害が残る。
自閉症とてんかん・認知障害の問題 ・自閉症のてんかん合併率は20%ほど。 5〜20歳くらいで発症しやすい。 強直間代発作が多い。 ・もともと脳の障害で知的障害がある場合、発作が多くて覚醒している時間が短い場合、抗てんかん薬の副作用で集中できない場合、などさまざまなケースが考えられる。 ・両親や教師がてんかん児に過保護に接し、あるいは悲観的な考えを持ち、期待が低いと知能がほぼ正常であっても学業成績が伸びないことがある。
補足説明 • 神経皮膚症候群 *結節性硬化症 (カフェオーレ斑 →皮膚に模様が ある人は脳にもあるかも・・・) *スタージーウェーバー症候群(原因不明) 聴神経腫瘍、緑内障なども