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開発法学 (法整備支援論). 慶應義塾大学法科大学院 2006 年度・春学期 松尾 弘. Ⅰ なぜ今,法整備支援か. 《 法整備支援の前提問題 》 「法と開発」の理論(開発法学)が なぜ必要か ・・・・ 1. グローバルガバナンスと法整備支援 ・・・・ 2. グローバリゼーションと法. 1. グローバルガバナンスと法整備支援 国際社会. (1)「国際社会」をどうみるか?. (a) 「アナーキーな社会」( Bull ) 1960 年代~ 1970 年代 国際法,地域統合.
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開発法学(法整備支援論) 慶應義塾大学法科大学院 2006年度・春学期 松尾 弘
Ⅰ なぜ今,法整備支援か 《法整備支援の前提問題》 「法と開発」の理論(開発法学)が なぜ必要か ・・・・1.グローバルガバナンスと法整備支援 ・・・・2.グローバリゼーションと法 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
1.グローバルガバナンスと法整備支援国際社会1.グローバルガバナンスと法整備支援国際社会 (1)「国際社会」をどうみるか? (a)「アナーキーな社会」(Bull)1960年代~1970年代 国際法,地域統合 (b)「国際レジーム」論(山本)1970年代~80年代 通商,通信,環境・・・分野ごとにレジーム形成 (c)「グローバル・ガバナンス」論(猪口ほか) 参考文献 松尾弘「グローバル・ガバナンスと法整備支援―法整備支援の目的は何か」 石川明編集代表『櫻井雅夫先生古稀記念論集・国際経済法と地域協力』 31-60頁(信山社,2004年) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
1.グローバルガバナンスと法整備支援グローバルガバナンス1.グローバルガバナンスと法整備支援グローバルガバナンス (2)グローバルガバナンスとは何か? • (a)定義 • 国際関係における様々な行為主体に固有の多様な活動を活性化する一方で,その違法 または非倫理的な行動を抑制するために,主権国家群を中心とする行為主体が,世界政府をもつことなしに,コントロールしうるような全般的システムないし制度である (b)背景 国際関係における現実的変化,7つの背景 (c)特質 国際「法」の多元性 ― 誰にとっての法か 国家=グローバルガバナンスのコーディネーター 参考文献 斉藤民徒「国際社会における「法」観念の多元性」『社会科学研究』 56巻5・6合併号165-195頁(2005年) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
立場(2)地域的経済統合の促進 東アジアビジネス圏構想 『司法制度改革審議会意見書』 (2001年6月12日) 立場(3)各々の国家のガバナンス改革 1.グローバルガバナンスと法整備支援法整備支援 (3)グローバルガバナンス論の下での法整備支援の位置づけ 立場(1)企業活動の活性化 APEC,経済法制度コーディネートグループ(SELI) 『政府開発援助大綱』Ⅰ・2「基本方針」・ (1)「開発途上国の自助努力支援」 (2003年8月) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
参考文献 松尾弘「グローバリゼーションと法」『現代契約法の展開』 45-64頁 (経済法令研究会,2000年) 2.グローバリゼーションと法グローバリゼーションの規範的意義 グローバルガバナンス論の背景=グローバリゼーション グローバリゼーション下における 国際開発援助(協力)と法整備支援の必要性 グローバリゼーションの規範的意義に関する様々な観点 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
2.グローバリゼーションと法グローバリゼーションの規範的意義2.グローバリゼーションと法グローバリゼーションの規範的意義 グローバリゼーションの規範的意義に関する様々な観点 (1)ルールの統一化(国際的スタンダード) ⇒取引費用の削減 →企業,NPO,国際機関の参加 (2)多元主義 ⇒国家の役割の再評価 「国民国家」(Nation State)・・・崩壊? 多数派・少数派 複雑な民族構成 →注目 (3)多文化主義 ⇒価値相対主義? 自由主義的多文化主義(Raz) (4)国際的協力活動の促進 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
参考文献 最上敏樹『人道的介入』(岩波新書,2001年) 2.グローバリゼーションと法グローバリゼーションの規範的意義 国際協力(援助)をする理由に関する様々な観点 ①国益 ②過去の侵害に対する損害賠償 ③人道主義 ⇒「人道的介入」の議論 ④ Entitlement,発展の権利(従属論) ⑤グローバルシステムの維持 ⑥暗黙の合意(implicit contract) コソボ紛争(1999年3月24日~6月10日)への介入 ルワンダ大量虐殺(1994年4月~7月)の看過 合法性/正当性?←人権の名の下での戦争 グローバルイシューの増大 格差の拡大…『レクサスとオリーブの木』 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
2.グローバリゼーションと法グローバリゼーションの規範的意義2.グローバリゼーションと法グローバリゼーションの規範的意義 Society Aspect ⇒Community Aspect グローバリゼーションの規範的意義と法整備支援 各国における「良い統治」の確立/並行的発展 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
Ⅱ 法整備支援の実践と課題 法整備支援の目的(既述) Ⅱ法整備支援の方法・問題点・課題 ・・・・1.法整備支援プロジェクトの実践 ・・・・2.法整備支援プロジェクトの問題点 ・・・・3.法整備支援プロジェクトの課題 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
1.法整備支援プロジェクトの実践総論 「法整備支援」の概念 (a)法整備支援(legal assistance) 法技術支援(legal technical assistance), 法分野における技術支援 (technical assistance in legal field) (b)法整備協力(legal cooperation) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
1.法整備支援プロジェクトの実践総論 法整備支援の基本類型(【表参照】) タイプⅠ.法典・法令自体の作成 タイプⅡ.法律の制定・裁判・執行のための組織づくり タイプⅢ.法制度を支える人材の育成 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
1.法整備支援プロジェクトの実践総論 法整備支援の諸形態(諸側面) ①法規定(実体法,手続法)の整備・・・制度のレベル ②法機構の整備・・・組織のレベル ③法律家の養成・・・人材のレベル ④法制度の運用を支える物的施設整備 ⑤法整備支援の前後に行われる法社会学的調査 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
1.法整備支援プロジェクトの実践国際機関 改革の動向 ①双方向的な支援 ②コンテクスチュアリズム・・・インフォーマルルールの重視 ③長期的視野 ④貧困層のフォロー ⑤労働者,女性,環境・・・ ⑥司法へのアクセス・・・市民の側から 広い視野 包括的開発枠組(CDF) ⇒国際機関の法整備支援プロジェクトにも反映 (WB, UNDP, IMF, EBRD, ADB) 参考文献 「規範とネットワーク」世界銀行『世界開発報告2002-市場制度の構築』 pp305-321(2003年) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
1.法整備支援プロジェクトの実践外国政府 ●USAID(アメリカ)・・・「法の支配」「民主化と統治」プロジェクト 「法の支配」プロジェクト ・司法・裁判所改革(ブルガリア,マケドニア,ボリビア,コロンビア) ・女性・マイノリティーの地位向上,救済(モロッコ,グルジア) ・権利意識の涵養(カンボジア) ・地域紛争の解決(ナイジェリア) ⇒修復的司法(Restrative Justice) 参考: 福澤諭吉「私権論」時事新報(明治20年) 「政権」(参政権) 「私権」⇒「政権」 「文明の正則」 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
1.法整備支援プロジェクトの実践外国政府 ●CIDA(カナダ)・・・人権擁護の重視,イラク復興地域に重点 ●SIDA(スウェーデン)・・・人づくりに重点,長期的視点 ●GTZ(ドイツ)・・・法典編纂に強み (ロシア民法典・商法典,中国契約法・土地法) ●DFID(イギリス)・・・刑事司法支援に特色,政府のCapacity Building ●EU・・・コトヌ協定(途上国支援基本協定)にもとづく支援 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
1.法整備支援プロジェクトの実践日本政府 (1)JICAの主なプロジェクト ●ベトナム,1997年フェーズ1開始, 民訴法成立(2004),破産法成立(2004),民法改正(2005) ●カンボジア,1999年フェーズ1開始,民訴法,民法起草完了(2002) ⇒CIDA商業裁判所PJ,WB土地法PJの登記効力要件主義(公信力付与)と矛盾し 法典が議会を通過していない ●ラオス,2003年フェーズ1開始, 法典起草の前提となる法令集,教科書,マニュアルなどの作成 ●そのほか,インドネシア,ウズベキスタン,タジキスタン,モンゴル等にも 法整備支援を実施 参考 JICAホームページ(事前・事後評価,案件概要) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
1.法整備支援プロジェクトの実践日本政府 (2)法整備支援を行っている機関 刑事:国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI) 民事:法務総合研究所・国際協力部,最高裁判所 そのほか:国際民商事法センター,日本弁護士連合会・国際協力委員会, 大学〔名古屋大学(法政国際教育協力研究センター(CALE))〕,NGOなど (3)特徴 ・ソフトな支援・・・かつて法整備支援を受けた経験をいかした支援 ・日本の法整備支援のパイオニア・・・政尾藤吉,タイの民商法典つくり (1897-1913年) 参考文献 香川孝三『政尾藤吉伝 法整備支援国際協力の先駆者』(信山社,2002年) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
1.法整備支援プロジェクトの実践日本政府 (4)法典整備支援の方法 ①法典自体の起草支援 例:カンボディア型 長所:包括的・体系的法形成 短所:被支援国側のイニシアティブ・「オーナーシップ」の欠如, 国家主義的・民族主義的な反動 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
1.法整備支援プロジェクトの実践日本政府 ②法典の起草・改正への助言的支援 例:ベトナム型 長所:被支援国側のイニシアティブ・「オーナーシップ」の維持 短所:法形成物の理論的整合性,提議の限界 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
1.法整備支援プロジェクトの実践日本政府 ③法典の起草・改正に向けた準備活動支援 例:ラオス型 長所:プロセス志向, 《ルールをつくるためのルール》づくり, 比較法的・法社会学的情報の収集・整理, 被支援国のイニシアティブ, 《起草者を育てるための支援》, 支援国・被支援国間のコミュニケーション促進 短所:目標の共有,継続性の維持,長期的なプログラム評価の方法 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
2.法整備支援プロジェクトの問題点問題点 ①一貫性・体系性・計画性 ②ドナー間調整(例:カンボジアの民事訴訟法案と商事裁判所法案の抵触) ③人材養成・確保 ④事前・中間・事後の評価の方法 ⑤ドナーと受入側の思想のギャップ・・・自由競争,取引安全,・・・ ⑥言語ギャップ・・・法律用語,定義,・・・ ⑦依存体質の助長 参考文献 松尾弘「法整備支援の理論化」横浜国際経済法学11巻1号(2004)55-89頁; 竹下守夫・森嶌昭夫「基調講演」『ICDNews 』 2004年3月号,pp24-30, pp40-44 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
2.法整備支援プロジェクトの問題点事前・中間・事後の評価の方法2.法整備支援プロジェクトの問題点事前・中間・事後の評価の方法 経済協力開発機構(OECD)・ 開発援助委員会(DAC) 評価5項目 ①妥当性(relevance) ②有効性(effectiveness) ③効率性(efficiency) ④インパクト(impact) ⑤自立発展性(sustainability) 参考文献 独立行政法人国際協力機構 『プロジェクト評価の実践的手法』 (国際協力出版会,2005年) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
3. 法整備支援プロジェクトの課題 本質的ジレンマ (a)「プロジェクト」としての評価基準 ①目的の明確性・具体性 ②計画期間内における実現可能性 ③評価の客観性 (b)法制度の本質的特性 ①包括性・体系性・重層性 ②法改革と結果との因果関係の検証困難 ③客観的評価基準の抽出困難 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
3. 法整備支援プロジェクトの課題 本質的ジレンマ 良い統治の制度的基盤づくりからの出発 →市民の基本的な権利(・義務)の構築 (定義,保護・実現) →実体法・私法・一般法としての民法典を つくることの意義 →民法典整備支援の課題 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
3. 法整備支援プロジェクトの課題 民法典整備支援の課題 ①国家法体系における民法典の意義に関する 認識ギャップ ・民・商法典の分離主義と統合主義, ・知的財産法・消費者保護法の位置づけなど ②個別立法積上主義と包括的法典編纂主義 ③基本用語・基本概念の統一困難 ④英米法的要素と大陸法的要素の混交 ⑤インスティトゥティオネス体系とパンデクテン体系 参考文献 松尾弘「法整備支援における民法典整備の意義と課題」慶應法学4号(2006)31-62頁 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
3. 法整備支援プロジェクトの課題 民法典整備支援の課題 ⑥物権と債権との関係 ⑦法律行為概念,その他の一般的・抽象的概念の採否 ⑧第三者保護規定の位置づけ ⑨自由主義的法原則と社会主義的法原則との調整 「二つの契約法」問題など ⑩慣習法上の権利の明確化・法体系への導入困難 仏教寺院,少数民族の権利など 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
3. 法整備支援プロジェクトの課題 民法典整備支援の課題 ⑪法政策に基づく権利の理論的位置づけの困難 ・コンセッションによる権利など ⑫民法典と特別法との不整合 ・土地法など ⑬民事的サンクションと刑事的・行政的サンクションとの未分離 ⑭裁判規範と行為規範とのギャップ 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
3.法整備支援プロジェクトの課題まとめ LAの目標・・・・ ①個々の主権国家における良い統治の実現 ⇒②グローバル・ガバナンスの実現 LAの方法・・・・「法」を通じた制度改革 (institutional reform through law) ⇒理論化の必要性 「法と開発」の理論(Law & Development Study) 参考文献 安田信之『開発法学』(名古屋大学,2005年)第1章 金子由芳『アジア危機と金融法制改革』(信山社,2004年) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
Ⅲ 「法と開発」の一般理論(開発法学) ・・・1. 法と開発の展開 ・・・2. 社会認識モデルの構築 ・・・3. 人間行動の多様性と法則性 ・・・4. 社会における組織の種類・相互関係 と「良い統治」 ・・・5. 社会における制度の役割 ・・・6. 規範理論の要請 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
ModernizationTheory LDSⅠ(1960年代) 影響 Trubek & Galanter Political Development Movement DependencyTheory LDSⅡ(1970年代) 影響 International Law of Development Institutional Theory LDSⅢ(1990年代) 影響 North, Coase 1.「法と開発」の展開総論 参考文献 松尾弘「開発と法制度」森川俊孝(編)『開発協力の法と政治』(国際協力出版会,2004年) 松尾弘「『法と開発研究』とは何か」社会体制と法5号50-62頁、2004年 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
1. 法と開発の展開近代化論と「法と開発」の第1波 ①財産権 ②契約 ③民主的法制度 ④法の支配 参考文献 ・Trubek, D. M. and Galanter, M. (1974),“Scholars in Self-Estrangement: Some Reflections on Law and Development Studies in the United States,” Wisconsin Law Review, Vol. 4: pp. 1067-1102. ・Tamanaha, B. Z. (1995), “The Lessons of Law-and-Development Studies,”American Journal of International Law, Vol. 89: pp. 470-486. (タマナハ/松尾弘訳「開発法学の教訓」慶應法学第4号(2006年1月)) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
1.法と開発の展開従属論と「法と開発」の第2波1.法と開発の展開従属論と「法と開発」の第2波 低開発の原因としての国際的従属関係 国際的再配分の必要性 発展の権利 NIEO(新国際経済秩序) 開発の国際法(例:国連海洋法条約・深海底に関する規定) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
1.法と開発の展開制度理論と「法と開発」の第3波1.法と開発の展開制度理論と「法と開発」の第3波 「新しい」法と開発 国内の制度の非効率性 非形式的制度(informal institution/informal rule)の重要性 制度変化のプロセスの研究 国際的法整備協力の必要性 ⇒グローバリゼーションの規範性的意義 グローバル・ガバナンスの手段 参考文献 North, Douglass C. (1990) Institutions, Institutional Change and Economic Performance, CambridgeUniversity Press, 1990 (D・C・ノース/竹下公視訳『制度・制度変化・経済成果』(ミネルヴァ書房,1994年)) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
2. 社会認識モデルの構築社会とは何か 法則性 <規範理論> 正義 交換的正義 配分的正義 <制度> 民法・商法 民訴法・民執法 NPO法・中間法人法 <組織> 国家 市場・企業 市民社会 <個人> 市場参加者・従業員 市民 国民 多様性 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
3. 人間行動の多様性と法則性 制度変化のメカニズムとの関係 ・・・後述5.「社会における制度の役割」を参照 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
4.社会における組織の種類・相互関係と「良い統治」4.社会における組織の種類・相互関係と「良い統治」 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
4. 社会における組織の種類・ 相互関係と「良い統治」総論 (A)市場・企業(経済的組織) (B)政府(立法部・司法部・行政部) (C)市民社会(非経済的・非政府的組織) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
参考文献 横田洋三「良い統治-共通の課題になり得るのか?-」 高橋一生『21世紀への国際開発のパラダイムシフト』(1999年) 4. 社会における組織良い統治(good governance) 市場・企業(営利的組織) 相互作用 相互作用 国家 State 市民社会(非営利的・ 非政府的組織:NPO,NGO) 政府 相互作用 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
4. 社会における組織市場の機能 ①物・サービス・情報の調達機能 ②革新の誘引機能 ③私的情報の発見・拡散機能 ④本質的自由の保障機能(Amartya.Sen) 参考文献 R・コース(宮沢健一=後藤晃=藤垣芳文訳)「企業の社会的性質について」『企業・市場・法』(東洋経済新報社,1992年) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
4. 社会における組織企業の存在理由,市場と企業との関係 (1)市場取引における取引費用の存在 ①相手方の探索費用, ②目的物の調査費用, ③取引条件の伝達費用,④取引交渉費用, ⑤契約締結費用,⑥契約履行費用, ⑦相手方の契約遵守の監視費用, ⑧紛争解決費用, ⑨短期契約を繰り返す費用, ⑩市場取引に対する課税, ⑪その他 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
4. 社会における組織企業の存在理由,市場と企業との関係 (2)取引費用の削減方法と企業の成立 (3)企業の拡大と縮小(外注・〔再〕市場化) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
4. 社会における組織国家(state)と政府(government) 国家論 1.国家起源論 2.国家本質論 3.国家形態論 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
4.社会における組織国家と政府 1. 国家起源論 (a)征服起源説 (b)内発的発展説 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
4.社会における組織国家と政府 2. 国家本質論 国家(政府)とは何か 「その行政幹部が諸秩序の実施のために,正当な物理的強制の独占を効果的に要求する時,またその限りでの政治的アンシュタルト[合意ではなく,指令と服従とに基づき,かつ制定されたその秩序は一定の効力範囲内で指令される団体]経営」(ウェーバー) 「一定の領土的境界内で維持される政治秩序」であり,「政治的手段の組織化」(ローウィ) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
4.社会における組織国家と政府 3. 国家形態論 (a)自由主義的国家論 (a1)無政府主義 国家(政府)のない社会・・・検証事例? (a2)自由至上[尊重]主義(libertarianism) 超最小国家 (a3)古典的自由主義 最小国家(夜警国家) (a4)ケインズ主義 福祉国家 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
4. 社会における組織国家と政府 (a2)自由至上[尊重]主義的国家観 国家の必要最小限の機能 ――対外的な国防および体内的な秩序維持の機能 を果たしうる組織: ①私的保護協会 ②超最小国家(the ultraminimal state) ③最小国家(夜警国家) ④より強力で包括的な国家 ノージック正当化可能と考えるのは②まで (ノージック/嶋津訳『アナーキー・国家・ユートピア』 1985: 41-84頁) 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
4.社会における組織国家と政府 (b)社会主義的国家論 計画主義,設計主義 政府による分配 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
4.社会における組織国家と政府 個人と国家との関係 (a)「國」(クニ)としての国家 (b)共同体(res publica)としての国家 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘
4. 社会における組織市場と政府 市場・企業と政府との関係 「良い政府」(good government)の三側面 ①強い・効率的な政府 ②合法的な政府 ③良心的な政府 開発法学(法整備支援論) 松尾 弘