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コンテンツビジネス. ー 情報通信産業論 ー 2003年11月18日(火) 株式会社 情報通信総合研究所. 内 容. A. コンテンツビジネスの概要 1. コンテンツとは 2. ビジネスモデル B. コンテンツ産業政策 1. 国内市場 2. 国際市場. A-1 コンテンツとは. コンテンツとは何か. メディアソフト ソフト 情報メディア. 「コンテンツ( contents )」は、英語で「中身、内容」を意味する デジタル化により急速にその能力を拡大した伝達手段に対して「中身、内容」が必要という発想に基づいたコンセプト
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コンテンツビジネス ー 情報通信産業論 ー 2003年11月18日(火) 株式会社 情報通信総合研究所
内 容 A.コンテンツビジネスの概要 1. コンテンツとは 2. ビジネスモデル B.コンテンツ産業政策 1. 国内市場 2. 国際市場
A-1 コンテンツとは コンテンツとは何か • メディアソフト • ソフト • 情報メディア • 「コンテンツ(contents)」は、英語で「中身、内容」を意味する • デジタル化により急速にその能力を拡大した伝達手段に対して「中身、内容」が必要という発想に基づいたコンセプト • 「コンテンツ・ビジネス」という場合は、デジタルネットワークでのコンテンツの提供を念頭においている場合が多い • 定まった定義はないため、議論においては確認が必要 80年代~90年代前半 90年代後半~ コンテンツとメディア(伝達手段)が一体化 その両方を含むコンセプト コンテンツとメディアが分離 コンテンツ メディア
A-1 コンテンツとは コンテンツの種別 • エンタテインメントのコンテンツが主流。 • しかし、ブロードバンドにおいてエンタテインメント系サービスの立ち上がりが思わしくないことを受けて、教育などそのほかのものもコンテンツとして注目を浴び始めている。 • メディアによりパッケージ系、ネットワーク系、空間系に分けられる • パッケージ系および空間系のコンテンツのネットワーク系への移行がある(完全移行ではない、むしろ多様化) パッケージ系 書籍・雑誌 新聞 レコード ビデオ ビデオ・ゲーム 写真・ビデオ 郵便 ネットワーク系 (ブロードバンド) 空間系 地上放送 衛星放送 ケーブルテレビ データベース インターネット 電話 携帯電話 映画 カラオケ アーケードゲーム イベント
A-1 コンテンツとは 生活時間内でのコンテンツの利用行動 • コンテンツはユーザの生活時間のなかでシェアを奪い合っている → 隙間時間を活用できる携帯電話が伸びる → ほかの余暇活動との競争も視野に入れる必要がある • 携帯電話やインターネットなどの新しいメディアの伸びが目立つ。特に自宅外での利用が伸びている 主なコンテンツ利用行動における1日あたりの消費時間<個人全体平均:平日>(時間:分) 出所:「情報メディア白書2002」電通総研編を基に作成
A-2 ビジネスモデル ビジネスモデル:対エンドユーザ • 有料モデル • エンドユーザがコンテンツの利用に対して料金を支払う。 対エンドユーザに対する基本的収入モデルは2つ • 広告モデル • エンドユーザは、コンテンツの利用に対して直接料金を支払わない。例:地上放送(エンドユーザは、直接的にコンテンツの視聴に対して料金などを支払う必要はない。広告メディアが、広告主に対して広告枠など販売する)
A-2 ビジネスモデル 広告モデル • エンドユーザは、直接的にコンテンツの視聴に対して料金などを支払う必要はない。広告メディアが、広告主に対して広告枠など販売する • 代表例:地上民間放送 見かけ上無料であるが、 間接的に広告および コンテンツ代金を負担 広告主 コンテンツおよび広告提供に関する経費(制作費・伝送費など) 広告枠使用料金 商品の購入 (商品価格に広告費も含まれる) 広告枠 (広告提供の手段) 商品の販売 広告およびコンテンツ 消費者 広告メディア 広告の視聴
A-2 ビジネスモデル 有料モデル • エンドユーザがコンテンツの利用に対して料金などを支払う • 代表例:書籍、映画 • 広告も採用して価格を下げる工夫もされている • 代表例:新聞、雑誌、CS放送 コンテンツの販売 消費者 コンテンツ コンテンツの購入
A-2 ビジネスモデル ビジネスモデル:流通 • コンテンツの財としての特性を考えた流通構造の構築(利益の最大化の工夫)が必要 • 時間の経過に従い価値が低減する → 異なる価格帯の市場が存在 • 最初の一つ目のコピーの製作費が高いが後のコピーの費用は安価 → 多く流通させるほど利益が拡大 • マルチウィンドウ戦略
A-2 ビジネスモデル 時間の経過に伴う異なる価格帯市場の発掘 • 当初、高い価格で販売し、その需要が一巡した後に、安い価格で新たな需要を掘り起こしていくため、初リリースから、時間を経るにしたがって、視聴のための価格は下がっていく 価 格 Q1 劇場 Q2 ホームビデオ Q3 PPV Q4 プレミアム・チャンネル Q5 ネットワーク Q6 シンジケーション 消費者が映画を鑑賞ために利用するサービスのために支払う金額 Q1 Q2 Q3 Q4 Q5 Q6 ウィンドウの展開:時間の経過 出所:”The Motion Picture Mega Industry”, Littman, B., p.74,1998
A-2 ビジネスモデル マルチウィンドウ展開 • 各種メディアで時差を設けて、映画を提供していくマルチウィンドウ展開とはハリウッドの映画製作配給会社が決めて世界的に通用しているビジネスモデル • 一つのコンテンツからの利潤を最大化するという点において合理的なシステム • 時間を通じての価格差別の典型例 *この他の収入源としては、フィギュアの販売などのマーチャンダイジングがある 出所:「放送経済学序説」1998年、郵政省放送経済研究会
A-2 ビジネスモデル マルチウィンドウによる収入源の多層化 • 米国では映画配給による売上げでは、ビデオと多チャンネル放送からの収入が興行収入を上回っている。 ⇒ ビデオ、多チャンネル収入を見込んだ制作費を設定 • 興行収入もその成績がビデオの売上げなどに影響するため、依然として重要 出所:Kagan Media Trends 2001 p.147 (2000Hollywood.com 推定)
B コンテンツ産業政策 産業政策の対象としてのコンテンツ産業 • 国内市場 産業としての重要性が認識され政策対象として注目が高まっている • 流通構造の変革 • ブロードバンド市場の立ち上がりをサポートするものとして魅力的なコンテンツの供給を期待 • 国際市場 • 他産業への外部効果を期待 • 日本のコンテンツの国際的評価の高まり(アニメ、ゲーム、映画) • 日本のコンテンツの輸出促進策
B-1 政策(国内) 国内市場規模と主要コンテンツ • 主要コンテンツ産業の合計は、10兆円規模。国内市場は成熟しており、規模は横ばい • 個別市場では、放送はのびたが、ゲーム・音楽・出版は縮小傾向にある 億円 110,385 112,572 109,286 106,629 105,769 出所:「コンテンツ産業の現状と課題」2002年8月、経済産業省
B-1 政策(国内) 日本では、コンテンツの二次利用が少ない • 動画の配信も可能となるブロードバンドでは特に主要なコンテンツであるテレビ番組の二次利用の促進が期待されている 1年間に国内コンテンツの製作量の何倍のコンテンツ流通量があったかを示す拡大率では、コンテンツによって大きく異なる。ビデオ化などが進む映画では、二次拡大率が他を大きく引き離している 出所:「メディア・ソフトの制作および流通実態に関する調査報告書」郵政研究所、2002年
映画 プロダクションなど 映画会社(邦画系4社) 系列映画館 B-1 政策(国内) コンテンツの流通構造(国内) ■放送、映画においては、「商品化」「卸売り」「小売」を系列化することで寡占化している。 • これらの系列の上流にあり「素材・原作」を提供するプロダクションは、流通経路を抑えられることで、下請け的な位置づけになりがちである。 生 産 流 通 利 用 端末 商品化 卸売り 小売 素材 原作 放送 系列局 プロダクションなど 放送局(在京5局) テレビ アーティストなど レコード会社 (大手16社) 卸 小売店 プレーヤー レコード プロダクションなど ゲーム製作会社 (210社) 卸 小売店 ゲーム機 (3社) ゲーム プロダクションなど 出版社 (4391社) 小売店 卸 出版
B-1 政策(国内) デジタル化による流通構造の変容 デジタル化以前 • コンテンツとメディアの対応が固定的 • 流通市場が寡占的 • 流通に影響力を持つ事業者(流通事業者または、流通事業者に影響を及ぼすことができる大手生産事業者)がボトルネックとなっている ■デジタル化により、従来存在していて流通におけるボトルネックが解消されることで、生産者と流通事業者のバランスが大きく変わる可能性がある。 デジタル化以後 • コンテンツとメディアの対応が柔軟 • 流通市場が競争的 • コンテンツ・ホルダーが優位な立場となる デジタル化 コピーが容易 伝送路の能力が飛躍的に拡大し、伝送路の能力とコンテンツの供給のバランスが急速に崩れる
B-1 政策(国内) テレビ番組などの流通拡大のための各種の課題 ■既存コンテンツの流通拡大および新たなコンテンツの生産拡大のための様々な動き • 著作権処理ルールの確立 • 各種権利を持つ事業者の間でブロードバンドに配信する場合の料率などの決定 • 料率などはビジネスに直結することであり、関係者が非常に多いので、交渉が困難 • 番組制作時には、二次利用分までの権利買取はリスクの面から不可能 • インターネットなどの新しいメディアについての権利処理ルールが未整備 • 公正な競争の確保 • 流通を独占的に担っていた地上波放送局が番組制作会社に対して優越的な地位をもっていることが、番組制作会社に著作権者としての主張を妨げたり、自主的な番組流通を妨げていた • ファイナンスシステムの確立 • これまで、二次利用市場がなかったために、二次利用を前提としたファイナンスシステムが確立していなかった。もともとコンテンツは、リスクが高いビジネスであり、資金のないクリエーターがリスクを分散できるとともに、流通させる際に意志決定が円滑に行えるファイナンスシステムが必要 • 著作権処理システムの実用化 • コンテンツの不正コピー防止 • 米国のNAPSTAR問題など、ブロードバンドで提供することで不正コピーの流通を招くのではという強い懸念 • 課金処理 • カスタマイズされた利用に対する個々の課金システムが必要 • コンテンツのデータベース • 権利処理情報、コンテンツの中身に関する情報などメタデータなどを利用したコンテンツ管理システムが求められる • 人材の育成 • コンテンツのマルチユースまでの見越したプロデューサやCGなどの新しい技術をもった人材の育成が重要
B-2 政策(国際) 国際市場における日本の位置づけ ■映画興行市場では米国が世界市場のシェアの半分近くを占め1位。日本は、国別興行収入でいうと世界第2位の市場である。しかし、アメリカの5分の1程度に過ぎない。 単位:百万ドル 出所:Screen Digest 2001.10p.314-5 EU4,289 EU:オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、ポルトガル、スペイン、スエーデン、イギリス
B-2 政策(国際) 輸出入の状況:強みはゲームとアニメ ■家庭用ゲーム機向けソフトの生産額は、米国とならび世界のトップで、その約65%が輸出されている。 ■ アニメーションは、世界の放映量の6割を占めるといわれる。最近は、「千と千尋の神隠し」、「ポケモン」などがヒット。 ■ 映画・音楽・TVドラマは、東アジアを中心として流通しているが(台湾の「哈日族(ハーリーズ)などの存在)、多くは海賊版による非合法な取引による(中国のレコード市場の売り上げの90%は海賊版による) 億円 ゲーム:2000年値(輸入は関係者推測値) 音楽: 2000年値(通関統計) 出版: 2000年値(通関統計) 放送:1996年値(通信白書) 映画:2001年値(1ドル133円で換算) (輸入額は米国映画興行収入) アニメは映画・放送に含む 出所:「コンテンツ産業の現状と課題」2002年8月、経済産業省
B-2 政策(国際) 日本はコンテンツ産業の成長の余地あり? 出所:「我が国のコンテンツビジネスの飛躍的拡大に向けて」2003 年10月、知的財産戦略本部・コンテンツ専門調査会 • コンテンツ市場は、世界的に高成長分野でそのなかでもアジア太平洋地域は成長している。 • 世界のGDP実質成長率(4.4%)、コンテンツ産業全体(6.5%)、アジア太平洋地域(7.1%) 日本のコンテンツ産業の国際的展開拡大の可能性 • 日本は、コンテンツ産業のGDP比率は、世界平均、米国に比較して低い。 • 日本(2%)、米国(5%)、世界(3%) • 日本は、コンテンツ市場のうちの海外売上率は、米国に比較して低い。 • 日本(3%)、米国(17%)
B-2 政策(国際) 米国、EUの政策 • 米国は、1900年代初めから産業政策の中でコンテンツ産業を重要なものとして位置づけていた 米 国 欧 州 1910~20年代:米国映画を活用した文化・産業輸出 ・「Trade follows the films」 ・クリール委員会で国を挙げた映画輸出振興と「良きアメリカ」を描いた映画製作の推奨(1917年) 1940~70年代:競争政策による国内市場の強化 ・パラマウント裁定:映画産業の制作部門と興行部門の分離(1949年) ・フィンシン・ルール、プライムタイム・アクセス・ルール: 3大ネットワークの番組所有・販売及び娯楽番組の制作を規制することにより、制作部門を活性化。 (1970年) 1980年~現在:米国コンテンツ流入への対抗 ・国境を越えるテレビ指令(1989年) ・MEDIAプログラム 現在:国際展開の拡大 ・スペシャル301条(1988年):知的財産保護の不十分な国を監視 ・「自由な貿易体制が米国エンタテインメント産業を発展させ、米国の国益に結びつくことを標榜する「エンタテインメント産業自由貿易連盟」(2003年3月) ・WTOでの圧力
B-2 政策(国際) 韓国の政策 • 現在ブロードバンド普及率世界一、コンテンツ産業の育成を国家目標として定める • オンラインゲーム市場では、世界一、アジア地域をはじめとして海外への輸出にも積極的に取り組むーー「韓流」コンテンツの人気 • 1999年 • 文化産業育成基本法を制定 創業の活性化、専門人材の養成、流通の促進、海外進出促進などに関する訓示規定を列挙。2003年までに5千億ウォン(約500億円)の基金を造成) • 韓国映画「シュリ」の大ヒット • 2000年 • 「文化観光部を中心にして、コンテンツ産業の育成に国家主導で取り組む」という大統領が発言 • 2001年 • 「コンテンツコリアビジョン21」 総額8546億ウォン(約854億円)の資金を投入し、デジタルコンテン ツ産業の育成を目的 • 2002年 • 「オンラインデジタルコンテンツ産業振興法」 オンラインデジタルコンテンツに特化した創業の活性化、専門人材養成、流通促進、海外進出促進、税制支援などに関する施行計画の策定など ポップカルチャーと製品イメージ 出所:「アジア生活意識調査」、2003年1月、博報堂
サマリー A.コンテンツビジネスの概要 • コンテンツとは • ブロードバンドとの対応 • ネットワーク系への移行 • ビジネスモデル • 対エンドユーザ • 広告モデル • 有料モデル • 流通構造 • マルチウィンドウ B.コンテンツ産業政策 • 国内市場 • 既存の寡占的流通構造 • ブロードバンド市場の立ち上げに向けて流通構造の改革 • 国際市場 • 日本のコンテンツも世界的に注目 • 日本のコンテンツ産業の国際展開拡大の可能性 • 現在世界のコンテンツ産業を席捲する米国は、従来から様々な産業政策 • アジア市場で韓国の成長
参考文献 • 経済産業省:コンテンツ産業政策http://www.meti.go.jp/policy/media_contents/ • 菅谷実・中村清編 (2002) 『映像コンテンツ産業論』丸善。 • Litman, B.R. (1998) The Motion Picture Mega Industry, Allyn and Bacon, Boston. • Vogel, H.L. (2001) Entertainment Industry Economics: A Guide for Financial Analysis, 5th ed. , Cambridge University Press, Cambridge .